今日の臨床サポート

深頸部膿瘍・咽後膿瘍

著者: 波多野篤 はたのクリニック

監修: 森山寛 東京慈恵会医科大学附属病院

著者校正/監修レビュー済:2020/01/17
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 深頸部膿瘍とは、深頸部感染症の一形態であり、頸部に存在する疎な結合織からなる間隙に感染が波及し膿瘍を形成したものである。そのうち咽頭後間隙に膿瘍を形成したものが咽後膿瘍である。
  1. 原疾患となり得る外傷、異物や口腔咽喉頭、歯牙の炎症性疾患の治療中や初診時に咽頭痛、発熱といった一般的な炎症症状に加えて、呼吸困難、嚥下困難、開口障害が出現し、さらに頸部の発赤、腫脹、疼痛、ときに握雪音が出現する場合には単なる上気道炎ではなく頸部下方の各間隙に感染波及した重症感染症を疑う。
  1. 本疾患を疑った際には、まず気道狭窄の有無をチェックし、必要に応じて気道確保処置を行う。その後に、気道管理と輸液を含めた全身管理と共に、抗菌薬投与および膿瘍切開による感染病変の制御を行う。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
波多野篤 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:森山寛 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント
  1. 定期レビューを行い、鑑別診断疾患の症例紹介に加筆修正を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 深頸部膿瘍とは、深頸部感染症の一形態であり、頸部に存在する疎な結合織からなる間隙に感染が波及し膿瘍を形成したものである。そのうち咽頭後間隙に膿瘍を形成したものが咽後膿瘍である。
 
頸部筋膜解剖、頸部軸位断面

頸部の深層筋膜には①深頸筋膜浅葉:頸椎棘突起と項靱帯から頸部の外側を取り巻き正中に達する、②深頸筋膜中葉:甲状腺、気管、喉頭、咽頭、食道周囲を囲む。咽頭後方部では頬咽頭筋膜と呼ばれ側方に伸び、鈎状突起、翼突下顎縫線に付着する、③深頸筋膜深葉:頸椎棘突起と項靱帯から項筋の外側を覆った後、僧帽筋の内側を通り頸椎の横突起に付着し椎前筋を覆う――がある。そして頸動脈、頸静脈、迷走神経等を取り巻く頸動脈鞘が存在する。
 
参考文献:
(参考文献11. 佐藤達夫: 頭頸部局所解剖の形態学的背景. 耳鼻咽喉科診療プラクティス 8 耳鼻咽喉科頭頸部外科のための解剖 2-17. 池田勝久, 加我君孝, 岸本誠司, 久保武編, 文光堂,2002.)
(参考文献22. Vieira F,Alelen SM,Stocks RMS et al:Deep neck infection. Otolaryngol Clin N Am 41:459-483,2008.PMID:18435993 )

出典

 
頸部間隙

副咽頭間隙(緑線)は舌骨を頂点として頭蓋底までの逆三角錐状の形態を示す舌骨上の間隙である。後方では頸動脈間隙および咽頭後間隙と隣接し、さらに後方には椎前間隙があり縦隔の後部に至り、下方では内臓間隙と接しているため、感染病変が舌骨を越えて下方に進展していく際には重要な経路となる。
頸部の間隙は、頸部の全長に及ぶものと舌骨の上部あるいは下部にとどまる間隙に分けられる。前者には表層間隙、頸動脈間隙、咽頭後間隙、危険間隙、椎前間隙、後頸間隙があり、後者のなかで舌骨の上部には舌下間隙、顎下間隙、副咽頭間隙、咀嚼筋間隙、耳下腺間隙があり、舌骨の下部には内臓間隙、前頸間隙が含まれる。
右には魚骨異物により頸部皮下気腫を来した症例の頸部CTを示している。元来結合織や脂肪などがあるべき部位に空気が進入し、あたかも頸動脈(赤丸)、頸静脈(青丸)などの各器官が浮かんでいるように示されている。咽頭後間隙、危険間隙、内臓間隙、頸動脈間隙などは胸部の縦隔へと連続しており、頸部膿瘍が進展すると、これらの経路により縦隔炎を起こす可能性が理解される。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 頸部には筋膜で囲まれた間隙が多数存在し、当初は間隙内に存在するリンパ節の感染症であるリンパ節炎(図<図表>)として発症するが、進行すると疎性結合織の感染症である蜂巣炎(図<図表>)となり、さら進展すると膿瘍(図<図表>)を形成する。これらを総称して深頸部感染症と称する。
  1. 気道狭窄、DIC、敗血症などの合併症を合併し、さらに縦隔膿瘍へと進展した場合は、治療に難渋し、ときに死亡例もみられるために早急な対応が必要な疾患である。
  1. 原発疾患として外傷、異物のほかにう歯を含む口腔咽頭や唾液腺の感染性疾患が挙げられる。
  1. 起炎菌としてはStreptococcus属やStaphylococcus属などの好気性菌とPeptococcus属などの嫌気性菌が認められる。
問診・診察のポイント  
診断のポイント
  1. 頸部の発赤、腫脹、疼痛など頸部軟部組織に炎症性所見を認める場合は、膿瘍を含めた深頸部感染症の可能性を念頭に置いたうえで診療を行うことが重要である。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

ページ上部に戻る

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから