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ヴォリブリス錠2.5mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 肺動脈性肺高血圧症

用法・用量

  • 成人

    • 通常、成人にはアンブリセンタンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量する。
  • 小児

    • 通常、8歳以上の小児には、体重に応じアンブリセンタンとして下記の投与量を1日1回経口投与する。
      • 20~35kg未満

        • 通常、2.5mgとし症状に応じて1日5mgを超えない範囲で適宜増量する。
      • 35~50kg未満

        • 通常、5mgとし症状に応じて1日7.5mgを超えない範囲で適宜増量する。
      • 50kg以上

        • 通常、5mgとし症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 重度の肝障害のある患者[9.3.1参照]
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
  • 2.3 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重度の貧血患者
貧血が悪化するおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.2 間質性肺炎患者
間質性肺炎が増悪することがある。[11.1.4参照]
9.1.3 肺静脈閉塞性疾患を有する患者
本剤を投与しないことが望ましい。心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。[8.3参照]
9.1.4 出血の危険因子を有する患者
出血の危険性に注意すること。国内臨床試験において鼻出血など出血の副作用が認められている。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害のある患者
これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝障害のある患者
投与しないこと。類薬で重篤な肝障害を起こしたとの報告がある。[2.1、16.6.2参照]
9.3.2 中等度の肝障害のある患者
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.2参照]
9.3.3 投与開始前のアミノトランスフェラーゼ(AST、ALT)のいずれかが基準値上限の3倍を超える患者
肝機能障害を増悪させるおそれがある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
本剤の投与に際し、妊娠する可能性のある女性には以下について説明すること。また、必要に応じて投与前又は投与期間中に定期的に妊娠検査を行うこと。[9.5参照]
・妊娠中に本剤を服用した場合の胎児に及ぼす危険性。
・本剤の投与中及び最終投与後5日間において避妊する必要性及び適切な避妊法。
・妊娠した場合若しくはその疑いがある場合には、医師に直ちに連絡すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラット及びウサギにおいて本剤の催奇形性(ラット及びウサギでは下顎・舌・口蓋の異常、さらにラットでは心室中隔欠損、動脈幹遺残、甲状腺及び胸腺の異常、底蝶形骨過剰骨化、左臍動脈)が認められている。[2.2、9.4参照]
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。母動物(ラット)に妊娠15日から分娩後20日まで経口投与した結果、出生児生存率の低下が認められている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児、8歳未満又は体重20kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に、生理機能が低下していることが多い。海外臨床試験において、末梢性浮腫の多くは軽度から中等度であったが、高齢者では発現する可能性が高く、重症例が多い傾向が示唆された。

8.重要な基本的注意

8.1 エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)の投与時に肝酵素上昇が認められているため、本剤の投与開始前に必ず肝機能検査を実施し、投与中においては必要に応じて定期的に、肝機能検査を実施しモニターすること。本剤投与中に、臨床的に顕著なアミノトランスフェラーゼ(AST、ALT)上昇、肝障害の徴候を伴うアミノトランスフェラーゼ上昇、又は黄疸が発現した場合には本剤の投与を中止すること。
8.2 ヘモグロビン減少及びヘマトクリット減少が起こる可能性があり、貧血に至った症例があるため、投与開始前及び投与開始1ヵ月後に血液検査を実施すること。また、その後も定期的に検査を実施することが望ましい。[9.1.1、11.1.1参照]
8.3 本剤の投与により急性肺水腫の徴候が見られた場合は、肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。[9.1.3参照]
8.4 特発性肺線維症(IPF)を対象とした海外臨床試験において、本剤投与によりIPFの病態増悪リスクの増加の可能性が示されている。肺の線維化を伴う肺動脈性肺高血圧症の患者に本剤を投与する際は、肺線維症の治療に精通した呼吸器科医に相談するなど、本剤投与によるリスクとベネフィットを考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。[15.1参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
14.1.2 PTPシートからの取り出しは、裏のラベルを剥がした後、指の腹で押し出すこと。

7.用法及び用量に関連する注意

シクロスポリンと併用する場合には、本剤は成人及び50kg以上の小児は1日1回5mg、50kg未満の小児は1日1回2.5mgを上限として投与すること。[10.2、16.7.4参照]

