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他剤形 薬剤一覧

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • <ラパリムス錠1mg>

    • ○リンパ脈管筋腫症
    • ○下記の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形

      • リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症
      • 血管内皮腫、房状血管腫
      • 静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群
      • 混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群
  • <ラパリムス顆粒0.2%>

    • ○下記の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形

      • リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症
      • 血管内皮腫、房状血管腫
      • 静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群
      • 混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群

用法・用量

  • ラパリムス錠1mg

    • <リンパ脈管筋腫症>

      • ラパリムス錠1mg

        • 通常、成人にはシロリムスとして2mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと。
    • <難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形>

      • ラパリムス錠1mg

        • 通常、シロリムスとして、体表面積が1.0m2以上の場合は2mg、1.0m2未満の場合は1mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、血中トラフ濃度や患者の状態により投与量を調節するが、1日1回4mgを超えないこと。
  • ラパリムス顆粒0.2%

    • <難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形>

      • ラパリムス顆粒0.2%

        • 通常、シロリムスとして、体表面積が1.0m2以上の場合は2mg、0.6m2以上1.0m2未満の場合は1mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、血中トラフ濃度や患者の状態により投与量を調節するが、1日1回4mgを超えないこと。
        • 体表面積が0.6m2未満の場合は、月齢に応じて開始用量を下記のとおりとし、1日1回経口投与する。以後は、血中トラフ濃度や患者の状態により投与量を調節するが、下記の最大用量を超えないこと。
          月齢1日あたり開始用量
          (最大1mgまで)
          1日あたり最大用量
          (最大4mgまで)
          3ヵ月未満0.02mg/kg0.08mg/kg
          3ヵ月以上6ヵ月未満0.04mg/kg0.16mg/kg
          6ヵ月以上12ヵ月未満0.06mg/kg0.24mg/kg
          12ヵ月以上0.08mg/kg0.32mg/kg

禁忌 

【警告】

  • <効能共通>

    • 1.1 本剤は、本剤及び適応疾患に十分な知識を持つ医師のもとで使用すること。
    • 1.2 本剤の投与により、間質性肺疾患が認められており、海外においては死亡に至った例が報告されている。投与に際しては咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状に注意するとともに、投与前及び投与中は定期的に胸部CT検査を実施すること。また、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。なお、小児に対する胸部CT検査の実施に際しては、診断上の有益性と被曝による不利益を考慮すること。[7.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照]
    • 1.3 肝炎ウイルスキャリアの患者では、本剤の投与期間中に肝炎ウイルスの再活性化を生じ、肝不全から死亡に至る可能性がある。本剤の投与期間中又は投与終了後は、定期的に肝機能検査を行うなど、肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。[8.2、9.1.3、11.1.2参照]
  • <難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形>

    • 1.4 錠剤と顆粒剤は生物学的に同等ではないため、剤形の切替えに際しては、血中濃度を確認すること。[7.6、16.1.3、16.1.4参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.4、9.5参照]
  • 2.3 生ワクチンを接種しないこと[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 肺に間質性陰影を認める患者
間質性肺疾患が発症、重症化するおそれがある。[1.2、7.2、8.1、11.1.1参照]
9.1.2 感染症を合併している患者
免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある。[8.2、11.1.2、11.1.5、11.1.6参照]
9.1.3 肝炎ウイルス、結核等の感染又は既往歴を有する患者
本剤の投与期間中又は投与終了後は、定期的に肝機能検査を行うなど、肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。再活性化するおそれがある。また、肝炎ウイルスキャリアの患者では、本剤の投与期間中に肝炎ウイルスの再活性化を生じ、肝不全から死亡に至る可能性がある。[1.3、8.2、11.1.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度(Child-Pugh分類 Grade B)以上の肝機能障害患者
投与量を半量から開始すること。血中濃度が上昇するおそれがある。[7.3、7.4、16.6.1参照]
9.3.2 軽度(Child-Pugh分類 Grade A)の肝機能障害患者
血中濃度が上昇するおそれがある。[7.4、16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性には、投与期間中及び投与終了後少なくとも12週間は、適切な避妊を行うよう指導すること。[2.2、9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。ラットにおける胚・胎児発生に関する試験において臨床推奨用量の曝露量以下で、初期吸収胚数、吸収胚数及び死亡胎児数の増加、生存胎児数の減少、胎児体重の低値、並びに主として椎骨の骨化遅延及び変異の増加が報告されている。[2.2、9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
<リンパ脈管筋腫症>
9.7.1 18歳未満の患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
<難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形>
9.7.2 錠剤を用いて、低出生体重児、新生児、乳児、体表面積が0.6m2未満の幼児又は小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.3 顆粒剤を用いて、低出生体重児又は新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

