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ドプラム注射液400mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○下記の状態における呼吸抑制ならびに覚醒遅延

    • ・麻酔時
    • ・中枢神経系抑制剤による中毒時
  • ○遷延性無呼吸の鑑別診断
  • ○急性ハイパーカプニアを伴う慢性肺疾患
  • ○早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)

    • ただし、キサンチン製剤による治療で十分な効果が得られない場合に限る。

用法・用量

  • <下記の状態における呼吸抑制ならびに覚醒遅延>

    • ・麻酔時

      • 通常、ドキサプラム塩酸塩水和物として0.5~1.0mg/kgを徐々に静注する。
        なお、必要に応じて5分間隔で通常量を投与し、総投与量は2.0mg/kgまでとする。
      • 点滴静注の場合は、はじめ約5mg/minの速度で投与し、患者の状態に応じて注入速度を適宜調節する。
        なお、総投与量は5.0mg/kgまでとする。
    • ・中枢神経系抑制剤による中毒時

      • 通常、ドキサプラム塩酸塩水和物として0.5~2.0mg/kgを徐々に静注する。初回投与に反応があった患者には維持量として、必要に応じて通常量を5~10分間隔で投与し、ついで1~2時間間隔で投与を繰り返す。
      • 2点滴静注の場合は症状に応じて1.0~3.0mg/kg/hrの速度で投与する。
  • <遷延性無呼吸の鑑別診断>

    • 通常、ドキサプラム塩酸塩水和物として1.0~2.0mg/kgを静注する。
      本剤の投与により呼吸興奮が十分生じない場合は呼吸抑制の原因が筋弛緩剤の残存効果によることを考慮する。
  • <急性ハイパーカプニアを伴う慢性肺疾患>

    • 通常、ドキサプラム塩酸塩水和物として1.0~2.0mg/kg/hrの速度で点滴静注する。
      本剤投与開始後1~2時間は、動脈血液ガスを30分毎に測定し、血液ガスの改善がみられないか、悪化する場合にはレスピレータの使用を考慮する。本剤投与により血液ガスの改善がみられ、重篤な副作用が生じなければ投与を継続してもよい。動脈血液ガス分圧の測定は適宜行い、血液ガスが適当なレベルに達したら投与を中断し、酸素吸入は必要に応じて継続する。本剤注入中断後、PaCO2が上昇した場合には本剤の再投与を考慮する。
      なお、本剤の1日の最大投与量は2400mgである。
  • <早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)>

    • 通常、ドキサプラム塩酸塩水和物として初回投与量1.5mg/kgを1時間かけて点滴静注し、その後、維持投与として0.2mg/kg/hrの速度で点滴静注する。なお、十分な効果が得られない場合は、0.4mg/kg/hrまで適宜増量する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <効能共通>

    • 2.1 てんかんおよび他の痙攣状態の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
    • 2.2 呼吸筋・胸郭・胸膜などの異常により換気能力の低下している患者[本剤の効果が期待できず、レスピレータによる補助が必要である。][9.1.2参照]
    • 2.3 重症の高血圧症および脳血管障害患者[過度の昇圧、脳血管収縮・脳血流の減少を起こすおそれがある。][9.1.6参照]
    • 2.4 冠動脈疾患、明瞭な代償不全性心不全患者[頻脈・不整脈を起こすおそれがある。][9.1.4参照]
    • 2.5 新生児、低出生体重児(早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)の患児を除く)[9.7.2参照]
    • 2.6 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • <早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)>

