今日の臨床サポート

抗精神病薬中毒

著者: 久村正樹 埼玉医科大学総合医療センター救急科

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2017/02/28
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. 抗精神病薬中毒とは、抗精神病薬を大量服薬および誤食したことにより生じる症状のことである。抗精神病薬中毒は救急の現場でよくみられる所見である。最も緊急を要するのは循環の問題で、速やかに処置をしなければ致死的となる。
  1. フェノチアジン系、ブチロフェノン系抗精神病薬中毒の中心病態は、膜興奮抑制作用(キニジン様作用)や、心伝導系障害による低血圧、不整脈といった循環の障害、ドパミンD2受容体遮断作用が原因の1つといわれている錐体外路症状や悪性症候群である。また、中枢神経系の障害としては意識障害がある。
  1. 一方、非定型抗精神病薬は、毒性は弱いが、膜興奮抑制作用や、心伝導系障害による低血圧、不整脈といった循環の障害、ドパミンD2受容体遮断作用が原因の1つといわれている錐体外路症状や悪性症候群、中枢神経系の障害としては意識障害がある。さらに機序は不明だが、高血糖を来すことがある。この高血糖は大量服薬時のみならず、治療量でも生ずる。
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  1. 薬剤摂取歴により診断となる。本人との問診ができないときは、トライエージDOAは、トライエージDOAで検出されない薬物の推定に役立つ。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
久村正樹 : 未申告[2021年]
監修:林寛之 : 講演料(メディカ出版),原稿料(羊土社)[2021年]

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. フェノチアジン系、ブチロフェノン系抗精神病薬中毒の中心病態は、膜興奮抑制作用(キニジン様作用)や、心伝導系障害による低血圧、不整脈といった循環の障害[1]、ドパミンD2受容体遮断作用が原因の1つといわれている錐体外路症状や悪性症候群である。また、中枢神経系の障害としては意識障害がある。
  1. 非定型抗精神病薬は、毒性は弱いが、膜興奮抑制作用や、心伝導系障害による低血圧、不整脈といった循環の障害、ドパミンD2受容体遮断作用が原因の1つといわれている錐体外路症状や悪性症候群、中枢神経系の障害としては意識障害がある。さらに機序は不明だが、高血糖を来すことがある。この高血糖は大量服薬時のみならず、治療量でも生ずる[2]
  1. いかなるタイプの抗精神病薬でもけいれん閾値を下げ、けいれんを生じさせやすくする[3]
  1. 大量に服薬することにより、用量依存性に中毒症状は増悪していく。ただし非定型抗精神病薬の高血糖は、治療量でも生じることがある。
問診・診察のポイント  
  1. 慎重な病歴聴取が必要である。中毒診療で大切なことは、情報である。

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文献 

著者: Yasushi Sato, Norio Yasui-Furukori, Sunao Kaneko, Takako Moriyama
雑誌名: Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2008 Feb 15;32(2):577-8. doi: 10.1016/j.pnpbp.2007.08.039. Epub 2007 Sep 4.
Abstract/Text
PMID 17919798  Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2008 Feb 15;・・・
著者: E Kevin Heist, Jeremy N Ruskin
雑誌名: Circulation. 2010 Oct 5;122(14):1426-35. doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.109.894725.
Abstract/Text
PMID 20921449  Circulation. 2010 Oct 5;122(14):1426-35. doi: 10.1161/C・・・
著者: T Steinert, H Baier, W Fröscher, M Jandl
雑誌名: Fortschr Neurol Psychiatr. 2011 Mar;79(3):138-43. doi: 10.1055/s-0029-1245704. Epub 2010 Nov 23.
Abstract/Text Epileptic seizures are observed during treatment with antidepressants and neuroleptics more frequently than is the case for other neuroactive substances. Evidence from experimental and observational studies is mixed, suggesting an increased incidence of seizures for certain drugs, whilst other drugs such as SSRIs appear to have a protective effect. There is robust evidence for an elevated seizure incidence (up to 4.5 % of treated patients) associated with clozapine treatment, but with other neuroleptics the effect is moderate (2-fold). The evaluation of data from FDA approval reports reveals lower standardised incidence rates associated with antidepressants vs. placebo except for clomipramine and bupropione. Psychiatric disorders such as schizophrenia, depression, and obsessive-compulsive disorder are associated with a considerably increased incidence of seizures. Therefore, in clinical practice, taking into account ictogenic properties of substances is required only in patients with a history of seizures.

© Georg Thieme Verlag KG Stuttgart · New York.
PMID 21104599  Fortschr Neurol Psychiatr. 2011 Mar;79(3):138-43. doi: ・・・

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