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トブラシン注60mg、他

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他剤形 薬剤一覧

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • <適応菌種>

    • 本剤に感性の大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌
  • <適応症>

    • 敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎

用法・用量

  • <成人>

    • 通常、トブラマイシンとして、膀胱炎および腎盂腎炎には、1日120mg(力価)を2回に、その他の感染症には、1日180mg(力価)を2~3回に、それぞれ分割して、筋肉内注射または点滴静注する。
      点滴静注においては30分~2時間かけて注入する。
      1回90mg投与の場合には、1時間以上かけて注入することが望ましい。
      なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
  • <小児>

    • トブラマイシンとして、1日3mg(力価)/kgを2~3回に分割して、筋肉内注射または点滴静注する。
      点滴静注においては30分~2時間かけて注入する。
      なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分並びに他のアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 本人又はその血族がアミノグリコシド系抗生物質難聴者又はその他の難聴者
難聴が発現又は増悪するおそれがある。[8.3参照]
9.1.2 重症筋無力症の患者
神経筋遮断作用がある。
9.1.3 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
9.1.4 大量投与患者及び長期間投与患者
血中濃度を測定して投与量や投与間隔を調整することが望ましい。[8.3、16.8.1参照]
9.2 腎機能障害患者
投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用すること。血中濃度を測定することが望ましい。血中濃度の半減期が継続し、高い血中濃度が持続し、腎障害が悪化するおそれがあり、また、第8脳神経障害等の副作用が強くあらわれるおそれがある。[7.、8.3、8.4、16.6.1、16.8.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝障害を悪化させるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
妊婦に投与すると新生児に第8脳神経障害があらわれるおそれがある。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<低出生体重児、新生児>
血中濃度を測定して投与量や投与間隔を調整することが望ましい。腎が発達段階にあるため血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続するおそれがある。[16.8.1参照]
9.8 高齢者
次の点に注意し、血中濃度を測定し用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
9.8.1 本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあり、第8脳神経障害、腎障害等の副作用があらわれやすい。[8.3、16.6.1、16.8.1参照]
9.8.2 ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。[11.1.1参照]
8.2.1 事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。
8.2.2 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.2.3 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。
8.3 眩暈、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがあるので慎重に投与すること。特に腎機能障害患者、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなりやすく、聴力障害の危険性がより大きくなるので、聴力検査を実施することが望ましい。アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用である。[7.、9.1.1、9.1.4、9.2、9.8.1、11.1.3参照]
8.4 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[9.2、11.1.2参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
<投与経路共通>
14.1.1 20%マンニトールと配合変化を起こすので、混注しないこと。
14.1.2 ピペラシリンと混合すると、両剤の反応によりアミドを形成し、本剤の活性低下を来すので、それぞれ別経路で投与すること。
<点滴静注>
14.1.3 本剤の希釈には、通常「日局」生理食塩液、5%ブドウ糖注射液を用いる。なお、5%ブドウ糖注射液と配合後はなるべく速やかに使用すること。
14.2 薬剤投与時の注意
<筋肉内注射>
組織、神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
14.2.1 同一部位への反復注射はなるべく行わないこと。
また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意すること。
14.2.2 神経走行部位を避けるよう注意すること。
なお、注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
14.2.3 注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射すること。
14.2.4 硬結を来すことがあるので、注射直後は、局所を十分にもむこと。

7.用法及び用量に関連する注意

腎機能障害患者では、血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続して、第8脳神経障害又は腎障害があらわれるおそれがあるので、腎機能障害度に応じて、次のような方法により投与量及び投与間隔を調節すべきである。[8.3、9.2、16.6.1参照]
7.1 1回投与量を調節する方法
7.1.1 初回は通常量を投与し、以降の維持量は下の計算図から求めた用量を、通常投与間隔で投与する。
投与量ノモグラム(通常投与間隔)
修正投与量:腎機能正常者の通常1回量を100%とした場合
7.1.2 初回量、維持量共に調節する方法
体重及びクレアチニンクリアランスを用い、下図又は計算式から求めた初回量及び維持量を筋注する。
投与量ノモグラム(8時間ごと投与)
計算式(8時間ごと投与)
初回量(mg)D×W〔(Ccr+140)2-1800〕/5.3×104
維持量(mg)D×W(Ccr+1)/101
D:腎機能正常者の1回投与量〔mg(力価)/kg〕W:体重(kg)、Ccr:クレアチニンクリアランス
投与量ノモグラム(12時間ごと投与)
計算式(12時間ごと投与)
初回量(mg)D×W〔(Ccr+126)2-6000〕/4.4×104
維持量(mg)D×W(Ccr+1)/101
D:腎機能正常者の1回投与量〔mg(力価)/kg〕W:体重(kg)、Ccr:クレアチニンクリアランス
7.2 投与間隔を調節する方法
「血清クレアチニン値×6」時間ごとに通常量を投与する。

5.効能又は効果に関連する注意

<急性気管支炎>
「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人(筋注、点滴静注時の血清中濃度及び薬物動態パラメータ)
(1)筋注(実測値からのシミュレーション値を示す)
血清中濃度(健康成人、筋注)
薬物動態パラメータ(健康成人、筋注)
投与量〔mg(力価)〕nCmax(μg/mL)T1/2(hr)
160133.951.50
290175.281.40
(測定法:bioassay)(mean)
(2)点滴静注(実測値からのシミュレーション値を示す)
血清中濃度(健康成人、点滴静注)
薬物動態パラメータ(健康成人、点滴静注)
投与量〔mg(力価)〕点滴時間(min)nCmax(μg/mL)T1/2(hr)
1603045.241.62
2906087.401.53
(測定法:bioassay)(mean)
16.1.2 腎機能正常小児(筋注、点滴静注時の血清中濃度及び薬物動態パラメータ)
(1)1.5mg(力価)/kg筋注(実測値からのシミュレーション値を示す)
血清中濃度(腎機能正常小児、筋注)
薬物動態パラメータ(腎機能正常小児、筋注)
nCmax(μg/mL)T1/2(hr)
44.801.40
(測定法:bioassay)(mean)
(2)1.5mg(力価)/kg点滴静注(実測値からのシミュレーション値を示す)
血清中濃度(腎機能正常小児、点滴静注)
薬物動態パラメータ(腎機能正常小児、点滴静注)
点滴時間(min)nCmax(μg/mL)T1/2(hr)
13075.271.40
260114.451.58
(測定法:bioassay)(mean)
16.3 分布
16.3.1 体組織への分布
喀痰、腹水に移行し、乳汁へはほとんど移行しない。
16.3.2 蛋白結合率
血清蛋白結合率
血清蛋白とほとんど結合しない(限外ろ過法)(外国人によるデータ)。
16.4 代謝
生体内で代謝されない。
16.5 排泄
主として腎より排泄される。健康成人に90mg(力価)筋注、1時間点滴静注(各4例)後の尿中排泄率は、8時間で約70%以上であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者(筋注時の薬物動態パラメータ)
50mg(力価)を筋注したとき、腎機能障害患者では腎機能正常者と比べCmaxの上昇、Tmaxの遷延、T1/2の延長が認められた。[7.、9.2、9.8.1参照]
薬物動態パラメータ(腎機能障害患者、筋注)
症例クレアチニンクリアランス(mL/min)Cmax(μg/mL)Tmax(hr)T1/2(hr)
1正常2.980.51.65
23.5112.04
360.34.4413.76
453.05.1313.66
5<105.94216.90
(測定法:bioassay)
16.8 その他
16.8.1 血中濃度モニタリング
アミノグリコシド系抗生物質による副作用発現の危険性は、一過性であっても異常に高い最高血中濃度(ピーク値)が繰り返されるほど大きくなり、また、異常に高い最低血中濃度(谷間値-次回投与直前値)が繰り返されるほど大きくなるといわれている。トブラマイシン注の場合は、最高血中濃度(A,A′)が12μg/mL以上、最低血中濃度(B,B′)が2μg/mL以上が繰り返されると第8脳神経障害や腎障害発生の危険性が大きくなるといわれている。腎機能障害患者、低出生体重児、新生児、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなりやすいので、特に投与開始時において最高血中濃度(A,A′)と最低血中濃度(B,B′)を測定し、異常な高値を示す場合には、投与量や投与間隔を調整することが望ましい。例えば、異常に高い最高血中濃度が繰り返されている場合は投与量を減量し、異常に高い最低血中濃度が繰り返されている場合は投与間隔を延長するなど調整を行う。[9.1.4、9.2、9.7、9.8.1参照]
血中濃度モニタリングの模式図

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
腎障害を起こすおそれのある血液代用剤
デキストラン
ヒドロキシエチルデンプン
腎障害が発現、悪化することがあるので、併用は避けることが望ましい。
腎障害が発生した場合には投与を中止し、透析療法等適切な処置を行うこと。
機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある。
ループ利尿剤
エタクリン酸
フロセミド(特に静注)
アゾセミド
腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい。機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある。
腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤
バンコマイシン
エンビオマイシン
白金含有抗悪性腫瘍剤
(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)
腎障害及び聴器障害が発現、悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい。機序は不明
両薬剤共に腎毒性、聴器毒性を有する。
麻酔剤
筋弛緩剤
ツボクラリン
パンクロニウム臭化物
ベクロニウム臭化物
トルペリゾン
A型ボツリヌス毒素

神経筋遮断作用を有する薬剤
コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム
神経系障害や呼吸抑制を発現するリスクが高まるおそれがあるため、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。各薬剤共に神経筋接合部の遮断作用を有し、併用によりその作用が増強される。
腎毒性を有する薬剤
シクロスポリン
アムホテリシンB
腎障害が発現、悪化するおそれがある。機序は不明
両薬剤共に腎毒性を有する。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1%未満)[8.2参照]
11.1.2 急性腎障害(0.1~5%未満)
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。[8.4参照]
11.1.3 第8脳神経障害(0.1~5%未満)
眩暈、耳鳴、難聴等があらわれることがある。[8.3参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1~5%未満0.1%未満頻度不明
過敏症発疹そう痒紅斑、発熱
腎臓腎機能障害
(BUN上昇、クレアチニン上昇)、蛋白尿、尿円柱
浮腫、血尿、カリウム等電解質の異常
肝臓肝障害黄疸
神経耳痛、耳閉塞感、口唇・四肢等のしびれ感頭痛、頭重、譫妄、見当識障害
血液貧血(赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少)、白血球減少、血小板減少
消化器下痢、食欲不振悪心、嘔吐、口内炎
ビタミン欠乏症ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
注射部位注射局所の疼痛又は硬結(筋注時)
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