今日の臨床サポート

周期性嘔吐症(アセトン血性嘔吐症)

著者: 三平元 ひがしまつど小児科

監修: 五十嵐隆 国立成育医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2017/08/31
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. アセトン血性嘔吐症は、「周期性嘔吐症」「自家中毒」とも呼ばれる。1歳ないし2歳以降が好発年齢で、成長に伴い筋肉量が増加すると発症しにくくなる。10歳以降はほとんど起きない
 
診断:
  1. アセトン血性嘔吐症の診断基準を参考にする。
 
治療:
  1. 静脈路を確保しブドウ糖を投与する。等張電解質などの輸液により経過観察を行う。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
三平元 : 未申告[2021年]
監修:五十嵐隆 : 特に申告事項無し[2021年]

病態・疫学・診察

疾患(疫学・病態)のまとめ  
ポイント:
  1. アセトン血性嘔吐症は、「周期性嘔吐症」「自家中毒」とも呼ばれ[1]
  1. アセトン血性嘔吐症に、低血糖を合併したものを「ケトン性低血糖症」(参照: ケトン性低血糖症(小児科) )と考えることもできる[2]
  1. 嘔吐、嗜眠傾向が主訴であり、尿ケトン体が陽性となる。
  1. 飢餓状態や感染による発熱が本症発症の誘因となり[3]
  1. 1歳ないし2歳以降が好発年齢で、成長に伴い筋肉量が増加すると発症しにくくなる。10歳以降はほとんど起きない[3] [4]
  1. アセトン血性嘔吐症の発症を予防するために、外出など疲労やストレスが予想される状況では、糖分・水分をこまめに与え、過剰の脂肪分の摂取を避けるように指導する[4]。また、長時間の飢餓を避けるため、夕食の摂取量が少ない場合は、就寝前にパンやおにぎりなどの炭水化物を含む食事をするようにする[8]
  1. 1歳以下で、嘔吐、筋緊張低下、さまざまな程度の意識障害(参照: 痙攣・意識障害(小児科) を認め、尿ケトン体が陽性で、かつアシドーシスが強い(pH7.20以下)場合は、サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)欠損症を疑うべきである[3]
  1. 「周期性嘔吐症候群」は国際頭痛分類第3版beta版に片頭痛に関連する周期性症候群として分類されている[5]。「周期性嘔吐症」と呼称が似ており注意が必要である。
  1. 嘔吐を示す疾患との鑑別が重要である(参照: 嘔吐・下痢(小児科) )。
 
病態:
  1. アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトンを総称してケトン体という。
  1. カテコールアミンやコルチゾルなどにより脂肪組織から血中へ動員された遊離脂肪酸は、肝臓の脂肪酸β酸化系を経てアセト酢酸や3-ヒドロキシ酪酸となる。肝臓で産生され血中へ動員されたアセト酢酸や3-ヒドロキシ酪酸は肝外細胞に再び取り込まれ、サクシニル-CoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)によりアセトアセチルCoAとなりTCAサイクルを介してエネルギーに変換される。
  1. 細胞は、摂取したグルコース、体内に備蓄されたグリコーゲンの分解により生成されるグルコース、骨格筋から放出されるアラニンを基質として新生されたグルコース、ケトン体をエネルギーとして用いている。
  1. グリコーゲン備蓄の少ない、筋肉量の少ない幼児においては、飢餓状態や感染などは、ケトン体産生を促す誘因となる。
  1. アセトンはアセト酢酸から脱炭酸して生じ呼気に排出される。ケトン体が著明に増える状態ではアセトン臭をすことがある。
  1. アセト酢酸と3-ヒドロキシ酪酸が血液中に増加(ケトーシス)すると、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、嗜眠傾向などきる。
問診・診察のポイント  
  1. 幼児で、飢餓状態や感染症罹患時において、吐き気、嘔吐、腹痛、頭痛、嗜眠傾向を認める場合は、本症を疑う。ただし、早急な治療が必要な重篤な疾患を鑑別することが重要である。

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