今日の臨床サポート

頚部血管雑音

著者: 木村和美 日本医科大学 脳神経内科

監修: 今井靖 自治医科大学 薬理学講座臨床薬理学部門・内科学講座循環器内科学部門

著者校正済:2021/09/08
現在監修レビュー中

概要・推奨   

  1. 頚動脈狭窄症は、無症候性患者の脳卒中のリスクである。
  1. 臨床的に、ベッドサイドで頭蓋外の頚動脈病変を予測するには、頚動脈血管雑音の聴取が最も重要である(推奨度1)。
  1. 実際の聴診は、坐位あるいは臥位の患者に数心拍の間、呼吸を停止させ行う。
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契 約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲
  1. 閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧にはご契約が必要となります。閲覧
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
木村和美 : 講演料(第一三共(株),ブリストル・マイヤーズスクイブ,バイエル薬品(株),日本ベーリンガーインゲルハイム(株)),研究費・助成金など(第一三共(株),(株)ヘリオス,帝人ファーマ(株),日本メドトロニック(株),アムジェン(株),ブリストル・マイヤーズスクイブ,日本ベーリンガーインゲルハイム(株)),奨学(奨励)寄付など(第一三共(株),ファイザー(株),エーザイ(株),日本ベーリンガーインゲルハイム(株))[2021年]
監修:今井靖 : 講演料(第一三共株式会社)[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

病態・疫学・診察

疫学情報・病態・注意事項  
  1. わが国でも、近年、食生活の欧米化、長寿化により頭蓋外の頚動脈病変の増加が報告されている。
  1. 頚動脈狭窄症は、無症候性患者の脳卒中のリスクである。
  1. 臨床的に、ベッドサイドで頭蓋外の頚動脈病変を予測するには、頚動脈血管雑音の聴取が最も重要である。実に簡単な手技であり医師の基本である。
  1. 頚動脈血管雑音が聴取された場合は、その患者に頚動脈狭窄性病変が存在し、動脈硬化が進行していることが疑われる。動脈硬化のリスクである高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、睡眠呼吸障害など疾患がないかを検索し、存在する場合はその治療を行う。さらに、脳卒中、一過性脳卒中虚血発作、一過性黒内障、網膜中心動脈閉塞症、心筋虚血、下肢動脈閉塞症などの全身の動脈硬化疾患の存在を念頭に診療を進める。
  1. また、若年者に両側の頚動脈血管雑音を聴取した場合は、大動脈炎症候群が疑われ、上肢の左右の血圧差をチェックする。
  1. 鎖骨下動脈盗血症候群でも、左右の血圧差を伴い(多くは左側の血圧が低い)、血圧の低い側に頚動脈血管雑音が聴取される。ゆえに、頚動脈血管雑音の聴取の意義は、臨床上、非常に大切であり、特に、高齢者ではルーチンに行うべき診療行為である。
 
  1. 頚部血管雑音と心血管死亡、心筋梗塞
  1. 近年、頚部血管雑音が、心血管死亡と心筋梗塞を予測できるという論文がLancetに掲載された[1]。メタ解析により、17,295例が登録され62,413.5人/年による検討である。頚動脈血管雑音ありvs.なしの100人/年の発症イベントは、心筋梗塞は3.69 vs.1.86、心血管死は2.85 vs.1.11と、頚動脈雑音ありのほうが発症率が高いことが示された。オッズ比は、頚動脈雑音ありが、心筋梗塞で2.15、心血管死で2.27であった。以上より、このように、頚動脈雑音がある患者はない患者に比べて、心筋梗塞・心血管死のリスクが約2倍であることが示唆された。この研究結果から著者は、ハイリスクの心疾患患者に対する頚動脈雑音の聴診は、心血管リスクの積極的な管理が必要な患者を選別するのに有用であると結論している。
 
  1. 頚部血管雑音と脳血管障害
  1. 最近、脳血管障害に関する報告がある[2]。Stroke誌に、メタ解析による頚部血管雑音と脳卒中のリスクに関する論文が掲載された。それによると、28の前向きコホート研究で、17,913例が登録され67,708人/年による検討である。頚部血管雑音のある、なしで比べてあり、頚部血管雑音があると、一過性脳虚血発作は4倍に、脳卒中は2.5倍に、脳卒中死は2.7倍に上昇する。頚部血管雑音のあるvs.なしでの100人/年の発症イベントは、一過性脳虚血発作は2.6vs.0.9(P<0.0005)、脳卒中は 1.6vs.1.3(P<0.0005)、死亡は0.32vs.0.35(P=0.17)であった。以上より、頚部血管雑音は、脳血管障害のリスクであると結論づけられている。
  1. これらの研究より、頚動脈雑音の存在は、心・脳血管疾患の発症予測因子として大切であり、日常の診療でルーチンに行うべきであると、再度、強調したい。動脈硬化のリスクである高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、睡眠呼吸障害など疾患がないかを検索し、存在する場合はその治療を行い、心・脳血管疾患の発症を予防すべきである。
問診・診察のポイント  
  1. 実際の聴診は、坐位あるいは臥位の患者に数心拍の間、呼吸を停止させ聴診を行う。圧迫により人工的に雑音を発生させてしまう恐れがあるので、強く圧迫してはいけない。患者に、頚部を伸展させ約30°対側へ向いてもらうと聴診しやすい。
  1. 頚動脈聴診により、雑音(murmurとbruit)を区別できる。雑音(murmur)は、心臓または大血管において生じ、通常は上前胸部でより大きく、頚部に行くに従って減少する。雑音(bruit)はより高調音で、動脈上においてのみ聴取され、より表面的に感じられる。Bruitは、通常は心拍に一致した動脈雑音として聴取される。動脈雑音(bruit)と静脈コマ音(hum)を区別しなければならない。静脈コマ音は、動脈雑音と違って通常は連続的で、患者が坐位または立位の状態で最もよく聴こえ、同側の内頚静脈の圧迫により消失する。

