今日の臨床サポート 今日の臨床サポート

コンビビル配合錠

一部のコンテンツを閲覧になるにはご契約が必要となります。

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • HIV感染症

用法・用量

  • 通常、成人には1回1錠(ジドブジンとして300mg及びラミブジンとして150mg)を1日2回経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤の有効成分の一つであるジドブジンにより、骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[8.2、11.1.1参照]
  • 1.2 B型慢性肝炎を合併している患者では、ラミブジンの投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合、重症化するおそれがあるので注意すること。[9.1.6参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)[7.2、9.1.1参照]
  • 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.3 イブプロフェン投与中の患者[10.1参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)
投与しないこと。好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。[2.1、7.2参照]
9.1.2 好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いもの)[5.4、7.2参照]
9.1.3 好中球数750/mm3以上1000/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL以上9.5g/dL未満の患者
ジドブジンにより好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。[7.2参照]
9.1.4 ビタミンB12欠乏患者
ジドブジンにより貧血が発現するおそれがある。
9.1.5 膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者)
膵炎を再発又は発症する可能性がある。本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。[8.6、11.1.3参照]
9.1.6 B型肝炎ウイルス感染を合併している患者
本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。[1.2参照]
9.1.7 肝硬変等の重篤な肝疾患を有する患者
肝臓におけるグルクロン酸抱合低下により、ジドブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。[5.2参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 腎機能障害(Ccrが30mL/min未満)を有する患者
ジドブジン及びラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。[5.2、16.6.1参照]
9.2.2 腎機能障害(Ccrが30~49mL/min)を有する患者
血液検査等をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。副作用の発現が疑われる場合は、個別のジドブジン製剤又はラミブジン製剤を用いて用量調節を考慮すること。ジドブジン及びラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。[5.2、8.3、16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 肝機能障害のある患者
ジドブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。
9.5 妊婦
9.5.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
(1)ジドブジン
ジドブジンはヒト胎盤を通過する。出生児の血漿中ジドブジン濃度は、分娩時の母親の血漿中濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。
ジドブジンが胎児臍帯血白血球のDNAに取り込まれたという報告がある(外国人データ)。
ラットの受胎能及び一般生殖能試験(50、150、450mg/kg/日、1日2回投与)では、中及び高用量群に胚吸収率の増加、高用量群に胎児平均体重の減少がみられた。
サルを用いた試験で、胎児にミトコンドリア障害(心筋及び骨格筋におけるミトコンドリアミオパシー)が認められたとの報告がある。
(2)ラミブジン
ラミブジンはヒト胎盤を通過する。出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。
動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。
(3)ジドブジン/ラミブジン共通
ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。
非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。
9.5.2 本剤を投与された妊婦より出生した児に貧血があらわれることがある。定期的に検査を行うなど児の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
9.6 授乳婦
9.6.1 授乳を避けさせること。
(1)ジドブジン
経口投与されたジドブジン(200mg、単回投与)は、ヒト乳汁中に排泄され、血清中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。
ジドブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.4~3.2であることが報告されている(外国人データ)。
乳児の血清中のジドブジン濃度は24ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。
(2)ラミブジン
経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)(外国人データ)。
ラミブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.6~3.3であることが報告されている(外国人データ)。
乳児の血清中のラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。
9.7 小児等
本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、ジドブジン又はラミブジンの用量調節が必要である体重30kg未満の小児患者には、個別のジドブジン製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン製剤(エピビル錠)を用いること。[5.2参照]
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。肝機能又は腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
・本剤の日本人における薬物動態及び有効性・安全性は確認されておらず、外国人における成績しか得られていないこと。
・本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
・本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、本剤に加えてジドブジン含有製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン含有製剤をさらに追加して服用しないこと。
・本剤の有効成分であるジドブジンは相互作用が多く知られていることから、他院で処方された薬剤又は市販薬を服用中の場合は、すべて担当医に報告すること。
8.2 本剤の有効成分であるジドブジンにより骨髄抑制があらわれるので、投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間毎に血液学的検査を行い、その後は最低1ヵ月毎の検査を行うこと。[1.1、11.1.1参照]
8.3 重篤な血液障害、乳酸アシドーシス、脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、横紋筋融解症、ニューロパシー、錯乱、痙攣、てんかん様発作、心不全があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。[9.2.2、11.1.1、11.1.2、11.1.4-11.1.6参照]
8.4 本剤の投与により、脂肪組織萎縮症があらわれることがあるので、脂肪組織萎縮症の徴候を判定するための検査を行うなど、脂肪組織萎縮症の徴候に十分注意するとともに、身体状態の変化について定期的に問診すること。
8.5 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
8.6 膵炎が発症する可能性があるので、血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の生化学的検査を定期的に行うこと。[9.1.5、11.1.3参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 HIVは感染初期から多種多様な変異株を生じ、薬剤耐性を発現しやすいことが知られているので、本剤は他の抗HIV薬と併用すること。[18.3.1、18.3.2参照]
7.2 本剤投与中貧血(ヘモグロビン値が9.5g/dL未満)又は好中球減少(1000/mm3未満)が認められた場合は、本剤の投与を中止し、個別のジドブジン製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン製剤(エピビル錠)を用いて用量調節を行うこと。[2.1、5.4、9.1.1-9.1.3参照]
7.3 本剤と他の抗HIV薬との併用療法において、因果関係が特定されない重篤な副作用が発現し、治療の継続が困難であると判断された場合には、本剤若しくは併用している他の抗HIV薬の一部を減量又は休薬するのではなく、原則として本剤及び併用している他の抗HIV薬の投与をすべて一旦中止すること。
7.4 本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、本剤に加えてジドブジン含有製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン含有製剤を併用投与しないこと。
7.5 ラミブジンの薬剤耐性プロファイル等のウイルス学的特性はエムトリシタビンと類似しているので、本剤とエムトリシタビンを含む製剤を併用しないこと。また、エムトリシタビンを含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られず、HIV-1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異が認められた場合、エムトリシタビンを本剤に変更するのみで効果の改善は期待できない。[18.3.2参照]

