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キシロカイン注射液0.5%、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • <キシロカイン注射液0.5%>

    • 硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔
  • <キシロカイン注射液1%>

    • 硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、表面麻酔
  • <キシロカイン注射液2%>

    • 硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、表面麻酔

用法・用量

  • <キシロカイン注射液0.5%>

    • 硬膜外麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人25~150mgを使用する。交感神経遮断には25~100mgを使用する。
    • 伝達麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人15~200mgを使用する。指趾神経遮断には15~50mg、肋間神経遮断には25mgまでを使用する。
    • 浸潤麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人10~200mgを使用する。
    • ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。
  • <キシロカイン注射液1%>

    • 硬膜外麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人100~200mgを使用する。
    • 伝達麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人30~200mgを使用する。指趾神経遮断には30~100mg、肋間神経遮断には50mgまでを使用する。
    • 浸潤麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人20~200mgを使用する。
    • 表面麻酔

      • 適量を塗布または噴霧する。
    • ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。
  • <キシロカイン注射液2%>

    • 硬膜外麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人200mgを使用する。
    • 伝達麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人40~200mgを使用する。指趾神経遮断には60~120mgを使用する。
    • 浸潤麻酔

      • (基準最高用量:1回200mg)リドカイン塩酸塩として、通常、成人40~200mgを使用する。
    • 表面麻酔

      • 適量を塗布または噴霧する。
    • ただし、年齢、麻酔領域、部位、組織、症状、体質により適宜増減する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <効能共通>

    • 2.1 本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者
  • <硬膜外麻酔>

    • 2.2 大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある。]
    • 2.3 注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある。]
    • 2.4 敗血症の患者[敗血症性の髄膜炎を生じるおそれがある。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 全身状態が不良な患者
生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある。[8.2.4参照]
9.1.2 心刺激伝導障害のある患者
症状を悪化させることがある。
<硬膜外麻酔>
9.1.3 中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄・脊椎に腫瘍又は結核等のある患者
硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。
9.1.4 血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者
やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと。出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。
9.1.5 脊柱に著明な変形のある患者
やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと。脊髄や神経根の損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である。
9.1.6 腹部腫瘤のある患者
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと。仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。
9.1.7 重篤な高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者
患者の全身状態の観察を十分に行うこと。血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重篤な腎機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者
中毒症状が発現しやすくなる。
9.5 妊婦
<効能共通>
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
<硬膜外麻酔>
9.5.2 妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること。妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい。麻酔中はさらに増悪することがある。
<伝達麻酔>
9.5.3 傍頸管ブロックにより胎児の徐脈を起こすおそれがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[8.2.4参照]
9.8 高齢者
<硬膜外麻酔>
投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること。一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している。[8.2.4参照]

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい。
8.2 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
8.2.1 患者の全身状態の観察を十分に行うこと。
8.2.2 できるだけ薄い濃度のものを用いること。
8.2.3 できるだけ必要最少量にとどめること。
8.2.4 前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、これらの薬剤を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい。なお、高齢者、小児、全身状態が不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと。[9.1.1、9.7、9.8参照]
<硬膜外麻酔>
8.3 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
8.3.1 必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。
8.3.2 注射の速度はできるだけ遅くすること。
8.3.3 注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。
8.3.4 試験的に注入(test dose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。
8.3.5 麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。
8.4 注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。
<伝達麻酔・浸潤麻酔>
8.5 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
8.5.1 必要に応じて血管収縮剤の併用を考慮すること。
8.5.2 注射の速度はできるだけ遅くすること。
8.5.3 注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。
8.5.4 血管の多い部位(頭部、顔面、扁桃等)に注射する場合には、吸収が速いので、できるだけ少量を投与すること。
8.6 注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。
8.7 球後麻酔、眼球周囲麻酔施行時は以下の点に留意すること。
8.7.1 持続性の眼筋運動障害が発現するおそれがあるので、できるだけ薄い濃度で、必要最少量を用いることとし、外眼筋内への注入は避けること。また、血管収縮剤は障害を悪化させることがあるので、必要な場合にのみ使用すること。
8.7.2 視神経鞘内への誤注入により、一過性の失明、心肺停止を起こすことがあるので、注射針はできるだけ短く、先の鈍いものを使用することが望ましい。
<表面麻酔>
8.8 本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、以下の点に留意すること。
8.8.1 気道内表面麻酔の場合には吸収が速いので、できるだけ少量を使用すること。
8.8.2 外傷、びらん、潰瘍又は炎症部位への投与は吸収が速いので注意すること。[13.参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤投与後の注意
本剤は金属を侵す性質があるので、長時間金属器具(カニューレ、注射針等)に接触させないことが望ましい。なお、金属器具を使用した場合は、使用後十分に水洗すること。

