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エンタイビオ点滴静注用300mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
  • ○中等症から重症の活動期クローン病の治療及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)

用法・用量

  • 通常、成人にはベドリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを点滴静注する。初回投与後、2週、6週に投与し、以降8週間隔で点滴静注する。

禁忌 

【警告】

  • <効能共通>
    • 1.1 肺炎、敗血症、結核等の重篤な感染症が報告されていること及び本剤は疾病を完治させる薬剤でないことを患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤の投与において、重篤な副作用があらわれることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師の管理指導のもとで使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。[8.1、8.2、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
  • <潰瘍性大腸炎>
    • 1.2 本剤の治療を行う前に、ステロイド又は免疫調節剤等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識と潰瘍性大腸炎治療の経験をもつ医師が使用すること。[5.1参照]
  • <クローン病>
    • 1.3 本剤の治療を行う前に、栄養療法、ステロイド又は免疫調節剤等の使用を十分勘案すること。また、本剤についての十分な知識とクローン病治療の経験をもつ医師が使用すること。[5.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある患者[8.3、11.1.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症の患者又は感染症が疑われる患者
十分に観察すること。本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性がある。[1.1、8.1、11.1.2参照]
9.1.2 重度の感染症患者
結核、敗血症、サイトメガロウイルス感染、リステリア症及び日和見感染等の重度の感染症患者については、感染症がコントロールされるまで本剤の投与を開始しないこと。[1.1、8.1、11.1.2参照]
9.1.3 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者
(1)結核の既感染者では、結核を活動化させるおそれがある。
(2)結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること。
・胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者
・結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者
・インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者
・結核患者との濃厚接触歴を有する患者
[1.1、8.1、8.2、11.1.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の妊婦に対する有益性が胎児への危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)で妊娠期間中に本剤を投与した母動物の分娩後に乳仔の血清中から本剤が検出された。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁中への本剤の移行が報告されている,。本剤の哺乳中の児への影響は不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。一般に生理機能(免疫機能等)が低下していることが多い。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤はα4β7インテグリンに結合しリンパ球の遊走を阻害するため、感染症に対する免疫能に影響を及ぼす可能性がある。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意すること。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに医師に相談するよう指導すること。[1.1、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
8.2 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部レントゲン検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに医師に連絡するよう説明すること。なお、結核の活動性が確認された場合には本剤を投与しないこと。[1.1、9.1.3、11.1.2参照]
8.3 本剤投与中及び本剤投与終了後2時間以内に発現するアナフィラキシーやInfusion reaction(呼吸困難、気管支痙攣、じん麻疹、潮紅、発疹、血圧変動、心拍数増加等)に十分注意すること。本剤の投与はアナフィラキシーや重度のInfusion reactionの発現に備えて緊急時に十分な対応ができる準備を行ったうえで開始し、投与終了後もバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)、臨床検査値及び自他覚症状等、患者の状態を十分に観察すること。[2.1、11.1.1参照]
8.4 他のインテグリン拮抗薬であるナタリズマブにおいて進行性多巣性白質脳症(PML)の発現が報告されているため、ナタリズマブを過去に投与された患者に本剤を投与する際はPMLの発現に十分注意すること。また、ナタリズマブを投与されている患者では、本剤との併用を避けること。[11.1.3参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤の調製は、無菌的操作で行うこと。
14.1.1 溶解
(1)バイアルからフリップオフキャップを取り外し、ゴム栓部をアルコール綿で拭き取る。ゴム栓の中心を通してバイアル内に18~25ゲージ針付きのシリンジを挿入し、気泡が生じないように日局注射用水、日局生理食塩液又は日局L-乳酸ナトリウムリンゲル液4.8mLをバイアルの壁面に伝って流れるように注入する。
(2)バイアルを15秒以上ゆっくりと回転させ、凍結乾燥製剤を溶解する。その際にバイアルを振盪させたり上下に反転させないこと。気泡を消散させるために、バイアルを約20分間静置する。20分後に溶解が不十分であった場合には、更に回転させた後に10分間静置する。
(3)溶解した薬液は澄明又は乳白光があり、無色から帯褐黄色であることを確認する。変色や粒子が認められた場合には使用しないこと。
