今日の臨床サポート

尿失禁

著者: 高澤直子 順天堂東京江東高齢者医療センター 泌尿器科

監修: 堀江重郎 順天堂大学大学院医学研究科 泌尿器外科学

著者校正/監修レビュー済:2021/06/09
参考ガイドライン:
患者向け説明資料

概要・推奨   

  1. 尿失禁はQOL疾患の代表的なものであり、直接生命に関わることはないものの、QOLを著しく阻害する。
  1. 尿失禁には種々の病態があるが、病態により治療法が異なるため、適切な治療選択においては正確な病態診断が重要であり、専門診療においては他覚的検査も必要となる。
薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
高澤直子 : 未申告[2021年]
監修:堀江重郎 : 未申告[2021年]

改訂のポイント:
  1. 定期レビューを行い、過活動膀胱に対する治療方法について新たに保険適応となった治療法を追記した。

病態・疫学・診察

疫学情報・病態・注意事項  
まとめ:
  1. 尿失禁とは、自分の意図とは関係なく尿が漏れる状態で、排尿障害の一種である。
  1. 高齢者における尿失禁の頻度はきわめて高く、わが国では、60歳以上に高齢者の50%以上に尿失禁があると報告されている。
  1. その実際の数は、300万人以上ともいわれている。現実的には、羞恥心により尿失禁があっても病院に受診できないことが多い。
  1. また、一般内科医や泌尿器科医の高齢者尿失禁に対する関心は、残念ながら高いとはいえない。
  1. しかしながら、尿失禁はQOL疾患の代表的なものであり、直接生命に関わることはないものの、QOLを著しく阻害する。したがって、尿失禁の一般診療における、重症度の評価、治療選択、治療効果判定においては、自覚症状およびQOLへの影響の評価が一義的に重要である。
  1. 他方、尿失禁には種々の病態があるが、病態により治療法が異なるため、適切な治療選択においては正確な病態診断が重要であり、専門診療においては他覚的検査も必要となる。
 
疫学:
  1. 尿失禁についての本格的な疫学調査はわが国では行われておらず、正確な罹患率は不明であるが、1986年頃から、いくつかの尿失禁罹患率の調査、報告が行われている。
  1. 高齢者の尿失禁については、一般に在宅者の10%、病院・老人施設入所者については50%に尿失禁がみられると報告されており、わが国では1993年時点で約400万人の尿失禁罹患者がいるといわれている。急速に高齢社会化が進むわが国においては、50年後には約1,000万人の高齢者が尿失禁を有すると推計される。
  1. 高齢者では切迫性尿失禁の割合が多く、年齢が高いほど尿失禁頻度は増加する。女性尿失禁については、種々の対象群において罹患率が報告されている。
  1. 尿失禁以外は健康な女性における尿失禁罹患率は、10~46%と報告されており腹圧性尿失禁のほうが切迫性尿失禁より多いが、年齢が高くなるにつれて切迫性尿失禁の頻度が高くなる。わが国では、混合型尿失禁は20%程度にみられる。
問診・診察のポイント  
診断:
  1. 一般診療における診断では、症状の評価および身体的検査が重要であるが、必ずしも自覚症状と病態が一致しないこともあり、専門診療においては種々の他覚的検査が必要となる。

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文献 

著者: P Abrams, K E Andersson, L Birder, L Brubaker, L Cardozo, C Chapple, A Cottenden, W Davila, D de Ridder, R Dmochowski, M Drake, C Dubeau, C Fry, P Hanno, J Hay Smith, S Herschorn, G Hosker, C Kelleher, H Koelbl, S Khoury, R Madoff, I Milsom, K Moore, D Newman, V Nitti, C Norton, I Nygaard, C Payne, A Smith, D Staskin, S Tekgul, J Thuroff, A Tubaro, D Vodusek, A Wein, J J Wyndaele, Members of Committees, Fourth International Consultation on Incontinence
雑誌名: Neurourol Urodyn. 2010;29(1):213-40. doi: 10.1002/nau.20870.
Abstract/Text
PMID 20025020  Neurourol Urodyn. 2010;29(1):213-40. doi: 10.1002/nau.2・・・
著者: Nobuo Okui, Hironari Miyazaki, Wataru Takahashi, Toshihide Miyauchi, Chikako Ito, Machiko Okui, Kaori Shigemori, Yoshiharu Miyazaki, Zdenko Vizintin, Matjaž Lukac
雑誌名: Lasers Med Sci. 2021 Apr 22;. doi: 10.1007/s10103-021-03317-x. Epub 2021 Apr 22.
Abstract/Text Stress urinary incontinence (SUI) occurs when abdominal pressure, such as from coughing or sneezing, causes urine leakage. We retrospectively compared tension-free vaginal tape (TVT) and non-ablative vaginal Erbium:YAG laser treatment (VEL) by propensity score (PS) analysis in women with SUI. No PS analysis studies have investigated urethral sling surgery using polypropylene TVT and VEL for SUI. Data from patients aged 35-50 years who were treated for SUI and registered at several institutions were selected. Patients with medical records covering 1 year for the 1-h pad test, who completed the International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form (ICIQ-SF) and the Overactive Bladder Symptom Score (OABSS), were included. We analyzed 102, 113, and 112 patients in the TVT, VEL, and control groups, respectively. Compared with the control group, the TVT and VEL groups exhibited significant improvement in the 1-h pad test and ICIQ-SF. In the PS analysis, the TVT and VEL groups similarly improved in the 1-h pad test and ICIQ-SF. As for the OABSS, the VEL group showed significantly greater improvement than the TVT group. In the odds ratio analysis for the 1-h pad test, no differences in any of the parameters were observed between TVT and VEL. VEL may be considered an alternative to TVT for SUI treatment.

PMID 33886071  Lasers Med Sci. 2021 Apr 22;. doi: 10.1007/s10103-021-0・・・
著者: Nobuo Okui
雑誌名: World J Urol. 2019 Nov;37(11):2459-2466. doi: 10.1007/s00345-019-02644-7. Epub 2019 Jan 28.
Abstract/Text PURPOSE: To examine the efficacy and safety of non-ablative vaginal erbium:YAG laser (VEL) for the treatment of overactive bladder syndrome (OAB) compared with those of two other common pharmacotherapies, namely, anticholinergics and β3-adrenoceptor agonists.
METHODS: Female subjects aged 60-69 years who presented with symptoms of OAB from 2015 to 2017 were assigned to three groups (n = 50) receiving treatment with an anticholinergic agent (4 mg fesoterodine), a β3-adrenoceptor agonist (25 mg mirabegron), or VEL (20 min/session of VEL performed thrice). The OAB symptom score (OABSS), Vaginal Health Index Scale (VHIS), and occurrence of adverse effects were examined prior to and at 1 year following treatment initiation.
RESULTS: The three groups showed significant improvement (p < 0.001) for all items of the OABSS questionnaire. Improved VHIS scores were observed only in the VEL group. Furthermore, after VEL treatment, a negative correlation was observed between questions 3 (urinary urgency) and 4 (urgency urinary incontinence) of the OABSS and VHIS. Regarding safety, no adverse events were observed in the VEL group. However, subjects in the other two groups complained of constipation, as indicated by the Constipation Assessment Scale scores, and mouth dryness. The therapeutic effects were inadequate for one and two subjects in the VEL and β3-adrenoceptor agonist groups, respectively.
CONCLUSIONS: VEL safely and effectively improved OABSS through a different mechanism than that involved in pharmacotherapy. We propose the use of VEL as a novel surgical treatment option in the field of urology.

PMID 30687908  World J Urol. 2019 Nov;37(11):2459-2466. doi: 10.1007/s・・・

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