今日の臨床サポート

汗疱状湿疹(異汗性湿疹、汗疱)

著者: 足立厚子 兵庫県立加古川医療センター 皮膚科

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2020/07/03
参考ガイドライン:
  1. 日本皮膚科学会:手湿疹診療ガイドライン
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 水疱型の手湿疹を診た場合、まず汗疱状湿疹(異汗性湿疹、汗疱)の診断を想定することが必要である(推奨度1)。
  1. 汗疱状湿疹(異汗性湿疹、汗疱)の中には、全身性接触皮膚炎の機序によるものがあり、その関与を疑うことが必要である(推奨度2)。
  1. 全身性接触皮膚炎の原因診断の第一選択はパッチテストである(推奨度3)。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
足立厚子 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(田辺三菱,サノフィ,マルホ,協和キリン),研究費・助成金など(ノバルティス,レオファーマ)[2021年]

改訂のポイント:
  1. 2018年に作成された手湿疹ガイドラインに基づき、主として手湿疹の中の汗疱状湿疹(異汗性湿疹、汗疱)の位置づけについて、加筆修正を行った。

病態・疫学・診察

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 再発性水疱型(汗庖型)手湿疹は通常手掌もしくは足蹠に生じ、汗疱状湿疹,汗疱、異汗状湿疹と呼ばれる。原因不明のことも多いが、全身性接触皮膚炎によるものや免疫グロブリン大量療法によるものがある。
 
汗疱状湿疹:金属パッチテスト

ケースの説明:
病歴:50歳代男性20歳代頃スプーン磨きをするとその後に手湿疹を認めていたが、50歳代より、金属に接触しなくても手掌に小水疱が多発性に出没する。
診察:手掌および母指球に粟粒大までの紅色丘疹、小水疱の集簇および線状配列を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴から汗疱状湿疹と診断。金属アレルゲンでパッチテストのところ、コバルト、クロム、ニッケルが陽性を示し、全身型金属アレルギーが原因と診断した。
治療:ステロイド外用薬と金属との接触禁止で治療開始したが、軽快しないため、後出表<図表>に従いコバルト、クロム、ニッケルを多く含む食事を制限した。
転帰:2週間以内に速やかに軽快した。チョコレートなど金属を多く含むものを摂取すると再燃する。
a:初診時臨床像 
b:コバルト、ニッケル、クロムパッチテスト陽性所見

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 手掌での好発部位は母指球、小指球および指側縁、足蹠では土踏まずである。
  1. 紅斑、小水疱を認めることが多いが、時に水疱、びらんおよび亀裂を伴う。
  1. 激しい痒みや痛痒さを感じることが多い。
  1. 汗疱状湿疹の原因の一つである全身性接触皮膚炎を引き起こしうるアレルゲンは、ネオマイシン、クロマイシン、消毒剤などの医薬品、ペルーバルサムなどの香料、金属などで、もっとも頻度の多いのは金属アレルゲンと思われる。
  1. 全身性接触皮膚炎は様々な発疹や全身症状を示すことがあるが、最も頻度が高いのは汗疱状湿疹である。
  1. 金属は、直接皮膚に接触皮膚炎を起こす以外に、食品中や歯科金属などに含まれる微量金属が口腔粘膜や腸管などから全身的に吸収されて皮疹を惹起される全身性接触皮膚炎を示すものがあり、全身型金属アレルギーと呼ぶ[1]
  1. 掌蹠は汗器管が密に分布し、しかも汗中の金属濃度が高い部位とされている。このことは全身型金属アレルギーの皮疹好発部位として掌蹠で汗疱状湿疹が多発することと関連があると考えられる。
問診・診察のポイント  
 
  1. 汗疱状湿疹は、強力なステロイドの外用や抗アレルギー薬の内服を続けるも、軽快しなかったり、再発を繰り返したりすることが多い。難治性の場合、原因検索により問題解決を試みるべきである。

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文献 

著者: N K Veien, T Hattel, O Justesen, A Nørholm
雑誌名: Contact Dermatitis. 1983 Sep;9(5):402-6.
Abstract/Text 202 patients, 68 males and 134 females, with patch-test-negative, symmetrical vesicular hand eczema were challenged orally in a controlled study with 2.5 mg nickel, 2.5 mg chromium and 1 mg cobalt given as salts of the respective metals. Initially a mixture of the 3 metal salts was given, and if this produced a flare of the eczema, the salts were administered individually at 1 week intervals. 55 patients reacted to the mixture of salts as well as to 1 or 2 of the individual salts. 3 other patients were challenged openly with nickel alone. Male patients reacted primarily to chromate and cobalt, while female patients more commonly reacted to nickel and cobalt. 56 patients were instructed to follow diets planned to reduce the daily intake of the respective metals. The dermatitis of 36 patients cleared or improved markedly after 1 month of dieting. Responses to a questionnaire sent to these 36 patients indicated that 28 of them had followed the prescribed diet rigorously or intermittently for at least a year, because they experienced recurrence of the dermatitis if they stopped dieting. 6 noted no long-term benefit and 2 did not respond.

PMID 6226480  Contact Dermatitis. 1983 Sep;9(5):402-6.
著者: Atsuko Adachi, Tatsuya Horikawa
雑誌名: Arerugi. 2007 Jul;56(7):703-8.
Abstract/Text A seven month-old boy had been suffering from recalcitrant pompholyx of both soles in spite of the treatment with corticosteroid ointment for three months. Because patch test of chromium was positive at 48 and 96 hr reading, we advised to his mother that the infant must avoid to touch and to take the chromium-containing goods. His lactating mother had been taking high amounts of chocolate and cocoa every day, both of which contain considerable amounts of chromium. The pompholyx disappeared within 2 weeks, after his mother stopped eating chocolate and cocoa. Oral provocation test with chocolate and cocoa to the patient's lactating mother resulted in the development of pompholyx in the baby within two days. We diagnosed the infant as systemic metal allergy to chromium which was possibly transferred from his mother's milk. This is the first report of systemic metal allergy which is provoked by mother's milk which is from the person who takes a lot of metal-containing foods.

PMID 17671414  Arerugi. 2007 Jul;56(7):703-8.
著者: P D Pigatto, E Gibelli, M Fumagalli, A Bigardi, M Morelli, G F Altomare
雑誌名: Contact Dermatitis. 1990 Jan;22(1):27-31.
Abstract/Text In some cases that have been diagnosed as contact allergy to nickel, there are repeated cutaneous eruptions of pompholyx, even in areas with no direct contact with the metal. The possible alimentary origin of dyshidrotic eczema should be considered when deciding on therapy. We have collected the clinical data for 24 patients with dyshidrotic eczema caused by nickel, to evaluate the benefit of a low-nickel diet versus treatment with oral disodium cromoglycate, comparing both objective and subjective symptoms. A low-nickel diet does not improve these patients but those treated with DSCG reacted better, from both objective and subjective point of view, than either the controls or the patients treated by diet. We next did intestinal permeability tests before therapy and after 15 days of treatment. We found that nickel uptake diminishes simultaneously with the reduction of absorption through the smaller aqueous "pores". This phenomenon was greatest after DSCG. We suggest that DSCG can help selected cases of pompholyx.

PMID 2138953  Contact Dermatitis. 1990 Jan;22(1):27-31.

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