    • 2.7 壊死性腸炎又はその疑いのある患児[壊死性腸炎が悪化又は発症するおそれがある。][11.1.2、13.1.2参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脳浮腫患者
脳血管収縮・脳血流の減少を起こすことがある。
9.1.2 気管支痙攣患者(呼吸筋・胸郭・胸膜などの異常により換気能力の低下している患者を除く)
症状を悪化させるおそれがある。[2.2参照]
9.1.3 重症の頻脈、不整脈の患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.1.4 心不全の患者(明瞭な代償不全性心不全の患者を除く)
症状を悪化させるおそれがある。[2.4参照]
9.1.5 甲状腺機能亢進症の患者
症状を悪化させるおそれがある。
9.1.6 高血圧症の患者(重症の高血圧症患者を除く)
症状を悪化させるおそれがある。[2.3参照]
9.1.7 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者
急激な昇圧発作を起こすおそれがある。
9.1.8 胃潰瘍疾患患者および胃の手術を受ける患者
基礎胃液分泌を刺激するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
<効能共通>
9.7.1 乳児、幼児、小児
乳児、幼児、小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 新生児、低出生体重児(早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)の患児を除く)
投与しないこと。新生児、低出生体重児における未熟児無呼吸発作以外の疾患を対象とした臨床試験は実施していない。[2.5参照]
<早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)>
9.7.3 生後1週未満の患児、高ビリルビン血症のため光線療法を施行中の患児、肝機能障害又は腎機能障害のある患児
ドキサプラム及びその代謝物の血中濃度が上昇する可能性があり、壊死性腸炎等の重篤な胃腸障害を含む副作用が発現するおそれがある。[11.1.2、13.1.2参照]
9.8 高齢者
用量ならびに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 上気道閉塞のないことを確認すること。
8.2 呼吸仕事量が増加し、その結果、酸素消費量が増加するので、特に点滴静注の際には、酸素を同時に投与すること。
8.3 定期的な血液ガスの監視により避けられることであるが、過換気によるPaCO2の低下は脳血管収縮と脳血流を減少させる可能性があるので注意すること。
<麻酔時における呼吸抑制ならびに覚醒遅延>
8.4 患者の昏睡状態が一時的に改善し、その後、再びもとの状態に戻る場合があるので、30分~1時間、十分な観察を行うこと(1回静注における効果の持続時間5~12分)。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
<麻酔時、中枢神経系抑制剤による中毒時における呼吸抑制ならびに覚醒遅延、遷延性無呼吸の鑑別診断、急性ハイパーカプニアを伴う慢性肺疾患>
下記の体重当たり用量換算表を参考に調製を行うこと。
1回静注(20mg/mL)
体重/投与量0.5mg/kg1.0mg/kg1.5mg/kg2.0mg/kg5.0mg/kg
20kg0.5mL1.0mL1.5mL2.0mL5.0mL
40kg1.02.03.04.010.0
60kg1.53.04.56.015.0
80kg2.04.06.08.020.0
点滴静注(1時間当たりの投与量)
体重/点滴量1mg/kg/hr2mg/kg/hr3mg/kg/hr4mg/kg/hr5mg/kg/hr
20kg1.0mL2.0mL3.0mL4.0mL5.0mL
40kg2.04.06.08.010.0
60kg3.06.09.012.015.0
80kg4.08.012.016.020.0
(ブドウ糖液などの輸液で適宜希釈)
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 静脈内注射により血栓性静脈炎を起こすことがあるので同一注射部位への長期使用は避けること。
14.2.2 他の薬剤とともに静脈内注射する場合は、十分注意して、適切な静脈に注射し、浸潤や不注意な動脈注射は避けること。

7.用法及び用量に関連する注意

<麻酔時における呼吸抑制ならびに覚醒遅延>
7.1 本剤投与により、アドレナリン放出が増加する。したがって、カテコラミンに対する心筋の感受性を高める麻酔剤を使用したときには、本剤投与は麻酔剤投与中止後少なくとも10分間間隔をあけること。
<急性ハイパーカプニアを伴う慢性肺疾患>
7.2 本剤とレスピレータを同時に使用しないこと。
7.3 たとえば、PaO2が50Torr以上に維持できないとき、PaCO2の低下が認められずpHが7.25以下にとどまるとき又は意識レベルが悪化するときなどの場合にはレスピレータの使用を考慮すること。

