今日の臨床サポート

皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)(壊死性血管炎が皮膚に起こった場合)

著者: 川上民裕 東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2021/05/12
参考ガイドライン:
  1. 日本皮膚科学会血管炎・血管障害診療ガイドライン2016年改訂版
  1. 抗リン脂質抗体症候群、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、リウマトイド血管炎の治療の手引き 2020
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 皮膚動脈炎の患者に、血管拡張剤や抗血栓剤などの循環改善剤の併用を考慮してもよい(推奨度2)
  1. 皮膚動脈炎の患者に、副腎皮質ステロイド剤の全身投与は症例によっては考慮してもよい(推奨度2)
  1. 皮膚動脈炎に、免疫抑制薬の全身投与は症例によっては考慮してもよい(推奨度2)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
川上民裕 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(田辺三菱,サノフィ,マルホ,協和キリン),研究費・助成金など(ノバルティス,レオファーマ)[2021年]

改訂のポイント:
  1. 皮膚潰瘍や壊疽などの皮膚症状が重症な皮膚動脈炎に副腎皮質ステロイド剤の全身投与の選択が示唆された。
  1. 抗リン脂質抗体症候群、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発動脈炎、リウマトイド血管炎の治療の手引き 2020」の発表を参考として、免疫抑制薬の全身投与などの加筆修正を行った。

病態・疫学・診察

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 壊死性血管炎(necrotizing vasculitis)は、血管壁のフィブリノイド変性、核塵を伴う好中球浸潤、赤血球漏出を特徴とする病理組織所見に対する名称である。
  1. 白血球破砕性血管炎(Leukocytoclastic vasculitis)は皮膚真皮上中層の毛細血管の血管炎でフィブリノイド壊死がなく、好中球の核破砕が目立つ際、用いられる病理用語である(血管壁が薄いので、フィブリノイド沈着に耐えられない)。皮膚の壊死性血管炎とみなしてよい。
  1. 血管炎とは、壊死性血管炎を病気の主座とする疾患群である。
  1. ANCA関連血管炎とは、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧名Churg-Strauss症候群)、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症(旧名Wegener肉芽腫症)のことである。
  1. 皮膚生検において、真皮上中層は小血管レベル、真皮下層から皮下脂肪織は中血管レベルの血管が存在する。
  1. 中血管レベル(皮下脂肪織の小動脈)の血管炎で、皮膚症状を主体した疾患が皮膚動脈炎(旧名皮膚型結節性多発動脈炎)である。その随伴症状として神経症状がある。この点で、全身性血管炎である結節性多発動脈炎との鑑別が論争となっている。
  1. 真皮上中層の小血管レベルの代表がアナフィラクトイド紫斑(IgA血管炎)で他項目を参照〔Chapel Hill分類2012(新分類)では、Henoch-Schönlein purpuraがIgA vasculitis(IgA血管炎)に名称変更となった。皮膚型結節性多発動脈炎と同様の疾患概念であるCutaneous arteritis(皮膚動脈炎)が採用された〕。(参照: 過敏性血管炎(含、Henoch-Schonlein紫斑病/IgA血管炎) )
 
Chapel Hill分類2012(新分類)

出典

img1:  2012 revised International Chapel Hill Consensus Conference Nomenclature of Vasculitides.
 
 Arthritis Rheum. 2013 Jan;65(1):1-11. do・・・
 
  1. 血管炎の国際分類(Chapel Hill分類、通称CHCC1994)の成功から、その改訂版を作成しよう、とする機運が起こり、採用されたのがChapel Hill分類2012(CHCC2012)である。Eponymと呼ばれる個人名のついた病名を廃止し病因が明確な疾患はそれを病名に反映させた点、分類がより細分化された点(3つのカテゴリーから7つのカテゴリーに増加)、血管炎は動脈が主体であるが静脈への波及もあることを強調した点等が特徴である。
  1. CHCC2012では大血管、中血管、小血管レベルに分けたのはそのままであるが、小血管レベルがANCA関連血管炎と免疫複合体関連血管炎に明瞭に2分された。さらに、静脈にも及ぶ広範囲が罹患するvariable vessel vasculitis(多彩な血管が侵襲される血管炎)が登場し、ベーチェット病とCogan症候群がEponym(人名が冠せられた疾患名)でありながら、初めて組み込まれた。皮膚血管炎は小血管レベルから外れ、single organ vasculitis(単一臓器に限局した血管炎)に配置された。ここには、皮膚白血球破砕性血管炎とともに初めてcutaneous arteritis(皮膚動脈炎)なる疾患名が記載されている。皮膚型結節性多発動脈炎と同様に疾患概念である。CHCC1994にもCHCC2012にも皮膚科医の参加がないため皮膚科としての分類が今後待たれる。
  1. Eponymでは、多発血管炎性肉芽腫が granulomatosis with polyangiitis、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症がeosinophilic granulomatosis with polyangiitis、Henoch-Schönlein purpura がIgA 血管炎(IgA vasculitis)に変更となっている。これを受けて、Wegener肉芽腫症が多発血管炎性肉芽腫症、Churg-Strauss症候群が好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と、日本語訳の統一がなされた。小血管レベルに新たに組み込まれた低補体血症性蕁麻疹様血管炎(Hypocomplementemic urticarial vasculitis)は、病因が明確な疾患はそれを病名に反映させる主義から、抗C1q血管炎(Anti-C1q Vasculitis)の注釈が入っている[1]
  1. 本項目では、皮膚動脈炎(旧名 皮膚型結節性多発動脈炎)を中心に記載する。
問診・診察のポイント  
  1. 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症を意識して気管支喘息やアレルギー性鼻炎の既往を問診する。

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文献 

著者: J C Jennette, R J Falk, P A Bacon, N Basu, M C Cid, F Ferrario, L F Flores-Suarez, W L Gross, L Guillevin, E C Hagen, G S Hoffman, D R Jayne, C G M Kallenberg, P Lamprecht, C A Langford, R A Luqmani, A D Mahr, E L Matteson, P A Merkel, S Ozen, C D Pusey, N Rasmussen, A J Rees, D G I Scott, U Specks, J H Stone, K Takahashi, R A Watts
雑誌名: Arthritis Rheum. 2013 Jan;65(1):1-11. doi: 10.1002/art.37715.
Abstract/Text
PMID 23045170  Arthritis Rheum. 2013 Jan;65(1):1-11. doi: 10.1002/art.・・・

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