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ニトロール注5mgシリンジ

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○急性心不全(慢性心不全の急性増悪期を含む)
  • ○不安定狭心症
  • ○冠動脈造影時の冠攣縮寛解

用法・用量

  • <急性心不全>

    • 通常、成人には、本剤を注射液そのまま、又は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液等で希釈して0.05~0.001%溶液とし、硝酸イソソルビドとして1時間あたり1.5~8mgを点滴静注する。投与量は患者の病態に応じて適宜増減するが、増量は1時間あたり10mgまでとする。
  • <不安定狭心症>

    • 通常、成人には、本剤を注射液そのまま、又は生理食塩液、5%ブドウ糖注射液等で希釈して0.05~0.001%溶液とし、硝酸イソソルビドとして1時間あたり2~5mgを点滴静注する。投与量は患者の病態に応じて適宜増減する。
  • <冠動脈造影時の冠攣縮寛解>

    • 通常、成人には、冠動脈造影時に本剤を注射液そのまま、硝酸イソソルビドとして5mgをカテーテルを通し、バルサルバ洞内に1分以内に注入する。なお、投与量は、患者の症状に応じて適宜増減するが、投与量の上限は10mgまでとする。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 重篤な低血圧又は心原性ショックのある患者[血管拡張作用によりさらに血圧を低下させ、症状を悪化させるおそれがある。][9.1.1参照]
  • 2.2 Eisenmenger症候群又は原発性肺高血圧症の患者[血圧低下によりショックを起こすことがある。]
  • 2.3 右室梗塞の患者[血圧低下によりショックを起こすことがある。]
  • 2.4 脱水症状のある患者[血圧低下によりショックを起こすことがある。]
  • 2.5 神経循環無力症の患者[本剤の効果がなく、本剤投与により血圧低下等があらわれることがある。]
  • 2.6 閉塞隅角緑内障の患者[眼圧を上昇させるおそれがある。]
  • 2.7 硝酸・亜硝酸エステル系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.8 頭部外傷又は脳出血のある患者[頭蓋内圧を上昇させるおそれがある。]
  • 2.9 ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)又はグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤(リオシグアト)を投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血圧の患者(重篤な低血圧のある患者を除く)
さらに血圧を低下させるおそれがある。[2.1参照]
9.1.2 左室充満圧の低い患者
血圧低下及び心拍出量低下のおそれがある。
9.1.3 遺伝性果糖不耐症の患者
本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
本剤は、主として肝臓で代謝されるが、一般に肝機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤投与中は、頻回の血圧測定と血行動態のモニターを行うこと。また、投与量の調節は患者の血行動態、症状をみて徐々に行うこと。[11.1.1参照]
8.2 投与中に血圧低下等の異常が観察された場合には、減量又は投与を中止すること。また、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと。[11.1.1参照]
8.3 血圧低下の可能性のある患者や心拍出量が低下している患者に投与する場合には、カテコールアミン系薬剤等と併用することが望ましい。
8.4 投与中に左心不全状態が改善した場合は、患者の様子をみて投与を中止すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意
14.1.1 使用に際しては、開封口からゆっくり開けること。
14.1.2 バレル内壁に気泡が付着するおそれがあるため、また、シリンジが破損するおそれがあるため、強い衝撃を避けること。
14.1.3 ブリスター包装から取り出す際、プランジャーを持って引き出さないこと。ガスケットが変形し、薬液が漏出するおそれがある。
14.1.4 シリンジ先端のトップキャップを外した後、シリンジ先端部に触れないこと。
14.1.5 注射針等を接続する場合は誤刺に注意し、しっかりと固定すること。
14.1.6 本剤はシリンジポンプでは使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 投与方法
本剤を急速静注した場合、急速に血中濃度が上昇し、血圧低下があらわれるおそれがあるため、点滴静注又はバルサルバ洞内注入にのみ使用すること。
14.2.2 輸液セットへの吸着
硝酸イソソルビドは、一般に使用されているポリ塩化ビニル製の輸液容器及び輸液セットに吸着するが、ガラス製、ポリエチレン製の容器、器具には吸着しない。硝酸イソソルビドのポリ塩化ビニル製輸液セットに対する吸着率は、図に示す通りで点滴速度に影響され、ポリ塩化ビニル管100cmでは点滴速度60mL/時間(1mL/分)以上であれば、投与量の80%以上が静脈内に注入される。また、硝酸イソソルビドの吸着率は配合濃度に影響されないが、輸液セットが長い程高くなるので注意すること。
点滴速度による影響
14.3 薬剤投与後の注意
14.3.1 開封後の使用は一回限りとし、使用後の残液は容器とともに速やかに廃棄すること。
14.3.2 シリンジの再滅菌・再使用はしないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 冠動脈造影時に冠攣縮を誘発した場合は、迅速に攣縮寛解のための処置を行うこと。また、まれに完全閉塞寛解時にreperfusion injuryによると考えられる心室細動などの危険な不整脈や血圧低下を起こすことがあるので電気的除細動などの適切な処置を行うこと。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 持続投与(健康成人男子)
健康成人男子に硝酸イソソルビドを5mg/時で静脈内持続注入した際、硝酸イソソルビドの血漿中濃度は緩やかに上昇し、注入開始後1.5時間でほぼ定常濃度に達した。その後、注入停止とともに半減期6.3±1.0分(分布相)及び109.1±35.7分(排泄相)の2相性を示し、速やかに低下した。
硝酸イソソルビド注(静脈内持続注入)による薬物動態パラメータ
t1/2α(min)t1/2β(min)AUC(ng・min/mL)CL(L/hr)
6.3±1.0109.1±35.72,694±54.0144±28.2
(Mean±S.E.,n=2、健康成人男子)
16.1.2 単回投与(心不全患者)
心不全患者に硝酸イソソルビド5mgを静脈内単回投与注)したとき、血漿中硝酸イソソルビド濃度は2相性を示し、半減期3.9±1.2分(分布相)及び78.0±24.0分(排泄相)であった。また、AUC及びクリアランスはそれぞれ2,328±478ng・min/mL及び134.0±22.2L/hrであった。
硝酸イソソルビド注(静脈内単回投与)による薬物動態パラメータ
t1/2α(min)t1/2β(min)Vss(L)AUC(ng・min/mL)CL(L/hr)
3.9±1.278.0±24.0124.0±51.22,328±478134.0±22.2
(Mean±S.E.,n=4、心不全患者)
硝酸イソソルビド血漿中濃度
注)静脈内単回投与は承認外用法である。
16.1.3 単回投与(狭心症患者)
狭心症患者に硝酸イソソルビド5mgをバルサルバ洞内に投与したとき、5分後の血漿中濃度は246±122ng/mLを示した。血漿中硝酸イソソルビド濃度は2相性を示し、半減期1.5分(分布相)及び27分(排泄相)であった。また、AUCは5,305±2,352ng・min/mLであった。
硝酸イソソルビド血漿中濃度
硝酸イソソルビド注(バルサルバ洞内注入)による薬物動態パラメータ
Cmax注)(ng/mL)t1/2α(min)t1/2β(min)AUC(ng・min/mL)
246±1221.527.05,305±2,352
注)投与5分後の血漿中濃度(Mean±S.D.,n=7、狭心症患者)