(4)溶解後は速やかに希釈すること。やむを得ず溶解後速やかに希釈しない場合には、2~8℃で保存し、溶解後8時間以内に希釈すること。
14.1.2 希釈
(1)溶解した薬液を抜き取る前にバイアルを静かに3回上下反転させ、確実に混合する。溶解した薬液5mLをバイアルから18~25ゲージ針付きのシリンジで抜き取り、日局生理食塩液100mLで希釈する。バッグを数回上下に反転させ、確実に混合すること。他剤と混和してはならない。
(2)本剤は保存剤を含有していないため、希釈後は速やかに使用すること。やむを得ず希釈後速やかに投与開始しない場合には、常温保存では凍結乾燥製剤の溶解後12時間以内、又は2~8℃(凍結させない)での保存では凍結乾燥製剤の溶解後24時間以内に投与すること。未使用分は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は30分以上かけて点滴静脈内投与し、急速投与は行わないこと。
14.2.2 投与終了時には、ラインを日局生理食塩液30mLでフラッシュすること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤と他の免疫抑制作用を有する生物製剤の併用について臨床試験は実施していないため、本剤との併用を避けること。
7.2 本剤を3回投与しても治療反応が得られない場合、治療法を再考すること。[17.1.1、17.1.3参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<潰瘍性大腸炎>
5.1 過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残り、本剤の投与が適切と判断した場合に投与すること。[1.2、17.1.1、17.1.2参照]
<クローン病>
5.2 過去の治療において、栄養療法、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残り、本剤の投与が適切と判断した場合に投与すること。[1.3、17.1.3、17.1.4参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与時の薬物動態
日本人潰瘍性大腸炎患者に、本剤300mgを0、2及び6週(1、15及び43日目)に点滴静注した時のベドリズマブの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった。
日本人潰瘍性大腸炎患者における本剤反復投与時のベドリズマブの血清中濃度推移(算術平均値±標準偏差)
日本人潰瘍性大腸炎患者における本剤反復投与時のベドリズマブの血清中濃度推移(算術平均値)
日本人潰瘍性大腸炎患者における本剤反復投与時のベドリズマブの薬物動態パラメータ
パラメータ例数1日目43日目
AUC(Day 0-14)(μg・day/mL)注1)6739(12.4)1154(22.2)
AUC(Day 0-56)(μg・day/mL)注2)62511(33.1)
Cmax(μg/mL)697.3(23.5)124.3(21.1)
T1/2(day)69.46(10.5)17.4(22.1)
CL(L/day)60.258(16.2)
Vz(L)63.50(12.2)
[幾何平均値(CV%)、T1/2は算術平均値]注1)投与から14日目までの血中濃度-時間曲線下面積注2)投与から56日目までの血中濃度-時間曲線下面積
16.1.2 反復投与時の血清中トラフ濃度
(1)中等症から重症の日本人潰瘍性大腸炎患者に本剤300mgを0週、2週、6週に点滴静注し、以降8週間隔で点滴静注した時の14、22及び30週のベドリズマブの血清中トラフ濃度を以下に示す。
日本人潰瘍性大腸炎患者における本剤反復投与時のベドリズマブの血清中トラフ濃度
14週22週30週
例数302625
血清中トラフ濃度(μg/mL)17.31±7.1914.45±6.0313.77±6.37
[算術平均値±標準偏差]
(2)中等症から重症の活動期日本人クローン病患者に本剤300mgを0週、2週、6週に点滴静注し、以降8週間隔で点滴静注した時の14、22及び30週のベドリズマブの血清中トラフ濃度を以下に示す。
日本人クローン病患者における本剤反復投与時のベドリズマブの血清中トラフ濃度
14週22週30週
例数1098
血清中トラフ濃度(μg/mL)11.20±8.589.10±6.189.01±6.88
[算術平均値±標準偏差]
16.3 分布
健康成人にベドリズマブ450mgを静脈内点滴投与した時注)、脳脊髄液中にベドリズマブは検出されなかった(外国人のデータ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は1回300mgを初回投与後、2週、6週に投与し、以降8週間隔で点滴静注である。
16.5 排泄
ベドリズマブはヒト化IgG1モノクローナル抗体であることから、内因性の免疫グロブリンの消失経路と同じと推察される。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
生ワクチン接種した生ワクチンの病原に基づく症状が発現した場合には、適切な処置を行うこと。生ワクチンによる感染症発現の可能性が否定できない。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 Infusion reaction(3.6%)
アナフィラキシーやInfusion reaction(呼吸困難、気管支痙攣、じん麻疹、潮紅、発疹、血圧変動、心拍数増加等)があらわれることがある。アナフィラキシーや重度のInfusion reactionが認められた場合には、投与を中止し、適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者を十分に観察すること。また、投与を再開する場合には、必要に応じて投与速度を減じて慎重に投与すること。[2.1、8.3参照]
11.1.2 重篤な感染症(1.4%)
肺炎、敗血症、結核、リステリア症、サイトメガロウイルス感染、日和見感染等の重篤な感染症があらわれることがある。本剤投与中に重篤な感染症を発現した場合には、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止すること。[1.1、8.1、8.2、9.1.1-9.1.3参照]
11.1.3 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
PMLの発現が報告されているので、観察を十分に行い、片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害等のPMLが疑われる症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.4参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1~5%0.1%未満
精神神経系頭痛
消化器悪心
呼吸器口腔咽頭痛、咳嗽
皮膚発疹、そう痒症
筋・骨格系関節痛、背部痛、四肢痛
その他発熱、気管支炎、上気道感染、インフルエンザ、副鼻腔炎、疲労鼻咽頭炎
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