今日の臨床サポート

抗凝固薬・抗血小板薬(薬理)

著者: 中原 保裕 (有)ファーマシューティカルケア研究所

著者校正/監修レビュー済:2021/09/29
参考ガイドライン:
  1. 日本循環器学会:2020年JCSガイドラインフォーカスアップデート版冠動脈疾患患者における抗血栓療法

概要・推奨   

  1. 動静脈血栓症には、脳卒中、肺塞栓、心筋梗塞、上腸管膜動脈血栓症などの疾患が含まれ、罹患率も死亡率も高い。
  1. 多くの動脈血栓は、動脈硬化性のプラークは破裂した際に、その部位に多量の血小板の凝集と比較的少量のフィブリン形成が促進され血小板が有意の血栓(白色血栓)を生じ、血流を閉塞する。したがって、動脈血栓の予防には、動脈硬化の予防と、血小板凝集の阻害が有効である。
  1. 一方、静脈血栓は、動脈血栓とは異なり、傷ついた血管損傷部位に形成されることはまれで、多くの場合は、深部静脈や心房細動時の心房内など血流が滞った部位に発生することが多い。これらの血栓は、赤色血栓と呼ばれ、動脈血栓と比較して、血小板は少なく主にフィブリンとそれによって補足された赤血球で構成されている。したがって、静脈血栓の予防には、静脈うっ滞の解消とフィブリン形成の予防が有効である。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要と
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。
閲覧にはご契
閲覧にはご契約が
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中原 保裕 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 2020年JCSガイドラインフォーカスアップデート版冠動脈疾患患者における抗血栓療法の内容を加えた。

各論

薬剤情報のまとめ  
抗血小板薬:
  1. 抗血小板作用を認める薬剤には、以下の薬剤が存在する。
  1. 非経口薬のトロンボキサンA2合成阻害薬であるオザグレル(キサンボン、カタクロット)
  1. 経口の血小板のトロンボキサンA2の合成阻害作用を機序とするアスピリン
  1. セロトニンの受容体結合を防ぐことにより抗血小板作用を持つサルポグレラート(アンプラーグ)
  1. ホスホジエステラーゼ活性阻害により血小板内cAMPの上昇を起こし抗血小板作用を持つシロスタゾール(プレタール)やジピリダモール(ペルサンチン)、チカグレロル(ブリリンタ)
  1. 血小板上の受容体であるP2Y12を阻害することにより選択的に抗血小板作用を持つチエノピリジン系薬であるチクロピジン(パナルジン)、クロピドグレル(プラビックス)、プラスグレル(エフィエント)
  1. 保険適用に関しては、各薬剤で異なる。下記にまとめを記す。
  1. 虚血性心疾患:
  1. アスピリン、クロピドグレル(プラビックス)、ジピリダモール(ペルサンチン)、プラスグレル(エフィエント)
  1. 虚血性脳血管障害:
  1. アスピリン、クロピドグレル(プラビックス)、チクロピジン(パナルジン)、シロスタゾール(プレタール) 
  1. 川崎病:
  1. アスピリン
  1. 末梢閉塞性動脈疾患;
  1. クロピドグレル(プラビックス)、チクロピジン(パナルジン)、シロスタゾール(プレタール)、ベラプロスト(プロサイリン・ドルナ)、サルポグレラート(アンプラーグ)、リマプロスト (プロレナール、オパルモン)、イコサペント酸エチル(エパデール)
 
血栓形成プロセスと薬の作用点

血小板系:血管損傷等が生じると血小板の粘着性は高くなりさらにプロスタグランジンやcAMPの影響を受けてトロンボキサンA2等を放出させて血小板が凝集する。そして血小板がフィブリンや赤血球を取り込んで血栓を形成する。
凝固系:さまざまな凝固因子にプロトロンビンが作用してトロンビンを生成し、それがフィブリノーゲンをフィブリンに変換させる。しかしフィブリンはプラスミノーゲンから作られたプラスミンにより分解される。

