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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症

用法・用量

  • <FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く)>

    • 通常、成人には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として4週に1回1mg/kgを皮下投与する。ただし、1回投与量は90mgを超えないこと。血清リン濃度、症状等に応じて適宜減量する。
    • 通常、小児には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として2週に1回0.8mg/kgを皮下投与する。血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。ただし、1回投与量は90mgを超えないこと。
  • <腫瘍性骨軟化症>

    • 通常、成人には、ブロスマブ(遺伝子組換え)として4週に1回0.3mg/kgを皮下投与する。血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、最高用量は1回2mg/kgとする。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 重度の腎機能障害患者又は末期腎不全患者[9.2.1参照]
  • 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 高カルシウム血症の患者
高カルシウム血症が悪化する可能性がある。
9.2 腎機能障害患者
高リン血症及び腎臓等の臓器の石灰化が生じるリスクが高い。[15.2参照]
9.2.1 重度の腎機能障害患者又は末期腎不全患者
投与しないこと。これらの患者では高リン血症及び腎臓等の臓器の石灰化が生じるリスクが特に高いおそれがある。これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。[2.1参照]
9.2.2 軽度又は中等度の腎機能障害患者
本剤投与中は、定期的に腎機能を確認し投与の適否を検討すること。また、血清リン濃度の変動に注意すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。サルを用いた生殖発生毒性試験において、臨床最大用量での曝露量の3.7倍に相当する用量で早産率の高値、臨床最大用量での曝露量の32倍に相当する用量で胎盤の重量増加及び鉱質沈着並びに流産及び胚・胎児死亡率の増加が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
1歳未満の小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

8.1 高リン血症があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血清リン濃度を測定し、血清リン濃度の変動に注意すること。
8.2 本剤の投与により、高リン血症が持続した場合、腎臓等の臓器に石灰化が生じる可能性があるので、必要に応じて超音波検査やPTHの測定等を実施すること。[15.2参照]
8.3 本剤投与中は、経口リン酸製剤、活性型ビタミンD3製剤との併用は可能な限り避けること。本剤と経口リン酸製剤、活性型ビタミンD3製剤を併用した際の安全性及び有効性を指標とした臨床試験は実施されていない。[10.2参照]
8.4 本剤はたん白質製剤であり、アナフィラキシーなど重度のアレルギー反応が起こる可能性がある。異常が認められた場合には直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
8.5 本剤は、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を開始すること。自己投与にあたっては、以下の点に注意すること。
8.5.1 自己投与適用の妥当性を医師が慎重に検討し、患者又はその家族に十分な教育訓練を実施したのち、患者又はその家族が確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
8.5.2 本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合は、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
8.5.3 患者又はその家族に対し、副作用とその対処法について説明した上で、以下の点を指導すること。
・本剤の注射方法の説明書を必ず読むこと。
・本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療機関へ連絡すること。
・使用済みの注射器は再使用せず、安全な手段で廃棄を行うこと。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 投与前に冷蔵庫から取り出し室温に戻しておくこと。
14.1.2 投与に必要な液量を正確に吸引できるよう、適切な小容量注射器を選択すること。
14.1.3 他剤との混注は行わないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与部位は、腹部、上腕部、大腿部又は臀部が望ましい。同一部位へ繰り返し注射することは避け、投与毎に注射部位を変えること。
14.2.2 注射部位1箇所あたりの最大投与液量は1.5mLとすること。
14.2.3 本剤は、1回限りの使用とし、使用後の残液は使用しないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の投与開始にあたっては、経口リン酸製剤又は活性型ビタミンD3製剤が投与されている場合は、これらの薬剤の投与を中止し、血清リン濃度が基準下限値を下回ったことを確認した後、本剤の投与を開始すること。[10.2参照]
7.2 本剤の開始用量及び用量調節は、以下を参考にすること。なお、本剤の投与量は、体重から換算した値を10mgの単位に四捨五入した値とすることができる。
<FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く)>
通常、成人には、以下の表を参考に患者の体重に応じて投与を開始すること。以降は、血清リン濃度、症状等に応じて適宜減量すること。
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く)の成人患者の開始用量
体重開始用量
35~44kg40mg
45~54kg50mg
55~64kg60mg
65~74kg70mg
75~84kg80mg
85kg以上90mg
通常、小児には、以下の表を参考に患者の体重に応じて投与を開始すること。以降は、血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、血清リン濃度が基準下限値を下回るなど、増量が必要な場合は、1回2mg/kg又は90mgのいずれか少ない用量の範囲で段階的に増量することができる。ただし、増量は4週間以上の間隔をあけて行うこと。
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く)の小児患者の開始用量
体重開始用量
7~18kg10mg
19~31kg20mg
32~43kg30mg
44~56kg40mg
57~68kg50mg
69~81kg60mg
82~93kg70mg
94~106kg80mg
107kg以上90mg
<腫瘍性骨軟化症>
通常、成人には、以下の表を参考に患者の体重に応じて投与を開始すること。以降は、血清リン濃度、症状等に応じて適宜増減するが、血清リン濃度が基準下限値を下回るなど、増量が必要な場合は、1回2mg/kgまでの範囲で段階的に増量することができる。[17.1.3参照]
腫瘍性骨軟化症患者の開始用量
体重開始用量
17~49kg10mg
50~83kg20mg
84~116kg30mg
7.3 本剤の投与を開始及び用量を調節したときは、血清リン濃度が安定するまで、投与毎(2週に1回又は4週に1回)に血清リン濃度を測定すること。
7.4 血清リン濃度が基準上限値を超えて上昇した場合は、血清リン濃度が基準下限値を下回るまで休薬すること。投与を再開する場合は、休薬前の投与量の半量を目安に減量し、投与を再開すること。
7.5 FGF23関連低リン血症性くる病の患者に本剤を投与する際に、骨年齢が男性で17歳、女性で15歳に達した場合は、患者の状態に応じて成人の用法及び用量を用いること。

5.効能又は効果に関連する注意

含糖酸化鉄、ポリマルトース鉄及びカルボキシマルトース第二鉄等の鉄剤の投与に伴うFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に対しては、本剤は投与せず、FGF23過剰の原因となる各薬剤の投与の中止を検討すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者(成人)
日本人及び韓国人の成人X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者を対象として本剤0.3、0.6及び1mg/kgを単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。Cmax及びAUC0-∞は投与量に比例して増加した。
X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者(成人)に本剤を単回皮下投与したときの血清中濃度推移(平均値+標準偏差)
X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者(成人)に本剤を単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
投与量(mg/kg)被験者数
(日本,韓国)
tmax(h)Cmax(μg/mL)AUC0-∞(μg・h/mL)t1/2(h)
0.36
(3,3)
166
(46.5-168)
1.71±0.511180±370a)289±121a)
0.65
(3,2)
167
(165-334)
2.95±0.672220±920315±131
17
(4,3)
166
(93.5-168)
5.19±2.123770±1670336±85
平均値±標準偏差、ただしtmaxは中央値(最小値-最大値)a)5例(日本人3例及び韓国人2例)
16.1.2 反復投与
(1)X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者(成人)
日本人を含む成人X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者68例(日本人6例)を対象として本剤1mg/kgを4週に1回反復皮下投与したときの血清中濃度(平均値±標準偏差)のトラフ値は、初回投与サイクルで3804±1622ng/mL、6回目の投与サイクルで5832±3434ng/mLであった。
(2)X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者(小児)
日本人の1~12歳の小児X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者15例を対象として本剤0.8mg/kg(投与開始6週以降、1.2mg/kgに増量可)を2週に1回反復皮下投与したときの血清中濃度推移は以下のとおりであった。
X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者(小児)に本剤を2週に1回反復皮下投与したときの血清中濃度推移注)(平均値+標準偏差)
注)血清中濃度は投与開始後1週時点(tmax付近)、その他の時点では本剤の投与前に測定した。
(3)腫瘍性骨軟化症患者(成人)
日本人及び韓国人の成人腫瘍性骨軟化症患者13例を対象として本剤(開始用量は0.3mg/kg、4週以降は0.1~2mg/kgの範囲で調整し、20週以降は原則として16週時と同一用量)を4週に1回反復皮下投与したときの血清中濃度推移は以下のとおりであった。なお、20週から44週の投与量の平均値は0.71~0.89mg/kgであった。
腫瘍性骨軟化症患者に本剤を4週に1回反復皮下投与したときの血清中濃度推移注)(平均値+標準偏差)
注)血清中濃度は投与開始後1日時点、1及び21週時点(本剤投与後1週時点)、2及び22週時点(本剤投与後2週時点)、その他の時点では本剤の投与前に測定した。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ(外国人データ)
成人X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者を対象として本剤0.1及び0.3mg/kgを皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、それぞれ90%及び128%と算出された。
16.3 分布
日本人及び韓国人の成人X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症患者を対象として本剤0.3~1mg/kgを単回皮下投与したときのみかけの分布容積は107~143mL/kgであり、血管外への分布は限定的であると考えられる。
16.4 代謝
本剤はヒトIgG1モノクローナル抗体であり、内因性IgGと同様にペプチド及びアミノ酸に分解されると考えられる。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
経口リン酸製剤
活性型ビタミンD3製剤
カルシトリオール
ファレカルシトリオール等
[7.1、8.3参照]
高リン血症が起こるおそれがある。本剤の投与開始にあたっては、左記薬剤の投与を中止すること。また、本剤投与中も左記薬剤との併用は可能な限り避けること。左記薬剤は血清リン濃度上昇作用があるので、血清リン濃度の上昇作用が増強される可能性がある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上5~10%未満5%未満
投与部位注射部位反応(発疹・そう痒・疼痛等)(29.5%)
筋・骨格筋骨格痛下肢不快感筋痙攣
皮膚発疹、そう痒、じん麻疹
消化器悪心、下痢、腹痛、歯膿瘍、歯痛
腎臓腎結石、腎石灰化、腎超音波検査異常
内分泌・代謝血中リン増加、ビタミンD異常、ビタミンD欠乏、PTH増加、血中カルシウム減少
その他倦怠感、頭痛、疼痛、めまい、Al-P増加
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