今日の臨床サポート

内頚動脈狭窄症の外科的治療

著者: 飯原弘二 九州大学大学院 医学研究院 脳神経外科

監修: 甲村英二 公立学校共済組合 近畿中央病院

著者校正/監修レビュー済:2018/05/23
患者向け説明資料

概要・推奨   

疾患のポイント:
  1. 内頚動脈狭窄症とは、内頚動脈が動脈硬化により狭窄を起こした状態であり、脳梗塞のリスクとなる。
 
外科的治療の適応:
  1. 症候性の頚動脈狭窄症では血管径の70%以上の高度狭窄が血栓内膜剝離術(carotid endarterectomy、CEA)の適応となる。周術期合併症は6%以下が求められる(2年間における同側脳卒中再発率が1/3となる。26%→9%)。症候性の50%~69%の中等度狭窄でもCEAを考慮するが、特に女性においてはその効果は低い。潰瘍形成などを認める不安定プラークではより積極的にCEAを考慮する。
  1. 無症候性の高度頚動脈狭窄はCEAの適応となる。しかし高齢者(75歳以上)では効果は証明されていない。周術期合併症は3%以下が求められる(年間同側脳卒中発生率は2%から1%に低下する)。
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薬剤監修について:
オーダー内の薬剤用量は日本医科大学付属病院 薬剤部 部長 伊勢雄也 以下、林太祐、渡邉裕次、井ノ口岳洋、梅田将光による疑義照会のプロセスを実施、疑義照会の対象については著者の方による再確認を実施しております。
※薬剤中分類、用法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独自に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、用法は添付文書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載日時にレセプトチェックソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適用の査定において保険適用及び保険適用外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、血液製剤、全身麻酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適用の記載の一部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開示:
飯原弘二 : 未申告[2021年]
監修:甲村英二 : 特に申告事項無し[2021年]

病態・疫学・診察

手技のまとめ  
  1. 内頚動脈狭窄症の外科的治療としては血栓内膜剝離術(carotid endarterectomy、CEA)とステント留置術(carotid artery stenting、CAS)がある。
  1. CEAが基本的な手技であり、一般にCEAが困難な症例においてCASが選択されてきた。しかし最近ではCASを外科的治療の第1選択とし、CASが困難な症例にCEAを適用することも多くなっている。
 
CEA:基本はプラークを遠位端まで完全に除去することと、術中の脳虚血性合併症を防止することである。
  1. 日本人の頚動脈分岐部は欧米人より高位であるので、顎二腹筋をつり上げたり、舌下神経下行枝を切断して十分な術野を得ることが重要である。
  1. 術中脳虚血の原因として、剝離操作に伴う塞栓性合併症と、血流遮断に伴うものがある。
  1. 術中モニターとして体性誘発感覚電位(somatosensory evoked potential、SEP)、脳酸素飽和度測定、経頭蓋ドップラー(transcranial Doppler、TCD)等を用いて脳虚血を把握し、適宜内シャントを用いる。
  1. 血流遮断時には全身のヘパリン化を行い、ACTを250秒程度まで延長させる。
  1. 創部出血は重大な合併症となり得るので、プラーク切除後の動脈縫合は確実に行う。
  1. 再狭窄症例や内頚動脈径が細い場合にはパッチを使用する。
 
CEA後のCTA

内頚動脈の狭窄は消失している。

出典

img1:  永田泉先生ご提供
 
 
 
CAS:術中の脳虚血性合併症を防止し、ステントでプラークを完全に被覆する。
  1. 術前より抗血小板薬を投与する。
  1. 術中は十分にヘパリン化し(ACT 250秒以上)、遠位塞栓防止のためprotection deviceを使用する。
  1. ステントで確実にプラークを被覆する。ステント留置前後でバルーンにより前・後拡張を行う。
  1. 術中の徐脈・低血圧や術後穿刺部合併症などにも注意する。
問診・診察のポイント  
  1. 症状の把握、特に一過性脳虚血発作に注意する。

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