薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
エファビレンツ [16.7.2参照] | 本剤1400mg+リトナビル200mg1日1回とエファビレンツ600mg1日1回を併用した場合、アンプレナビルのAUCは13%、Cminは36%低下したが、リトナビルを300mgに増量すると、アンプレナビルの血中濃度は維持された。また、本剤700mg+リトナビル100mg1日2回投与とエファビレンツ600mg1日1回を併用した場合、アンプレナビルの血中濃度に著しい変化はなかった。 | これら薬剤はCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進される。 |
ネビラピン [16.7.2参照] | 本剤1400mg1日2回とネビラピン200mg1日2回を併用した場合、アンプレナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ25%、33%、35%低下し、ネビラピンのCmax、AUC、Cminはそれぞれ25%、29%、34%上昇した。 また、本剤700mg+リトナビル100mg1日2回とネビラピン200mg1日2回を併用した場合、アンプレナビルのAUC及びCminはそれぞれ11%、19%低下し、ネビラピンのCmax、AUC、Cminはそれぞれ13%、14%、22%上昇した。本剤700mg+リトナビル100mg1日2回とネビラピン200mg1日2回を併用する場合には、用量を調節する必要はない。 なお、本剤+リトナビル1日1回投与におけるネビラピンとの併用試験は実施されていない。 | これら薬剤はCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進される。 |
インジナビル硫酸塩エタノール付加物 [16.7.3参照] | アンプレナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ18%、33%、25%上昇し、インジナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ22%、38%、27%低下した。 なお、本剤及びリトナビルとインジナビルとの併用における推奨用量は確立していない。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
サキナビル [16.7.3参照] | アンプレナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ37%、32%、14%低下し、サキナビルのCmaxは21%上昇し、AUC及びCminはそれぞれ19%、48%低下した。 本剤及びリトナビルとサキナビルとの併用における推奨用量は確立していない。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
ネルフィナビルメシル酸塩 [16.7.3参照] | アンプレナビルのCmaxは14%低下し、Cminは189%上昇し、ネルフィナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ12%、15%、14%上昇した。 本剤及びリトナビルとネルフィナビルとの併用における推奨用量は確立していない。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
アタザナビル硫酸塩 [16.7.2参照] | 本剤700mg+リトナビル100mg1日2回とアタザナビル300mg1日1回を併用した場合、アタザナビルのCmax、AUCはそれぞれ24%、22%低下した。 なお、本剤及びリトナビルとアタザナビルとの併用における推奨用量は確立していない。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
ロピナビル・リトナビル [16.7.2参照] | 本剤700mg+リトナビル100mg1日2回とロピナビル・リトナビル(400mg・100mg)1日2回を併用した場合、アンプレナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ58%、63%、65%低下し、ロピナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ30%、37%、52%上昇した。 また、本剤1400mg1日2回とロピナビル・リトナビル(533mg・133mg)1日2回を併用した場合、アンプレナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ13%、26%、42%低下した。 なお、本剤及びリトナビルとロピナビル・リトナビルとの併用における推奨用量は確立していない。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
リファブチン [16.7.3参照] | アンプレナビルは、リファブチンのAUCを193%上昇させるため、本剤とリファブチンを併用する場合には、リファブチンの投与量を少なくとも半量に減量し、また、本剤+リトナビルとリファブチンを併用する場合には、リファブチンの投与量を少なくとも1/4に減量し、患者の臨床症状等を十分に観察すること。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
リドカイン(全身投与) アミオダロン塩酸塩 キニジン硫酸塩水和物 シクロスポリン タクロリムス水和物 シロリムス 三環系抗うつ剤 アミトリプチリン、 クロミプラミン等 | これら薬剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、血中濃度のモニタリングを行うことが望ましい。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
ワルファリンカリウム | ワルファリンの血中濃度が上昇する可能性があるので、血液凝固能検査のモニタリングを行うことが望ましい。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
カルシウム拮抗剤 アムロジピン、 ジルチアゼム塩酸塩、 フェロジピン、 ニカルジピン塩酸塩、 ニフェジピン、 ニソルジピン、 ベラパミル塩酸塩等 | これら薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性がある。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
ジアゼパム フルラゼパム アルプラゾラム クロラゼプ酸二カリウム | これら薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強する可能性がある。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
シンバスタチン アトルバスタチンカルシウム水和物 lovastatin(国内未発売) [16.7.2参照] | これら薬剤の血中濃度が上昇し、ミオパシー及び横紋筋融解症を起こす可能性がある。本剤700mg+リトナビル100mg1日2回とアトルバスタチン10mg1日1回を併用した場合、アトルバスタチンのCmax、AUC、Cminはそれぞれ184%、153%、73%上昇した。本剤1400mg1日2回とアトルバスタチン10mg1日1回を併用した場合、アンプレナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ18%、27%、12%低下した。一方、アトルバスタチンのCmax、AUCはそれぞれ304%、130%上昇し、Cminは10%低下した。 本剤と20mg/日以上のアトルバスタチンを併用する場合は、アトルバスタチンの副作用の発現に注意すること。なお、プラバスタチンやフルバスタチンの代謝にはCYP3A4は関与していないため、HMG-CoA還元酵素阻害剤を併用する場合にはプラバスタチンやフルバスタチンが推奨される。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
シルデナフィルクエン酸塩 タダラフィル | シルデナフィルクエン酸塩、タダラフィルの血中濃度が上昇し、これら薬剤に関連する事象(低血圧、失神、視覚障害、持続勃起症等)の発現が増加する可能性がある。 よって、併用する場合には、これら薬剤の減量を考慮するとともに、有害事象のモニタリングを行うなど注意すること。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
ケトコナゾール(経口剤国内未発売) イトラコナゾール [16.7.3参照] | これら薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。 特に、高用量のケトコナゾール、イトラコナゾール(>200mg/日)の投与は有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ、十分な観察のもとで投与すること。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
エリスロマイシン クラリスロマイシン | これら薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。特に、リトナビルはクラリスロマイシンの血中濃度を上昇させるため、腎障害患者において本剤及びリトナビルとクラリスロマイシンを併用する場合は、クラリスロマイシンの用量を減量すべきである。 | アンプレナビルとこれら薬剤はCYP3A4で代謝されるため、併用により代謝が競合的に阻害される。 |
CYP3A4誘導作用を有する抗けいれん薬 フェノバルビタール フェニトイン カルバマゼピン等 | アンプレナビルの血中濃度を低下させる可能性がある。 | これら薬剤等はCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進される。 |
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 | アンプレナビルの代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。 | これら薬剤等はCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進される。 |
デキサメタゾン | アンプレナビルの血中濃度を低下させる可能性がある。 | これら薬剤等はCYP3A4を誘導するため、本剤の代謝が促進される。 |
ラルテグラビルカリウム [16.7.2参照] | 本剤1400mg1日2回とラルテグラビル400mg1日2回を併用した場合、アンプレナビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ27%、36%、43%低下し、ラルテグラビルのCmax、AUC、Cminはそれぞれ29%、37%、38%低下した(空腹時投与)。 アンプレナビルの血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがあるので、ブーストしない本剤とラルテグラビルの併用は推奨されない。本剤とラルテグラビルを併用する場合は、さらに低用量のリトナビルも併用すること。 | 機序は不明である。 |
マラビロク [16.7.2参照] | 本剤700mg+リトナビル100mg1日2回とマラビロク300mg1日2回を併用した場合、アンプレナビルのCminは36%減少し、マラビロクのAUCは149%増加した。また、本剤1400mg+リトナビル100mg1日1回とマラビロク300mg1日1回を併用した場合、アンプレナビルのCminは15%減少し、マラビロクのAUCは126%増加した。 本剤+リトナビルとマラビロクを併用する場合には、マラビロクの用量を150mg1日2回に減量すること。 | 本剤及びリトナビルのCYP3A4に対する阻害作用により、マラビロクの代謝が阻害される。 |
イブルチニブ | イブルチニブの血中濃度が上昇する可能性がある。 | 本剤のCYP3A4に対する阻害作用により、イブルチニブの代謝が阻害される。 |
エベロリムス | エベロリムスの血中濃度が上昇する可能性がある。 | 本剤のCYP3A4に対する阻害作用により、エベロリムスの代謝が阻害される。 |
テラプレビル | 本剤+リトナビルとテラプレビルの併用により、定常状態におけるアンプレナビルとテラプレビルの血中濃度が低下する可能性がある。 | 機序は不明である。 |
シメプレビル | シメプレビルの血中濃度が変化する可能性がある。シメプレビルの血中濃度が低下しシメプレビルの効果が減弱する、もしくはシメプレビルの血中濃度が上昇し副作用が発現するおそれがあるので、本剤とシメプレビルを併用する場合は十分注意すること。 | 本剤のCYP3A4阻害作用又は誘導作用により、シメプレビルの代謝が阻害又は促進される。 |
ドルテグラビルナトリウム [16.7.2参照] | 本剤700mg+リトナビル100mg1日2回とドルテグラビル50mg1日1回の併用により、ドルテグラビルの血漿中濃度がCmaxで24%、Cτで49%低下させたとの報告があるため、HIVインテグラーゼ阻害剤に耐性を有する患者では、本剤と併用しないこと。 | 本剤がCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。 |
パロキセチン塩酸塩水和物 | パロキセチン塩酸塩水和物の作用が減弱する可能性がある。本剤及びリトナビルとパロキセチン塩酸塩水和物の併用により、パロキセチンの血中濃度が約60%低下したとの報告がある。 | 機序は不明である。 |
黄体・卵胞ホルモン剤 エチニルエストラジオール、ノルエチステロン等 [16.7.2参照] | 本剤及びリトナビルと黄体・卵胞ホルモン剤の併用により、リトナビルの血中濃度の上昇及び黄体・卵胞ホルモン剤の血中濃度の低下がみられ、肝トランスアミナーゼの上昇や黄体・卵胞ホルモンレベルの変動がみられる可能性がある。 また、本剤投与時に避妊する場合は、これらの経口避妊薬とは別の避妊法を行うことが望ましい。なお、本剤及びリトナビルと高用量のエストロゲンやプロゲストゲンを併用した場合のデータは得られておらず、有効性・安全性は確立していない。 | 機序は不明である。 |