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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 2型糖尿病

    • ただし、ピオグリタゾン塩酸塩及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。

用法・用量

  • メタクト配合錠LD

    • 通常、成人には1日1回1錠(ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として15mg/500mg)を朝食後に経口投与する。
  • メタクト配合錠HD

    • 通常、成人には1日1回1錠(ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として30mg/500mg)を朝食後に経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。[2.2、2.3、2.5、8.3、9.2、9.3、11.1.2参照]
  • 1.2 腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断すること。[8.3、9.2、9.3、9.8、11.1.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 心不全の患者及び心不全の既往歴のある患者[ピオグリタゾンでは、動物試験において循環血漿量の増加に伴う代償性の変化と考えられる心重量の増加がみられており、また、臨床的にも心不全を増悪あるいは発症したとの報告がある。][11.1.1、11.1.3参照]
  • 2.2 次に示す患者[メトホルミンによる乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1、8.3、11.1.2参照]
    • ・乳酸アシドーシスの既往のある患者
    • ・重度の腎機能障害(eGFR30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[9.2.1参照]
    • ・心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
    • ・脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
    • ・過度のアルコール摂取者[10.1参照]
  • 2.3 重度の肝機能障害のある患者[肝臓における乳酸の代謝能が低下し、メトホルミンによる乳酸アシドーシスを起こしやすい。また、ピオグリタゾンは主に肝臓で代謝されるため、蓄積するおそれがある。][1.1、8.3、9.3.1参照]
  • 2.4 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となる。]
  • 2.5 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。また、乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1、8.3、11.1.2参照]
  • 2.6 栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こすおそれがある。][11.1.5参照]
  • 2.7 本剤の各成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.8 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 心不全発症のおそれのある心筋梗塞、狭心症、心筋症、高血圧性心疾患等の心疾患のある患者
循環血漿量の増加により心不全を発症させるおそれがある。[8.1、11.1.1、11.1.3参照]
9.1.2 低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
・不規則な食事摂取、食事摂取量の不足
・激しい筋肉運動
[8.4、11.1.5参照]
9.1.3 感染症患者
乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。[8.3、11.1.2参照]
9.2 腎機能障害患者
腎臓における排泄が減少しメトホルミンの血中濃度が上昇するため、乳酸アシドーシス等の発現リスクが高くなる可能性がある。[1.1、1.2、9.8、11.1.2、16.6.1参照]
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2未満)又は透析患者(腹膜透析を含む)
投与しないこと。[2.2参照]
9.2.2 中等度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)
慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。特に、eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[7.2、8.3参照]
9.2.3 軽度の腎機能障害のある患者[8.3参照]
9.3 肝機能障害患者
肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性がある。[1.1、1.2、9.8、11.1.2参照]
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。[2.3参照]
9.3.2 軽度~中等度の肝機能障害のある患者[8.3参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ピオグリタゾンについては、ラット器官形成期投与試験では、40mg/kg以上の群で胚・胎児死亡率の高値、出生児の生存率の低値が、ウサギ器官形成期投与試験では、160mg/kg群で親動物の死亡又は流産がそれぞれ1例、胚・胎児死亡率の高値がみられた。また、メトホルミンでは、ラット、ウサギで胎児への移行が認められており、ラットで催奇形作用が報告されている。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。[2.8、11.1.2参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ピオグリタゾンでは、ラットで乳汁中への移行が報告されている。
メトホルミンでは、低濃度ながらもヒト乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。[1.2、8.3、9.2、9.3、11.1.2参照]
・本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認するなど十分に観察しながら慎重に投与すること。[メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する。]
・腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止や減量を検討すること。特に75歳以上の高齢者では、乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断すること。
・血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察すること。

8.重要な基本的注意

8.1 循環血漿量の増加によると考えられる浮腫が短期間に発現し、また心不全が増悪あるいは発症することがあるので、服用中の浮腫、急激な体重増加、症状の変化に注意し、異常がみられた場合には直ちに本剤の服用を中止し、受診するよう患者を指導すること。[7.1、9.1.1、11.1.1、11.1.3参照]
8.2 心電図異常や心胸比増大があらわれることがあるので、定期的に心電図検査を行うなど十分に観察し、異常が認められた場合には投与を一時中止するかあるいは減量するなど慎重に投与すること。[11.2参照]
8.3 まれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある。リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、以下の点に注意すること。[1.1、1.2、2.5、11.1.2参照]
(1)本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否及び投与量の調節を検討すること。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認すること。[2.2、2.3、7.2、9.2、9.3、9.8参照]
(2)脱水症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意すること。[2.2、10.2参照]
(3)本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、以下の内容を患者及びその家族に十分指導すること。
・過度のアルコール摂取を避けること。[2.2、10.1参照]
・発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は、脱水状態が懸念されるため、一旦服用を中止し、医師に相談すること。[2.2、9.1.3参照]
・乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等)があらわれた場合には、直ちに受診すること。[11.1.2参照]
(4)ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、メトホルミンの併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお、投与再開時には、患者の状態に注意すること。[10.2参照]
8.4 低血糖を起こすことがあるので、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。[9.1.2、11.1.5参照]
8.5 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。[11.1.5参照]
8.6 ピオグリタゾンを投与された患者で膀胱癌の発生リスクが増加する可能性が完全には否定できないので、以下の点に注意すること。[15.1.1、15.2.1参照]
・膀胱癌治療中の患者には投与を避けること。また、特に、膀胱癌の既往を有する患者には本剤の有効性及び危険性を十分に勘案した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
・投与開始に先立ち、患者又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与すること。また、投与中に血尿、頻尿、排尿痛等の症状が認められた場合には、直ちに受診するよう患者に指導すること。
・投与中は、定期的に尿検査等を実施し、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。また、投与終了後も継続して、十分な観察を行うこと。
8.7 投与する場合には、血糖、尿糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。
8.8 急激な血糖下降に伴い、糖尿病性網膜症が悪化する例があるので留意すること。
8.9 本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は確立していない(使用経験はない)。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避けること。一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある。
14.2 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 ピオグリタゾンの投与により浮腫が比較的女性に多く報告されているので、女性に投与する場合は、浮腫の発現に留意し、本剤に含まれるピオグリタゾンとしての投与量は1日1回15mgから投与を開始することが望ましい。[8.1、11.1.3参照]
7.2 中等度の腎機能障害のある患者(eGFR30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特にeGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[8.3、9.2.2、11.1.2、16.6.1参照]
・メトホルミン塩酸塩を少量より開始し、効果を観察しながら徐々に増量するなど、慎重に投与量を調節することが必要であるため、本剤投与がピオグリタゾン及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用療法より適切であるか慎重に判断すること。
・本剤に含まれるピオグリタゾン及びメトホルミン塩酸塩の量、下表に示すメトホルミン塩酸塩単剤の1日最高投与量の目安も考慮して、本剤の投与量を決めること。
(参考)中等度の腎機能障害のある患者におけるメトホルミン塩酸塩単剤の1日最高投与量の目安
推算糸球体濾過量(eGFR)
(mL/min/1.73m2
メトホルミン塩酸塩としての1日最高投与量の目安
45≦eGFR<601,500mg
30≦eGFR<45750mg
※メトホルミン塩酸塩単剤の承認用法は1日量を1日2~3回分割投与であるが、本剤(ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として15mg/500mg又は30mg/500mg)の承認用法は1日1回投与である。
・投与中は、より頻回に腎機能(eGFR等)を確認するなど慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
5.2 原則として、既にピオグリタゾン塩酸塩(ピオグリタゾンとして1日15mg又は30mg)及びメトホルミン塩酸塩(メトホルミン塩酸塩として1日500mg)を併用し状態が安定している場合、あるいはピオグリタゾン塩酸塩(ピオグリタゾンとして1日15mg又は30mg)又はメトホルミン塩酸塩(メトホルミン塩酸塩として1日500mg)単剤の治療により効果不十分な場合に、本剤の使用を検討すること。
5.3 本剤投与中において、本剤の投与がピオグリタゾン塩酸塩及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
5.4 本剤の適用においては、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行うこと。
5.5 本剤を使用する場合は、インスリン抵抗性が推定される患者に限定すること。インスリン抵抗性の目安は肥満度(Body Mass Index=BMI kg/m2)で24以上あるいはインスリン分泌状態が空腹時血中インスリン値で5μU/mL以上とする。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男子(82例)に対し、ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として30mg/500mg配合錠とピオグリタゾン塩酸塩30mg1錠とメトホルミン塩酸塩250mg2錠をクロスオーバー法により1日1回絶食下で経口投与した時のピオグリタゾン未変化体及びメトホルミン未変化体の血漿中濃度推移は次図のとおりであり、生物学的同等性が認められた。
また、30mg/500mg配合錠のピオグリタゾン未変化体、活性代謝物(M-II~IV)及びメトホルミン未変化体の薬物動態学的パラメータは次表のとおりであった。
Cmax(ng/mL)Tmax(h)AUC0-72(ng・h/mL)T1/2(h)
未変化体1,073.1±407.592.5±1.0311,242.1±3,679.0010.4±13.66
M-II29.5±14.567.6±2.51380.6±248.7525.2±18.42
M-III180.4±58.3717.2±6.728,112.7±2,454.8532.7±13.96
M-IV427.8±132.6115.5±6.6919,159.5±5,244.5931.2±13.40
(平均値±標準偏差)
Cmax(ng/mL)Tmax(h)AUC0-48(ng・h/mL)T1/2(h)
メトホルミン1,426.0±387.412.8±0.958,641.7±1,698.974.4±1.40
(平均値±標準偏差)
なお、Wistar fattyラットで調べた血糖低下作用において、M-II~IVの活性は未変化体より弱かった。
16.2 吸収
16.2.1 外国人の健康成人男女(28例)に対し、ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として15mg/850mg注)錠を空腹時又は高脂肪食後に投与した時、高脂肪食後投与時においてメトホルミン未変化体のCmaxが約28%低下したが、メトホルミン未変化体のAUCとピオグリタゾン未変化体のAUC及びCmaxに差はみられなかった。
