今日の臨床サポート

腸結核

著者: 横田恭子 香川県立中央病院 感染症科

監修: 大曲貴夫 国立国際医療研究センター

著者校正/監修レビュー済:2018/05/10
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. 腸結核とは、結核が腸に感染し腹部症状を来す疾患である。症状は、慢性に継続するはっきりとしない腹痛が最も多く、80~90%で認められる。そのほか、発熱、全身倦怠感、体重減少、寝汗などの症状がみられることもある
  1. 腸結核は、まれな肺外結核の1つであるが、結核に対するリスク(結核の既往、結核患者への曝露、免疫抑制状態、悪性疾患など)のある患者が長期間持続する腹部症状を訴えた場合には、積極的に疑い、精査を施行する必要がある。
  1. 結核は感染症法により二類感染症に分類され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要がある。また、学校保健安全法では第二種感染症に指定されており、「病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで出席停止」と定められている。
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  1. 大腸内視鏡検査にて多発潰瘍、潰瘍化した集塊、無茎性ポリープ、小憩室を認め、大腸内視鏡下の生検にて乾酪性肉芽腫を認めることや結核菌培養が陽性になることで診断される。生検標本のPCRによる結核菌DNAの検出は、迅速で最も感度が高い。39人の検討で64%で陽性との報告がある(Am J Gastroenterol. 2002. 97(6):1446-51)。なお、腸結核は回盲部が好発部位であり、75%の患者で回盲部に病変が出現する。10~25%の患者で右下腹部に腫瘤性病変を認めるため、特に注意深く診察を行う。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
横田恭子 : 特に申告事項無し[2021年]
監修:大曲貴夫 : 特に申告事項無し[2021年]

病態・疫学・診察

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 腸結核は、比較的まれな肺外結核の1つである。近年、HIV感染症や多剤耐性結核との関連で再度、問題となりつつある。感染経路は血行性播腫、近隣臓器からの波及、結核菌自体の嚥下に伴うものと考えられている。
  1. 比較的まれな疾患であるが、結核に対するリスク(結核の既往、結核患者への曝露、免疫抑制状態、悪性疾患など)のある患者が長期間持続する腹部症状を訴えた場合には、積極的に疑い、精査を施行する必要がある。
  1. 鑑別として、クローン病などの自己免疫疾患や他の感染性疾患(アメーバ症)および悪性疾患が挙げられる。これらを除外して診断を確定させるためにも、下部内視鏡が施行可能な患者では内視鏡検査を行う。 エビデンス 
  1. 診断が確定した場合には、抗結核薬にて治療を開始する。
  1. また診断が確定しない場合にも、臨床上、強く結核性腸炎が疑われる場合には、診断的治療を開始する。2週間以内に速やかに反応がみられない場合には、さらなる精査を試験開腹も含めて検討する。
問診・診察のポイント  
  1. 診察の際には、通常の診察に加え、結核を示唆する所見がないか注意する。慢性の消耗性疾患であるので、貧血、るいそうの有無を確認する。

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