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ドルミカムシロップ2mg/mL

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 麻酔前投薬

用法・用量

  • 通常、小児にはミダゾラムとして1回0.25~1.0mg/kg(最大用量20mg)を麻酔開始前に経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 呼吸及び循環動態の連続的な観察ができる設備を有し、緊急時に十分な措置が可能な施設において、本剤の薬理作用を正しく理解し、小児の麻酔前投薬での鎮静における患者管理に熟練した医師のもとで使用すること。呼吸抑制及び呼吸停止を引き起こすことがあり、速やかな処置が行われないために死亡又は低酸素脳症に至った症例が報告されている。[8.1、8.2、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 急性閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]
  • 2.3 重症筋無力症のある患者[重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがある。]
  • 2.4 HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビルを含有する薬剤、ホスアンプレナビル、ダルナビルを含有する薬剤)、コビシスタットを含有する薬剤、ニルマトレルビル・リトナビル及びロナファルニブを投与中の患者[10.1参照]
  • 2.5 ショックの患者、昏睡の患者、バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒の患者[呼吸抑制や血圧低下等の症状を悪化させるおそれがある。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 呼吸機能に障害のある患者
酸素飽和度をモニターし、酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の蘇生に必要な薬剤を準備したうえで使用すること。本剤の投与により、呼吸状態が悪化するおそれがある。[1.、8.1、11.1.1参照]
9.1.2 上気道閉塞に関連する疾患(高度の肥満症、小顎症、扁桃肥大、睡眠時無呼吸症候群等)を有する患者
気道閉塞を起こしやすく、無呼吸、呼吸抑制、舌根沈下等が発現した場合、マスク換気や気管挿管による気道確保の操作が困難であることから、本剤の投与の可否を慎重に判断すること。[1.、8.1、11.1.1参照]
9.1.3 重症心不全等の心疾患のある患者
必ず動脈圧及び心電図をモニターし、昇圧剤等の蘇生に必要な薬剤を準備したうえで使用すること。本剤の投与により症状の悪化又は急激な血圧低下を来すことがある。[7.3、8.1、16.6.1参照]
9.1.4 脳に器質的障害のある患者
作用が強くあらわれるおそれがある。[7.3参照]
9.1.5 衰弱患者
作用が強く又は長くあらわれるおそれがある。[7.3参照]
9.1.6 重症の水分又は電解質障害のある急性期患者
十分な補液・輸液が行われるまで本剤の投与を行わないこと。脱水等により体液が不足している患者では、本剤の投与により血圧低下を来しやすい。[8.1参照]
9.1.7 手術中に多量の出血が予想される患者、多量の輸液を必要とする患者
血圧低下及び心電図異常を来しやすい。[8.1参照]
9.1.8 アルコール又は薬物乱用の既往のある患者
9.2 腎機能障害患者
代謝・排泄が遅延し、作用が強く又は長くあらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
代謝・排泄が遅延し、作用が強く又は長くあらわれるおそれがある。[7.3、16.6.3参照]
9.5 妊婦
9.5.1 治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠中の投与に関し、次のような報告がある。[16.3.3参照]
(1)妊娠中に他のベンゾジアゼピン系薬剤の投与を受け、出生した新生児に口唇裂(口蓋裂を伴うものを含む)等が対照群と比較して有意に多いとの疫学的調査報告がある。
(2)妊娠末期の妊婦へ投与又は分娩中の患者に高用量を投与したとき、胎児に心拍数の不整、新生児に低血圧、哺乳困難、低体温、呼吸抑制があらわれたとの報告がある。なお、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に哺乳困難、嘔吐、活動低下、筋緊張低下、過緊張、嗜眠、傾眠、呼吸抑制・無呼吸、チアノーゼ、易刺激性、神経過敏、振戦、低体温、頻脈等を起こすことが報告されており、これらの症状は、離脱症状あるいは新生児仮死として報告される場合もある。また、ベンゾジアゼピン系薬剤で新生児に黄疸の増強を起こすことが報告されている。
(3)分娩前に連用した場合、出産後新生児に離脱症状があらわれることが、ベンゾジアゼピン系薬剤で報告されている。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中への移行が認められている。[16.3.4参照]
9.7 小児等
9.7.1 生後6ヵ月未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 小児等において、激越、不随意運動(強直性/間代性痙攣、筋振戦を含む)、運動亢進、敵意、激しい怒り、攻撃性、発作性興奮、暴行などの逆説反応が起こりやすいとの報告がある。