8.1 間質性肺疾患(致命的な転帰をたどることがある)があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始後は以下の点に注意すること。また、患者に対し、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、直ちに連絡するように指導すること。なお、小児に対する胸部CT検査の実施に際しては、診断上の有益性と被曝による不利益を考慮すること。[1.2、7.2、9.1.1、11.1.1参照]
8.1.1 投与開始前
胸部CT検査を実施し、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状の有無と併せて、投与開始の可否を慎重に判断すること。
8.1.2 投与開始後
定期的に胸部CT検査を実施し、肺の異常所見の有無を慎重に観察すること。咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状がみられた患者で、感染、腫瘍及びその他の医学的な原因が適切な検査で除外された場合には、間質性肺疾患の診断を考慮し、必要に応じて肺機能検査(肺拡散能力[DLCO]、酸素飽和度等)及び追加の画像検査を実施すること。
8.2 本剤の免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルスあるいは原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化する可能性があり、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者においてB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。本剤投与により、肝炎ウイルス、結核等が再活性化する可能性があるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置をしておくこと。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。[1.3、9.1.2、9.1.3、11.1.2、11.1.5、11.1.6参照]
8.3 本剤投与により、悪性リンパ腫、悪性腫瘍(特に皮膚)を発現する可能性があるので、悪性腫瘍等の発現には注意すること。[15.2.2参照]
8.4 本剤投与により脂質異常があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に脂質検査を実施し、脂質異常がみられた場合は、適切な食事指導、運動指導を実施し、必要により高脂血症用剤を投与するなど適切な処置を行うこと。[11.1.8参照]
8.5 本剤投与により、創傷治癒不良のおそれがある。海外で肺移植患者において気管支吻合部離開例(致死的)が報告されているので、肺移植登録患者では本剤の投与を中止し、移植までに十分な休薬期間を確保すること。また、その他の手術時においても、創傷治癒不良の影響を考慮し、手術前の休薬期間を設けることが望ましい。創傷時には観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬し、適切な処置を行うこと。[11.1.9、15.2.1参照]
8.6 蛋白尿があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に尿蛋白を測定し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。[11.1.10参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
<錠>
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
<顆粒>
14.1.2 分包する場合、冷暗所へ保存するよう指導すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 高脂肪食の摂取後に錠剤又は液剤(国内未承認)を投与した場合、血中濃度に影響を及ぼすとの報告がある。安定した血中濃度を維持できるよう、本剤の投与時期は、食後又は空腹時のいずれか一定とすること。[16.2.1、16.2.2参照]
7.2 本剤の血中トラフ濃度や投与量の増加に伴い、間質性肺疾患の発現リスクが増加する可能性がある。間質性肺疾患が発現した場合は、症状、重症度に応じて、以下の目安を考慮し、休薬又は中止すること。[1.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照]
間質性肺疾患に対する休薬・中止の目安
症状投与の可否等
無症候性で画像所見の異常のみ投与継続
軽度の臨床症状注1)を認める(日常生活に支障なし)症状が改善するまで休薬し、症状の改善を認めた場合には投与再開可能とする。
重度の臨床症状注1)を認める(日常生活に支障があり、酸素療法を要する)本剤の投与を中止し、原則として再開しないこと。ただし、症状が改善し、かつ治療上の有益性が危険性をうわまわると判断された場合のみ、投与中止前の半量からの投与再開可能とする。
生命を脅かす:緊急処置を要する(挿管・人工呼吸管理を要する)投与中止
注1)咳嗽、呼吸困難、発熱等
7.3 中等度から重度の肝機能障害がある患者では、投与量を半量から開始すること。[7.4、9.3.1、16.6.1参照]
7.4 増量時、副作用の発現が疑われる場合、肝機能障害がある患者に投与する場合あるいはCYP3A4又はP-糖蛋白に影響を及ぼす薬剤と併用する場合等、本剤の血中濃度に影響を及ぼすことが予想される場合には、本剤の血中トラフ濃度を測定し、15ng/mL以内を目安として投与量を調節すること。[7.3、9.3.1、9.3.2、10.、10.2、16.4、16.6.1、16.7.1-16.7.6参照]
<難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形>
7.5 本剤の投与開始から1~2週間後に血中トラフ濃度を測定し、15ng/mL以内を目安として投与量を調節すること。
7.6 錠剤と顆粒剤は生物学的に同等ではない。顆粒剤では、錠剤と比較して定常状態の血中トラフ濃度が1.23倍高かった。剤形の切替えに際しては、血中濃度の変動に注意し、切替えから1~2週間後の血中トラフ濃度を確認すること。[1.4、16.1.3、16.1.4参照]

5.効能又は効果に関連する注意

ラパリムス錠1mg
<リンパ脈管筋腫症>
5.1 本剤の錠剤を使用すること。本剤の使用にあたっては、厚生労働省難治性疾患克服研究事業呼吸不全に関する調査研究班のリンパ脈管筋腫症lymphangioleiomyomatosis(LAM)診断基準等を参考に確定診断された患者を対象とすること。
<難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形>
5.2 本剤の使用にあたっては、ガイドラインを参考に確定診断された患者を対象とすること。
5.3 静脈奇形は、ISSVA分類のcommon venous malformationを対象とすること。
5.4 悪性疾患、高流速型脈管奇形(動静脈奇形等)に対する本剤の有効性は確認されていない。
5.5 静脈奇形又はリンパ管奇形を含まない混合型脈管奇形への投与は推奨されない。

5.効能又は効果に関連する注意

ラパリムス顆粒0.2%
<難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形>
5.2 本剤の使用にあたっては、ガイドラインを参考に確定診断された患者を対象とすること。
5.3 静脈奇形は、ISSVA分類のcommon venous malformationを対象とすること。
5.4 悪性疾患、高流速型脈管奇形(動静脈奇形等)に対する本剤の有効性は確認されていない。
5.5 静脈奇形又はリンパ管奇形を含まない混合型脈管奇形への投与は推奨されない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 定常状態時の薬物動態
錠剤2mg/日で定常状態にある日本人リンパ脈管筋腫症患者10例に錠剤2mgを食後単回投与したときの血中濃度は、投与後平均2.75時間に最高濃度平均22.4ng/mLを示し、消失半減期は平均47.7時間であった。
図1 定常状態にある患者に、錠剤2mgを食後投与したときの血中濃度の推移及び薬物動態パラメータ
Cmax,ss(ng/mL)tmax(h)t1/2(h)AUCτ(ng・h/mL)CL/F(mL/h/kg)Vss/F(L/kg)Cmin,ss(ng/mL)
22.4±9.42.75±0.7347.7±41.0276±122156±419.0±6.58.2±4.1
平均値±標準偏差
16.1.2 血中トラフ濃度の推移
体表面積0.6m2以上の小児を含む難治性リンパ管疾患患者11例に錠剤を52週間投与し、血中トラフ濃度を測定した。開始用量として、錠剤1mg/日(体表面積1.0m2未満)又は2mg/日(体表面積1.0m2以上)を経口投与し、その後、目標血中トラフ濃度を5~15ng/mLとして、投与量を適宜調節した(最大投与量は1日4mg)。平均血中トラフ濃度は、投与2週後で5ng/mLを超え、52週後まで目標血中トラフ濃度を維持した。
表1 血中トラフ濃度
時点1週後2週後4週後12週後24週後52週後
全体5.4±1.8
(11例)
5.6±1.6
(11例)
5.5±1.8
(11例)
7.4±2.0
(11例)
8.4±2.2
(11例)
8.9±3.3
(9例)
体表面積1.0m2以上5.0±1.7
(8例)
5.5±1.6
(8例)
5.7±2.0
(8例)
7.3±1.5
(8例)
8.3±2.5
(8例)
9.6±3.4
(7例)
体表面積1.0m2未満6.6±2.1
(3例)
5.8±2.0
(3例)
5.2±1.3
(3例)
7.6±3.6
(3例)
8.8±1.5
(3例)
6.6±1.3
(2例)
(ng/mL)平均値±標準偏差
乳幼児を含む難治性脈管腫瘍・脈管奇形患者13例に本剤を52週間投与し、血中トラフ濃度を測定した。開始用量を1日1回体重30kg以上の場合、錠剤2mg又は顆粒剤1.4mg、30kg未満の場合、顆粒剤を月齢に応じて次のとおりとし、血中トラフ濃度を5~15ng/mLとなるよう投与量を適宜調節した。
3ヵ月未満:0.02mg/kg/日
3ヵ月以上6ヵ月未満:0.04mg/kg/日
6ヵ月以上12ヵ月未満:0.06mg/kg/日
