今日の臨床サポート

頚部痛、上肢痛、肩こり(診察手順含む)

著者: 海渡貴司1) 大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学

著者: 米延策雄2) 大阪行岡医療大学 医療学部理学療法学科

監修: 落合直之 キッコーマン総合病院外科系センター

著者校正/監修レビュー済:2021/03/17
参考ガイドライン:
  1. 日本整形外科学会日本脊椎脊髄病学会:頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2020
  1. 日本整形外科学会日本脊椎脊髄病学会:脊柱靱帯骨化症診療ガイドライン2019
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 痛みの部位・出現様式(特定の動作や日内変動)の問診が重要である。
  1. 関節障害(頚椎症・肩関節周囲炎)と神経障害に分けて評価・診断を進める。
  1. 進行性脊髄障害・頚椎骨折・感染・悪性腫瘍では早期治療介入を要する。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
海渡貴司 : 研究費・助成金など(旭化成ファーマ,デンタルアシスト,日本臓器製薬,ピップ,ツーセル)[2021年]
米延策雄 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:落合直之 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った。

病態・疫学・診察

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 頚部痛、上肢痛、肩こりといった頚部から肩甲骨・肩・上腕を含めた疼痛は日常診療において頻度の高い患者愁訴である。
  1. 鑑別診断は障害部位および病態により多岐にわたるが、疼痛の局在、臨床経過、外傷の有無や既往歴などの詳細な問診、誘発試験、画像検査、血液検査などにより多くの場合は診断可能である。
  1. 脊椎腫瘍(転移性・原発性)や感染性脊椎炎など早期に治療を要する疾患も念頭に置く。
  1. 頚椎症性神経根症と肩関節周囲炎など複数疾患の合併症例も存在する。
 
頚部痛、上肢痛、肩こりの診断アルゴリズム

まず頚部の運動による痛み増強の有無で頚椎疾患とそれ以外を鑑別する。続いて、疾患特異的テスト(Spurling test、impingement signなど)で個別疾患の鑑別を行う。安静時痛はred flagとし、腫瘍感染を念頭に置き検査を進める。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 転移性頚椎腫瘍のX線、CT、MRI:<図表>
  1. 頚椎化膿性脊椎炎のMRI:<図表>
 
  1. 頚部痛の疫学および予後
  1. 多くの人が障害で頚部痛を経験するが、だいたいは通常の日常活動に深刻な影響を及ぼさない。1年間での有病率は12~71%である[1]
 
  1. 頚部神経根症と肩こり
  1. 頚部神経根障害は、項部、肩甲上部、肩甲骨上角、肩甲間、肩甲骨部の疼痛の原因となる[2]
 
  1. 肩関節周囲炎の疫学および臨床的特徴
  1. 肩関節周囲炎は50歳代頃に好発し、痛みと機能障害を訴えて来院する。痛みは肩関節だけでなく、頚部あるいは上肢に放散痛があるものもあり夜間痛が強いのが特徴である[3]
問診・診察のポイント  
  1. 疼痛部位の確認:首や肩と患者が表現する範囲は広く、実際に痛む場所を患者に指し示してもらい正確な部位を把握する。
 
  1. ドロップアームテスト[4]
  1. 適応:すべての肩関節痛(特に、挙上困難を訴える患者や、挙上動作を繰り返す仕事をしている患者、転倒して手をついた患者で肩に痛みを訴える患者)
  1. 診察方法:患者に腕を持ち上げた状態から、肩関節を十分に外転をさせ、体側にゆっくり下げるように指示する。腱板が断裂している場合には、腕は落下し、ゆっくり下ろすことはできない。
  1. 診察陽性時の次のアクション:追加でエコー、MRIをオーダーし、腱板の断裂の有無を確認する。
 
 
  1. 発症誘因:外傷や不良姿位での睡眠の有無、職種・過労・精神的緊張・不良姿勢の継続がなかったかなど詳細に問診を行う。
  1. 疼痛の性状:自然改善傾向にあるのか(非特異的頚部痛)、増悪改善を繰り返す慢性経過であるのか(頚椎症、頚椎症性神経根症)、進行性の頚部痛や安静時痛(腫瘍性・感染性疾患)で疾患を想起する。
  1. 上肢症状の合併:上肢にしびれを伴う場合は脊髄、神経根障害の存在を疑う。疼痛が肩周辺から肘でとどまる場合は肩関節周囲炎を、しびれや感覚障害が手関節から遠位にとどまる場合は末梢神経障害(手根管症候群、肘部管症候群)を鑑別する。
  1. 下肢症状・膀胱直腸障害の合併:脊髄病変の存在を疑うが、腰椎病変や泌尿器科疾患(前立腺肥大など)を合併していることも少なくない。
  1. 頚椎可動性:前後屈、回旋運動を行わせ可動範囲や疼痛の有無を調べる。運動時痛や可動域制限が強い場合、感染性疾患や腫瘍性疾患を、外傷を伴えば脊椎骨折を疑う。
  1. 神経学的評価:腕橈骨筋反射、上腕二頭筋反射、上腕三頭筋反射、膝蓋腱反射、アキレス腱反射の亢進あるいは減弱を評価する。亢進の場合はそれより頭側での脊髄障害を考える。神経根障害では上肢深部腱反射に左右差を認めることがある。神経根障害では障害神経根支配領域の感覚障害および支配筋の筋力低下から障害神経根高位が推定可能である。
  1. 疼痛誘発試験:頚椎症性神経根症では頚椎を症状側に後側屈させ軸圧を加えるSpurling testで疼痛が誘発される。
 
  1. Spurling test
  1. 頚椎を患側に側屈かつ後屈させ軸圧を加える。上肢に放散痛があれば陽性[5]
 
 
鑑別疾患表
  1. 頚椎症

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