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ベサノイドカプセル10mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 急性前骨髄球性白血病

用法・用量

  • 通常、成人には寛解導入療法としてトレチノイン1日60~80mg(45mg/m2)を3回に分けて食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤には催奇形性があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、妊娠する可能性のある女性には投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には使用上の注意を厳守すること。[2.1、8.1、9.4、9.5参照]
  • 1.2 本剤はレチノイン酸症候群等の副作用が起こることがあるので、緊急時に十分処置できる医療施設及びがん化学療法に十分な経験をもつ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ使用すること。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[1.1、9.5参照]
  • 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.3 肝障害のある患者[8.5、9.3、11.1.8参照]
  • 2.4 腎障害のある患者[9.2参照]
  • 2.5 ビタミンA製剤を投与中の患者[10.1参照]
  • 2.6 ビタミンA過剰症の患者[ビタミンA過剰症が増悪するおそれがある。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 骨の成長が終了していない25歳以下の患者
治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ観察を十分に行いながら(定期的なX線検査、Al-P、Ca、P、Mg等の臨床生化学的検査)慎重に投与すること。[8.6、9.7.1、9.7.2、11.1.7参照]
9.1.2 糖尿病の患者、肥満の患者、アルコール中毒症の患者、脂質代謝異常患者など高トリグリセライド血症の素因がある患者
脂質代謝異常を起こすおそれがある。高トリグリセライド血症の患者への投与は脂質代謝障害の危険性が高いので、その素因のある患者には血中トリグリセライドの検査を行うこと。
9.1.3 好塩基球性分化能を有する急性前骨髄球性白血病患者
好塩基球増多症が発現し、高ヒスタミン血症に至った例も報告されている。
9.2 腎機能障害患者
投与しないこと。重篤な腎障害を起こすおそれがある。[2.4参照]
9.3 肝機能障害患者
投与しないこと。類似化合物(エトレチナート)で、重篤な肝障害を起こすことが報告されている。[2.3、8.5、11.1.8参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠する可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。疾患の重症度及び治療の緊急性を考慮した上で、患者に以下の注意事項についてよく説明し理解させた後、使用すること。[1.1、8.1、9.5、15.2.1、15.2.2参照]
・本剤には催奇形性があるので、妊娠する可能性のある女性で他に代わるべき治療法がない重症な患者にやむを得ず投与する場合には、投与開始前の少なくとも1ヵ月間、投与中及び投与中止後少なくとも1ヵ月は必ず避妊させること。
・本剤の投与は次の正常な生理周期の2日又は3日目まで開始しないこと。
・本剤の投与開始前2週間以内の妊娠検査が陰性であるとの結果を確認すること。
・本剤の投与中は1ヵ月毎に追加の妊娠検査を実施することが望ましい。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で催奇形作用が報告されている。[1.1、2.1、9.4、15.2.1、15.2.2参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。類似化合物(エトレチナート)の動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている。
9.7 小児等
9.7.1 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[8.6、9.1.1、11.1.7参照]
9.7.2 幼児又は小児へ投与する場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。類似化合物(エトレチナート)において過骨症及び骨端の早期閉鎖を起こすことが報告されている。[8.6、9.1.1、11.1.7参照]
9.8 高齢者
用量に留意して定期的に血漿アルブミン検査を行い、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。血漿アルブミンが減少していることが多く、本剤は血漿蛋白との結合性が強いため、血漿アルブミンが減少していると遊離の薬物血漿中濃度が高くなるおそれがある。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤には催奇形性があり副作用の発現頻度が高いので、使用上の注意を厳守し、患者又はそれに代わり得る適切な者に副作用についてよく説明した上で使用すること。[1.1、9.4、15.2.1、15.2.2参照]
8.2 発熱、呼吸困難、胸水貯留、肺浸潤、間質性肺炎、肺うっ血、心嚢液貯留、低酸素血症、低血圧、肝不全、腎不全及び多臓器不全等によって特徴づけられるレチノイン酸症候群が発現し、重篤な転帰をたどることがあるので、十分な経過観察を行うこと。なお、このような症状があらわれた場合には、本剤を中止し、副腎皮質ホルモン剤のパルス療法等の適切な処置を行うこと。[11.1.1参照]
8.3 末梢血中の「芽球及び前骨髄球」の和が1,000/mm3を超える場合には、化学療法により「芽球及び前骨髄球」の和を1,000/mm3以下にしてから本剤を投与すること。
8.4 急性前骨髄球性白血病に併発する播種性血管内凝固症候群(DIC)では、線溶活性亢進を伴う致命的な出血傾向(脳出血、肺出血等)が報告されている。本剤投与中にこのような症状があらわれた場合には、血小板輸血を含め、出血傾向に対する適切な処置を行うこと。
8.5 類似化合物(エトレチナート)で肝障害を起こすことが報告されているので、肝機能検査を投与前、投与開始1ヵ月後及び投与中は3ヵ月毎に行い肝障害が疑われる場合には直ちに投与を中止すること。[2.3、9.3、11.1.8参照]
8.6 類似化合物(エトレチナート)の長期投与を受けた患者で過骨症及び骨端の早期閉鎖を起こすとの報告がある。従って本剤投与中に関節痛・骨痛の症状があらわれた場合には速やかに主治医に連絡するよう指示すること。また、本剤の長期投与に際しては、定期的な問診(骨・筋等の痛みや運動障害)、X線検査、Al-P、Ca、P、Mg等の臨床生化学的検査を行うことが望ましい。[9.1.1、9.7.2、11.1.7参照]