1歳以上:0.08mg/kg/日、ただし1.4mg/日を超えない。
表2 血中トラフ濃度
製剤層別1週後2週後4週後12週後24週後52週後
全体5.5±2.4
(13例)
5.7±1.7
(13例)
5.8±2.0
(13例)
6.6±3.0
(13例)
6.6±1.5
(12例)
7.8±3.6
(13例)
錠剤30kg以上5.7±1.1
(4例)
6.2±1.0
(4例)
6.0±1.1
(4例)
6.5±1.0
(4例)
6.6±1.8
(3例)
9.7±5.0
(4例)
顆粒剤30kg以上2.9
(1例)
3.4
(1例)
4.1
(1例)
5.3
(1例)
8.8
(1例)
7.7
(1例)
30kg未満かつ体表面積0.6m2以上6.4±4.1
(3例)
6.2±2.5
(3例)
6.7±2.8
(3例)
6.8±4.1
(3例)
5.7±0.8
(3例)
9.7±2.2
(3例)
1歳以上かつ体表面積0.6m2未満5.5±2.7
(4例)
5.8±1.9
(4例)
4.8±2.4
(4例)
7.2±4.7
(4例)
6.7±1.9
(4例)
5.2±1.5
(4例)
1歳未満5.3
(1例)
4.1
(1例)
7.7
(1例)
5.2
(1例)
7.1
(1例)
5.1
(1例)
(ng/mL)平均値±標準偏差
16.1.3 錠剤と顆粒剤の比較
日本人健康成人に錠剤1mgを2錠又は顆粒剤2mgを、クロスオーバー法により空腹時単回経口投与した結果、AUCt、Cmaxともに生物学的同等性の判定基準であるlog(0.80)~log(1.25)を満たさず、生物学的に同等と判定できなかった。顆粒剤は錠剤に対して、AUCtで1.48倍(幾何平均の比)、Cmaxで2.30倍(幾何平均の比)であった。[1.4、7.6参照]
表3 錠剤及び顆粒剤の薬物動態パラメータ
製剤Cmax(ng/mL)tmaxa)(h)AUCt(ng・h/mL)t1/2(h)
錠剤6.9±1.82.0(1.5,4.0)111±2446.5±19.9
顆粒剤16.2±5.51.8(1.0,2.0)165±4056.8±19.9
平均値±標準偏差a)中央値(最小値,最大値)
表4 薬物動態パラメータの幾何平均の比
パラメータ幾何平均の比90%信頼区間
下限上限
AUCt1.481.221.80
Cmax2.301.902.78
#:顆粒剤/錠剤
16.1.4 母集団薬物動態解析(錠剤と顆粒剤の比較)
日本人データ(1282検体)を用いた母集団薬物動態解析の結果、錠剤に比し、顆粒剤の定常状態における血中トラフ濃度が1.23倍(90%信頼区間:1.09~1.37)高かった。[1.4、7.6参照]
16.2 吸収
16.2.1 シロリムス楕円錠
健康成人24例にシロリムス楕円錠10mg注)を空腹時及び高脂肪食摂取直後に単回投与したところ、高脂肪食摂取後ではtmax、Cmax及びAUCがそれぞれ32%(19分)、65%及び23%増加した(外国人データ)。[7.1参照]
16.2.2 シロリムス液剤
健康成人22例にシロリムス液剤15mg注)を空腹時及び高脂肪食摂取直後に単回投与したところ、高脂肪食摂取後ではtmax、Cmax及びAUCがそれぞれ254%増加、34%減少及び35%増加した(外国人データ)。[7.1参照]
16.3 分布
ヒト全血中の3H標識シロリムスの分布(放射活性比:平均値)は、赤血球中で94.5%、血漿で3.1%、リンパ球で1.0%、顆粒球で1.0%であった。全血/血漿比は11.1であった(in vitroデータ)。
健康成人27例に本剤15mg注)を単回経口投与したときの全血/血漿比は106であった(外国人データ)。
16.4 代謝
本剤はCYP3A4により広範に代謝され、またP-糖蛋白の基質である。本剤の主要な代謝物は、CYP3A4によるO-脱メチル化した代謝物と、水酸化による代謝物であった。[7.4、10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性に14C標識シロリムス42mg注)を単回投与したときの尿中及び糞中への排泄量は、それぞれ2.2%、91.0%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
軽度肝機能障害被験者(Child-Pugh分類 Grade A)13例、中等度肝機能障害被験者(Child-Pugh分類 Grade B)5例、重度肝機能障害被験者(Child-Pugh分類 Grade C)9例、肝機能正常被験者27例を対象に、シロリムス液剤15mg注)を単回投与したとき、軽度、中等度、重度肝機能障害被験者では、肝機能正常被験者と比較してAUCはそれぞれ48%、96%、210%増大し、見かけのクリアランス(CL/F)はそれぞれ32%、36%、67%減少し、t1/2はそれぞれ25%、89%、168%延長した(外国人データ)。[7.3、7.4、9.3.1、9.3.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ジルチアゼム
健康成人18例にシロリムス液剤10mg注)とジルチアゼム120mgを単回併用投与したとき、単独投与時に比べシロリムスのCmax、tmax及びAUCがそれぞれ43%、29%及び60%増加したが、シロリムスはジルチアゼムの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.2 ベラパミル
健康成人25例にシロリムス液剤2mg、1日1回とベラパミル180mg、1日2回を反復併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax、tmax及びAUC24hがそれぞれ134%、8%及び116%増加し、S(-)ベラパミルのCmax及びAUC12hがそれぞれ46%及び48%増加、tmaxが24%低下した(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.3 エリスロマイシン
健康成人24例にシロリムス液剤2mg、1日1回とエリスロマイシン800mg、1日3回を反復併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax及びAUCが約4倍に、tmaxは40%増加し、エリスロマイシンのCmax、tmax及びAUCがそれぞれ63%、29%及び69%増加した(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.4 ケトコナゾール
健康成人23例にケトコナゾール200mg/日、10日間反復投与中にシロリムス液剤5mg注)を単回併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax、tmax及びAUCがそれぞれ342%、38%及び990%増加したが、シロリムスはケトコナゾールの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.5 リファンピシン
健康成人14~16例にリファンピシン600mg、1日1回反復投与中にシロリムス液剤20mg注)を単回併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax及びAUCがそれぞれ71%及び82%低下したが、tmaxに対する影響は認められなかった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.6 シクロスポリン
健康成人24例にシロリムス錠剤10mg注)とシクロスポリン300mg(100mgカプセル)を単回併用投与したとき、単独投与に比べシロリムスのCmax及びAUCがそれぞれ512%及び148%増加したが、シロリムスはシクロスポリンの薬物動態に影響を及ぼさなかった。また、健康成人22例にシクロスポリン300mg単回投与4時間後にシロリムス錠剤10mg注)を投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax及びAUCは共に33%増加した(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
注)承認最大用量は、錠剤は4mg、顆粒剤は体表面積0.6m2以上は4mg、体表面積0.6m2未満は月齢ごとの開始用量(0.02~0.08mg/kg)の4倍又は4mgを超えない量である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)[2.3参照]免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと。免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シクロスポリン
カルシウム拮抗剤
ジルチアゼム
ニカルジピン
ベラパミル
抗真菌剤
フルコナゾール
イトラコナゾール
ケトコナゾール
ボリコナゾール等
マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン
クラリスロマイシン等
メトクロプラミド
ブロモクリプチン
シメチジン
ダナゾール
レテルモビル
プロテアーゼ阻害剤
リトナビル等
[7.4、16.7.1-16.7.4、16.7.6参照]
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。本剤の代謝酵素(CYP3A4等)が阻害されると考えられる。
ミカファンギンナトリウム[7.4参照]本剤のAUCが21%上昇したとの報告がある。併用する場合は患者の状態を慎重に観察し、本剤の副作用発現に注意し必要に応じて本剤の投与量を調節すること。機序不明
グレープフルーツジュース[7.4参照]本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けること。グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤等血管浮腫との関連性が示されている薬剤を服用している患者では、血管浮腫(顔面、口唇、舌、咽頭の腫脹等)を発症するリスクが高まるおそれがある。機序不明
リファンピシン
リファブチン
抗てんかん剤
カルバマゼピン
フェノバルビタール
フェニトイン
[7.4、16.7.5参照]
本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること。やむを得ず併用する場合には、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。
ロルラチニブ本剤の血中濃度が低下し、有効性が減弱する可能性がある。ロルラチニブがP-糖蛋白を誘導することによる。
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
[7.4参照]
本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 間質性肺疾患(3.0%)
間質性肺疾患(肺臓炎、薬剤性肺障害、器質性肺炎を伴う閉塞性細気管支炎、肺線維症等)の症例が生じており、海外で死亡に至った例が報告されている。[1.2、7.2、8.1、9.1.1参照]
11.1.2 感染症(62.4%)
細菌、真菌あるいはウイルスによる重篤な感染症[肺炎(4.5%)、敗血症(頻度不明)、蜂巣炎(1.5%)、尿路感染(0.8%)、腎盂腎炎、結核を含むマイコバクテリア感染、EB(エプスタイン・バール)ウイルス感染、CMV(サイトメガロウイルス)感染、単純ヘルペス(いずれも頻度不明)、帯状疱疹(2.3%)等]が発現又は悪化することがある。[1.3、8.2、9.1.2、9.1.3、11.1.5、11.1.6参照]
11.1.3 消化管障害
口内炎(78.2%)、下痢(44.4%)、悪心(17.3%)、嘔吐(5.3%)等が高頻度で認められている。
11.1.4 アナフィラキシー(頻度不明)
アナフィラキシー、血管浮腫、過敏性血管炎等の過敏症反応があらわれることがある。
11.1.5 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.2、9.1.2、11.1.2、11.1.6参照]
11.1.6 BKウイルス腎症(頻度不明)[8.2、9.1.2、11.1.2、11.1.5参照]
11.1.7 体液貯留
末梢性浮腫(9.8%)、胸水(3.0%)、心嚢液貯留(2.3%)、腹水(0.8%)等があらわれることがあるので、頻脈等の異常が認められた場合には、心電図、心エコー、胸部CT検査を行うとともに、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.8 脂質異常症
高コレステロール血症(8.3%)、高トリグリセリド血症(4.5%)、脂質異常症(3.8%)、血中コレステロール増加(3.0%)、高脂血症(2.3%)、脂質異常(0.8%)等を生じる可能性がある。[8.4参照]
11.1.9 創傷治癒不良
創傷治癒に影響を及ぼす可能性が考えられ、治癒不良(3.0%)及び移植手術後にリンパ嚢腫及び創し開を含む創傷治癒不良、筋膜離開、瘢痕ヘルニア、吻合部離開(いずれも頻度不明)等があらわれることがある。[8.5、15.2.1参照]
11.1.10 腎障害
蛋白尿(8.3%)、ネフローゼ症候群、巣状分節性糸球体硬化症、血中クレアチニン増加(いずれも頻度不明)等があらわれることがある。[8.6参照]
11.1.11 皮膚障害
ざ瘡(26.3%)、ざ瘡様皮膚炎(20.3%)、発疹(19.5%)、剥脱性発疹(3.8%)、そう痒症(3.0%)等があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満1%未満頻度不明
感染症鼻咽頭炎(24.1%)、気管支炎(14.3%)、胃腸炎、咽頭炎上気道感染、皮膚感染、歯周炎、膀胱炎、副鼻腔炎、歯肉炎、口腔ヘルペス、麦粒腫、外耳炎、唾液腺炎、扁桃炎、外陰部腟カンジダ症、細菌尿、感染性腸炎、RSウイルス感染憩室炎、毛包炎、インフルエンザ、喉頭炎、下気道感染、爪囲炎、腟感染、歯肉膿瘍、白癬感染、細菌感染、気道感染、歯槽骨炎
血液・リンパ白血球減少症、リンパ球減少症、貧血好中球減少症低γグロブリン血症
代謝・栄養食欲減退低カリウム血症高尿酸血症高血糖
精神・神経頭痛(21.1%)、浮動性めまい不眠症、気分変化、味覚異常頭部不快感、感覚鈍麻、記憶障害、末梢性感覚ニューロパチー、感覚障害、傾眠
結膜炎、眼乾燥、眼痛、眼瞼浮腫霰粒腫
中耳の炎症耳出血、耳痛、耳不快感
心・血管高血圧不整脈、動悸、出血
呼吸器上気道の炎症(23.3%)、呼吸障害(12.8%)、咳嗽(10.5%)、呼吸困難、口腔咽頭痛鼻出血、発声障害、気胸、鼻漏、肺出血急性呼吸不全、気管支痙攣、低酸素症、鼻閉、鼻粘膜障害
消化器腹痛(12.0%)、便秘、口唇炎、胃腸障害、上腹部痛下腹部痛、胃炎、消化不良、腹部不快感、歯痛、歯周病、腹部膨満、口内乾燥、腸炎、鼓腸、小腸閉塞胃食道逆流性疾患、歯肉痛、口腔内痛、顎下腺腫大、口の錯感覚
肝機能異常胆嚢炎
皮膚・皮下組織湿疹、爪破損、色素沈着障害、皮膚炎、蕁麻疹、紅斑、皮下出血、皮膚びらん、毛細血管拡張症、爪線状隆起脱毛症、貨幣状湿疹、多汗症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、点状出血、そう痒性皮疹、皮膚潰瘍、爪甲脱落症、手皮膚炎、皮膚腫瘤、皮下血腫
筋骨格筋骨格障害、背部痛関節痛、筋痙縮、鼡径部痛関節腫脹、筋力低下、筋肉痛、四肢痛、顎痛、筋骨格硬直
腎・尿路尿生殖器出血血尿
生殖器不規則月経(14.3%)月経障害、無月経、月経過多、月経困難症、卵巣嚢胞、腟分泌物、性器出血閉経期症状、不正子宮出血、外陰腟乾燥無精子症
一般・全身疼痛(17.3%)、発熱(17.3%)、倦怠感、疲労胸痛、粘膜の炎症胸部不快感、異常感、浮腫、圧痛、口渇、限局性浮腫
傷害・処置挫傷
臨床検査白血球数減少、好中球数減少、ALT増加、AST増加体重減少、尿蛋白、血中ビリルビン増加、γ-GTP増加、Al-P増加CRP増加、白血球百分率数異常、ヘモグロビン減少、LDL増加、体重増加、血小板数増加
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