今なら12か月分の料金で14ヶ月利用できます(個人契約、期間限定キャンペーン)

11月30日(火)までにお申込みいただくと、
通常12ヵ月の使用期間が2ヶ月延長となり、14ヵ月ご利用いただけるようになります。

詳しくはクリック
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

文献 

著者: Christopher A Pickett, Jeffrey L Jackson, Brian A Hemann, J Edwin Atwood
雑誌名: Lancet. 2008 May 10;371(9624):1587-94. doi: 10.1016/S0140-6736(08)60691-1.
Abstract/Text BACKGROUND: Although carotid bruits are deemed to be markers of generalised atherosclerosis, they are poor predictors of cerebrovascular events. We investigated whether a carotid bruit predicts myocardial infarction and cardiovascular death.
METHODS: In this meta-analysis, we searched Medline (1966 to August, 2007) and Embase (1974 to August, 2007) with the terms "carotid" and "bruit". Bibliographies of all the retrieved articles were also searched. Articles were included if they reported the incidence of myocardial infarction or cardiovascular death in adults. Outcome variables were extracted in duplicate and included the rate of myocardial infarction and cardiovascular mortality. Quality of the articles was independently assessed with the Hayden rating scheme. Data were pooled with a random effects model.
FINDINGS: Of the 22 articles included, 20 (91%) used prospective cohorts. Our analysis included 17,295 patients with 62 413.5 patient-years of follow-up, with a median sample size of 273 patients (range 38-4736) followed up for 4 years (2-7). The rate of myocardial infarction in patients with carotid bruits was 3.69 (95% CI 2.97-5.40) per 100 patient-years (eight studies) compared with 1.86 (0.24-3.48) per 100 patient-years in those without bruits (two studies). Yearly rates of cardiovascular death were also higher in patients with bruits (16 studies) than in those without (four studies) (2.85 [2.16-3.54] per 100 patient-years vs 1.11 [0.45-1.76] per 100 patient-years). In the four trials in which direct comparisons of patients with and without bruits were possible, the odds ratio for myocardial infarction was 2.15 (1.67-2.78) and for cardiovascular death 2.27 (1.49-3.49).
INTERPRETATION: Auscultation for carotid bruits in patients at risk for heart disease could help select those who might benefit the most from an aggressive modification strategy for cardiovascular risk.

PMID 18468542  Lancet. 2008 May 10;371(9624):1587-94. doi: 10.1016/S01・・・
著者: Christopher A Pickett, Jeffrey L Jackson, Brian A Hemann, J Edwin Atwood
雑誌名: Stroke. 2010 Oct;41(10):2295-302. doi: 10.1161/STROKEAHA.110.585554. Epub 2010 Aug 19.
Abstract/Text BACKGROUND AND PURPOSE: Current guidelines recommend against routine auscultation of carotid arteries, believing that carotid bruits are poor predictors of either underlying carotid stenosis or stroke risk in asymptomatic patients. We investigated whether the presence of a carotid bruit is associated with increased risk for transient ischemic attack, stroke, or death by stroke (stroke death).
METHODS: We searched Medline (1966 to December 2009) and EMBASE (1974 to December 2009) with the terms "carotid" and "bruit." Bibliographies of all retrieved articles were also searched. Articles were included if they prospectively reported the incidence of transient ischemic attack, stroke, or stroke death in asymptomatic adults. Two authors independently reviewed and extracted data.
RESULTS: We included 28 prospective cohort articles that followed a total of 17 913 patients for 67 708 patient-years. Among studies that directly compared patients with and without bruits, the rate ratio for transient ischemic attack was 4.00 (95% CI, 1.8 to 9.0, P<0.0005, n=5 studies), stroke was 2.5 (95% CI, 1.8 to 3.5, P<0.0005, n=6 studies), and stroke death was 2.7 (95% CI, 1.33 to 5.53, P=0.002, n=3 studies). Among the larger pool of studies that provided data on rates, transient ischemic attack rates were 2.6 per 100 patient-years (95% CI, 2.0 to 3.2, P<0.0005, n=24 studies) for those with bruits compared with 0.9 per 100 patient-years (95% CI, 0.2 to 1.6, P=0.02, n=5 studies) for those without carotid bruits. Stroke rates were 1.6 per 100 patient-years (95% CI, 1.3 to 1.9, P<0.0005, n=26 studies) for those with bruits compared with 1.3 per 100 patient-years (95% CI, 0.8 to 1.7, P<0.0005, n=6) without carotid bruits, and death rates were 0.32 (95% CI, 0.20 to 0.44, P<0.005, n=13 studies) for those with bruits compared with 0.35 (95% CI, 0.00 to 0.81, P=0.17, n=3 studies) for those without carotid bruits.
CONCLUSIONS: The presence of a carotid bruit may increase the risk of cerebrovascular disease.

PMID 20724720  Stroke. 2010 Oct;41(10):2295-302. doi: 10.1161/STROKEAH・・・

ページ上部に戻る

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから