今日の臨床サポート

心房粗動

著者: 奥山裕司 おくやまクリニック 内科・循環器内科

監修: 永井良三 自治医科大学

著者校正/監修レビュー済:2017/06/30
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. 心房粗動とは、心房の規則正しく速い興奮を特徴とする上室性頻拍の一種である。
  1. 通常型心房粗動においては1分間に約300回、三尖弁輪を旋回する。
  1. 多くの症例で心房粗動の診断時あるいはその後の経過中に心房細動を合併する()。房室伝導比が4:1以下と低い場合には症状は軽い。一方、2:1伝導では心室拍数が150/分程度となり、動悸症状を引き起こすことが多く、他の上室性頻拍との鑑別を要する。

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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
奥山裕司 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:永井良三 : 未申告[2021年]

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 心房粗動は心房の規則正しく速い興奮を特徴とする上室性頻拍の一種である。半数程度に何らかの疾患(高血圧症、弁膜症、虚血性心疾患など)を合併するが、残りの半数程度は明らかな疾患を合併しない。
  1. 通常型心房粗動においては1分間に約300回、三尖弁輪を旋回する。
  1. 多くの症例で心房粗動の診断時あるいはその後の経過中に心房細動を合併する( エビデンス )。房室伝導比が4:1以下と低い場合には症状は軽い。2:1伝導では心室拍数が150/分程度となり、動悸症状を引き起こすことが多く、他の上室性頻拍との鑑別を要する。
  1. 粗動の停止、再発予防には高い効果を持つ薬剤がない。大部分を占める三尖弁輪下大静脈間のいわゆる解剖学的峡部を必須回路とする通常型心房粗動は95%以上の確率でカテーテルアブレーションによる根治が見込めるため第1選択となっている。
  1. 心原性塞栓の原因となるため抗凝固療法を心房細動と同様に危険因子に合わせて実施する。すなわち適切な強度の抗凝固療法が行われていない場合で、発症時刻が確定できない場合は(自覚症状では発症時刻は確定できない)、危険因子に応じて抗凝固療法を実施し、必要に応じて心拍数調節治療を行う。
  1. 洞調律化を試みる場合、3週間以上適切な強度の抗凝固療法を継続した後に薬物的洞調律化または直流通電を行う。初診時に血行動態が不安定であるなどの理由で洞調律化を急ぐ場合には心房細動と同様に経食道エコー図検査で左房内血栓を否定する。
問診・診察のポイント  
  1. 心不全症状と失神・めまいなどの脳虚血症状に留意しながら問診を行う。房室伝導比が高い状態が長時間続くと頻脈誘発性心筋症となり心不全症状を呈する可能性がある。動悸症状を感じ始めた時期や出現・消退について詳細に問診する。

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文献 

著者: J Granada, W Uribe, P H Chyou, K Maassen, R Vierkant, P N Smith, J Hayes, E Eaker, H Vidaillet
雑誌名: J Am Coll Cardiol. 2000 Dec;36(7):2242-6. doi: 10.1016/s0735-1097(00)00982-7.
Abstract/Text OBJECTIVES: The goal of our study was to determine the incidence and predictors of atrial flutter in the general population.
BACKGROUND: Although atrial flutter can now be cured, there are no reports on its epidemiology in unselected patients.
METHODS: The Marshfield Epidemiological Study Area (MESA), a database that captures nearly all medical care among its 58,820 residents was used to ascertain all new cases of atrial flutter diagnosed from July 1, 1991 to June 30, 1995. To identify predisposing risk factors, we employed an age- and gender-matched case-control study design using eight additional variables.
RESULTS: A total of 181 new cases of atrial flutter were diagnosed for an overall incidence of 88/100,000 person-years. Incidence rates ranged from 5/100,000 in those <50 years old to 587/100,000 in subjects older than 80. Atrial flutter was 2.5 times more common in men (p < 0.001). The risk of developing atrial flutter increased 3.5 times (p < 0.001) in subjects with heart failure and 1.9 times (p < 0.001) for subjects with chronic obstructive pulmonary disease. Among those with atrial flutter 16% were attributable to heart failure and 12% to chronic obstructive lung disease. Three subjects (1.7%) without identifiable predisposing risks were labeled as having "lone atrial flutter."
CONCLUSIONS: This study, the first population-based investigation of atrial flutter, suggests this curable condition is much more common than previously appreciated. If our findings were applicable to the entire U.S. population, we estimate 200,000 new cases of atrial flutter in this country annually. At highest risk of developing atrial flutter are men, the elderly and individuals with preexisting heart failure or chronic obstructive lung disease.

PMID 11127467  J Am Coll Cardiol. 2000 Dec;36(7):2242-6. doi: 10.1016/・・・

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