5.効能又は効果に関連する注意

<中枢神経系抑制剤による中毒時における呼吸抑制ならびに覚醒遅延>
5.1 中枢神経系抑制剤による重篤な中毒患者に対し、本剤のみでは、呼吸促進ならびに意識レベルの改善が十分得られないことがあるので、本剤は従来慣用された維持療法や蘇生術の補助として用いること。
<急性ハイパーカプニアを伴う慢性肺疾患>
5.2 慢性肺疾患による症状が感染などの誘因により、急性に増悪し、さらに高度の低酸素血症と高炭酸ガス血症(急性ハイパーカプニア)をきたす。この急性増悪時には低酸素血症の改善のために酸素投与を行うが、酸素吸入による低酸素刺激の消失により低換気を生じPaCO2が更に上昇する。
本剤は、この酸素治療下における低換気を防ぎ、PaCO2の上昇を予防するために用いる。
<早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)>
5.3 本剤は原発性無呼吸に対する治療薬であるので、本剤投与前に二次性無呼吸の除外診断を行うこと。二次性無呼吸を呈する患児には、原疾患に応じ適切な処置を行うこと。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人男子10例にドキサプラム塩酸塩水和物1mg/kgを単回静注した結果、投与直後に血中濃度は最高に達した。血中濃度は静注後約4分で半減した。
また、上腹部手術後患者10例に対してドキサプラム塩酸塩水和物250mg又は350mg注1)を1時間かけて点滴静注した結果、持続点滴により血中濃度は上昇し、点滴終了後、血中濃度は速やかに低下した。
16.1.2 アミノフィリンに不応の無呼吸発作を認めた早産・低出生体重児34例を対象にアミノフィリン併用下で、ドキサプラム塩酸塩水和物1.5mg/kgを1時間かけて点滴静注後、維持投与として0.2mg/kg/hrの速度で点滴静注(効果不十分な場合は0.4mg/kg/hrまで増量)したとき、定常状態における血清中ドキサプラム濃度の中央値は0.472μg/mLであり、すべての患児で血清中ドキサプラム濃度は2.0μg/mL未満であった。ドキサプラムとケトドキサプラムの血清中濃度の合計の最大値は2.073μg/mLであった。
16.1.3 未熟児無呼吸発作を認めた早産・低出生体重児(47例又は20例)にドキサプラム塩酸塩水和物を静脈内へ持続投与(0.2mg/kg/hrにて投与開始し、効果を見ながら1.0mg/kg/hrまで増量)注2)したときの薬物動態パラメータは、成人と比較して大きな個体間変動を示した。一方、平均値で比較すると、消失半減期は低出生体重児と成人で顕著な差異は認められなかったが、クリアランス及び分布容積では成人と比較して2倍程度大きくなる傾向を示した。
16.3 分布
キサンチン誘導体に不応の未熟児無呼吸発作及び2次性無呼吸発作を認めた早産・低出生体重児11例にドキサプラム塩酸塩水和物の低用量(0.2~1.0mg/kg/hr)注2)を静脈内へ持続投与した際の髄液中濃度と血清中濃度の比(髄液/血清 比)は0.48±0.13(平均値±標準偏差、最小~最大:0.28~0.69)であった。また、ドキサプラムの髄液中濃度と血清中濃度との関係をみると、この両者間には正の相関(相関係数0.933、p<0.001)がみられた。
16.4 代謝
ヒト肝ミクロソームにおけるドキサプラムからその代謝物であるケトドキサプラム生成にはCYP3A4/5が関与することが示唆された。
16.5 排泄
健康成人男子10例にドキサプラム塩酸塩水和物1mg/kgを単回静注した結果、48時間後までの尿中への排泄は10.81%(最高14.22%)であった。
注1)本剤の承認されている用法及び用量(麻酔時における呼吸抑制ならびに覚醒遅延)は「通常、ドキサプラム塩酸塩水和物として0.5~1.0mg/kgを徐々に静注する。なお、必要に応じて5分間隔で通常量を投与し、総投与量は2.0mg/kgまでとする。点滴静注の場合は、はじめ約5mg/minの速度で投与し、患者の状態に応じて注入速度を適宜調節する。なお、総投与量は5.0mg/kgまでとする。」である。
注2)本剤の承認されている用法及び用量(早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作))は「通常、ドキサプラム塩酸塩水和物として初回投与量1.5mg/kgを1時間かけて点滴静注し、その後、維持投与として0.2mg/kg/hrの速度で点滴静注する。なお、十分な効果が得られない場合は、0.4mg/kg/hrまで適宜増量する。」である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
交感神経興奮薬
モノアミン酸化酵素阻害剤
血圧上昇をきたすので用量を調節するなど慎重に投与すること。本剤と相乗的に作用を増強させる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<効能共通>
11.1.1 興奮状態(6.1%)、振戦(1.1%)、間代性痙攣、筋攣縮、テタニー、声門痙攣(いずれも頻度不明)
このような症状が認められた場合には減量、投与速度の低減、休薬など適切な処置を行うこと。
<早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)>
11.1.2 壊死性腸炎、胃穿孔、胃腸出血(いずれも頻度不明)
本剤投与中は全身状態を十分に観察し、このような症状が認められた場合には直ちに投与を中止した上で、適切な処置を行うこと。[2.7、9.7.3、13.1.2参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<麻酔時、中枢神経系抑制剤による中毒時における呼吸抑制ならびに覚醒遅延、遷延性無呼吸の鑑別診断、急性ハイパーカプニアを伴う慢性肺疾患>

5%以上1~5%未満1%未満頻度不明
循環器頻脈、不整脈、血圧上昇
血液赤血球数減少、ヘマトクリット値減少
消化器嘔気・嘔吐下痢
肝臓AST上昇、ALT上昇
泌尿器尿意、尿蛋白、BUN上昇
過敏症熱感・ほてり発汗、紅斑・発赤
その他体動、バッキング、唾液又は気管の分泌亢進嚥下運動、まばたき、息苦しさ、不安感、頭痛、胸部苦悶感、口渇感、不穏、顔をしかめる咳嗽、流涎、流涙

注)このような症状が認められた場合には減量、投与速度の低減、休薬など適切な処置を行うこと。

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
<早産・低出生体重児における原発性無呼吸(未熟児無呼吸発作)>

頻度不明
循環器高血圧、頻脈、QT延長、心室性期外収縮
血液貧血、溶血性貧血、メトヘモグロビン血症
消化器早期歯牙萌出、嘔気、嘔吐、吐き戻し、栄養不耐症、胃酸増加、(血性)胃内残渣、腹部膨満、イレウス、腸管拡張症、血便
その他痙攣、振戦、易刺激性、びくびく感、頻発啼泣、無気肺、頻呼吸、呼吸不全、代謝性アシドーシス、高血糖、尿中ブドウ糖陽性、未熟児網膜症、腎機能障害、発熱、敗血症、CRP上昇
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