今日の臨床サポート

排尿障害と尿路カテーテル管理(在宅医療)

著者: 島崎亮司 地域医療振興協会 シティ・タワー診療所

監修: 和田忠志 いらはら診療所 在宅医療部

著者校正/監修レビュー済:2021/11/17
参考ガイドライン:
  1. 日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会:夜間頻尿診療ガイドライン 第2版(2020年)
  1. 日本泌尿器科学会:男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン 2017年度版
  1. 日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会:女性下部尿路症状診療ガイドライン 第2版(2019年)
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 前立腺肥大症による排出障害にはα1遮断薬、PDE5阻害薬などの薬物療法が推奨される(推奨度2)。
  1. 過活動膀胱による畜尿障害に対して、抗コリン薬、β3アドレナリン受容体作動薬の薬物療法が推奨される(推奨度2)。
  1. 夜間頻尿患者に対して排尿日誌による状態把握は推奨される(推奨度1)。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
島崎亮司 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:和田忠志 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 参考ガイドライン欄の3つのガイドラインが更新されたことをふまえ、診療アルゴリズムの改訂を行った。
  1. 在宅医療で遭遇することが多い機能性尿失禁に対して追記を行った。

まとめ

まとめ  
  1. 排尿症状は、蓄尿障害(頻尿、尿失禁ほか)と排出障害(排尿困難、残尿感、尿閉ほか)に大きく分けられる。
  1. 排尿に関してのトラブルは、男性の場合は尿の切れが悪くなる下部尿路閉塞(前立腺肥大症・膀胱出口部閉塞)や、下着に漏らしたり、トイレに間に合わない切迫性尿失禁(過活動膀胱)が多い。また、女性の場合はくしゃみや歩行などの運動により、尿意に関係なく漏れる腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁が多い。
  1. 在宅医療を行う患者では、日常生活動作(ADL)が低下している患者が圧倒的に多い。このため排尿しやすい姿勢をとれないこと、さらには排尿筋収縮反射の開始に必要な腹圧も十分とれないため、尿排出障害の因子が隠れていることを常に念頭に置く必要がある。
  1. 高齢者では尿意切迫感、切迫性尿失禁を訴える過活動膀胱が多数存在するが、同時に、排尿筋の加齢による収縮力低下も合併していることがあり、残尿のチェックが重要である。
  1. 過活動膀胱に加齢による排尿筋収縮力低下が合併すれば、収縮力低下随伴性排尿筋過反射(detrusor hyperactivity with impaired contractility 、DHIC)と呼称される頻尿、尿意切迫感、切迫性尿失禁があるも残尿が認められる病態を呈する。在宅療養の患者では見逃されやすい疾患と考える。
  1. 在宅医療における排尿管理は、本人のQOLだけでなく、介護者の負担を軽減することも重要な点である。そのため、夜間のおむつ着用あるいは尿道留置カテーテルもやむを得ない場合がある。
  1. 在宅医療を受ける排尿障害の患者は、超高齢あるいは重篤な合併症を有している場合が多く、薬物療法と非薬物療法が主体となる。
  1. 持続する肉眼的血尿、持続する発熱、および便秘とは関係ない頻発する側腹部痛あるいは腰痛を認める患者の場合は、泌尿器科専門医の受診が必要である。
 
 
  1. 尿道留置カテーテルの管理
  1. 尿道留置カテーテルの管理(Ⅰ)
  1. 適応:尿道留置カテーテルは安易に設置するものでないことを強調しておきたい。適応としては①残尿があり、腎盂腎炎などの疾患があり尿路の確保が必要な場合、②全身状態が悪く、排尿が困難な場合、③高度尿失禁を有する女性、④本人および介護者による間欠導尿が不可能な場合などが挙げられる。ただ在宅医療では頻回の受診が困難であるので著者の経験より⑤尿閉例あるいは自尿があっても残尿が300mL以上認める場合も加えてよいと考える。
  1. カテーテル挿入手技:参考として著者の実施している方法を述べる。①体位は可能なら立て膝とする。②外尿道口を中心に0.05%クロルヘキシジングルコン酸塩スワブスティックあるいは0.025%ベンザルコニウム塩化物液でできるだけ広範囲に消毒する。女性では事前の陰部洗浄も有効である。③カテーテルに2%リドカインゼリーをたっぷりつけて、尿道を頭側にやや牽引してゆっくり挿入する。このとき外尿道括約筋部を締めていることが多いので深呼吸させたり、会話で注意をそらせることでスムースに挿入可能となる。④カテーテルは奥まで挿入して尿道部でのバルーン拡大を防ぐ。⑤留置中にバルーンに注入した蒸留水が自然減少するので、規定より1~2mL多めに注入することも有用である。
  1. 尿道留置カテーテルの管理(Ⅱ)
  1. カテーテルの種類および交換時期:①通常の側孔式のカテーテルで十分であるが尿道の虚血を防ぐために14~16Frサイズの太くないものを使用し、原則として男性では腹壁、女性では大腿に固定する。②男性で前立腺肥大症などがあり、先端が屈曲したチーマンタイプを用いると便利である。③カテーテル交換は原則として通常のもので2週間、オールシリコンカテーテルで4週間である。④血塊や混濁物でカテーテル閉塞がきわめて頻回に起こる場合は、3孔式の腎盂バルーンカテーテルを使用すると膀胱洗浄を含めて便利な場合がある。ただ正式には腎瘻、膀胱瘻しか適応がないのでレセプトに膀胱タンポナーデなどの病名ないし症状記載が必要である。しかし在宅時医学総合管理料を算定した訪問診療においては薬剤のみ算定できる在宅として、オールシリコンバルーンカテーテルまでしか算定できないことに注意する。なお交換は4週間に1回でよい。
  1. カテーテル抜去について:留置カテーテルは原則として抜去すべきである。その時期については明確な回答はないが著者の経験では尿閉が1日未満なら1週間以内、数日が経過していれば1カ月を目安とする。それまでに参考になる項目はトイレ介助が楽になることを含めたADLの改善および尿意の回復などが挙げられる。また自己負担ではあるが蓋にマグネットがついて高齢者でも開閉が容易なDIBキャップを日中に使用して尿を排出させると便利である。また前処置としてα1遮断剤の服用は望ましいと考える。
  1. 尿道カテーテルの管理(Ⅲ)
  1. 留置カテーテルの合併症:留置カテーテルは日常生活を制限するだけでなく、以下の如き合併症がみられる。①カテーテル周囲からの尿漏れを含む膀胱刺激症状、②肉眼的血尿、③尿路感染症および膀胱結石、④尿道虚血による尿道皮膚瘻、⑤膀胱の萎縮(低コンプライアンス化)、などである。とくに②に関してはワルファリンを代表とする抗凝固療法をおこなっている患者では著明な血尿をきたすことがあるので注意を要する。
  1. 合併症対策:①に対してはいたずらにカテーテルを太くするのではなく抗生剤の他に過活動膀胱治療剤も有用なことがある。②に対しては通常のカテーテルで挿入困難なら、チーマンバルーンカテに変更し、チップ先注射器にリドカインゼリーを20~30mLいれて尿道に注入し、数分待つことも有用である。③の尿路感染症に対しては水分摂取励行が勧められる。膀胱結石および④、⑤については早目に専門医に紹介し、場合によっては膀胱瘻造設術などの尿路変更術も必要である。
 
バルーンカテーテルの種類

出典

問診・診察のポイント  
  1. 現在内服している薬剤を確認する。

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文献 

著者: C Dumoulin, J Hay-Smith
雑誌名: Eur J Phys Rehabil Med. 2008 Mar;44(1):47-63.
Abstract/Text BACKGROUND: Pelvic floor muscle training is the most commonly used physical therapy treatment for stress urinary incontinence. It is sometimes recommended for mixed and less commonly for urge urinary incontinence.
OBJECTIVES: The aim of this paper was to determine the effects of pelvic floor muscle training for women with urinary incontinence in comparison to no treatment, placebo or sham treatments, or other inactive control treatments.
METHOD: The Cochrane Incontinence Group Specialized Trials Register was searched up until December 1, 2004. The review included randomized or quasi-randomized trials in women with stress, urge or mixed urinary incontinence. One arm of the trial comprised pelvic floor muscle training, the other comprised either no treatment, placebo, sham, or other inactive control treatment. The trials were independently assessed for eligibility and methodological quality. Data were extracted then cross-checked by the two authors. Disagreements were resolved by discussion. The data were processed as described in the Cochrane Handbook. The trials were sub-grouped by diagnosis. Formal meta-analysis was not undertaken because of study heterogeneity.
RESULTS: Thirteen trials involving 714 women met the inclusion criteria; however, only six trials (403 women) contributed to data analysis.
CONCLUSION: Overall, the review provides support for the widespread recommendation that pelvic floor muscle training be included in first-line conservative management programs for women with stress, urge or mixed urinary incontinence.

PMID 18385628  Eur J Phys Rehabil Med. 2008 Mar;44(1):47-63.

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