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ゲフィチニブ錠250mg「サワイ」

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌

用法・用量

  • 通常、成人にはゲフィチニブとして250mgを1日1回、経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤による治療を開始するにあたり、患者に本剤の有効性・安全性、息切れ等の副作用の初期症状、非小細胞肺癌の治療法、致命的となる症例があること等について十分に説明し、同意を得た上で投与すること。[8.2参照]
  • 1.2 本剤の投与により急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査等を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、急性肺障害や間質性肺炎が本剤の投与初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多いため、少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。[8.1、9.1.1、11.1.1参照]
  • 1.3 特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併は、本剤投与中に発現した急性肺障害、間質性肺炎発症後の転帰において、死亡につながる重要な危険因子である。このため、本剤による治療を開始するにあたり、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎の合併の有無を確認し、これらの合併症を有する患者に使用する場合には特に注意すること。[9.1.1、17.2参照]
  • 1.4 急性肺障害、間質性肺炎による致死的な転帰をたどる例は全身状態の良悪にかかわらず報告されているが、特に全身状態の悪い患者ほど、その発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。本剤の投与に際しては患者の状態を慎重に観察するなど、十分に注意すること。[9.1.2、17.2参照]
  • 1.5 本剤は、肺癌化学療法に十分な経験をもつ医師が使用するとともに、投与に際しては緊急時に十分に措置できる医療機関で行うこと。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 急性肺障害、特発性肺線維症、間質性肺炎、じん肺症、放射線肺炎、薬剤性肺炎またはこれらの疾患の既往歴のある患者
間質性肺炎が増悪し、致死的となる症例が報告されている。[1.3、17.2参照]
9.1.2 全身状態の悪い患者
全身状態の悪化とともに急性肺障害、間質性肺炎の発現率及び死亡率が上昇する傾向がある。[1.4、17.2参照]
9.1.3 無酸症など著しい低胃酸状態が持続している患者
無酸症など著しい低胃酸状態が持続する状態では、本剤の血中濃度が低下し作用が減弱するおそれがある。[7.1、10.2、16.7.3参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝機能障害のある患者
本剤投与中に肝機能検査値の上昇がみられている。また、本剤の血中濃度の上昇がみられるとの報告がある。[8.3、11.1.5、16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
本剤投与中の女性には妊娠を避けるよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明すること。
動物実験で胎児重量の減少(ウサギ)、生存出生児数の減少(ラット)及び出生児の早期死亡(ラット)が認められている。[9.4参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い。
なお、本剤の臨床試験成績から、65歳以上と65歳未満で血漿中濃度及び副作用発現率並びにその程度に差はみられていない。

8.重要な基本的注意

8.1 急性肺障害、間質性肺炎等の重篤な副作用が起こることがあり、致命的な経過をたどることがあるので、本剤の投与にあたっては、臨床症状(呼吸状態、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、定期的に胸部X線検査を行うこと。また、必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行うこと。[1.2、9.1.1、11.1.1参照]
8.2 本剤を投与するにあたっては、本剤の副作用について患者に十分に説明するとともに、臨床症状(息切れ、呼吸困難、咳及び発熱等の有無)を十分に観察し、これらが発現した場合には、速やかに医療機関を受診するように患者を指導すること。[1.1参照]
8.3 AST、ALT等の肝機能検査値の上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は1~2ヵ月に1回、あるいは患者の状態に応じて肝機能検査を実施することが望ましい。[9.3.1、11.1.5参照]
8.4 皮膚の副作用があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど適切な処置を行うこと。
8.5 臨床試験において無力症が報告されているので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意するよう指導すること。
8.6 非臨床試験において本剤によるQT延長の可能性が示唆されていることから、必要に応じて心電図検査を実施すること。[15.2.1参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 日本人高齢者において無酸症が多いことが報告されているので、食後投与が望ましい。[9.1.3参照]

