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テクベイリ皮下注30mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)

用法・用量

  • 通常、成人にはテクリスタマブ(遺伝子組換え)として、漸増期は、1日目に0.06mg/kg、その後は2~4日の間隔で0.3mg/kg、1.5mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、1.5mg/kgを1週間間隔で皮下投与する。なお、継続投与期において、部分奏効以上の奏効が24週間以上持続している場合には、投与間隔を2週間間隔とすることができる。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  • 1.2 重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。また、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[7.3、8.1、11.1.1参照]
  • 1.3 重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。[8.2、8.3、11.1.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症を合併している患者
血球減少により感染症が悪化するおそれがある。[8.4、11.1.3参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後5カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。ヒトIgGは胎盤通過性があることが知られており、本剤の作用機序から、本剤の妊娠中の曝露により、B細胞リンパ球減少症、サイトカイン放出に関連する二次的な炎症作用等、妊婦又は胚・胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある。[9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト母乳中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

8.1 サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.2、7.3、11.1.1参照]
8.1.1 サイトカイン放出症候群は投与初期に多く認められることから、少なくとも漸増期(初回(0.06mg/kg)、2回目(0.3mg/kg)及び3回目(1.5mg/kg)の投与時)の投与後48時間は必ず入院管理とし、漸増期の初回から3回目投与48時間経過後、及び継続投与期の4回目以降の投与後についても患者の状態に応じて入院管理を検討すること。
8.1.2 サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。
8.1.3 本剤の投与中は、発熱、悪寒、低血圧、頻脈、低酸素症、頭痛、肝酵素上昇(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ増加)等について、観察を十分に行うこと。
8.1.4 サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.1.5 緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。
8.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。[1.3、11.1.2参照]
8.2.1 本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。
8.2.2 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.2.3 免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群があらわれた場合、次回以降の本剤投与時は患者の状態に応じて入院管理を検討すること。
8.3 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)として錯乱状態、意識レベルの低下、睡眠障害等があらわれるおそれがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。[1.3、11.1.2参照]
8.4 感染症(日和見感染症を含む)の発現若しくは悪化、又はサイトメガロウイルス感染等の再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立ってニューモシスチス・イロベチイ等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤の投与中は感染症の発現又は悪化に十分注意すること。[9.1.1、11.1.3参照]
8.5 血球減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.5参照]
8.6 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.6参照]
8.7 低γグロブリン血症があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び本剤投与中は定期的に免疫グロブリン濃度を測定すること。[11.1.7参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 本剤は規格により有効成分濃度が異なる。本剤皮下注30mgは漸増用量1(0.06mg/kg)及び漸増用量2(0.3mg/kg)の投与のみに、本剤皮下注153mgは治療用量(1.5mg/kg)の投与のみに使用すること。濃度の異なるバイアルを混ぜて使用しないこと。
14.1.2 本剤の投与には、ポリプロピレン又はポリカーボネートのシリンジと、ステンレス鋼製の注射針を用いること。
14.1.3 本剤は、無菌環境下において操作すること。
14.1.4 本剤を冷蔵庫から取り出し、15分以上放置し、室温(15℃~30℃)に戻す。他の方法で温めないこと。
14.1.5 バイアルを約10秒間静かに回して混ぜる。振盪しないこと。
14.1.6 薬液入りシリンジを直ちに使用しない場合は、最長20時間、2~8℃又は室温(15℃~30℃)で保存することができる。20時間経過後は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与前に、本剤に粒子や変色がないか目視により確認すること。不透明粒子や変色又は異物が認められた場合は使用しないこと。
14.2.2 腹部皮下又は大腿部などの皮下に本剤を注射する。複数回の注射が必要な場合、同一部位への反復注射は行わないこと。
14.2.3 皮膚の発赤、挫傷、圧痛、硬結又は瘢痕がある部位には注射しないこと。
14.2.4 未使用残液については適切に廃棄すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 継続投与期は、最低5日を空けて本剤を投与すること。
7.3 本剤投与によるサイトカイン放出症候群を軽減させるため、漸増期の投与については、本剤投与開始1~3時間前に副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与すること。[1.2、8.1、11.1.1参照]
7.4 本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に本剤を休薬又は中止すること。
副作用発現時の本剤の休薬又は中止基準
副作用重症度注)処置
サイトカイン放出症候群Grade 1又は2回復するまで本剤を休薬する。
Grade 3(初発)回復するまで本剤を休薬する。48時間以上持続する場合は本剤の投与を中止する。
Grade 3(再発)又はGrade 4本剤の投与を中止する。
免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群Grade 1、2又は3(初発)回復するまで本剤を休薬する。
Grade 3(再発)又はGrade 4本剤の投与を中止する。
血液学的毒性好中球数が500/μL未満好中球数が500/μL以上になるまで本剤を休薬する。
発熱性好中球減少症好中球数が1,000/μL以上になり、解熱するまで本剤を休薬する。
ヘモグロビンが8g/dL未満ヘモグロビンが8g/dL以上になるまで本剤を休薬する。
血小板数が25,000/μL未満
血小板数が25,000/μL以上50,000/μL以下、かつ出血を伴う
血小板数が25,000/μL以上になり、出血が治まるまで、本剤を休薬する。
感染症漸増期全Grade活動性感染症の場合、回復するまで本剤を休薬する。
継続投与期Grade 3又は4Grade 1以下に改善するまで本剤を休薬する。
その他の非血液学的毒性Grade 3又は4Grade 2以下に改善するまで本剤を休薬する。
注)サイトカイン放出症候群及び免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群のGradeはASTCT2019に準じ、感染症及びその他の非血液学的毒性のGradeはNCI-CTCAE Version 5.0に準じる。
7.5 副作用等の理由による休薬後に本剤を再開する場合は、下表を参考に投与すること。以降は、用法・用量の投与スケジュールに準じること。サイトカイン放出症候群発現による休薬の場合は、本剤投与開始1~3時間前に前投与(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤)を行うこと。サイトカイン放出症候群発現以外による休薬の場合は、下表を参考に前投与を行うこと。
休薬後に再開する場合の用量
休薬直前の用量休薬期間再開時の用量
漸増用量1(0.06mg/kg)1週間(7日)以内の休薬漸増用量2(0.3mg/kg)で投与する注)
1週間(7日)を超える休薬漸増用量1(0.06mg/kg)で投与する注)
漸増用量2(0.3mg/kg)1週間(7日)以内の休薬治療用量(1.5mg/kg)で投与する注)
1週間(7日)を超え、4週間(28日)以内の休薬漸増用量2(0.3mg/kg)で投与する注)
4週間(28日)を超える休薬漸増用量1(0.06mg/kg)で投与する注)
治療用量(1.5mg/kg)9週間(63日)未満の休薬治療用量(1.5mg/kg)で投与する。
9週間(63日)以上、16週間(112日)未満の休薬漸増用量2(0.3mg/kg)で投与する注)
16週間(112日)以上の休薬漸増用量1(0.06mg/kg)で投与する注)
注)本剤投与開始1~3時間前に前投与(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤)を行うこと。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤による治療は、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む少なくとも3つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。[17.1.1、17.1.2参照]
5.2 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.1、17.1.2参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
国内第I/II相試験(MMY1002試験)の第I相パートで、日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者5例にテクリスタマブを漸増用量である0.06及び0.3mg/kgを皮下投与後、治療用量である1.5mg/kgを初回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。なお、漸増用量投与から初回の治療用量投与時までの各投与の投与間隔は2~4日間とされ、本剤投与開始後4~8日目に初回の治療用量を投与することとされた。
治療用量初回皮下投与後の薬物動態パラメータ
例数5
Tmax(hours)142.50(69.55-191.63)
Cmax(μg/mL)6.96(3.13)
AUCtau(μg・h/mL)907(524)
平均値(標準偏差)、Tmaxは中央値(範囲)
16.2 吸収
母集団薬物動態解析により、テクリスタマブを皮下投与したときの平均バイオアベイラビリティは72%と推定された。
16.3 分布
母集団薬物動態解析により、テクリスタマブの総分布容積の平均値(CV%)は5.63L(29%)と推定された。
16.5 排泄
母集団薬物動態解析により、定常状態のクリアランスの幾何平均値(CV%)は0.472L/日(64%)と推定された。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
治療域の狭いCYP基質
ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムス等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の投与開始から2回目の治療用量投与前まで、並びにサイトカイン放出症候群発現時及び発現後一定期間は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
生ワクチン又は弱毒生ワクチン接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う。本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 サイトカイン放出症候群(72.3%)
異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤、トシリズマブ(遺伝子組換え)の投与等の適切な処置を行うこと。[1.2、7.3、8.1参照]
11.1.2 神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)
頭痛(8.4%)、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(4.2%)、脳症(1.6%)、末梢性ニューロパチー(1.6%)、錯乱状態(0.5%)、浮動性めまい(0.5%)、痙攣発作(0.5%)、意識レベルの低下(頻度不明)等の神経学的事象があらわれることがある。異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、本剤の投与中止、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[1.3、8.2、8.3参照]
11.1.3 感染症
上気道感染(22.0%)、肺炎(14.7%)、敗血症(4.2%)、尿路感染(3.1%)、ニューモシスチス・イロベチイ肺炎(2.6%)、蜂巣炎(0.5%)等の感染症があらわれることがある。また、サイトメガロウイルス感染等が再活性化することがある。[8.4、9.1参照]
11.1.4 進行性多巣性白質脳症(PML)(0.5%)
死亡に至った症例も報告されているので、本剤の投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.5 血球減少
好中球減少症(66.0%)、リンパ球減少症(31.9%)、貧血(29.8%)、血小板減少症(27.2%)、白血球減少症(9.9%)、発熱性好中球減少症(4.7%)等があらわれることがある。[8.5参照]
11.1.6 腫瘍崩壊症候群(0.5%)
異常が認められた場合には、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。[8.6参照]
11.1.7 低γグロブリン血症(22.5%)
異常が認められた場合には適切な処置(免疫グロブリン補充療法を定期的に行う等)を行うとともに、感染症の兆候等に対する観察を十分に行うこと。[8.7参照]
11.1.8 間質性肺疾患(頻度不明)
異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、必要に応じて、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上5%以上10%未満5%未満頻度不明
代謝および栄養障害低リン血症、食欲減退、低マグネシウム血症、低カリウム血症、低アルブミン血症、低カルシウム血症、低ナトリウム血症、高アミラーゼ血症高カルシウム血症、高カリウム血症、低血糖
血管障害高血圧、出血、低血圧
呼吸器、胸郭および縦隔障害咳嗽呼吸困難、低酸素症
胃腸障害下痢悪心、嘔吐腹痛、便秘
皮膚および皮下組織障害発疹、そう痒症
筋骨格系および結合組織障害筋骨格痛筋痙縮
一般・全身障害および投与部位の状態注射部位反応(37.2%)、疲労、発熱疼痛浮腫
臨床検査トランスアミナーゼ上昇血中ALP増加、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加、リパーゼ増加、血中クレアチニン増加
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