7.用法及び用量に関連する注意

本剤を16週間投与して寛解に到達しない場合には、投与を中止すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
急性前骨髄球性白血病(APL)患者8例にトレチノインとして20mg、30mgを食後単回経口投与したときの血漿中濃度は以下のとおりであった。20mg投与群と30mg投与群間でほぼ用量相関性の吸収が認められた。
単回投与後の血漿中濃度
投与量症例数tmax(hr)Cmax(ng/mL)t1/2(hr)AUC(ng・hr/mL)
20mg42.5±0.595.8±34.11.55±0.27278.4±92.0
30mg43.5±1.0155.2±81.31.25±0.18422.0±194.6
(mean±SE)
16.1.2 反復投与
APL患者7例にトレチノインとして1日45mg/m2を2~6週間経口投与した。最高血漿中濃度及びAUCは初回投与後それぞれ294±89ng/mL、537±191ng・hr/mLであったが、2~6週間後は138±139ng/mL、248±185ng・hr/mLと低下した。これは、トレチノインを連続投与したことにより薬物代謝酵素P-450による代謝が促進されたためと考えられた(外国人データ)。
16.4 代謝
寛解導入療法を行ったAPL患者4例に、トレチノインとして20mgを食後単回経口投与したとき、投与後8時間までの血漿中代謝物及び24時間までの尿中代謝物を測定した。
トレチノインは生体内で一部異性化されイソトレチノインとなり、それぞれ肝臓で4位が酸化され4-オキソ-トレチノイン及び4-オキソ-イソトレチノインとなるが、これら代謝物は血漿中及び尿中ともわずかしか認められなかった。
尿中代謝物は、グルクロン酸抱合体として4-オキソ-トレチノイングルクロニド及び4-オキソ-イソトレチノイングルクロニドが、また、非抱合体としてわずかに4-オキソ-イソトレチノインが認められた。
16.5 排泄
16.5.1 尿糞中排泄
APL患者6例に[10、11-3H]トレチノイン0.14~2.75mgを単回経口投与したとき、投与後7日間の尿中排泄率及び糞中排泄率は、それぞれ平均63.1%及び31.2%であり、尿中への排泄は投与後72時間でほぼ終了した(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は「1日60~80mg(45mg/m2)を3回に分けて食後経口投与」である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ビタミンA製剤
(チョコラA等)
[2.5参照]
ビタミンA過剰症と類似した副作用症状を起こすおそれがある。本剤はビタミンAの活性代謝物である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
フェニトインフェニトインの血中濃度が上昇し、フェニトインの作用が増強するおそれがある。類似化合物(エトレチナート)でフェニトインとの併用により、フェニトインの蛋白結合能を低下させるとの報告がある。
抗線溶剤
トラネキサム酸等
アプロチニン製剤
本剤とこれらの薬剤を併用した患者で血栓症を発現し、重大な転帰をたどったとの報告があるので、併用に際しては慎重に行うこと。本剤投与により、凝固線溶系のバランスが変化するためと考えられている。
アゾール系抗真菌薬
フルコナゾール
イトラコナゾール
ボリコナゾール等
本剤の作用を増強するおそれがある。本剤の代謝酵素である肝チトクロームP-450が阻害され、本剤の血中濃度及びAUCが上昇する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 レチノイン酸症候群(頻度不明)
発熱、呼吸困難、胸水貯留、肺浸潤、間質性肺炎、肺うっ血、心嚢液貯留、低酸素血症、低血圧、肝不全、腎不全、多臓器不全等が発現し、重篤な転帰をたどることがあるので、このような症状が認められた場合には、本剤を中止し、副腎皮質ホルモン剤のパルス療法等の適切な処置を行うこと。[8.2参照]
11.1.2 白血球増多症(9.8%)
末梢白血球数が30,000/mm3を超えた場合には、減量又は休薬すること。
11.1.3 血栓症(頻度不明)
脳梗塞、肺梗塞、その他の動脈又は静脈血栓症等があらわれることがある。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を継続すること。
11.1.4 血管炎(頻度不明)
11.1.5 感染症(頻度不明)
肺炎、敗血症等があらわれることがある。
11.1.6 錯乱(頻度不明)
11.1.7 過骨症及び骨端の早期閉鎖(頻度不明)[8.6、9.1.1、9.7.1、9.7.2参照]
11.1.8 肝障害(頻度不明)[2.3、8.5、9.3参照]
11.1.9 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、多形紅斑(いずれも頻度不明)

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満頻度不明
呼吸器喘鳴鼻充血、ラ音、咳嗽、咽頭炎
皮膚皮膚乾燥(24.4%)湿疹、発疹、紅斑、ペニス背面乾燥皮膚発赤、そう痒、脱毛、好中球浸潤・有痛性紅斑・発熱を伴う皮膚障害(Sweet症候群)、結節性紅斑、発汗、皮膚出血、皮膚剥離、性器潰瘍、皮膚炎
粘膜口唇乾燥(46.3%)口内炎(アフタ性、潰瘍性を含む)、口腔粘膜びらん粘膜乾燥
脂質代謝トリグリセライド上昇(51.2%)、β-リポ蛋白上昇総コレステロール上昇
肝臓ALT、AST、LDH(24.4%)、Al-Pの上昇
精神神経系頭痛(29.3%)末梢知覚異常頭蓋内圧亢進(初期症状:うっ血乳頭、悪心、嘔吐、視覚異常)、めまい、不安、眠気、うつ症状、視覚障害、聴覚障害
消化器食欲不振嘔吐、下痢悪心、腹痛、便秘、口内水疱、胃不調、膵炎
骨・筋肉筋肉痛、骨痛関節痛、背部痛、筋骨格痛、筋炎
目のかゆみ目の乾燥
腎臓BUN上昇クレアチニン上昇
電解質異常K上昇、Cl低下Na低下、高カルシウム血症
その他発熱(12.2%)アルブミン減少、尿沈渣、尿蛋白血小板増多、浮腫、胸痛、悪寒、疲労感、体重変動、全身脱力感、不整脈、蜂巣炎
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