7.用法及び用量に関連する注意

キシロカイン注射液0.5%
各種麻酔方法による用量は次表のとおりである。( )内は注射液としての用量である。
麻酔方法注射液0.5%
硬膜外麻酔25~150mg
(5~30mL)
硬膜外麻酔[交感神経遮断]25~100mg
(5~20mL)
伝達麻酔15~200mg
(3~40mL)
伝達麻酔[指趾神経遮断]15~50mg
(3~10mL)
伝達麻酔[肋間神経遮断]25mgまで
(5mLまで)
浸潤麻酔10~200mg
(2~40mL)
表面麻酔

7.用法及び用量に関連する注意

キシロカイン注射液1%
各種麻酔方法による用量は次表のとおりである。( )内は注射液としての用量である。
麻酔方法注射液1%
硬膜外麻酔100~200mg
(10~20mL)
硬膜外麻酔[交感神経遮断]
伝達麻酔30~200mg
(3~20mL)
伝達麻酔[指趾神経遮断]30~100mg
(3~10mL)
伝達麻酔[肋間神経遮断]50mgまで
(5mLまで)
浸潤麻酔20~200mg
(2~20mL)
表面麻酔適量を塗布又は噴霧する

7.用法及び用量に関連する注意

<キシロカイン注射液2%>
各種麻酔方法による用量は次表のとおりである。( )内は注射液としての用量である。
麻酔方法注射液2%
硬膜外麻酔200mg
(10mL)
硬膜外麻酔[交感神経遮断]
伝達麻酔40~200mg
(2~10mL)
伝達麻酔[指趾神経遮断]60~120mg
(3~6mL)
伝達麻酔[肋間神経遮断]
浸潤麻酔40~200mg
(2~10mL)
表面麻酔適量を塗布又は噴霧する

16.薬物動態

16.1 血中濃度
健康成人に2%リドカイン液20mL(リドカイン塩酸塩として400mg)注1)を単独あるいはアドレナリンを添加(1:200,000)して硬膜外投与したとき、アドレナリン添加時の血漿中濃度は、単独投与時に比べ最高濃度の有意な低下、最高濃度到達時間の有意な延長が認められた(外国人データ)。
外国人健康成人に2%リドカイン液20mLを硬膜外投与したときの血漿中濃度(n=5)
投与群Cmax(μg/mL)Tmax(min)AUC0-4h(μg・min/mL)
アドレナリン非添加、動脈血3.7±0.512±3274±19
アドレナリン非添加、静脈血2.40±0.6011±6235±21
アドレナリン添加、動脈血2.1±0.425±4221±71
アドレナリン添加、静脈血0.95±0.12102±84102±43
平均値±標準偏差
16.3 分布
リドカイン2μg/mLの血漿蛋白結合率は約65%で、α1-酸性糖蛋白及びアルブミンと結合する。血液/血漿中濃度比は約0.8であることから、血球への分布は少ないと考えられる。妊婦にリドカイン塩酸塩を硬膜外投与したとき、臍帯静脈血液中濃度と母体血漿中濃度の比は0.5~0.7で、胎盤を通過する。
16.4 代謝
リドカインは、主として肝臓でN-脱エチル体monoethyl glycinexylidide (MEGX)に代謝された後、glycinexylidide(GX)、2,6-xylidineに代謝され、約70%が4-hydroxy-2,6-xylidineとして尿中に排泄される。
16.5 排泄
リドカイン塩酸塩250mg注1)を健康人に経口投与注2)したとき、24時間後までの尿中放射能排泄率は投与量の83.8%、未変化体は投与量の2.8%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
高齢者にリドカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後注2)の終末相半減期は140分を示し、若齢者の81分に比べて延長した(外国人データ)。
16.6.2 心不全患者、腎不全患者及び肝機能低下患者
心不全患者及び腎不全患者にリドカイン塩酸塩50mgを静脈内投与後注2)の消失半減期は、健康人に比べ有意な変動はなく、肝機能低下患者では約3倍に延長した(外国人データ)。
注1)本剤の基準最高用量は1回200mgである。
注2)キシロカイン注射液0.5%の効能・効果は硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、キシロカイン注射液1%、2%の効能・効果は硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、表面麻酔である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
クラスIII抗不整脈剤
アミオダロン等
心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと。作用が増強することが考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<効能共通>
11.1.1 ショック(頻度不明)
徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こしたとの報告がある。
11.1.2 意識障害、振戦、痙攣(いずれも頻度不明)
意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[13.参照]
<硬膜外麻酔・伝達麻酔・浸潤麻酔>
11.1.3 異常感覚、知覚・運動障害(いずれも頻度不明)
注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性の異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的な異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔では膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある。
11.1.4 悪性高熱(頻度不明)
まれに原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋強直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱があらわれることがある。本剤を投与中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに投与を中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素による過換気、酸塩基平衡の是正等、適切な処置を行うこと。また、本症は腎不全を続発することがあるので、尿量の維持を図ること。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

頻度不明
中枢神経注)眠気、不安、興奮、霧視、眩暈等
消化器注)悪心・嘔吐等
過敏症蕁麻疹等の皮膚症状、浮腫等

注)このような症状があらわれた場合は、ショックあるいは中毒へ移行することがある。

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