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 無症候性ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に関する治療開始については、CD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量が指標とされている。よって、本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIV RNA量を確認するとともに、最新のガイドラインを確認すること。
5.2 本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、ジドブジン又はラミブジンの用量調節が必要な次の患者には個別のジドブジン製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン製剤(エピビル錠)を用いること。
・腎機能障害(クレアチニンクリアランス(Ccr)が30mL/min未満)を有する患者[9.2.1、9.2.2、16.6.1参照]
・体重30kg未満の小児患者[9.7参照]
・肝硬変等の重篤な肝疾患を有する患者[9.1.7参照]
5.3 HIVによる神経機能障害に対する本剤の有効性は確認されていない。
5.4 本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無く、かつ、原疾患であるHIV感染症により好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少したと判断される患者に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、本剤の投与を考慮すること。[7.2、9.1.2参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回経口投与
健康成人76例にドルテグラビル・ラミブジン50mg・300mgを空腹時に単回経口投与した時のラミブジンの血漿中濃度の推移を図-1に、薬物動態パラメータを表-1に示した(外国人データ)。
図-1 健康成人にドルテグラビル・ラミブジンを単回経口投与した時のラミブジンの血漿中濃度の推移(平均値+標準偏差)
表-1 健康成人にドルテグラビル・ラミブジンを単回経口投与した時のラミブジンの薬物動態パラメータ
AUC0-inf(μg・h/mL)Cmax(μg/mL)Tmax(h)注1)t1/2(h)
13.59(17.99)3.22(29.30)1.00(0.50,3.50)18.63(26.85)
幾何学平均値(CV%)注1)中央値(範囲)
16.1.2 反復経口投与
HIV感染症患者6例に対し、ジドブジン100mg注)1日4回とラミブジン150mg1日2回を25日間以上連続経口投与した時のジドブジン、ラミブジンの血漿中薬物濃度の推移を図-2に、薬物動態パラメータを表-2に示した。ジドブジンは投与後0.8時間で、ラミブジンは投与後1.3時間で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、ジドブジン、ラミブジンのCmax平均はそれぞれ0.549μg/mL、1.547μg/mLであった。ジドブジン、ラミブジンの平均半減期はそれぞれ1.1時間、2.3時間であった。
図-2 血漿中薬物濃度の推移(平均値±標準偏差、6例)
表-2 薬物動態パラメータ
Cmax(μg/mL)Tmax(h)t1/2(h)AUC0-6(μg・h/mL)AUC0-12(μg・h/mL)
ジドブジン0.549±0.2610.8±0.31.1±0.10.858±0.266
ラミブジン1.547±0.3021.3±0.62.3±0.65.089±1.6926.165±2.312
平均値±標準偏差、6例
ラミブジンとジドブジンの併用投与を行なった時、ジドブジンの最高血中濃度が28%上昇したが、ラミブジン及びジドブジンのAUCに有意な変化は認められなかった(外国人データ)。
成人HIV感染症患者にジドブジンを反復経口投与後のCmax及びAUCは、2.0mg/kgを8時間毎~10mg/kg注)を4時間毎の投与量範囲で投与量に比例して増加し、0.5~1.5時間で最高血漿中濃度に達し、半減期約1時間(0.78~1.93時間)で消失した(外国人データ)。
成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kg注)を1日2回15日間経口投与した時、初回投与時では投与1.5時間後に最高血中濃度の1.5μg/mLに達し、半減期は2.6時間であり、15日間投与後では血中濃度は定常状態に達し、最高血中濃度は1.9μg/mLであった(外国人データ)。
16.1.3 単回静脈内投与
ジドブジンを静脈内投与注)した場合、1~5mg/kgの範囲で線形の薬物動態を示し、半減期は約1.1時間(0.48~2.86時間)、全身クリアランス(CL)は1900mL/min/70kg、みかけの分布容積(Vd)は1.6L/kgであった(外国人データ)。
16.1.4 生物学的同等性
健康成人24例に、空腹時に本剤(ジドブジン300mg及びラミブジン150mgを含有する配合剤)1錠、及び、空腹時にジドブジン製剤(ジドブジン300mgを含有する錠剤)及びラミブジン製剤(ラミブジン150mgを含有する錠剤)各1錠を投与し、生物学的同等性を評価した。本剤投与時とジドブジン製剤及びラミブジン製剤の併用投与時のジドブジン及びラミブジンのAUClast、AUC及びCmaxは、生物学的同等性の判定基準(平均値の比の90%信頼区間が0.8~1.25の範囲内)を満たし、生物学的同等性が示された(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人24例に、標準朝食(炭水化物58g、蛋白質33g、脂肪67g)摂取後に本剤(ジドブジン300mg及びラミブジン150mgを含有する配合剤)を投与した時、一晩絶食後に投与した時と比較して、ジドブジンのCmaxは45%低下し、Tmaxは30分から1時間(中央値)に遅延し、ラミブジンのCmaxは15%低下した。一方AUCはラミブジンでは変化が認められず、ジドブジンでは10%の低下であり、食事摂取により曝露量はほとんど変化しなかった(外国人データ)。
16.2.2 バイオアベイラビリティ
(1)ジドブジン
成人HIV感染症患者にジドブジン250~1250mg注)を4時間毎に反復経口投与した場合の生物学的利用率は平均65%(52~75%)であった(外国人データ)。
(2)ラミブジン
成人HIV感染症患者にラミブジンのカプセル製剤0.25~8mg/kg注)を単回経口投与した時の生物学的利用率は約82%であった(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 ジドブジン
(1)髄液への移行
ヒトにジドブジンを投与したとき髄液中への移行が認められ、2mg/kg注)経口投与1.8時間後におけるジドブジンの髄液中/血漿中濃度比は0.15であり、2.5及び5.0mg/kg静脈内投与注)2~4時間後の髄液中/血漿中濃度比はそれぞれ0.20及び0.64であった(外国人データ)。
(2)血漿蛋白結合率
In vitroにおけるジドブジンの血漿蛋白結合率は34~38%であった。
(3)結合蛋白
In vitroにおけるジドブジンの結合蛋白はアルブミンと同定された。
16.3.2 ラミブジン
(1)脳脊髄液への移行
成人HIV感染症患者にラミブジン4~10mg/kg注)を1日2回2週間以上反復経口投与した時、投与2時間後の脳脊髄液中濃度は血中濃度の約6%であった(外国人データ)。
16.4 代謝
16.4.1 ジドブジン
ジドブジンは吸収後、主にUDP-glucuronosyl transferaseによってグルクロン酸抱合をうけ、主代謝物3'-azido-3'-deoxy-5'-O-β-D-glucopyranuronosyl thymidine(GZDV)に速やかに代謝される。副代謝経路として3'-amino-3'-deoxythymidine(AMT)及びそのグルクロン酸抱合体(GAMT)に代謝される経路も存在する。
静脈内投与後のGZDVのAUCは未変化体のAUCの約3倍であり、AMTのAUCは未変化体のAUCの1/5であった。
16.4.2 ラミブジン
ヒトでの主代謝物はトランス-スルホキシド体(1-[(2R,5S)-trans-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-3-oxide-5-yl]cytosine)であった(外国人データ)。
16.5 排泄
16.5.1 ジドブジン
HIV感染症患者にジドブジンを経口投与後の未変化体及びGZDVの尿中排泄率はそれぞれ14.3%及び75.2%であった。ジドブジンの腎クリアランスは400mL/min/70kgであり、糸球体濾過及び能動的尿細管分泌による排泄機構が示唆される(外国人データ)。
16.5.2 ラミブジン
成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kg注)を経口投与した時、投与後12時間尿中にトランス-スルホキシド体が投与量の5.2%排泄された。また、血中濃度が定常状態での未変化体の尿中排泄率は投与量の約70%であり、腎排泄がラミブジンの体内からの除去の主要な経路であることが示された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
(1)ジドブジン
腎機能障害を有する成人患者(平均Ccr 18±2mL/min)に、ジドブジン200mg注)を単回経口投与した時、腎機能が正常な患者での半減期が1.0時間であったのに対し、腎機能障害患者では1.4時間であり、AUCは正常患者の約2倍であった。また、GZDVの半減期は正常患者で0.9時間であったのに対して8.0時間に延長し、AUCは17倍であった(外国人データ)。[5.2、9.2.1、9.2.2参照]
(2)ラミブジン
腎機能の低下したHIV感染症患者にラミブジンを300mg注)単回経口投与した時、Ccrの低下につれてAUC及び最高血中濃度が増加し、半減期が延長し、見かけの全身クリアランスが減少した。[5.2、9.2.1、9.2.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 In vitro試験
アスピリン、インドメタシン等のグルクロン酸抱合により代謝される薬剤がジドブジンのグルクロン酸抱合を阻害したとの報告がある。
注)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人には1回1錠(ジドブジンとして300mg及びラミブジンとして150mg)を1日2回経口投与する。」である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
イブプロフェン(ブルフェン)
[2.3参照]
ジドブジンと併用投与した場合、血友病患者において出血傾向が増強することがある。機序は不明である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ペンタミジンイセチオン酸塩、ピリメタミン(国内未発売)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、フルシトシン、ガンシクロビル、インターフェロン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩ジドブジンの毒性作用が増強されることがある。機序は不明であるが、ともに腎毒性又は骨髄毒性を有するためと考えられている。
プロベネシドジドブジンの全身クリアランスが約1/3に減少し半減期が約1.5倍延長したとの報告があるので、投与間隔を適宜あけること。ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害される。また、本剤のグルクロン酸抱合体の腎排泄が抑制されることが考えられている。
フルコナゾール、ホスフルコナゾールジドブジンの最高血中濃度が84%上昇するとの報告がある。ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害されることが考えられている。
リトナビルジドブジンの最高血中濃度が27%減少し、AUCが25%減少するとの報告がある。ジドブジンのグルクロン酸抱合が促進されることが考えられている。
リファンピシンジドブジンの全身クリアランスが約2.5倍増加し、AUCが約1/2減少するとの報告がある。機序は不明である。
フェニトイン血中フェニトイン濃度が約1/2に減少するとの報告がある。また、上昇するとも報告されているので、血中フェニトイン濃度を注意深く観察すること。機序は不明である。
サニルブジン細胞内におけるサニルブジン三リン酸化体が減少し、サニルブジンの効果が減弱するとの報告があるので、ジドブジンとサニルブジンとの併用療法は避けることが望ましい。ジドブジンが細胞内におけるサニルブジンのリン酸化を抑制することが考えられている。
リバビリンIn vitroにおいてリバビリンとの併用によりジドブジンの効果が減弱するとの報告があるので、ジドブジンとリバビリンの併用療法は避けることが望ましい。ジドブジンの細胞内におけるリン酸化が競合的に阻害されることが考えられている。
アトバコンジドブジンのAUCが33%上昇し、グルクロン酸抱合体の最高血中濃度が19%低下した。ジドブジン500又は600mg/日を3週間投与した場合では、ジドブジンの血中濃度の上昇により、副作用の発現頻度が上昇する可能性は低いと考えられるが、アトバコンをより長期に投与する場合には、十分注意すること。ジドブジンのグルクロン酸抱合が阻害されることが考えられている。
スルファメトキサゾール・トリメトプリムラミブジンのAUCが43%増加し、全身クリアランスが30%、腎クリアランスが35%減少したとの報告がある。腎臓における排泄がラミブジンとトリメトプリムで競合すると考えられている。
ソルビトール経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重篤な血液障害
再生不良性貧血、赤芽球癆(いずれも頻度不明)、汎血球減少(0.4%)、貧血(12.0%)、白血球減少(3.2%)、好中球減少(0.2%)、血小板減少(0.4%)[1.1、8.2、8.3参照]
11.1.2 乳酸アシドーシス(0.2%)、脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)(0.2%)
乳酸アシドーシス又は肝毒性が疑われる臨床症状や検査値異常が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること。特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること。本剤を含むNRTIの単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全身倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸等)及び肝毒性(脂肪沈着による重度の肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されている。[8.3参照]
11.1.3 膵炎(0.4%)
血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の検査値の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止すること。また、重度の腹痛、悪心・嘔吐等の症状がみられた場合にも直ちに本剤の投与を中止し、生化学的検査(血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等)及び画像診断等による観察を十分行うこと。[8.6、9.1.5参照]
11.1.4 横紋筋融解症(頻度不明)[8.3参照]
11.1.5 ニューロパシー(0.4%)、錯乱、痙攣、てんかん様発作(いずれも頻度不明)[8.3参照]
11.1.6 心不全(頻度不明)[8.3参照]
注)発現頻度には使用成績調査の結果を含む

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1~11%未満1%未満頻度不明
血液平均赤血球容積(MCV)増加注1)、リンパ球減少注2)、リンパ節症注2)
消化器嘔気、下痢、腹痛、嘔吐、食欲不振、胃炎、鼓腸放屁消化不良、便秘、口内潰瘍嚥下困難、口唇浮腫、舌浮腫、あい気、歯肉出血、直腸出血、痔核注2)、腹部痙直注2)
全身症状倦怠感・疲労、体脂肪の再分布/蓄積(胸部、体幹部の脂肪増加、末梢部、顔面の脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加)、発熱疼痛、頭痛、体重減少、無力症胸痛、全身痛、悪寒、感冒症状、背痛、体温調節障害注2)、インフルエンザ様疾患
肝臓肝機能検査値異常(AST、ALT等の上昇)
筋骨格骨痛・筋痛ミオパシー、CK上昇を伴う筋脱力、筋痙直注2)、関節痛注2)
精神神経系めまいうつ病、錯感覚、不眠、末梢神経障害、傾眠、失神痙攣等の脳症状、活動低下、手足のしびれ感、情緒不安、筋痙攣、振戦、攣縮、痛覚過敏、神経過敏症、健忘症、見当識障害、嗄声、ストレス反応、空間の広がり感、睡眠障害注2)、不安注2)、感情障害注2)
呼吸器呼吸困難、肺炎、鼻出血、咽頭炎、鼻炎注1)、咳注2)、咽頭痛注2)、気管支炎注2)、副鼻腔炎注2)、耳管炎注2)、呼吸障害注2)、上気道炎注2)
皮膚発疹湿疹、ざ瘡・毛嚢炎、そう痒、皮膚炎、脱毛じん麻疹、体臭変化、爪・皮膚・口腔粘膜の色素沈着、発汗注2)
過敏症アレルギー反応
腎臓頻尿、排尿障害、腎不全、無尿、多尿、血清クレアチニン上昇注2)
循環器心筋症、血管拡張
代謝・内分泌系トリグリセリド上昇・血清コレステロール上昇、血中尿酸上昇CK上昇、高乳酸塩血症血清アミラーゼ上昇、脱水、高血糖注1)、重炭酸塩低下注1)、総蛋白低下注2)、重炭酸塩上昇注2)、総蛋白上昇注2)、血糖値低下注2)
その他味覚倒錯、霧視羞明、弱視、難聴、敗血症、女性化乳房

注1)海外におけるジドブジンとラミブジンの併用療法を行った4種類の二重盲検比較試験での頻度:20%以上
注2)海外におけるジドブジンとラミブジンの併用療法を行った4種類の二重盲検比較試験での頻度:20%未満
注)発現頻度には使用成績調査の結果を含む

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから