今日の臨床サポート

抗菌薬(薬理)

著者: 中原 保裕 (有)ファーマシューティカルケア研究所

著者校正/監修レビュー済:2020/08/27

概要・推奨   

  1. 抗菌薬は、細胞壁や蛋白質やDNA-RNAの合成を阻害するか細胞膜障害作用することにより細菌感染症を治療する作用(抗菌活性)を持つ。
  1. 本文『薬剤情報のまとめ』に記す薬効分類はPK-PD理論に基づいた抗菌薬至適投与設計の理解に役立つ。
  1. 抗菌薬の添付文書には適応菌種の記載があるが、臨床上の抗菌スペクトラムと必ずしも一致していないことに留意が必要である。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約 が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となり
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
中原 保裕 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、マクロライドとキノロンの項について加筆修正した。

各論

薬剤情報のまとめ  
まとめ:
  1. 抗菌薬は、細胞壁や蛋白質やDNA-RNAの合成を阻害するか細胞膜障害作用することにより細菌感染症を治療する作用(抗菌活性)を持つ。それぞれ、細胞壁の合成を阻害する薬剤として、βラクタム系阻害薬、グリコペプチド系抗菌薬などが、また、タンパク質合成を阻害する抗菌薬として、アミノグリコシド系抗菌薬、マクロライド系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬などが、DNA-RNAの合成を阻害する抗菌薬として、キノロン系抗菌薬、ST合剤が、細胞壁障害作用を持つ抗菌薬として、ポリペプチド系抗菌薬が知られている。(下記薬効分類)
  1. なお、βラクタム系抗菌薬は、さらに細かく、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、ペネム系、モノバクタム系に細分類され、それらの薬剤はβラクタム環を基本構造として共有している。
 
抗菌薬の作用機序

抗菌薬の作用機序は、a:細胞壁を作らせない b:細胞膜を合成させない・破壊する c:細胞内のタンパク質を作らせない、d:核酸の合成を阻害するなどに分かれる。

出典

 
薬効分類:
  1. 細胞壁の合成を阻害して作用する抗菌薬:
  1. βラクタム系抗菌薬
  1. ペニシリン系
  1. セフェム系
  1. カルバペネム系
  1. ペネム系
  1. モノバクタム系
  1. グリコペプチド系
  1. ホスホマイシン系
  1. タンパク質の合成を阻害して作用する抗菌薬:
  1. アミノグリコシド系
  1. マクロライド系
  1. リンコマイシン系
  1. テトラサイクリン系
  1. オキサゾリジノン系
  1. ストレプトグラミン系
  1. クロラムフェニコール系
  1. DNA-RNAの合成を阻害して作用する抗菌薬:
  1. キノロン系
  1. ST合剤
  1. リファンピシン
  1. 細胞膜障害作用を有する抗菌薬:
  1. ポリペプチド系
 
抗菌薬投与設計と分類:
  1. ポイント:
  1. 上記の薬効分類は、PK-PD理論に基づいた抗菌薬至適投与設計の理解に役立つ。また、副作用・相互作用が、各分類で似ている。妊婦には、催奇形性の副作用少ないペニシリン系、 セフェム系抗菌薬の抗菌薬が比較的安全に投与できる。
 
抗菌薬の殺菌性・静菌性分類、時間依存性・用量依存性の分類

  1. time above MIC依存的に抗菌活性を認める抗菌薬:
  1. βラクタム系抗菌薬、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、ST合剤、リネゾリドは、時間依存的でpost-antibiotic effectのない薬剤である。これらの薬剤は、time above MICを最大化することで抗菌活性を最大化できる。したがって、ある一定の血中濃度を保つように分割回数を多くして投与することで抗菌作用が最大化できる。
  1. Cmax/MIC依存的に抗菌活性を認める抗菌薬:
  1. アミノグリコシド系、フルオロキノロン系、ダプトマイシン、メトロニダゾールは、濃度依存的で効果を認める薬剤である。これらの薬剤は、Cmax/MICを最大化することで抗菌活性を最大化できる。したがって、最高血中濃度をできるだけ高くできるように投与回数を少なくして投与する事が多い。
  1. AUC/MIC依存的に抗菌活性を認める抗菌薬:
  1. マクロライド系、ケトライド系、クリンダマイシン、テトラサイクリン系、バンコマイシン、テイコプラミンは、時間依存的かつpost-antibiotic effectを認める薬剤である。これらの薬剤は、AUC/MICを最大化することで抗菌活性を最大化できる。したがって、最高血中濃度をできるだけ高くできるように投与回数を少なくして投与することが多い。
※post-antibiotic effect:ある抗菌薬がMIC以上の濃度で接触した後、抗菌薬を除去MIC以下の濃度になってもある一定時間しても持続してみられる増殖抑制効果

出典

img1:  Dosing regimen matters: the importance of early intervention and rapid attainment of the pharmacokinetic/pharmacodynamic target.
 
 Antimicrob Agents Chemother. 2012 Jun;56・・・
 
時間依存的抗菌活性を持つ薬剤と用量依存的な抗菌活性を持つ薬剤の薬剤濃度と殺菌効果の比較

様々な抗菌薬の濃度とその殺菌効果をみたグラフである。右軸が時間で、左軸が殺菌効果を意味し、それぞれの薬剤のMICの1/4 から64倍まで濃度の殺菌効果を比較している。左2つは濃度依存的(アミノグリコシド系・ニューキノロン系)で、濃度が上昇する(下方向)ごとに殺菌効果が増えるのに対し、一番右のグラフは時間依存的な薬剤(βラクタム系)であり、濃度が上昇しても必ずしも殺菌効果が増えない。(元図を一部改変)

出典

img1:  Killing and regrowth of bacteria in vitro: a review.
 
 Scand J Infect Dis Suppl. 1990;74:63-70.・・・
 
グラム陰性桿菌に感染した免疫抑制されたマウスの死亡率と24時間のフルオロキノロンのAUC/MICの関係

グラム陰性桿菌に感染した免疫抑制されたマウスの死亡率と24時間でのAUC/MICの関係。AUC/MICが上昇するごとに死亡率が下がることがわかる。(元図を一部改変)

出典

img1:  Pharmacodynamics of intravenous ciprofloxacin in seriously ill patients.
 
 Antimicrob Agents Chemother. 1993 May;37・・・
 
  1. time above MIC依存的に抗菌活性を認める抗菌薬:
  1. βラクタム系抗菌薬、エリスロマイシン、クロラムフェニコール、ST合剤、リネゾリドは、時間依存的でpost-antibiotic effectのない薬剤である。これらの薬剤は、time above MICを最大化することで抗菌活性を最大化できる。したがって、ある一定の血中濃度を保つように分割回数を多くして投与することで抗菌作用が最大化できる。
  1. Cmax/MIC依存的に抗菌活性を認める抗菌薬:
  1. アミノグリコシド系、フルオロキノロン系、ダプトマイシン、メトロニダゾールは、濃度依存的で効果を認める薬剤である。これらの薬剤は、Cmax/MICを最大化することで抗菌活性を最大化できる。したがって、最高血中濃度をできるだけ高くできるように投与回数を少なくして投与することが多い。
  1. AUC/MIC依存的に抗菌活性を認める抗菌薬:
  1. マクロライド系、ケトライド系、クリンダマイシン、テトラサイクリン系、バンコマイシン、テイコプラミンは、時間依存的かつpost-antibiotic effectを認める薬剤である。これらの薬剤は、AUC/MICを最大化することで抗菌活性を最大化できる。したがって、最高血中濃度をできるだけ高くできるように投与回数を少なくして投与することが多い。
  1. なお、Cmax/MICとAUC/MICは共に相関する値であり、どちらか一方を高めた場合には他方も上昇することが知られている。
  1. ※post-antibiotic effect:ある抗菌薬がMIC以上の濃度で接触した後、抗菌薬を除去MIC以下の濃度になってもある一定時間しても持続してみられる増殖抑制効果
 
適応菌種:
  1. 抗菌薬の添付文書には適応菌種の記載があるが、臨床上の抗菌スペクトラムと必ずしも一致していないことに留意が必要である。添付文書が薬剤開発のコンセプトに基づいて作成されているため、コンセプト外の抗菌作用を有する菌種に関しては適応菌種に記載がされないことが理由である。
  1. したがって、添付文書に記載されている適応菌種に抗菌作用を有するが、適応菌種に記載がないことが必ずしも抗菌作用を持たないことを意味しない。
 
妊婦での使用:
  1. ペニシリン系、セフェム系抗菌薬の使用経験が多いため、これらの薬剤を第1選択薬とする。
ペニシリン系抗菌薬  
ポイント(薬理・病態):
  1. ペニシリン系抗菌薬は、βラクタム系抗菌薬の一種で、細菌の細胞壁の合成を阻害することにより殺菌的に抗菌活性を持つ。

今なら12か月分の料金で14ヶ月利用できます(個人契約、期間限定キャンペーン)

11月30日(火)までにお申込みいただくと、
通常12ヵ月の使用期間が2ヶ月延長となり、14ヵ月ご利用いただけるようになります。

詳しくはクリック
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

ページ上部に戻る

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから