今日の臨床サポート

抗うつ薬中毒

著者: 久村正樹 埼玉医科大学総合医療センター救急科

監修: 林寛之 福井大学医学部附属病院

著者校正/監修レビュー済:2016/12/28
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. 抗うつ薬中毒とは、抗うつ薬を大量服薬および誤食したことにより生じる中毒症状のことである。
  1. 抗うつ薬中毒は救急の現場でよくみられる所見である。最も緊急を要するのは循環の問題で、速やかに処置をしなければ致死的となる。
 
診断:
  1. 薬剤摂取歴により診断となる。本人との問診ができないときは、トライエージDOAは、三環系抗うつ薬中毒の鑑別に役立つ。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
久村正樹 : 未申告[2021年]
監修:林寛之 : 講演料(メディカ出版),原稿料(羊土社)[2021年]

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態)  
  1. 三環系抗うつ薬中毒の中心病態は、膜興奮抑制作用(キニジン様作用)や、心伝導系障害による低血圧、不整脈といった循環器系の障害および意識障害である。
  1. 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)は循環系には障害が少ないが、セロトニンの脳内濃度が上がりすぎた結果のセロトニン症候群を引き起こす。
  1. 三環系抗うつ薬中毒とセロトニン症候群は、同じ抗うつ薬中毒でも異なるものとして対応する。三環系抗うつ薬中毒は毒性も高く、集中治療をきちんと行わなければ、主に致死性の不整脈により死に至る危険性がある。
いっぽうでセロトニン症候群は内服薬と診療での臨床診断であり、毒性も低く、致死的となることはまれである。
  1. いかなるタイプの抗うつ薬も、けいれん閾値を下げる。このけいれんは、しばしば難治性で死亡原因となることがある。
  1. 大量に服薬することにより、用量依存性に中毒症状は増悪していく。
問診、診察のポイント  
  1. 慎重な病歴聴取が必要である。中毒診療で大切なことは、情報である。

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文献 

著者: M T Boehnert, F H Lovejoy
雑誌名: N Engl J Med. 1985 Aug 22;313(8):474-9. doi: 10.1056/NEJM198508223130804.
Abstract/Text There is a need for a rapid predictor of potential clinical severity to guide therapy in patients with an acute overdose of tricyclic antidepressant drugs. We performed a prospective study of 49 such patients to observe the associations among serum drug levels, maximal limb-lead QRS duration, and the incidence of seizures and ventricular arrhythmias. Patients were divided into two groups on the basis of maximal limb-lead QRS duration. Group A (13 patients) had a duration of less than 0.10 second, and Group B (36 patients) had a QRS duration of 0.10 second or longer. No seizures or ventricular arrhythmias occurred in Group A. In Group B there was a 34 per cent incidence of seizures and a 14 per cent incidence of ventricular arrhythmias. All patients survived. Serum drug levels failed to predict the risk of seizures or ventricular arrhythmias accurately. Seizures occurred at any QRS duration of 0.10 second or longer (P less than 0.05), but ventricular arrhythmias were seen only with a QRS duration of 0.16 second or longer (P less than 0.0005). We conclude that determination of the maximal limb-lead QRS duration predicts the risk of seizures and ventricular arrhythmias in acute overdose with tricyclic antidepressants. Serum drug levels are not of predictive value.

PMID 4022081  N Engl J Med. 1985 Aug 22;313(8):474-9. doi: 10.1056/NE・・・

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