8.重要な基本的注意

8.1 無呼吸、呼吸抑制、舌根沈下、血圧低下等があらわれることがあるため、小児の基本的蘇生措置に精通した医師の監視下で、患者が完全に回復するまでパルスオキシメーターや血圧計等を用いて、患者の呼吸及び循環動態を継続的に観察すること。[1.、9.1.1-9.1.3、9.1.6、9.1.7、11.1.1参照]
8.2 本剤投与前に年齢や体格に応じた酸素吸入器、吸引器具、挿管器具等の人工呼吸のできる器具及び昇圧剤等の救急蘇生剤を手もとに準備しておくこと。また、必要に応じてフルマゼニル(ベンゾジアゼピン受容体拮抗剤)を手もとに準備しておくことが望ましい。[1.、13.2参照]
8.3 術後は全身状態に注意し、基本的運動・平衡機能の回復等に基づき帰宅可能と判断できるまで患者を管理下に置くこと。また、鎮静の影響が完全に消失するまでは危険を伴う機械操作に従事しないよう、患者に注意すること。
8.4 本剤投与にあたっては、原則としてあらかじめ絶食させておくこと。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
14.1.1 開栓後は汚染防止のため、使用の都度必ず密栓し室温で保存すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤は経口投与のみに使用し、注射しないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の投与量は、臨床成績、最新の国内ガイドライン等を参考に、患者の年齢や状態に基づき選択すること。[17.1.1参照]
7.2 肥満の小児患者では、標準体重に基づいて投与量を算出すること。
7.3 ミダゾラムに対する反応は個人差があり、患者の年齢、感受性、全身状態及び併用薬等を考慮して、過度の鎮静を避けるべく投与量を決定すること。特に、衰弱患者、心不全患者、肝機能障害患者及び麻酔薬、鎮痛薬(麻薬性及び非麻薬性鎮痛薬)、局所麻酔薬、中枢神経系抑制薬等を併用する場合は、投与量を減じること。作用が強くあらわれやすい。[9.1.3-9.1.5、9.3、10.2、16.6.1、16.6.3参照]
7.4 本剤の投与タイミングは、臨床成績、最新の国内ガイドライン等を参考に決定すること。[17.1.1参照]

5.効能又は効果に関連する注意

生後6ヵ月未満の小児における有効性及び安全性は確立していない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
生後6ヵ月以上~16歳未満の全身麻酔施行下での日本人予定手術患者14例に本剤0.5mg/kg(最大用量20mg)を麻酔開始前に単回経口投与したときの年齢区分ごとの血漿中ミダゾラムの濃度推移及び薬物動態パラメータは次の通りであった。
年齢区分ごとの血漿中ミダゾラム濃度推移
年齢区分ごとの血漿中ミダゾラムの薬物動態パラメータ
年齢区分Cmax(ng/mL)Tmax(h)T1/2(h)AUC0-inf(ng・h/mL)CL(L/h/kg)
生後6ヵ月以上2歳未満84.94±59.14(n=5)0.32(0.30-0.37)(n=5)2.56±1.14(n=4)122.6±54.4(n=4)4.54±1.42(n=4)
2歳以上12歳未満90.27±66.29(n=7)0.32(0.30-0.33)(n=7)1.62±0.36(n=5)166.9±79.5(n=5)3.80±2.34(n=5)
12歳以上16歳未満69.80±2.40(n=2)0.92(0.33-1.50)(n=2)2.57±0.38(n=2)162.5±104.0(n=2)3.87±2.48(n=2)
平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小-最大)
16.2 吸収
小児患者6例にミダゾラムシロップ0.5mg/kgを単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティ(平均値±標準偏差)は36±24%であった(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合率
ミダゾラムの血漿蛋白結合率は約96%であった(外国人データ)。
16.3.2 分布容積
日本人小児患者(11例)に本剤0.5mg/kg(最大用量20mg)を麻酔開始前に単回経口投与したときの分布容積は12.9L/kgであった。
16.3.3 胎児への移行性
帝王切開時に麻酔導入を目的として妊産婦に静脈内投与した試験から胎盤通過性及び胎児循環への移行が確認された(外国人データ)。[9.5.1参照]
16.3.4 乳汁移行性
静脈内投与後の授乳婦の乳汁中にミダゾラムが検出された。[9.6参照]
16.4 代謝
ヒト肝小胞体を用いたin vitro代謝試験において、1-ヒドロキシ体及び4-ヒドロキシ体の2つの代謝物が生成され、いずれの水酸化反応にもCYP3A4が関与することが確認された(外国人データ)。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性6例(静脈内0.3mg/kgのみ3例)にミダゾラムを単回静脈内(0.1、0.2、0.3mg/kg)注)あるいは筋肉内(0.2mg/kg)注)投与したとき、投与後24時間までに投与量の66.1~87.8%が1-ヒドロキシメチル体として尿中に排出された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 心機能障害患者
うっ血性心不全患者に冠動脈造影の前投薬としてミダゾラム5mgを静脈内投与注)したときの半減期は健康被験者群の約2倍(6.5vs2.8時間)に延長し、CLは変わらなかった(0.48vs0.37L/hr/kg)(外国人データ)。[7.3、9.1.3参照]
16.6.2 腎機能障害患者
成人の慢性腎不全患者15例にミダゾラム0.2mg/kgを単回静脈内投与注)したとき、健康被験者群に対して結合型+非結合型薬物のCL及びVdは2倍に増加したが、半減期に変化は認められなかった。一方、非結合型薬物のCL及びVdは健康被験者群と変わらなかった(外国人データ)。
16.6.3 肝機能障害患者
成人の慢性肝疾患(肝硬変)患者7例にミダゾラム7.5mgを静脈内投与注)したとき、健康被験者群に対して、CLは低下し(3.34vs5.63mL/min/kg)、半減期は延長した(7.36vs3.80時間)。また、同じ肝硬変患者6例にミダゾラム15mgを経口投与注)したとき、健康被験者群に対してバイオアベイラビリティが高かった(76vs38%)(外国人データ)。[7.3、9.3参照]
注)本剤の麻酔前投薬の承認用量は、小児にはミダゾラムとして1回0.25~1.0mg/kg(最大用量20mg)を麻酔開始前に経口投与する、である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
HIVプロテアーゼ阻害剤
リトナビルを含有する薬剤
(ノービア、カレトラ)
ホスアンプレナビル
(レクシヴァ)
ダルナビルを含有する薬剤
(プリジスタ、プレジコビックス、シムツーザ)
コビシスタットを含有する薬剤
(ゲンボイヤ、プレジコビックス、シムツーザ)
ニルマトレルビル・リトナビル
(パキロビッドパック)
ロナファルニブ
(ゾキンヴィ)
[2.4参照]
過度の鎮静や呼吸抑制を起こすおそれがある。これらの薬剤によるCYP3Aに対する阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇することが考えられている。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
中枢神経抑制剤
フェノチアジン誘導体
バルビツール酸誘導体
麻薬性鎮痛剤等
[7.3参照]
モノアミン酸化酵素阻害剤
アルコール(飲酒)
鎮静・麻酔作用が増強されたり、呼吸数、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧及び心拍出量が低下するおそれがある。相加的に中枢神経抑制作用(鎮静・麻酔作用、呼吸及び循環動態への作用)を増強する可能性がある。
主にCYP3Aで代謝される薬剤
カルバマゼピン
クロバザム
トピラマート等
本剤又はこれらの薬剤の作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤との併用により、代謝が阻害され、本剤及びこれらの薬剤の血中濃度が上昇することが考えられている。
CYP3Aを阻害する薬剤
カルシウム拮抗剤
ベラパミル塩酸塩
ジルチアゼム塩酸塩
アゾール系抗真菌剤
ケトコナゾール
フルコナゾール
イトラコナゾール等
シメチジン
エリスロマイシン
クラリスロマイシン
ホスネツピタント塩化物塩酸塩
カロテグラストメチル
ピミテスピブ
エンシトレルビル フマル酸
ベルモスジルメシル酸塩
カピバセルチブ
グレープフルーツジュース等
中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤によるCYP3Aに対する阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
抗悪性腫瘍剤
ビノレルビン酒石酸塩
パクリタキセル等
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。本剤がCYP3Aを阻害し、これらの薬剤の代謝を阻害し血中濃度が上昇することが考えられている。
プロポフォール
[7.3参照]
麻酔・鎮静作用が増強されたり、収縮期血圧、拡張期血圧、平均動脈圧及び心拍出量が低下することがある。相互に作用(麻酔・鎮静作用、血圧低下作用)を増強させる。また、CYP3Aに対する阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
CYP3Aを誘導する薬剤
リファンピシン
カルバマゼピン
エンザルタミド
ダブラフェニブ
ミトタン
アメナメビル
ロルラチニブ
イプタコパン塩酸塩水和物
フェニトイン
フェノバルビタール
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
本剤の作用を減弱させることがある。CYP3Aが誘導され、本剤の代謝が促進される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 呼吸抑制(頻度不明)
無呼吸、呼吸困難、呼吸停止、舌根沈下等があらわれるおそれがある。[1.、8.1、9.1.1、9.1.2参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1~5%未満頻度不明注)
呼吸器しゃっくり、咳、喀痰
循環器不整脈、徐脈、頻脈、心房細動、血圧低下、血圧上昇、血圧変動
精神神経系覚醒遅延悪夢、めまい、頭痛、不穏、興奮、ふるえ、不随意運動、視覚異常、せん妄
消化器悪心、嘔吐、嘔気
肝臓AST上昇、ALT上昇、ALT低下、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇、LDH上昇、Al-P上昇
過敏症紅斑、蕁麻疹、発疹、そう痒感
その他高カリウム血症体動、発汗、顔面浮腫、体温低下、白血球数上昇、CK上昇

注)同一有効成分含有の製剤において認められている副作用のため頻度不明。

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