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 WHO機能分類クラスIVの患者における有効性及び安全性は確立していない。
5.2 本剤の使用にあたっては、最新の治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。
5.3 肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識及び経験を有する医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者に対して適用を考慮すること。
5.4 小児では、特発性又は遺伝性肺動脈性肺高血圧症、先天性心疾患の外科的修復術後の肺動脈性肺高血圧症及び結合組織疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症以外の肺動脈性肺高血圧症における有効性・安全性は確立されていない。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性に本剤2.5mg注)、5mg又は10mgを単回経口投与した時、本剤は速やかに吸収され、投与後2~2.5時間(中央値)に最高血漿中濃度(Cmax)に達した。Cmax及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は用量の増加にほぼ比例して増加した。消失半減期(t1/2)は約10~19時間であった。
図1 空腹時単回投与後の血漿中アンブリセンタン濃度の推移(平均値±標準偏差)
表1 空腹時単回投与後の薬物動態パラメータ
投与量(例数)Cmax(ng/mL)tmax(h)AUC0-∞(ng・h/mL)t1/2(h)
2.5mg注)(11例)178.7±32.052.5(1.0-4.0)1438.8±372.6010.0±3.62
5mg(11例)362.0±42.532.0(1.0-4.0)2944.5±608.5513.6±4.83
10mg(12例)766.8±90.682.0(1.0-4.0)6894.1±1612.5018.8±10.98
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)
注)本剤の成人承認用量は1日1回5mg、症状に応じて1日10mgを超えない範囲で適宜増量である。
16.1.2 反復投与
成人肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者に本剤5mgを1日1回12週間反復経口投与した時、投与後4時間にCmaxに達し、t1/2は11時間であった。定常状態におけるAUC0-24は8337.4ng・h/mL、Cmaxは674.3ng/mLであった。
また、本剤5mg及び10mgを投与した時の定常状態時における投与前及び投与後2~4時間の血漿中アンブリセンタン濃度は表2のとおりであった。
表2 成人PAH患者に本剤5mg及び10mg投与時の血漿中アンブリセンタン濃度(定常状態)
投与群(症例数)血漿中アンブリセンタン濃度(ng/mL):投与前血漿中アンブリセンタン濃度(ng/mL):投与2~4時間後
5mg(28例)147.8±157.2635.2±260.7
10mg(17例)263.3±265.51083.2±318.9
平均値±標準偏差
8歳以上の小児PAH患者に本剤を1日1回経口投与した時の用量群別の曝露量(推定値)は表3のとおりであった。
表3 8歳以上の小児PAH患者における薬物動態パラメータ(母集団薬物動態解析による推定値)
集団投与量
(症例数)
体重区分AUCss(μg・h/mL)Cmax,ss(ng/mL)
低用量群
日本人2.5mg
(3例)
20~35kg未満3.94(3.03-5.11)442(217-898)
5mg
(1例)
35~50kg未満5.60668
5mg
(1例)
50kg以上3.87530
外国人2.5mg
(5例)
20~35kg未満4.09(3.11-5.39)501(407-615)
5mg
(7例)
35~50kg未満6.56(5.00-8.62)497(384-643)
5mg
(3例)
50kg以上3.84(1.98-7.45)659(255-1700)
高用量群
外国人5mg
(9例)
20~35kg未満8.73(7.75-9.83)953(850-1070)
7.5mg
(4例)
35~50kg未満8.70(7.62-9.92)1100(679-1790)
10mg
(6例)
50kg以上10.2(8.04-12.8)948(791-1140)
幾何平均値(95%信頼区間)
16.1.3 母集団薬物動態解析
健康成人及び成人PAH患者における母集団薬物動態解析の結果から、年齢及び性別は本剤の薬物動態に大きな影響を与えなかった(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性に本剤10mgを空腹時又は食後(標準的な朝食)単回経口投与した時、食後投与では空腹時投与と比較し、Cmaxは約17%低下したが、AUC0-48、最高血漿中濃度到達時間(tmax)及びt1/2には影響は認められなかった。
表4 空腹時又は食後単回経口投与後の薬物動態パラメータ
投与量(例数)Cmax(ng/mL)tmax(h)AUC0-48(ng・h/mL)t1/2(h)
10mg(12例)空腹時766.8±90.682.0(1.0-4.0)6437.3±1487.6818.8±10.98
10mg(12例)食後637.1±102.652.5(1.5-4.0)6251.9±1389.9619.9±11.20
平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)
16.3 分布
In vitroでの本剤(0.2~20μg/mL)のヒト血漿蛋白結合率は98.8%であった。また、本剤は主にアルブミンと結合し(96.5%)、一部はα1-酸性糖蛋白質と結合した。
16.4 代謝
本剤はin vitroでUDP-グルクロン酸転移酵素のUGT1A9、UGT2B7及びUGT1A3によりグルクロン酸抱合され、その他に、チトクロームP450(CYP)で酸化的に代謝される。CYPによる代謝には主にCYP3A4、一部にCYP2C19及びCYP3A5が関与する。
16.5 排泄
健康成人男性を対象に2H及び14C標識した本剤を単回経口投与した時の主要排泄経路は糞中であり、投与量の約40%が未変化体、約21%が4-水酸化体として糞中に排泄された。また、尿中には、投与量の約4%が未変化体、約18%が未変化体のグルクロン酸抱合体及び4-水酸化体のグルクロン酸抱合体として排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎障害患者