出典

 
  1. 非経口トロンボキサンA2合成阻害薬: >詳細情報 
  1. 経口トロンボキサンA2合成阻害薬(アスピリン): >詳細情報 
  1. セロトニン受容体拮抗薬: >詳細情報 
  1. ホスホジエステラーゼ阻害薬: >詳細情報 
  1. P2Y12受容体阻害薬: >詳細情報 
 
抗凝固薬:
  1. 抗凝固薬は、経口と非経口の薬剤に大きく分かれる。現在、非経口抗凝固薬には、ヘパリン、低分子ヘパリン、非経口ファクターXa阻害薬であるフォンダパリヌクス(アリクストラ)、非経口トロンビン阻害薬であるアルガトロバン(ノバスタン、スロンノン)、アンチトロンビンガンマ(アコアラン)が存在する。
  1. 経口抗凝固薬としては、経口ビタミンK拮抗薬であるワルファリンと経口トロンビン阻害薬であるダビガトラン(プラザキサ)、経口ファクターXa阻害薬であるリバーロキサバン(イグザレルト)、エドキサバン(リクシアナ)、アピキサバン(エリキュース)が存在する。経口トロンビン阻害薬と経口ファクターXa阻害薬は併せて新規経口抗凝固薬と呼ばれることも多い。
  1. 保険適用に関しては、ワルファリンは静脈血栓、心筋梗塞、肺塞栓症、脳塞栓症、脳血栓症に適用を持ち、ダビガトラン(プラザキサ)、リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)は心房細動に適用を持ち、エドキサバン(リクシアナ)は、下肢整形手術後の静脈血栓塞栓症に適用を持つ。
  1. ワルファリン >詳細情報 
  1. 非経口直接トロンビン阻害薬 >詳細情報 
  1. ヘパリン製剤 >詳細情報 
  1. 低分子ヘパリン製剤 >詳細情報 
  1. フォンダパリヌクス >詳細情報 
  1. ヘパリン類似薬 >詳細情報 
  1. 新規経口抗凝固薬 >詳細情報 
 
手技前の抗血栓薬の中止期間:
  1. ポイント:
  1. 通常心房細動の抗凝固治療は一度開始した場合に中止となることは少ない。しかし、手技や手術などの際に抗凝固薬を中止する必要がある場合がある。
  1. なお、通常以下に記す様な血栓塞栓症の高発症群では、抗血栓薬の中止する際には、手技のリスクに合わせた対応を行うことが推奨されている。したがって、心房細動で通常抗凝固薬を開始している患者は、休薬による血栓塞栓症の高発症群に該当をするため、手術のリスクに応じて抗凝固薬の調整が必要となる。
 
 
 
 
脳梗塞への経口抗血小板薬と抗凝固薬の使用:
  1. 脳梗塞の関しては、非心原性脳梗塞例(アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ脳梗塞)の際には、抗血小板薬の投与を行って再発の防止を試みる。一方、心原性脳梗塞例にはワルファリン等の抗凝固薬による加療を行う。
  1. 抗血小板を使用する際には、通常、アスピリンかチエノピリジン系薬であるチクロピジン(パナルジン) 、クロピドグレル(プラビックス)のいずれかを単剤で用いるか併用をする。
  1. Antithrombotic Trialists’ Collaborationの報告では、アスピリンは脳卒中や一過性脳虚血発作例における血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、あるいは致死性血管障害)の発生を低減するとしており、1日75~150mgに最も大きな効果(32%リスク低減)を認めている。ほかの抗血小板薬も、それぞれアスピリンと同等もしくはそれ以上の脳梗塞再発予防効果を有する。
  1. 過去の報告と費用対効果の観点から、非心原性脳梗塞例における再発予防のための第1選択薬としては、アスピリン81mg~100mgが推奨される。
  1. 脳梗塞患者においての使用では、CAPRIE試験のサブ解析で再発のハイリスク患者への虚血性イベントへの有効性が示されており、虚血性血管障害ハイリスク例ではクロピドグレル(プラビックス)やチクロピジン(パナルジン)がより有効である。
  1. シロスタゾール(プレタール)に関しては、脳出血ハイリスク群では、出血のリスクの少ない薬であるシロスタゾールがより有効である可能性がある。ただし、血管拡張作用を認めるため、冠動脈疾患を認める患者では冠動脈疾患を誘発する可能性があるため、使用することは望ましくない。
  1. 脳梗塞や一過性脳虚血発作の患者においてアスピリンとジピリダモール(ペルサンチン)を併用した場合、いくつかの研究でアスピリン単独と比較して20%程度脳梗塞のリスクを減らすとの結果が出ている。ただし、ジピリダモール(ペルサンチン)の単独投与による脳梗塞予防効果は証明されておらず、単独投与は推奨されない。なお、複数の抗血栓薬投与は、単剤投与に比較して出血性合併症のリスクが高くなるため、併用する場合には、厳格な血圧コントロールが必須である。
 
虚血性心疾患への経口抗血小板薬の使用:
  1. 虚血性心疾患への適応がある抗血小板薬は、バイアスピリン、P2Y12受容体阻害薬のプラビックス等である。
  1. カテーテルインターベンション後は、バイアスピリンとP2Y12受容体阻害薬のプラビックス等の併用が推奨されている。投与期間については、少なくとも、ベアメタルステント留置後は1カ月、薬剤溶出性ステント留置例では12カ月は投与を続けることが望ましいとされているが、現在は日本版HBRに基づき、その有無や抗凝固薬の服用の有無や血栓リスクが高いか低いかによって4つの方法が示されている。
 
 
心房細動の患者への抗凝固薬の投与:
  1. 脳 梗塞を予防する目的で、脳梗塞の発症リスクを評価し抗凝固薬導入を考慮する。CHADS2スコア2点以上(高リスク)では、ダビガトラン(プラザキサ)、 リバーロキサバン(イグザレルト)、アピキサバン(エリキュース)、ワルファリン、による抗凝固療法が推奨される(推奨度1)。1点(中等度リスク)の場合は新規経口抗凝固薬のみが推奨となっており、特に大規模臨床試験でのエビデンスがあるダビガトラン・アピキサバンの推奨度が高くなっている(推奨度 1)。
  1. ワルファリンはPT-INRを指標として用量調整を行う。70歳以上ではPT-INR 1.6-2.6、70歳未満ではPT-INR 2.0-3.0が目標治療域である(推奨度 1)。
  1. 新規経口抗凝固薬はもともと「モニタリングが必要ない」といわれていたものの、実際には過量もしくは効果不十分な患者というのは一定の割合で存在する。ダビ ガトランであれば、ピーク時に近い時間帯でaPTT比 1.5~2倍程度の反応を示すのが良好な反応というのが専門家の意見の一致するところである。リバーロキサバンン、アピキサバンについては投与後の反応を みる指標について、まだ一定の見解を得るに至っていない。
 
 
 
 
 
塞栓症リスクスコア(CHA2DS2-VAScスコア)

CHADS2スコア2点に相当するのはCHA2DS2-VASc スコア4点である。低リスク群での評価に優れる。

 
 
 
重大な出血リスクスコア(HAS BLEDスコア)

 
 
 
  1. 心房細動患者の塞栓症予防のために使える抗凝固薬は、長らくワルファリン(ワーファリン)のみであった。しかし、近年、新しい機序を持つ抗凝固薬の第3相試験が次々と実施され、いずれも良好な結果を得ている。その一つである、新規経口抗凝固薬であるプラザキサ(一般名ダビガトラン)とワルファリンを直接比較した第3相試験であるRE-LY試験では、ダビガトラン300mg/日、同220mg/日、ワルファリン療法の塞栓症発生率は、それぞれ1.11%/年、1.54%/年、1.71%/年であり、ダビガトラン300mg/日はワルファリン療法よりも有意に優れていた。また、大出血発生率はそれぞれ3.11%/年、2.71%/年、3.36%/年であり、ダビガトラン220mg/日はワルファリン療法よりも有意に優れていた。
  1. これらの事実を踏まえ、中程度リスクの患者で以前はアスピリンを使用していた患者に、現在は、経口トロンビン阻害薬であるダビガトラン(プラザキサ)、経口ファクターXa阻害薬であるリバーロキサバン(イグザレルト)、エドキサバン(リクシアナ)などを投与することが推奨されるようになっている。
 
 
深部静脈血栓症:
  1. 深部静脈血栓症の初期治療は即効性のある未分画へパリンの静注、皮下注、フォンダパリヌクスの皮下注のいずれかで治療を開始する。その後、血栓の部位により、下肢静脈フィルター、外科的血栓摘除術、カテーテル治療などの追加を考慮する。
  1. 例えば、急性期の腸骨大腿静脈の深部静脈血栓症で出血のリスクの低い症例に対してはカテーテル血栓溶解療法が効果的である。また、下腿限局型深部静脈血栓症では、症状、血管伸展因子の有無により治療を決定する。
  1. ワルファリンを上記薬剤と併用し、治療域(プロトロンビン時間国際標準化比[PT-INR] 1.5-2.5)に達したところで、ワルファリンの単独治療に移行する。ワルファリン継続期間は静脈血栓症を生じたリスクに応じて決定する。
DVTの臨床確率評価法: Wellsスコア

出典

img1:  Evaluation of D-dimer in the diagnosis of suspected deep-vein thrombosis.
 
 N Engl J Med. 2003 Sep 25;349(13):1227-3・・・
 
静脈血栓症の治療アルゴリズム

 
静脈血栓症の初期治療

 
下腿限局型深部静脈血栓症の治療アルゴリズム

Grade 1B: Strong recommendation, moderate quality evidence
Grade 2C: Weak recommendation, low or very low quality evidence

 
 
血栓溶解薬:
  1. 血栓溶解薬は急性心筋梗塞や重症肺塞栓症、急性脳梗塞の対に血栓を溶解する目的で投与される薬剤である。迅速な血栓溶解により、血流を再回復させることにより、脳梗塞患者では不可逆的な損傷の程度を減らし3カ月後の転帰良好群を増加させることができる。心筋梗塞の患者で、緊急でカテーテル治療が行えない場合などには投与し致死率を減少させる効果がある。投与方法は、全身に投与される場合と、局所的に選択に投与する場合がある。
  1. 血栓溶解薬として、ウロキナーゼ(ウロナーゼ)と、組織プラスミノゲンアクチベータである、アルテプラーゼ(グルトパ、アクチバシン)、モンテプラーゼ(クリアクター)が存在する。これらの薬剤は、プラスミノーゲンをプラスミンに変換し、フィブリン血栓をフィブリン分解物へと分解することを促進する。
ヘパリン製剤  
ポイント(薬理・病態):
  1. ヘパリンは、アンチトロンビンの作用を活性化させてトロンビンやファクターXaの働きを抑えることでフィブリン形成を抑制して抗凝固作用を迅速に発揮する。

これより先の閲覧には個人契約のトライアルまたはお申込みが必要です。

最新のエビデンスに基づいた二次文献データベース「今日の臨床サポート」。
常時アップデートされており、最新のエビデンスを各分野のエキスパートが豊富な図表や処方・検査例を交えて分かりやすく解説。日常臨床で遭遇するほぼ全ての症状・疾患から薬剤・検査情報まで瞬時に検索可能です。

まずは15日間無料トライアル
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

ページ上部に戻る

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから