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ウィフガート点滴静注400mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
  • ○慢性特発性血小板減少性紫斑病

用法・用量

  • <全身型重症筋無力症>

    • 通常、成人にはエフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1回10mg/kgを1週間間隔で4回1時間かけて点滴静注する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。
  • <慢性特発性血小板減少性紫斑病>

    • 通常、成人にはエフガルチギモド アルファ(遺伝子組換え)として1回10mg/kgを週1回又は2週に1回1時間かけて点滴静注する。週1回投与で開始し、投与開始後4週以降は血小板数及び臨床症状に基づき2週に1回投与に調節することができる。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
<効能共通>
9.1.1 感染症のある患者
感染症を合併している場合は、感染症の治療を優先すること。感染症が増悪するおそれがある。[8.1、11.1.1参照]
9.1.2 肝炎ウイルスキャリアの患者
肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。
<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
9.1.3 血栓症又は血栓塞栓症の既往歴を有する患者
血栓塞栓症があらわれるおそれがある。血栓症又は血栓塞栓症の既往歴や素因を有する患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.2 腎機能障害患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。なお、重度(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)の腎機能障害を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[16.6.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。IgG抗体は胎盤通過性があることが知られている。本剤の投与を受けた患者からの出生児においては、感染のリスクが高まる可能性があるため、生ワクチン又は弱毒生ワクチンを接種する際には注意が必要である。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明であるが、ヒトIgGは乳汁中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の投与により、血中IgG濃度が低下し、感染症が生じる又は悪化するおそれがある。本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が認められた場合には、速やかに医療機関に相談するよう患者に指導すること。[9.1.1、11.1.1、16.8.1参照]
<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
8.2 本剤は、血液疾患の治療に十分な経験を持つ医師のもとで使用すること。
8.3 血小板数の増加に伴い、血栓症又は血栓塞栓症のリスクが増加する可能性があることから、観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。[7.5参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 下記に従い患者の体重に基づいて、投与に必要なバイアル数及び日局生理食塩液の量を決定する。
・患者あたりの投与量(mg)=患者の体重(kg)注)×10mg/kg(体重あたりの投与量)
・本剤の必要量(mL)=患者あたりの投与量(mg)/20mg/mL(本剤の濃度)
・必要なバイアル数=本剤の必要量(mL)/20mL(1バイアルの容量)
・必要な日局生理食塩液の量
<体重96kg以下の場合>
(100mL又は125mL)-本剤の必要量(mL)
<体重96kgを超える場合>
125mL-本剤の必要量(mL)
注)体重が120kgを超える場合は120kgとして計算する。
14.1.2 調製方法
(1)調製前にバイアル中が無色から微黄色の澄明又は僅かに乳濁した液であることを目視により確認すること。変色又は不溶性異物が認められる場合は使用しないこと。バイアルは振盪しないこと。
(2)本剤は無菌的に希釈調製を行うこと。
(3)滅菌シリンジ及び滅菌針を使用して、適切な数のバイアル数から必要量を静かに抜き取る。バイアル中の残液は廃棄すること。
(4)抜き取った本剤を輸液バッグ又は輸液ボトルに移す。
(5)算出した量の日局生理食塩液を加えて希釈し、総量が100mL又は125mLになるようにする。
(6)希釈した液を入れた輸液バッグ又は輸液ボトルを振らずにゆっくりと反転させ、完全に混合したことを確認する。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 急速静注は行わないこと。
14.2.2 投与前に溶液に異物がないか目視で検査すること。
14.2.3 孔径0.2μmのメンブランフィルターが付いたインラインフィルターを用いて、希釈した溶液100mL又は125mLを1時間かけて点滴静注する。最後に日局生理食塩液でライン全体を洗浄しながら、全量を投与する。
14.2.4 本剤は防腐剤を添加していない。希釈した液は速やかに使用し、希釈後4時間以内に点滴を完了させること。やむを得ず保存する場合は、希釈した液を2~8℃で、8時間まで保存することができるが、投与時には希釈した液を冷蔵庫から取り出し室内で放置して室温に戻すこと。
14.2.5 本剤は、独立したラインにより投与するものとし、他の注射剤・輸液等と混合しないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

<全身型重症筋無力症>
7.1 次サイクル投与の必要性は、臨床症状等に基づき、判断すること。[17.1.1、17.1.2参照]
7.2 本剤を投与する場合に、何らかの理由により投与が遅れた際には、あらかじめ定めた投与日から3日以内であればその時点で投与を行い、その後はあらかじめ定めた日に投与すること。あらかじめ定めた投与日から3日を超えていれば投与せず、次のあらかじめ定めた日に投与すること。
<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
7.3 本剤は治療上必要最小限の投与頻度で使用すること。
7.4 投与開始後4週間又は血小板数が安定するまでは血小板数を週1回測定し、その後は血小板数反応及び臨床症状に応じて定期的に測定すること。
7.5 投与頻度は、下表を参照の上、血小板数反応及び臨床症状に基づき調節すること。[8.3参照]
血小板数調節方法
30,000/μL未満になった場合2週に1回投与の場合、週1回投与に変更する。
30,000/μL以上100,000/μL未満で安定した場合2週に1回投与の場合、患者の状態に応じて週1回投与に変更することを考慮する。
100,000/μL以上で安定した場合週1回投与の場合、2週に1回投与に変更する。
400,000/μL以上に達した場合投与を中断する。血小板数測定を継続し、血小板数150,000/μL以下まで減少したら、本剤投与を2週に1回で再開する。
7.6 投与開始後は定期的に血小板数を評価し、臨床上重大な出血リスクを回避するのに十分なレベルの血小板数の増加が期待できないと考えられる場合には、遅くとも投与開始後12週までに本剤投与の中止を検討すること。また、その後も定期的に投与継続の要否について検討し、4週間連続して十分なレベルの血小板数が認められない場合には、漫然と投与を継続しないこと。[17.1.3参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
以下の場合で、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。
・他の治療にて十分な効果が得られない場合、又は忍容性に問題があると考えられる場合
・血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合

16.薬物動態

16.1 血中濃度
<健康被験者>
外国人健康被験者20例に本剤0.2~50mg/kgを単回静脈内投与したとき、AUC0-infは2.0~50mg/kgの範囲で用量に依存せず線形であった(外国人データ)。
<全身型重症筋無力症>
全身型重症筋無力症患者82例(日本人患者を8例含む)に本剤10mg/kgを週1回計4回静脈内投与を1又は2サイクル行ったとき、初回サイクルと2回目のサイクルを通じ、全体集団におけるCmax(範囲221~253μg/mL)及びCtrough(範囲10.4~13.9μg/mL)は一定であり、蓄積性は認められていない。日本人患者8例の初回サイクルの初回及び最終投与後薬物動態パラメータを下表に示す。
投与回数Ctrough(μg/mL)Cmax(μg/mL)AUC0-168h(μg・h/mL)
1回目NA213(20.1)7376(1024)
4回目13.4(3.71)237(43.3)8879(1667)
日本人n=8、平均値(標準偏差)を示す。NA:該当せず
図 本剤反復投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
数値上段(青)は外国人、下段(赤)は日本人の例数を示す。
<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
国際共同第III相試験(ARGX-113-1801)で、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)患者86例(日本人5例を含む)に本剤10mg/kgを週1回静脈内投与したとき、平均Cmax(範囲219~252μg/mL)及び平均Ctrough(範囲10.3~17.4μg/mL)は投与期間(最初の4週間及び投与頻度の調節は不可とされた投与16週後以降23週後まで)を通して一定であり、蓄積性は認められなかった。投与16週後以降23週後までに本剤を2週に1回投与した10例において、平均Cmaxは164~371μg/mL、平均Cthroughは2.5~5.8μg/mLであった。
日本人5例に本剤10mg/kgを週1回静脈内投与したときの薬物動態パラメータを下表に示す。
投与回数日本人
Ctrough(μg/mL)Cmax(μg/mL)
n平均値(標準偏差)n平均値(標準偏差)
1回目NA5222(47.6)
2回目56.53(2.40)5247(83.6)
3回目48.0(3.22)4223(62.8)
4回目410.7(3.22)5212(62.6)
NA:該当せず
16.3 分布
本剤静脈内投与時の分布容積は15~20Lであった(外国人データ)。
16.4 代謝
本剤は、一般的なタンパク異化経路によってアミノ酸に分解されると推定される。
16.5 排泄
健康成人に本剤10mg/kg単回投与後の本剤の尿中排泄率は投与量の0.1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
腎機能障害患者を対象とした薬物動態試験は実施していないが、母集団薬物動態解析の結果から、本剤10mg/kgを週1回計4回投与したとき、軽度腎機能障害患者(eGFR:60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)は、腎機能正常患者(eGFR:90mL/min/1.73m2以上)と比較して、4回目投与後のAUC0-168hが28%高くなると推定された。また、eGFRが中央値である100mL/min/1.73m2の患者と比較して、eGFRが5パーセンタイル値の62.2mL/min/1.73m2の患者では4回目投与後のAUC0-168hが23%高くなると推定された。[9.2参照]
16.8 その他
16.8.1 薬力学
<効能共通>
本剤はIgG以外の免疫グロブリン(IgA、IgD、IgE及びIgM)濃度への影響はなくアルブミン濃度は減少させない。
<全身型重症筋無力症>
国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)において、本剤10mg/kg又はプラセボを1週間間隔で計4回投与したときの各サイクルにおける総IgG濃度の推移は、以下のとおりであった。
図 総IgG濃度のベースラインからの変化率(%)(全患者、平均値±標準誤差)
数値上段(青)は本剤群、下段(赤)はプラセボ群の例数を示す。
国際共同第III相試験(ARGX-113-1704)及び国際共同第III相継続投与試験(ARGX-113-1705)における統合解析の結果から、本剤投与後の総IgG濃度の最低値の分布は、中央値[25パーセンタイル値,75パーセンタイル値]は2.54[2.04,3.25]、[最小値,最大値]は[0.98,6.86]g/Lであった。[8.1参照]
<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
国際際共同第III相試験(ARGX-113-1801)で、本剤10mg/kg又はプラセボを週1回又は2週に1回24週間投与したときの全患者の総IgG濃度のベースラインからの平均変化率を下図に示す。
図 総IgG濃度のベースラインからの変化率(%)(全患者、平均値±標準誤差)

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
人免疫グロブリン製剤(ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン等)これらの薬剤の治療効果が減弱する可能性がある。
これらの薬剤による治療を開始する場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい。
本剤がこれらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤(エクリズマブ(遺伝子組換え)、ラブリズマブ(遺伝子組換え))これらの薬剤の治療効果が減弱する可能性がある。
これらの薬剤による治療を開始する場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい。
本剤がこれらの薬剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
抗FcRnモノクローナル抗体製剤(ロザノリキシズマブ(遺伝子組換え))本剤又は抗FcRnモノクローナル抗体製剤の治療効果が減弱する可能性がある。
抗FcRnモノクローナル抗体製剤による治療を開始する場合、本剤のサイクル投与における最終投与から2週間後以降に投与することが望ましい。
本剤を含むFcRnに結合する薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
血液浄化療法本剤の治療効果が減弱する可能性があるため、併用を避けることが望ましい。本剤による治療中に施行することにより本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
生ワクチン及び弱毒生ワクチン本剤による治療中の接種を避けることが望ましい。
接種が必要な場合は本剤投与開始の少なくとも4週間前までに接種することが望ましい。
本剤による治療中の場合、最終投与から2週間以降にワクチンを投与することが望ましい。
生ワクチン又は弱毒生ワクチンによる感染症発現のリスクが増大するおそれがある。
生ワクチン及び弱毒生ワクチン以外のワクチンワクチンの効果が減弱する可能性がある。本剤の作用機序により、ワクチンに対する免疫応答が得られない可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 感染症
帯状疱疹、上咽頭炎、インフルエンザ等の感染症が起こることがある。感染症は全身型重症筋無力症患者で6.8%、特発性血小板減少性紫斑病患者で1.6%みられた。[8.1、9.1.1参照]
11.1.2 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
11.1.3 Infusion reaction(頻度不明)
異常が認められた場合には本剤の投与速度を下げる、又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5~15%未満5%未満
神経系障害頭痛浮動性めまい
胃腸障害悪心、嘔吐
傷害、中毒および処置合併症処置による頭痛
臨床検査リンパ球数減少、好中球数増加
一般・全身障害および投与部位の状態疲労
感染症および寄生虫症帯状疱疹
皮膚および皮下組織障害発疹
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