今日の臨床サポート

魚鱗癬

著者: 山本明美 旭川医科大学 皮膚科学講座

監修: 戸倉新樹 掛川市・袋井市病院企業団立 中東遠総合医療センター 参与/浜松医科大学 名誉教授

著者校正/監修レビュー済:2019/04/18
患者向け説明資料
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
山本明美 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:戸倉新樹 : 講演料(田辺三菱,サノフィ,マルホ,協和キリン),研究費・助成金など(ノバルティス,レオファーマ)[2021年]

改訂のポイント:
  1.  定期レビューをおこない、達人の極意・コツについて加筆、修正を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 魚鱗癬は体表の広範囲に鱗屑がみられることを主徴とする疾患群である。
  1. 先天性(遺伝性)と、内臓悪性腫瘍などに随伴する後天性とに分けられる。ここでは前者について解説する。
  1. 先天性魚鱗癬には、①皮疹以外の症状がない群と、②他臓器障害がみられる魚鱗癬症候群とがある。
  1. 先天性魚鱗癬では①に属する次の2つの病型の頻度が高いが、比較的軽症で外用療法により軽快する。
  1. 最も頻度が高いのは尋常性魚鱗癬(図<図表>,図<図表>)で、アトピー性皮膚炎を合併しやすい(図<図表>)。フィラグリン遺伝子異常により発症し(図<図表>)、セミ優性遺伝性である。
 
尋常性魚鱗癬

病歴:30歳代女性、若いときから気づいていた四肢のかさつきを主訴に受診。
診察:四肢の伸側を主体に魚鱗癬を認める。手掌の皮膚のしわが多い。子供2人に同じ症状とアトピー性皮膚炎を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、家族歴、病歴から診断。
治療:保湿剤の外用で治療開始した。
転帰:症状は軽快している。
コメント:これから子供を産む可能性のある尋常性魚鱗癬の患者には子供に50%の確率で遺伝すること、アトピー性皮膚炎の発症リスクが高いことを説明するのがよい。保湿剤の外用によってアトピー性皮膚炎の発症を防げる可能性が考えられている。

出典

img1:  旭川医科大学症例
 
 
 
尋常性魚鱗癬

白色、透明で四角い鱗屑が四肢の伸側にみられる。アトピー性皮膚炎を合併することが多い。

 
尋常性魚鱗癬:アトピー性皮膚炎を合併した例

病歴:就学前の男児。ほぼ全身の痒みを伴う皮疹を主訴に受診。
診察:ほぼ全身に湿疹病変を認める。四肢に魚鱗癬を認める。手掌足底の皮膚のしわが多い。姉に同様の症状がみられる。母親に魚鱗癬を認める。
診断のためのテストとその結果:診察所見、病歴、家族歴から診断。
治療:魚鱗癬には保湿剤の外用、湿疹のある部位にはステロイド外用薬を併用し、第2世代の抗ヒスタミン薬の内服によって軽快した。
転帰:部分的に湿疹が残存しているが、魚鱗癬は軽快している。手掌足底のしわが多いのは変わらない。
コメント:尋常性魚鱗癬に伴うアトピー性皮膚炎ではまず保湿剤の外用を十分行うことが大切である。アトピー性皮膚炎の患者を診察したときに尋常性魚鱗癬を合併しているかどうかがわかりにくいときには、手掌足底のしわが多いことが診断の手がかりになることがある。正確にはフィラグリン遺伝子の検索によって確定することができるが、この検査に保険適用はなく、限られた施設が研究目的で行っている。

出典

img1:  旭川医科大学症例
 
 
 
フィラグリン変異とアトピー性皮膚炎の発症リスクの関係

出典

img1:  Filaggrin failure - from ichthyosis vulgaris to atopic eczema and beyond.
 
 Br J Dermatol. 2016 Oct;175 Suppl 2:4-7.・・・
 
  1. 次に多いのはX連鎖性劣性魚鱗癬(伴性遺伝性魚鱗癬)(図<図表>,図<図表>)で、男性のみ発症する。ステロイドサルファターゼ遺伝子変異による。
 
X連鎖性劣性魚鱗癬(伴性遺伝性魚鱗癬)

病歴・診察:生後7カ月の男児。顔面を含むほぼ全身、特に四肢に魚鱗癬を認める。母方の叔父に同様の症状を認める。
治療:角質融解剤の外用により軽快。
転帰:外用薬の塗布により軽快している。
コメント:本症は尋常性魚鱗癬と比較して魚鱗癬の程度が重く、顔面にもみられることが特徴的である。男性のみに発症し、患者の母方の叔父に同症をみることがある。

出典

img1:  旭川医科大学症例
 
 
 
X連鎖性劣性魚鱗癬(伴性遺伝性魚鱗癬)

大型で褐色の四角い鱗屑がみられる。

 
  1. 他の病型はまれだが、予後不良であったり、重篤な他臓器障害を伴ったりする場合がある。
  1. 先天性魚鱗癬は、指定難病であり、重症例などでは、申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年7月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
問診・診察のポイント  
  1. 頻度の高いのは尋常性魚鱗癬とX連鎖性劣性魚鱗癬である。

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文献 

著者: J Mazereeuw-Hautier, A Vahlquist, H Traupe, A Bygum, C Amaro, M Aldwin, A Audouze, C Bodemer, E Bourrat, A Diociaiuti, M Dolenc-Voljc, I Dreyfus, M El Hachem, J Fischer, A Gånemo, C Gouveia, R Gruber, S Hadj-Rabia, D Hohl, N Jonca, K Ezzedine, D Maier, R Malhotra, M Rodriguez, H Ott, D G Paige, A Pietrzak, F Poot, M Schmuth, J C Sitek, P Steijlen, G Wehr, M Moreen, E A O'Toole, V Oji, A Hernandez-Martin
雑誌名: Br J Dermatol. 2019 Feb;180(2):272-281. doi: 10.1111/bjd.17203. Epub 2018 Dec 3.
Abstract/Text These guidelines for the management of congenital ichthyoses have been developed by a multidisciplinary group of European experts following a systematic review of the current literature, an expert conference held in Toulouse in 2016 and a consensus on the discussions. They summarize evidence and expert-based recommendations and are intended to help clinicians with the management of these rare and often complex diseases. These guidelines comprise two sections. This is part one, covering topical therapies, systemic therapies, psychosocial management, communicating the diagnosis and genetic counselling.

© 2018 British Association of Dermatologists.
PMID 30216406  Br J Dermatol. 2019 Feb;180(2):272-281. doi: 10.1111/bj・・・
著者: Chiaki Murase, Takuya Takeichi, Akitaka Shibata, Masahiro Nakatochi, Fumie Kinoshita, Akiharu Kubo, Kimiko Nakajima, Norito Ishii, Hiroo Amano, Koji Masuda, Hiroshi Kawakami, Takuro Kanekura, Ken Washio, Masayuki Asano, Kazuya Teramura, Eijiro Akasaka, Mikiko Tohyama, Yutaka Hatano, Toyoko Ochiai, Shinichi Moriwaki, Tomotaka Sato, Akemi Ishida-Yamamoto, Mariko Seishima, Michiko Kurosawa, Shigaku Ikeda, Masashi Akiyama
雑誌名: J Dermatol Sci. 2018 Nov;92(2):127-133. doi: 10.1016/j.jdermsci.2018.08.008. Epub 2018 Sep 11.
Abstract/Text BACKGROUND: Congenital ichthyoses (CIs) adversely affect quality of life (QOL) in patients. However, the effects of CIs on patient QOL have not been studied sufficiently.
OBJECTIVE: To investigate the association between disease severity and QOL in patients with harlequin ichthyosis (HI) and ichthyosis: syndromic forms (ISFs) METHODS: Clinical information of patients with HI and ISFs from 2010 to 2015 were obtained from 100 dermatology departments/divisions of principal institutes/hospitals throughout Japan. We examined the relationship between disease severity and QOL in patients with HI and ISFs. Patients who were aged 8 years or older and participated in a multicenter retrospective questionnaire survey in Japan were assessed by dermatology life quality index (DLQI, range of 0-30) and clinical ichthyosis score (range of 0-100).
RESULTS: Netherton syndrome patients had a significantly higher risk of allergy to food or environmental allergens than patients with other phenotypes. Keratitis-ichthyosis-deafness (KID) syndrome patients showed a significantly higher risk of skin infections than patients with other phenotypes. Complete data on DLQI were obtained from 13 patients, whose median age was 21 (8-71) years. Nine patients were male, and 4 were female. Systemic retinoids were administrated to 2 of the 3 HI patients. The Spearman's correlation coefficient between the clinical ichthyosis score and DLQI was 0.611 (P < 0.05).
CONCLUSION: We confirmed that Netherton syndrome and KID syndrome patients have a higher risk of allergy to food or environmental allergens and of skin infections, respectively. QOL impairment correlates with disease severity in HI and ISFs patients.

Copyright © 2018 Japanese Society for Investigative Dermatology. Published by Elsevier B.V. All rights reserved.
PMID 30241690  J Dermatol Sci. 2018 Nov;92(2):127-133. doi: 10.1016/j.・・・

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