薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
シルデナフィルクエン酸塩 [バイアグラ] タダラフィル [シアリス、ザルティア] | これら薬剤の血中濃度が上昇し、低血圧、失神、視覚障害や勃起持続等のこれら薬剤の副作用が発現するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
シンバスタチン アトルバスタチンカルシウム水和物 [16.7.2参照] | これら薬剤の血中濃度が上昇し、これら薬剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。特にシンバスタチンとの併用はなるべく避けること。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
イトラコナゾール ケトコナゾール※ [16.7.2参照] | これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。高用量(200mg/日をこえる)投与は避けること。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
ジヒドロピリジン骨格を有するCa拮抗剤 (フェロジピン、ニフェジピン、ニカルジピン塩酸塩等) リファブチン サルメテロールキシナホ酸塩 ダサチニブ ニロチニブ ビンカアルカロイド系抗悪性腫瘍剤 (ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩等) ボセンタン水和物 コルヒチン クエチアピンフマル酸塩 シメプレビルナトリウム [2.3、9.2.1、9.3.1、16.7.2参照] | これら薬剤の血中濃度が上昇し、これら薬剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
クラリスロマイシン | 腎機能障害のある患者ではクラリスロマイシンの血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
シクロスポリン タクロリムス水和物 エベロリムス シロリムス | これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。治療域のモニタリングを行うことが望ましい。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
トラゾドン塩酸塩 | トラゾドンの血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。トラゾドンの減量を考慮すること。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
フルチカゾンプロピオン酸エステル ブデソニド トリアムシノロンアセトニド | これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。これら薬剤との併用において、クッシング症候群、副腎皮質機能抑制等が報告されているので、併用は治療上の有益性がこれらの症状発現の危険性を上回ると判断される場合に限ること。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
フェンタニル フェンタニルクエン酸塩 | フェンタニルの血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。副作用(呼吸抑制等)に対する十分なモニタリングを行うことが望ましい。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
イブルチニブ エンコラフェニブ | これら薬剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。本剤からCYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、これら薬剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
ベネトクラクス <再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病> | ベネトクラクスの再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期又は急性骨髄性白血病に対してベネトクラクス投与中に本剤を併用した場合、ベネトクラクスの副作用が増強されるおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 | 本剤がCYP3Aによるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
アパルタミド | アパルタミドの血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。 また、本剤の血中濃度が減少するおそれがある。本剤からCYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、アパルタミドの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現や本剤の効果の減弱に十分注意すること。 | 本剤がCYP3Aによるアパルタミドの代謝を競合的に阻害するため。 また、アパルタミドがCYP3Aを誘導するため。 |
リオシグアト | リオシグアトの血中濃度が上昇するおそれがある。本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること。 | 本剤のCYP1A1及びCYP3A阻害によりリオシグアトのクリアランスが低下する。 |