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 EGFR遺伝子変異検査を実施すること。EGFR遺伝子変異不明例の扱い等を含めて、本剤を投与する際は、日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン」等の最新の情報を参考に行うこと。
5.2 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.3 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復経口投与時の血中濃度
日本人固形癌患者(n=6)にゲフィチニブ225mg注)を単回経口投与したとき、ゲフィチニブの吸収は緩徐で、最高血漿中濃度到達時間は概ね4時間であり、患者間で変動(3~12時間)がみられた。終末相における消失半減期は約30時間であった。
ゲフィチニブ225mg注)を単回及び反復投与時の薬物動態パラメータは以下の通りである。
表1 薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差、n=6)
Cmax(ng/mL)Tmaxa)(hr)AUC0→∞(ng・hr/mL)t1/2(hr)
単回188±1204.0(3.0~12.0)4968±212530.1±4.6
反復384±1945.0(3.0~7.0)16660±1063041.3±9.9
a)中央値(範囲)
16.1.2 反復経口投与におけるトラフ濃度
日本人固形癌患者(n=6)にゲフィチニブ225mg注)を1日1回14日間反復経口投与したとき、投与後7~10日目で定常状態に達した。反復投与によりAUC0→∞は約2~5倍増加した。
また、日本人及び欧米人非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同臨床試験において日本人及び欧米人非小細胞肺癌患者にゲフィチニブ250mgを投与したときの定常状態時のトラフ血漿中未変化体濃度は264±5.8(平均値±標準誤差)ng/mLであった。
16.1.3 日本人及び欧米人患者の薬物動態
第I相臨床試験において日本人及び欧米人固形癌患者にゲフィチニブを50~700mg注)の用量範囲で単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度推移及び薬物動態パラメータは類似していた。
また、日本人及び欧米人非小細胞肺癌患者を対象とした国際共同第II相臨床試験におけるポピュレーションファーマコキネティクス解析の結果、有意な人種差は認められなかった。
16.1.4 生物学的同等性試験
ゲフィチニブ錠250mg「サワイ」とイレッサ錠250を健康成人男子にそれぞれ1錠(ゲフィチニブとして250mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中ゲフィチニブ濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
表2 各製剤1錠投与時の薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)AUC0-144hr(ng・hr/mL)
ゲフィチニブ錠250mg「サワイ」179.1±90.74.0±1.233.9±6.04524±1986
イレッサ錠250178.9±88.83.7±1.234.5±6.84317±1956
(Mean±S.D.)
血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
欧米人固形癌患者(n=17)における絶対バイオアベイラビリティは59%であった。
16.2.2 食事の影響
欧米人健康志願者(n=25)において、ゲフィチニブを食後投与したときAUC及びCmaxがそれぞれ37%及び32%増加したが、臨床上特に問題となる変化ではなかった。
16.3 分布
欧米人固形癌患者(n=19)にゲフィチニブを静脈内持続投与したときの定常状態における分布容積は1400Lであった。
ヒトにおける血漿蛋白結合率は約90%であった。また、血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白へ結合する(in vitro)。
16.4 代謝
ヒト血漿中には、ゲフィチニブのO-脱メチル体、O,N-脱アルキル体、酸化脱フッ素体及びその他5種の代謝物が認められた。血漿中の主代謝物はO-脱メチル体であり、その濃度には大きな個体間変動がみられたが、未変化体と同程度の血漿中濃度を示した。O,N-脱アルキル体及び酸化脱フッ素体の血漿中濃度は未変化体の約3%以下であった。その他の代謝物はほとんど定量できなかった。
未変化体からO-脱メチル体への代謝にはCYP2D6が関与する。また、その他の代謝経路では主にCYP3A4が関与し、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、CYP3A4阻害剤の共存下で代謝物の生成量は明らかに減少した。
以上のことから、肝臓がゲフィチニブの代謝クリアランスにおいて重要な役割を果たしているものと推察される。
16.5 排泄
欧米人固形癌患者(n=19)にゲフィチニブを静脈内持続投与したときの血漿クリアランスは約500mL/分であった。
欧米人健康志願者(n=6)において未変化体及び代謝物の大部分は糞中に排泄され、尿中排泄は投与量の4%未満であった。
胆管カニューレを施したラットの試験から14C標識ゲフィチニブを経口投与したとき、吸収量の約80%に相当する放射能が胆汁中に排泄されることが示された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
Child-Pugh分類による軽度、中等度及び重度の肝硬変による肝機能障害患者(非担癌患者)に、ゲフィチニブ250mgを単回経口投与したとき、中等度及び重度の肝機能障害患者では未変化体のAUCの平均は健康被験者の3.1倍を示した(外国人データ)。[9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 リファンピシン
ゲフィチニブ500mg注)を強力なCYP3A4の誘導剤であるリファンピシン600mg/日と併用投与したとき、ゲフィチニブのAUCが17%に減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 イトラコナゾール
ゲフィチニブ250mgを強力なCYP3A4の阻害剤であるイトラコナゾール200mg/日と併用投与したとき、ゲフィチニブのAUCが78%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ラニチジン
ラニチジン450mgの2回投与及び炭酸水素ナトリウムの追加投与により胃内pHを5以上に約6~7時間維持した条件下で、ゲフィチニブ250mgを単回経口投与したところ、ゲフィチニブのAUCが47%減少した(外国人データ)。[9.1.3、10.2参照]
注)本剤の承認用量は250mg/日である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A4誘導剤
フェニトイン、
カルバマゼピン、
リファンピシン、
バルビツール酸系薬物、
セイヨウオトギリソウ
(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
[16.7.1参照]
本剤の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記薬剤のようなCYP3A4誘導剤との併用で、本剤の代謝が亢進し血中濃度が低下する可能性がある。
CYP3A4阻害剤
アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール等)、
マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)、
リトナビル、ジルチアゼム塩酸塩、ベラパミル塩酸塩等
グレープフルーツジュース
[16.7.2参照]
本剤の血中濃度が増加し、副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがある。本剤の代謝には主にCYP3A4が関与しているため、左記のようなCYP3A4阻害剤等との併用で、本剤の代謝が阻害され血中濃度が増加する可能性がある。
プロトンポンプ阻害剤
オメプラゾール等
H2-受容体拮抗剤
ラニチジン塩酸塩等
[9.1.3、16.7.3参照]
著しい低胃酸状態が持続することにより、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。本剤の溶解性がpHに依存することから、胃内pHが持続的に上昇した条件下において、本剤の吸収が低下し、作用が減弱するおそれがある。
ワルファリンINR上昇や出血があらわれたとの報告がある。本剤とワルファリンを併用する場合には、定期的にプロトロンビン時間又はINRのモニターを行うこと。機序は不明。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 急性肺障害、間質性肺炎(1~10%未満)
急性肺障害、間質性肺炎等が疑われた場合には、直ちに本剤による治療を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。[1.2、8.1、9.1.1参照]
11.1.2 重度の下痢(1%未満)
下痢があらわれた場合には、患者の状態に応じて休薬あるいは対症療法を施すなど、速やかに適切な処置を行うこと。
11.1.3 脱水(1%未満)
下痢、嘔気、嘔吐又は食欲不振に伴う脱水があらわれることがある。なお、脱水により腎不全に至った症例も報告されていることから、必要に応じて電解質や腎機能検査を行うこと。
11.1.4 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(1%未満)
11.1.5 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(10%以上)、黄疸(頻度不明)、肝不全(頻度不明)
肝炎、AST、ALT、LDH、γ-GTP、Al-P、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあり、肝不全に至った症例も報告されている。重度の肝機能検査値変動が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.3、9.3.1参照]
11.1.6 血尿(1%未満)、出血性膀胱炎(1%未満)
11.1.7 急性膵炎(頻度不明)
腹痛、血清アミラーゼ値の上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.8 消化管穿孔(頻度不明)、消化管潰瘍(1%未満)、消化管出血(1%未満)
異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
発現頻度は特別調査「イレッサ錠250プロスペクティブ調査」から算出した。なお、本調査で認められなかった副作用については頻度不明に記載した。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上1~10%未満1%未満頻度不明
全身無力症、倦怠感疲労
皮膚発疹、そう痒症、皮膚乾燥、皮膚亀裂、ざ瘡等の皮膚症状爪の障害脱毛、皮下出血皮膚血管炎、手掌・足底発赤知覚不全症候群
注1)結膜炎、眼瞼炎、角膜炎、角膜びらん注2)、眼乾燥注3)
消化器下痢嘔気、嘔吐、食欲不振、口内炎口内乾燥注3)
血液白血球減少、血小板減少
肝臓肝機能障害(AST上昇、ALT上昇等)
過敏症じん麻疹血管浮腫
その他鼻出血、クレアチニン上昇、蛋白尿、発熱INR上昇注4)、出血注4)

注1)眼に異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行うなど適切な処置を行うこと。
注2)症状は可逆的である。異所性睫毛に伴い起こる場合もある。
注3)他の乾燥症状(主に皮膚症状)に関連して起こる場合もある。
注4)ワルファリンとの併用時にこれらの症状があらわれたとの報告がある。[10.2参照]
発現頻度は特別調査「イレッサ錠250プロスペクティブ調査」から算出した。なお、本調査で認められなかった副作用については頻度不明に記載した。

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