腎障害患者における本剤の薬物動態は検討されていない。
本剤の主要排泄経路は糞中であるため、腎障害患者では、本剤の血中濃度が上昇する可能性は低い。
16.6.2 肝障害患者
肝障害患者における本剤の薬物動態は検討されていない。
本剤は、UGT及びCYPで代謝されるため、肝障害患者では、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。[9.3.1-9.3.3参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 代謝酵素に及ぼす影響
非臨床試験において、本剤は第I及びII相代謝酵素を阻害・誘導しなかったことから、本剤がこれらの代謝酵素で代謝される薬剤の体内動態に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる。
16.7.2 薬剤トランスポーターに及ぼす影響
本剤はin vitroでP-糖蛋白質及びorganic anion transporting polypeptide(OATP)の基質である。また、本剤はin vitroでOATP1B1、OATP1B3及びsodium taurocholate co-transporting polypeptide(NTCP)を阻害し、IC50はそれぞれ47、45及び約100μMであった。本剤はin vitroでP-糖蛋白質、bile salt export pump(BSEP)、breast cancer resistance protein(BCRP)及びmulti-drug resistance protein-2(MRP2)を阻害しなかった。
16.7.3 CYP3A4に対する誘導の検討
健康成人を対象に本剤がCYP3A4を誘導する可能性について尿中6β-ヒドロキシコルチゾール濃度を指標として検討した結果、本剤はCYP3A4を誘導しなかった(外国人データ)。
16.7.4 シクロスポリン
健康成人男女に、本剤5mg反復投与時にシクロスポリン100~150mgを併用した結果、定常状態における本剤のAUCは約2倍となった。シクロスポリン100~150mgを反復投与時に本剤5mgを併用した結果、本剤は定常状態におけるシクロスポリンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。[7.、10.2参照]
16.7.5 ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)
健康成人男性に、ケトコナゾール400mg反復投与時に本剤10mgを併用した結果、本剤のCmax及びAUCは非併用時に比べ、それぞれ約20%及び35%増加した(外国人データ)。
16.7.6 リファンピシン
健康成人男女に、本剤10mg反復投与時にリファンピシン600mgを併用した結果、リファンピシン併用初期には本剤のAUCの一過性の増加(約2倍)が認められたが、リファンピシンを8日間併用投与後には、リファンピシンは本剤の薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
16.7.7 経口避妊薬(エチニルエストラジオール35μg及びノルエチステロン1mg含有)
健康成人女性に、本剤10mg反復投与時に経口避妊薬を併用した結果、本剤はエチニルエストラジオール及びノルエチステロンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
16.7.8 ジゴキシン
健康成人男性に、本剤10mg反復投与時にジゴキシン0.5mgを併用した結果、本剤はジゴキシンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。
16.7.9 オメプラゾール
オメプラゾールによる血漿中未変化体濃度及び薬物動態に与える影響を評価するため、PAH患者での長期第III相試験における薬物動態データを用いてpost-hoc解析を行ったところ、オメプラゾール併用投与群と非併用投与群で差は認められなかった(外国人データ)。
16.7.10 その他の薬剤
健康成人男女に、本剤10mgとシルデナフィル20mg、タダラフィル40mg、又はワルファリン25mgを併用した結果、本剤の薬物動態に変化は認められなかった。また、本剤はシルデナフィル、タダラフィル、ワルファリンの薬物動態に影響を与えなかった(外国人データ)。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シクロスポリン
[7.、16.7.4参照]
シクロスポリンとの併用により本剤のAUCが約2倍になるとの報告がある。併用する場合には、本剤は成人及び50kg以上の小児は1日1回5mg、50kg未満の小児は1日1回2.5mgを上限として投与すること。詳細な機序は不明であるが、シクロスポリンとの併用により、本剤の血中濃度が上昇する。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 貧血(7.6%)
ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少があらわれることがある。[8.2、9.1.1参照]
11.1.2 体液貯留(頻度不明)
異常が認められた場合には本剤に起因するものか、基礎疾患の心不全によるものか原因を確認し、本剤の投与中止、利尿剤の投与などの処置を行うこと。
11.1.3 心不全(1.5%)
体液貯留に関連し、心不全があらわれることがある。
11.1.4 間質性肺炎(頻度不明)
間質性肺炎が発現又は増悪することがある。咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[9.1.2参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上10%未満頻度不明
過敏症過敏症反応(血管性浮腫、発疹等)
精神神経系頭痛めまい
循環器潮紅動悸、低血圧
呼吸器鼻閉注1)鼻出血、喀血、呼吸困難注2)、副鼻腔炎、鼻咽頭炎
消化器便秘、悪心、腹痛、嘔吐
肝臓トランスアミナーゼ上昇
全身症状末梢性浮腫疲労無力症
視覚障害(霧視等)、眼窩周囲浮腫
血液白血球減少

注1)用量依存的に発現する。
注2)海外の市販後において、本剤投与直後に発現した呼吸困難が報告されている。

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