16.2.2 健康成人男子(8例)に空腹時又は食後にピオグリタゾンとして1回30mgを単回経口投与した時、食後投与において未変化体のTmaxの延長がみられた以外に未変化体の薬物速度論的パラメータに大きな差はなく、摂食による影響はほとんどないと考えられた。
16.2.3 胃液酸度低酸者(5例)にピオグリタゾン30mgのクエン酸添加錠又は非添加錠をクロスオーバー法で単回投与した時、ピオグリタゾン未変化体の体内動態に大きな差はなく、クエン酸添加の影響はみられなかった。
16.3 分布
14C]ピオグリタゾン塩酸塩をヒトの血清、4%ヒト血清アルブミン溶液に添加したときの蛋白結合率は、いずれも98%以上であった。
16.4 代謝
16.4.1 ピオグリタゾンの代謝にはチトクロームP450 1A1、1A2、2C8、2C9、2C19、2D6、3A4の複数の分子種が関与している。また、ピオグリタゾンはヒトチトクロームP450分子種発現ミクロゾームの代謝活性に対して、チトクロームP450 1A1、1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4にほとんど影響を与えなかった(in vitro)。[10.参照]
16.4.2 メトホルミンはヒト体内では代謝されず、また、チトクロームP450 1A2、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4に影響を与えなかった(in vitro)。
16.5 排泄
16.5.1 健康成人男子(14例)に空腹時にピオグリタゾンとして1回30mgを単回経口投与した時、尿中には主としてM-IV~VIが排泄され、投与後48時間までの累積尿中排泄率は約30%であった。
16.5.2 メトホルミンはヒト体内では代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能正常者(クレアチニンクリアランス:>90mL/min)、軽度(クレアチニンクリアランス:61~90mL/min)及び中等度(クレアチニンクリアランス:31~60mL/min)の腎機能障害者にメトホルミン塩酸塩850mg注)を空腹時に単回経口投与したときのメトホルミンの薬物動態パラメータは以下のとおりであった(外国人データ)。[7.2、9.2参照]
Cmax(μg/mL)AUC0-∞(μg・h/mL)T1/2(h)CLR(mL/min)
腎機能正常者(3例)1.64±0.5011.22±3.1911.2±5.2394.7±83.8
軽度腎機能障害者(5例)1.86±0.5213.22±2.0017.3±21.2383.6±122.3
中等度腎機能障害者(4例)4.12±1.8358.30±36.5816.2±7.6108.3±57.2
CLR:腎クリアランス(平均値±標準偏差)
注)本剤の最大承認用量は、ピオグリタゾン/メトホルミン塩酸塩として30mg/500mgである。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アルコール(過度の摂取)
[2.2、8.3、11.1.2参照]
乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避けること。肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ヨード造影剤
[8.3、11.1.2参照]
乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に中止する等適切な処置を行うこと。併用により腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。
腎毒性の強い抗生物質
ゲンタマイシン等
[11.1.2参照]
乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に中止する等適切な処置を行うこと。併用により腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下することが考えられている。
利尿作用を有する薬剤
利尿剤
SGLT2阻害剤等
[8.3、11.1.2参照]
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがあるため、脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。
糖尿病用薬
スルホニルウレア系薬剤
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害剤
DPP-4阻害剤
GLP-1アナログ製剤
インスリン製剤
SGLT2阻害剤
[11.1.5参照]
低血糖を発現するおそれがあるので、低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。併用時には、血糖降下作用の増強により、低血糖のリスクが増加するおそれがある。
糖尿病用薬及びその血糖降下作用を増強又は減弱する薬剤を併用している場合
糖尿病用薬の血糖降下作用を増強する薬剤
β-遮断剤
サリチル酸剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
フィブラート系の高脂血症治療剤
ワルファリン
蛋白同化ステロイド等
糖尿病用薬の血糖降下作用を減弱する薬剤
アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン
卵胞ホルモン
利尿剤
ピラジナミド
イソニアジド
ニコチン酸
フェノチアジン系薬剤等
左記の併用に加え更に本剤を併用する場合には、糖尿病用薬の使用上の注意に記載の相互作用に留意するとともに、本剤のインスリン抵抗性改善作用が加わることによる影響に十分注意すること。血糖降下作用の増強又は減弱による。
リファンピシン等のCYP2C8を誘導する薬剤リファンピシンと併用するとピオグリタゾンのAUCが54%低下するとの報告があるので、リファンピシンと併用する場合は血糖管理状況を十分に観察し、必要な場合には本剤を増量すること。CYP2C8を誘導することにより、ピオグリタゾンの代謝が促進されると考えられる。
シメチジン
ドルテグラビル
ビクテグラビル
バンデタニブ
メトホルミンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を中止するなど慎重に投与すること。これらの薬剤の腎臓での有機カチオン輸送系阻害作用により、メトホルミンの排泄が阻害されると考えられている。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 心不全(頻度不明)
心不全が増悪あるいは発症することがあるので、浮腫、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、動悸、心胸比増大、胸水等)がみられた場合には投与を中止し、ループ利尿剤等を投与するなど適切な処置を行うこと。特に心不全発症のおそれのある心疾患の患者には注意すること。[2.1、8.1、9.1.1参照]
11.1.2 乳酸アシドーシス(頻度不明)
血中乳酸値の上昇、乳酸/ピルビン酸比の上昇、血液pHの低下等を示し、予後不良のことが多い。一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、必要な検査を行うこと。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行うこと。[1.1、1.2、2.2、2.5、7.2、8.3、9.1.3、9.2、9.3、9.5、9.8、10.1、10.2、13.1参照]
11.1.3 浮腫(1%)
循環血漿量の増加によると考えられる浮腫があらわれることがあるので、浮腫が認められた場合には、減量あるいは中止するなど適切な処置を行うこと。これらの処置によっても症状が改善しない場合には、必要に応じてループ利尿剤(フロセミド等)の投与等を考慮すること。
ピオグリタゾンによる浮腫の発現頻度は、糖尿病性網膜症合併例で10.4%(44/422例)、糖尿病性神経障害合併例で11.4%(39/342例)、糖尿病性腎症合併例で10.6%(30/282例)であり、糖尿病性合併症発症例は非発症例に比べ高い傾向にある。これらの症例にあっては浮腫の発現に特に留意すること。[2.1、7.1、8.1、9.1.1参照]
11.1.4 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、Al-P等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.5 低血糖(0.5%)
低血糖症状(初期症状:脱力感、高度の空腹感、発汗等)が認められた場合、本剤あるいは併用している糖尿病用薬を一時的に中止するかあるいは減量するなど慎重に投与すること。また、本剤の投与により低血糖症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。[2.6、8.4、8.5、9.1.2、10.2、15.1.2参照]
11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
11.1.7 間質性肺炎(頻度不明)
発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施し、異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.8 胃潰瘍の再燃(頻度不明)

その他の副作用 

<ピオグリタゾン>

5%以上0.1~5%未満0.1%未満頻度不明
血液注1)貧血、白血球減少、血小板減少
循環器血圧上昇、心胸比増大注2)、心電図異常注2)、動悸、胸部圧迫感、顔面潮紅
過敏症発疹、湿疹、そう痒
消化器悪心・嘔吐、胃部不快感、胸やけ、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘、食欲亢進、食欲不振
肝臓AST、ALT、Al-P、γ-GTPの上昇
精神神経系めまい、ふらつき、頭痛、眠気、倦怠感、脱力感、しびれ
その他LDH及びCKの上昇BUN及びカリウムの上昇、総蛋白及びカルシウムの低下、体重及び尿蛋白の増加、息切れ関節痛、ふるえ、急激な血糖下降に伴う糖尿病性網膜症の悪化骨折注3)、糖尿病性黄斑浮腫の発症又は増悪注4)

注1)血液検査を定期的(3ヵ月に1回程度)に行うこと。
注2)[8.2参照]
注3)外国の臨床試験において、女性の骨折の発現頻度の上昇が認められた。
注4)浮腫、体重増加に伴ってあらわれることがある。視力低下等の異常が認められた場合には黄斑浮腫の可能性を考慮し適切な処置を行うこと。

<メトホルミン>

頻度不明
消化器注5)下痢、食欲不振、腹痛、悪心、嘔吐、腹部膨満感、便秘、消化不良、胃炎、胃腸障害、放屁増加
血液貧血、白血球減少、血小板減少、白血球増加、好酸球増加
過敏症発疹、そう痒
肝臓肝機能異常
腎臓BUN上昇、クレアチニン上昇
代謝異常CK上昇、ケトーシス、乳酸上昇、血中カリウム上昇、血中尿酸増加
その他全身倦怠感注5)、頭痛、頭重、眠気、筋肉痛注5)、めまい・ふらつき、味覚異常、浮腫、発汗、脱力感、動悸、空腹感、ビタミンB12減少注6)

注5)乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意すること。
注6)長期使用によりビタミンB12の吸収不良があらわれることがある。

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