アミオダロン塩酸塩 ベプリジル塩酸塩水和物 リドカイン塩酸塩 キニジン硫酸塩水和物 フレカイニド酢酸塩 プロパフェノン塩酸塩 | これら薬剤の血中濃度が上昇するおそれがある。血中濃度のモニタリングを行うことが望ましい。 | 本剤が肝薬物代謝酵素によるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するためと考えられている。 |
ジゴキシン | ジゴキシンの血中濃度が上昇するおそれがある。血中濃度のモニタリングを行うことが望ましい。 | リトナビルのP-gp阻害作用によるものと考えられている。 |
アファチニブマレイン酸塩 | アファチニブの血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。本剤はアファチニブと同時かアファチニブ投与後に投与すること。 | リトナビルのP-gp阻害作用によるものと考えられている。 |
ロスバスタチンカルシウム | ロスバスタチンの血中濃度が上昇し、ロスバスタチンの副作用が発現しやすくなるおそれがある。 | 主としてロピナビルのOATP1B1阻害作用によるものと考えられている。リトナビルのBCRP阻害作用も関与している可能性がある。 |
グレカプレビル・ピブレンタスビル | グレカプレビル及びピブレンタスビルの血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤のOATP1B、P-gp又はBCRP阻害作用によるものと考えられる。 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | 本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | セイヨウオトギリソウにより誘導された肝薬物代謝酵素(チトクロームP450)が本剤の代謝を促進し、クリアランスを上昇させるためと考えられている。 |
リファンピシン [16.7.2参照] | 本剤の血中濃度が低下し、治療効果を減弱させるおそれがある。併用はなるべく避けること。 | これら薬剤がCYP3Aを誘導するため。 |
カルバマゼピン フェノバルビタール デキサメタゾン | ロピナビルの血中濃度が低下するおそれがある。 | これら薬剤がCYP3Aを誘導するため。 |
フェニトイン | ロピナビル及びフェニトインの血中濃度が低下するおそれがある。 | 相互に肝薬物代謝酵素を誘導するためと考えられている。 |
ワルファリンカリウム | ワルファリンの血中濃度に影響を与えることがある。INRのモニタリングを行うことが望ましい。 | 肝薬物代謝酵素の関与が考えられるが機序不明。 |
エルバスビル | エルバスビルの血中濃度が上昇したとの報告がある。 | 肝薬物代謝酵素の関与が考えられるが機序不明。 |
エチニルエストラジオール エストラジオール安息香酸エステル [16.7.2参照] | これら薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。 エストロゲンをベースとする避妊剤と併用する場合は、他の避妊法に変更するか避妊法を追加する必要がある。 | 本剤がこれら薬剤の肝薬物代謝酵素を誘導するためと考えられている。 |
ラモトリギン バルプロ酸ナトリウム [16.7.2参照] | これら薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。 | 本剤がグルクロン酸抱合を促進するためと考えられている。 |
メサドン塩酸塩 [16.7.2参照] | これら薬剤の血中濃度が低下するおそれがある。 | 機序不明 |
ジスルフィラム様作用を有する薬剤 ジスルフィラム、シアナミド、メトロニダゾール 等 [8.1.5、9.7.2参照] | ジスルフィラムあるいはシアナミド-アルコール反応を起こすおそれがある。 | 本剤はエタノール42.4%を含有するため。 |
PR間隔を延長させる薬剤 ベラパミル塩酸塩 アタザナビル硫酸塩 等 [9.1.2、17.3.1参照] | PR間隔が延長するおそれがある。 | 本剤は軽度の無症候性PR間隔の延長が認められている。 |
ジドブジン アバカビル硫酸塩 | これら薬剤の血中濃度を低下させるおそれがある。臨床的な影響は不明である。 | 本剤がグルクロン酸抱合を誘導するためと考えられている。 |
テノホビル | テノホビルの血中濃度が上昇し、腎機能障害等の副作用があらわれやすくなるおそれがある。 | 機序不明 |
マラビロク [16.7.2参照] | マラビロクの血中濃度が上昇するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
リルピビリン塩酸塩 | リルピビリンの血中濃度が上昇したとの報告がある。リルピビリンの用量調節の必要性は認められていない。 | 本剤がCYP3Aにおけるこれら薬剤の代謝を競合的に阻害するため。 |
ネルフィナビル [7.、16.7.2、16.7.3参照] | ネルフィナビルの血中濃度が上昇するおそれがある。 ロピナビルの血中濃度が低下するおそれがある。 | 本剤がCYP3Aにおけるネルフィナビルの代謝を競合的に阻害するため。 ロピナビル血中濃度低下の機序は不明。 |
ネビラピン エファビレンツ [7.、16.7.2、16.7.3参照] | ロピナビルの血中濃度が低下するおそれがある。 | これら薬剤がCYP3Aを誘導するため。 |
エトラビリン | エトラビリンの血中濃度が低下したとの報告がある。エトラビリンの用量調節の必要性は認められていない。 | リトナビルの肝薬物代謝酵素誘導作用によるものと考えられている。 |
ホスアンプレナビル [7.、16.7.3参照] | アンプレナビルの血中濃度が低下するおそれがある。併用に関する推奨用量は確立されていない。 | 肝薬物代謝酵素の関与が考えられるが機序不明。 |
ホスタマチニブナトリウム水和物 | ホスタマチニブの活性代謝物であるR406の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。併用時には患者の状態を慎重に観察して副作用の発現に十分注意し、必要に応じてホスタマチニブの減量を考慮すること。 | 本剤がCYP3Aにおけるホスタマチニブの代謝を競合的に阻害するためと考えられている。 |