今日の臨床サポート

口腔白板症

著者: 金子忠良 日本大学歯学部口腔外科学第Ⅱ講座

監修: 近津大地 東京医科大学

著者校正/監修レビュー済:2021/06/02
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 白板症では、先ずは詳細な門診をとる(推奨度1
  1. 白板症の発症誘因となるような物理的慢性刺激などを確認し、その因子を除去する(推奨度1
  1. 白板症の検査としては、最初に擦過細胞診を施行する。原則的には次に生検を施行して病理組織学的診断に基づいて治療方針を決定する(推奨度1
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
金子忠良 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:近津大地 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント
  1. 定期レビューを行い、右舌白板症に関して症例を更新し、病理写真を追加した。
  1. 白板症がWHOの口腔潜在的悪性疾患に包括されたため、鑑別疾患表にその疾患群を追加した。

病態・疫学・診察

疾患(疫学・病態)  
  1. 白板症は口腔粘膜でみられる白色病変の総称である。
  1. 白板症の発生は口腔粘膜のいずれにもみられるが、舌、頬粘膜、歯肉に好発する[1]
  1. 発生頻度は男性が女性の2倍で、年齢は50~70歳代に好発する[1]
  1. 白板症の有病率は1~4%とされている[2]
  1. 白板症の原因または誘因は、喫煙や口腔内における物理的な慢性刺激である場合が多い[3]
  1. 白板症は、「臨床的あるいは病理学的に他のいかなる疾患の特徴も有さない口腔粘膜の白色の板状もしくは斑状の病変であり、しかも病理組織学的に上皮異形成の有無に関係なく用いる臨床的な病名である」と定義される。臨床的には、均一型は平坦、波状、ヒダ状、敷石状などさまざまなタイプがある。不均一型は結節状、疣贅状または斑状などのタイプに分類される[2][4][5]
  1. 「臨床的にも組織学的にも他の疾患に分類されない紅斑または紅板」と定義される紅板症は舌、歯肉、軟口蓋、口底、頬粘膜などが好発部位であり、白板症と共存してみられることも多い。
  1. 2017年のWHO頭頸部腫瘍分類で、口腔潜在的悪性疾患として「臨床的に定義可能な前駆病変か正常な口腔粘膜かにかかわらず、口腔癌へ進展する危険性を有する臨床症状」との新たな臨床的疾患概念が提唱され、白板症を含めた12疾患が包含された。従来の前癌病変と前癌状態が包括されている[2]
  1. 口腔潜在的悪性疾患の発症原因はさまざまであるが、特に喫煙や飲酒などとの関連が挙げられている[2]
 
  1. 右側上顎歯肉~口蓋部白板症
  1. 主訴:右側上顎臼歯部歯肉の白斑
  1. 病歴:右側上顎臼歯部の抜歯後、抜歯窩周囲に白斑が出現
  1. 診察:右側上顎第二大臼歯抜歯窩周囲における白板症
  1. 診断のためのテストとその結果:白板症部から生検を施行した結果、病理組織検査結果は上皮過形成症であった。
  1. 治療:炭酸ガスレーザーによる蒸散治療を施行した。
  1. 転帰:改善した。
 
右側上顎歯肉~口蓋部白板症の所見

ミラー使用。

出典

img1:  著者提供
 
 
 
  1. 右舌白板症
  1. 主訴:右舌縁の違和感
  1. 病歴:初診の1年前から舌白斑に気づくも、自覚症状がないため放置していた。2カ月ほど前に、う蝕治療のため近歯科を受診した際に、同白斑を指摘され、精査のため紹介により来院した。
  1. 診察:右舌縁に白斑があり、病変は30×20㎜、境界明瞭で隆起性であった。
  1. 診断のためのテストとその結果:擦過細胞診検査でClassⅡ、生検の病理組織学的診断は過角化症であった。
  1. 治療:全身麻酔下に外科的切除を施行し、創部にポリグリコール酸シートをフィブリン糊で被覆した。
  1. 病理所見:錯角化層が著しく肥厚した重層扁平上皮で、上皮下組織の血管は充血と拡張を呈していた。
  1. 病理組織診断:過角化症
  1. 転帰:術後の経過は良好である。
 
右舌白板症

左:口腔内写真
右:病理写真

出典

img1:  著者提供
 
 
問診・診察のポイント  
問診:
  1. 誘因である喫煙歴や飲酒歴について聴取する。う歯、歯の鋭縁または歯列不整などの患部に対する口腔内の物理的な慢性刺激の有無を評価する。

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文献 

著者: Isaäc van der Waal
雑誌名: Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2015 Nov 1;20(6):e685-92. doi: 10.4317/medoral.21007. Epub 2015 Nov 1.
Abstract/Text In the past decades several definitions of oral leukoplakia have been proposed, the last one, being authorized by the World Health Organization (WHO), dating from 2005. In the present treatise an adjustment of that definition and the 1978 WHO definition is suggested, being : "A predominantly white patch or plaque that cannot be characterized clinically or pathologically as any other disorder; oral leukoplakia carries an increased risk of cancer development either in or close to the area of the leukoplakia or elsewhere in the oral cavity or the head-and-neck region". Furthermore, the use of strict diagnostic criteria is recommended for predominantly white lesions for which a causative factor has been identified, e.g. smokers' lesion, frictional lesion and dental restoration associated lesion. A final diagnosis of such leukoplakic lesions can only be made in retrospect after successful elimination of the causative factor within a somewhat arbitrarily chosen period of 4-8 weeks. It seems questionable to exclude "frictional keratosis" and "alveolar ridge keratosis" from the category of leukoplakia as has been suggested in the literature. Finally, brief attention has been paid to some histopathological issues that may cause confusion in establishing a final diagnosis of leukoplakia.

PMID 26449439  Med Oral Patol Oral Cir Bucal. 2015 Nov 1;20(6):e685-92・・・
著者: Andrea Rubert, Leticia Bagán, Jose V Bagán
雑誌名: J Clin Exp Dent. 2020 Jun;12(6):e540-e546. doi: 10.4317/jced.57091. Epub 2020 Jun 1.
Abstract/Text Background: A retrospective clinical-histopathological study was made of the evolution of oral leukoplakia over time, staging the disease according to the classification of van der Waal.
Material and Methods: A study was made of 412 patients with oral leukoplakia, analyzing the corresponding clinical factors and histopathological findings; assessing associations between the different clinical presentations and epithelial dysplasia; and evaluating the factors influencing malignant transformation of the lesions.
Results: Clinically, homogeneous presentations were seen to predominate (n = 336, 81.6%), while histologically most of the lesions exhibited no dysplastic changes (n = 271; 65.7%). Stage 1 of the van der Waal classification was the most common presentation (n = 214; 51.9%). The lesion malignization rate was 8.3%, and the factors associated to a significantly increased malignization risk were non-homogeneous OL lesions (p=0.00), lesion location in the tongue (p=0.00), and the presence of epithelial dysplasia (p=0.00).
Conclusions: In our series of patients with oral leukoplakia, malignization was associated to the less common clinical presentations of the disease, i.e., non-homogeneous lesions, and the latter tended to exhibit high grade epithelial dysplasia. Key words:Oral leukoplakia, potentially malignant disorders, malignant transformation.

Copyright: © 2020 Medicina Oral S.L.
PMID 32665812  J Clin Exp Dent. 2020 Jun;12(6):e540-e546. doi: 10.4317・・・

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