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
シルデナフィルクエン酸塩
(バイアグラ、レバチオ)
バルデナフィル塩酸塩水和物
(レビトラ)
タダラフィル
(シアリス、アドシルカ、ザルティア)
[2.9参照]
併用により、降圧作用を増強することがあるので、本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。本剤はcGMPの産生を促進し、一方、ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。
グアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤
リオシグアト
(アデムパス)
[2.9参照]
併用により、降圧作用を増強することがあるので、本剤投与前にこれらの薬剤を服用していないことを十分確認すること。また、本剤投与中及び投与後においてこれらの薬剤を服用しないよう十分注意すること。本剤とグアニル酸シクラーゼ刺激作用を有する薬剤は、ともにcGMPの産生を促進することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介する本剤の降圧作用が増強する。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
利尿剤血圧低下等が増強されるおそれがある。過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと。血圧低下作用を増強させる。
血管拡張剤
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤
血圧低下等が増強されるおそれがある。過度の血圧低下が起こった場合には、減量又は投与を中止し、必要に応じて昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと。血管拡張作用が増強される。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 ショック(0.1~5%未満)
このような場合には投与を中止し、昇圧剤投与等の適切な処置を行うこと。[8.1、8.2参照]
11.1.2 心室細動、心室頻拍
冠動脈造影時の冠攣縮寛解に際し、reperfusion injuryによると考えられる心室細動等の危険な不整脈(0.1%未満)があらわれることがある。このような場合には、電気的除細動などの適切な処置を行うこと。
発現頻度は製造販売後調査を含む。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1~5%未満0.1%未満頻度不明
循環器血圧低下、めまい、動悸、四肢浮腫、心拍出量低下徐脈、期外収縮、心房細動
精神神経系頭痛全身倦怠感、興奮、陽気
消化器嘔気、嘔吐食欲低下
血液動脈血酸素分圧の低下メトヘモグロビン血症
肝臓AST、ALT等の上昇
過敏症発疹

発現頻度は製造販売後調査を含む。

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