今日の臨床サポート

ウィルソン病

著者: 吉岡健太郎 名城病院肝臓病センター

監修: 金子周一 金沢大学大学院

著者校正/監修レビュー済:2020/07/30
参考ガイドライン:
  1. 日本小児栄養消化器肝臓学会:Wilson病診療ガイドライン2015
  1. 米国肝臓病学会:Diagnosis and Treatment of Wilson Disease:An Update
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 原因不明の肝障害、神経精神症状のある患者では、血清セルロプラスミン、尿中銅排泄量、Kayser-Fleischer角膜輪の検査をすることが勧められる(推奨度1)
  1. 治療薬にはキレート薬(メタルカプターゼ、メタライト)と亜鉛製剤(ノベルジン)があり、病型により治療薬が異なる(推奨度2)
  1. 急性肝不全や治療抵抗性で肝硬変からの肝不全になると肝移植の適応となる(推奨度2)
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
吉岡健太郎 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:金子周一 : 研究費・助成金など(バイエル薬品株式会社,株式会社キュービクス,アボットジャパン合同会社,日東電工株式会社,株式会社スギ薬局,株式会社サイトパスファインダー),奨学(奨励)寄付など(小野薬品工業株式会社,エーザイ株式会社,株式会社ツムラ,アッヴィ合同会社,大日本住友製薬株式会社,ゼリア新薬工業株式会社,塩野義製薬株式会社,大塚製薬株式会社,アステラス製薬株式会社,田辺三菱製薬株式会社,マイランEPD合同会社,EAファーマ株式会社,大鵬薬品工業株式会社,中外製薬株式会社,協和キリン株式会社,持田製薬株式会社,日本ケミファ株式会社,LifeScan Japan株式会社)[2021年]

改訂のポイント:
  1. 日本小児栄養消化器肝臓学会あるいは学会員が主となり、または他の学会や組織と共同で作成した診療ガイドライン(Wilson病診療ガイドライン2015)に基づき、診断、治療について改訂を行った。

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 全身の組織、特に肝・脳・腎・角膜などに銅が過剰に蓄積する常染色体劣性遺伝疾患であり、多彩な臨床病型を示す。
  1. ウィルソン病患者は3万~4万人に1人の割合で存在し、異常遺伝子保有者(ヘテロ接合体)は100~120人に1人の割合で存在する。
  1. ウィルソン病遺伝子(ATP7B遺伝子)は第13染色体長腕に存在し、500種以上の多彩な遺伝子変異により発症するが、臨床病型との関連は示唆されていない。
  1. ATP7B蛋白は肝細胞から胆汁中への銅の排泄および不安定なアポセルロプラスミンに銅を結合させホロセルロプラスミンにする過程を司っている。
  1. 変異によりATP7Bの機能低下が起こり、銅は肝細胞から毛細胆管へ排出されなくなる。またセルロプラスミンの合成低下により、銅が消費されないため、肝細胞に銅が蓄積する。
  1. ウィルソン病は、指定難病であり、①肝障害を認める場合、②神経障害等を認める場合、③腎機能障害を認める場合のいずれかを満たす場合などでは、申請し認定されると保険料の自己負担分の一部が公費負担として助成される。([平成27年7月施行])
  1.  難病法に基づく医療費助成制度 
問診・診察のポイント  
  1. ウィルソン病は肝臓、神経、精神、眼を主として多彩な症状を発現する。

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文献 

著者: S Bellary, T Hassanein, D H Van Thiel
雑誌名: J Hepatol. 1995 Oct;23(4):373-81.
Abstract/Text BACKGROUND/AIMS: As has been the case with other metabolic diseases of the liver in the last decade, orthotopic liver transplantation has been applied to the treatment of Wilson's disease with increasing frequency. The experience at the University of Pittsburg with orthotopic liver transplantation for Wilson's disease is reported.
METHODS: Between February 1981 and December 1991, 51 orthotopic liver transplants were performed on 39 patients (16 pediatric, 23 adults) with Wilson's disease. Twenty-two patients were transplanted because of a presentation co-existent with fulminant hepatic failure. Seventeen presented with chronic advanced liver disease with (n=9) or without (n=8) associated neurologic dysfunction.
RESULTS: The rate of primary graft survival (n-39) was 73% and patient survival was 79.4%. No patient mortality occurred beyond 3 weeks post-orthotopic liver transplantation. Survival was butter for those with a chronic advanced liver disease presentation (90%) than it was for those with a fulminant hepatic failure (73%) presentation, but the difference was not statistically significant.
CONCLUSIONS: 1) Currently, orthotopic liver transplantation is the treatment of choice for Wilson's disease presenting as fulminant hepatic hepatic failure; 2) orthotopic liver transplantation should be considered for patients with Wilson's disease with advanced, chronic liver disease for whom no other therapy is possible; 3)orthotopic liver transplantation only partially corrects the underlying metabolic defect of patients with Wilson's disease and converts the copper kinetics from that characteristic of an individual affected with a homozygous disease to that of an individual who is an obligate heterozygote, thereby effecting a phenotypic cure.

PMID 8655953  J Hepatol. 1995 Oct;23(4):373-81.

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