今日の臨床サポート

心室中隔欠損症・心房中隔欠損症(小児科)

著者: 清水信隆 社会福祉法人三井記念病院 小児科

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2019/07/19
参考ガイドライン:
日本循環器学会編:循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2007− 2008年度合同研究班報告)先天性心疾患の診断、病態把握、治療選択のための検査法の選択ガイドライン
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 乳幼児で心雑音を聴取した場合、先天性心疾患を念頭に置く必要があり、心臓超音波検査を行う。心臓超音波検査ができない場合は専門医に紹介する(推奨度1
  1. 心室中隔欠損は、欠損孔の部位により、膜性周囲部(perimembranous)、筋性部(muscular)、漏斗部または肺動脈弁下部(subarterial)に分類され、自然歴、手術適応が各々異なるため、部位診断は重要である。
  1. 自然閉鎖する場合もあるが、心不全症状を有する、あるいは肺高血圧を合併する場合、漏斗部欠損で大動脈弁の逆流を呈する場合は、外科手術の適応となる(推奨度1Eisenmenger症候群を呈すると手術適応がなくなるので、その前に適切な治療時期を逃さないことが大切である。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
清水信隆 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、概要・推奨について加筆を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
【心室中隔欠損】
  1. 心室中隔欠損(ventricular septal defect、VSD)は、左右の心室の間の壁である心室中隔に欠損孔のあいている奇形で、最も頻度の高い先天性心疾患であり、20~30%を占める。
  1. 通常、出生後数日以内に心雑音が聴取されるため、出生後産科退院時には心雑音に気づかれることが多く、また、遅くとも1カ月検診までに心雑音に気づかれることが多い。
  1. 胎児期は左右心室が等圧であるため、小欠損では欠損孔の通過血流が同定されにくく、胎児エコーでは見つからないことも多い。大欠損の場合は胎児期に指摘されることもある。大欠損や他の心疾患を合併している場合は、専門施設への母体搬送が必要であるが、小欠損の場合は出生後早期に状態が悪化することは稀であり、出生後に対応してもよい。
  1. 欠損孔の部位により、膜性周囲部(perimembranous)(<図表>,図<図表>,図<図表>)、筋性部(muscular)(<図表>)、漏斗部または肺動脈弁下部(subarterial)(<図表>)に分類され(<図表>[1]、自然歴、手術適応が各々異なるため、部位診断は重要である[2][3][4]
 
 
  1. 欠損孔を通した体循環から肺循環への左右短絡により、体血流の減少、肺血流の増加を呈し、短絡量により哺乳不良、多呼吸、陥没呼吸、体重増加不良などの心不全症状を呈する場合がある。
  1. 漏斗部欠損は東洋人に多く、近接する大動脈弁の逸脱・変形(<図表>)が生じて大動脈弁閉鎖不全(<図表>)を発症することがある[2][3]
 
大動脈弁の逸脱による大動脈弁逆流

大動脈弁逆流(VSD:心室中隔欠損、LA:左心房、LV:左心室、RV:右心室、Ao:大動脈、AR:大動脈弁閉鎖不全)

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 短絡量が増加すると左心室への容量負荷が増大して、左室拡張末期圧の上昇、左房圧上昇、肺静脈圧上昇へと進展し、肺血管抵抗の増大により肺高血圧を惹起する。さらに、筋性肺小動脈の中膜が肥厚して肺血管床の閉塞性病変が進行すると、肺血管抵抗が体血管抵抗を凌駕して、欠損孔を通して右左短絡を生じる。これをEisenmenger症候群という[5][6][7]。ダウン症候群( Down症候群 )ではEisenmenger化する時期が早いとされており、積極的な治療介入が必要である。
  1. 自然閉鎖する場合もあるが、心不全症状を有する、あるいは肺高血圧を合併する場合、漏斗部欠損で大動脈弁の逆流を呈する場合は、外科手術の適応となる。Eisenmenger症候群を呈すると手術適応がなくなるので、その前に適切な治療時期を逃さないことが大切である。
【心房中隔欠損】
  1. 心房中隔欠損(atrial septal defect、ASD)は、左右心房を隔てている心房中隔に欠損孔を有する疾患である。
  1. 先天性心疾患の約10%を占める。
  1. 多くは二次孔欠損型(<図表>)で、一次孔欠損型(<図表>)、静脈洞型もある。一次孔欠損型は房室中隔欠損の分類にも含まれる(<図表>)。最も多い二次孔欠損は、全先天性心疾患の約7~13%である[8]
 
心房中隔欠損孔の部位による分類

心房中隔欠損孔の部位により、二次孔欠損型、上大静脈洞型、下大静脈洞型、冠静脈洞型に分類される。

出典

 
一次孔欠損型心房中隔欠損(四腔断面像)

心房中隔下縁の房室弁に接する一次孔に欠損孔を認める。
(ASD:心房中隔欠損、LA:左心房、RA:右心房、LV:左心室、RV:右心室)

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 左右心室のコンプライアンスにより左右短絡量が規定されるが、乳児期は右室のコンプライアンスが低いため、短絡量は少ないことが多い。乳児期に心不全症状を来すのは1~2%である[8]
  1. 欠損孔を通した短絡血流では心雑音を呈さず、多くは思春期まで無症状である。左右短絡量が中等度以上になると、相対的肺動脈狭窄による駆出性収縮期雑音と、Ⅱ音の固定性分裂、相対的三尖弁狭窄による拡張期ランブルを聴取する[9][10][11]。検診時に偶然、心雑音で診断されるか、学校検診の心電図を契機に診断されることが多い。
  1. 胎児期には卵円孔が開存し、右心房と左心房の交通があるのが正常であるため、胎児期に心房中隔欠損を診断することは非常に困難である。
  1. 成長に伴う右室コンプライアンスの増大により短絡量は増加し、成人期になって心不全症状や不整脈で気づかれる例もある。
  1. 短絡量が多ければ閉鎖の適応となり、外科手術、カテーテル治療(<図表>)の方法がある。
問診・診察のポイント  
  1. 乳幼児で心雑音を聴取した場合、先天性心疾患を念頭に置く必要がある。

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文献 

著者: B Soto, A E Becker, A J Moulaert, J T Lie, R H Anderson
雑誌名: Br Heart J. 1980 Mar;43(3):332-43.
Abstract/Text A classification with clinical significance is proposed for ventricular septal defect based on the study of 220 hearts with defects of the ventricular septum. All had atrioventricular and ventriculoarterial concordance with normal relations of cardiac structure. For the purpose of classification, the ventricular septum was considered as possessing muscular and membranous portions, the muscular septum itself being divided into inlet, trabecular, and outlet (or infundibular) components. Defects were observed in the area of the membranous septum, termed perimembranous defects; within the muscular septum, termed muscular defects; or in the area of septum subjacent to the arterial valves, termed subarterial infundibular defects. Perimembranous defects were found extending either into the inlet, trabecular, or infundibular septa. Muscular defects were found in or between the inlet septum, trabecular septum, or infundibular septum. Review of the angiograms showed that the classification was easy to use in the catheterisation laboratory, and our observations suggest that the precision thus obtained has considerable surgical significance.

PMID 7437181  Br Heart J. 1980 Mar;43(3):332-43.
著者: P WOOD
雑誌名: Br Med J. 1958 Sep 27;2(5099):755-62.
Abstract/Text
PMID 13572894  Br Med J. 1958 Sep 27;2(5099):755-62.

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