今日の臨床サポート

失語症

著者: 河村満1) 奥沢病院

著者: 杉本あずさ2) 昭和大学 内科学講座 脳神経内科学部門

監修: 高橋裕秀 昭和大学藤が丘病院 脳神経内科

著者校正済:2021/09/29
現在監修レビュー中
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 言語障害の患者には、その症状が失語症であるか否かを鑑別することが必要である。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
河村満 : 特に申告事項無し[2021年]
杉本あずさ : 特に申告事項無し[2021年]
監修:高橋裕秀 : 特に申告事項無し[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行った(変更なし)。

病態・疫学・診察

疫学情報・病態・注意事項  
  1. 失語症とは、獲得された言語知識が、言語機能を担う大脳病変によって後天的に障害された状態である。
  1. 音声言語の異常を来さない場合には失語症とは呼ばない(純粋失読、純粋失書)。
  1. 音声言語のみが障害された場合にも、単一モダリティの障害では失語症と呼ばない(純粋語聾、純粋語唖)。
  1. 失語症状の最も古い記載は、3600年以上も前のパピルスに遡れるといわれる。
  1. 学問的レベルで失語症が検討されはじめたのは、脳研究黎明期の19世紀であり、わずか150年程前である。
  1. 構音障害:構音障害では書字障害は認めない。
  1. 認知症:認知症では言語障害以外の症状に特徴がみられる。
 
  1. 典型的症例集:症例1(参考文献:[1]
  1. 病歴:50歳男性、右利き。うまく話せない、箸がうまく使えない、歩行時に躓くことを主訴に来院した。
  1. 診察:意識は清明で見当識障害もみられなかった。右顔面中枢麻痺がみられ、挺舌で舌の右方への偏倚がみられた。軟口蓋と咽頭の運動、感覚、反射は正常。右上下肢に軽度の運動麻痺と右Babinski徴候が認められる。言語理解は正常に保たれていたが、自発語の現象、発話の非流暢、助詞の脱落や誤り、音読の異常、喚語困難、復唱障害がみられた。書字では仮名の錯書がみられた。
  1. 診断のためのテストとその結果:脳MRIで、下前頭回後部(Broca野)から中心前回下部に至る前頭頭頂弁蓋に異常信号域がみられた。異常信号域の内側は左被殻の外側の島に及んでいた。
  1. コメント:Broca失語と診断した。
 
Broca失語症例の脳MRI像

下前頭回後部(Broca野)から中心前回下部に至る前頭頭頂弁蓋に異常信号域がみられる。異常信号域の内側は左被殻の外側の島に及んでいる。

 
  1. 典型的症例集:症例2(参考文献:[1]
  1. 病歴:52歳男性、右利き。言葉がうまく話せず、他人の話すこともわからなくなり来院した。
  1. 診察:発話は流暢だが語性・音韻性錯語、迂言、呼称障害、書字障害、読字障害がみられた。聴覚的理解が重篤に障害された。
  1. 診断のためのテストとその結果:脳MRIで、上側脳回からその後方にかけて異常信号域を認めた。
  1. コメント:Wernicke失語と診断した。
 
Wernicke失語症例の脳MRI像

上側頭回からその後方にかけて異常信号域を認める。

 
  1. 典型的症例集:症例3(参考文献:[1]
  1. 病歴: 53歳男性、右利き。
  1. 臨床所見:言葉がうまく話せず、電話の相手が話を理解できなかった。軟口蓋、舌、顔面、上下肢の運動麻痺はない。発話は流暢だが音韻性の錯語が多く、自己の誤りを繰り返し訂正しようとするが修正が困難だった。語性錯語は目立たない。復唱障害が顕著であった。聴覚的理解の障害はごく軽度で、Yes-No形式の質問にはほぼ完全に答えることができた。音読の障害、書字における錯書がみられた。
  1. 診断のためのテストとその結果:脳MRIで、左側縁上回の皮質・皮質下白質から深部白質にかけて楔形の病巣がみられた。
  1. コメント:伝導失語と診断した。
 
伝導失語症例の脳MRI像

左側縁上回の皮質・皮質下白質から深部白質にかけて楔形の異常信号の病巣がみられる。

問診・診察のポイント  
  1. 言語障害をもった患者をみたら、その症状が失語症であるか否かを鑑別しなければいけない。意識や注意、見当識の問題によるものは失語症に含まない。特に、失語症と鑑別が必要な症候には、構音障害や認知症が挙げられる。

今なら12か月分の料金で14ヶ月利用できます(個人契約、期間限定キャンペーン)

11月30日(火)までにお申込みいただくと、
通常12ヵ月の使用期間が2ヶ月延長となり、14ヵ月ご利用いただけるようになります。

詳しくはクリック
本サイトの知的財産権は全てエルゼビアまたはコンテンツのライセンサーに帰属します。私的利用及び別途規定されている場合を除き、本サイトの利用はいかなる許諾を与えるものでもありません。 本サイト、そのコンテンツ、製品およびサービスのご利用は、お客様ご自身の責任において行ってください。本サイトの利用に基づくいかなる損害についても、エルゼビアは一切の責任及び賠償義務を負いません。 また、本サイトの利用を以て、本サイト利用者は、本サイトの利用に基づき第三者に生じるいかなる損害についても、エルゼビアを免責することに合意したことになります。  本サイトを利用される医学・医療提供者は、独自の臨床的判断を行使するべきです。本サイト利用者の判断においてリスクを正当なものとして受け入れる用意がない限り、コンテンツにおいて提案されている検査または処置がなされるべきではありません。 医学の急速な進歩に鑑み、エルゼビアは、本サイト利用者が診断方法および投与量について、独自に検証を行うことを推奨いたします。

ページ上部に戻る

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから