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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○慢性特発性血小板減少性紫斑病
  • ○再生不良性貧血

用法・用量

  • <慢性特発性血小板減少性紫斑病>

    • 通常、成人には、エルトロンボパグとして初回投与量12.5mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、血小板数、症状に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は50mgとする。
  • <再生不良性貧血>

    • 抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合

      • 抗胸腺細胞免疫グロブリンとの併用において、通常、成人及び12歳以上の小児には、エルトロンボパグとして75mgを1日1回、6歳以上12歳未満の小児には、エルトロンボパグとして37.5mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。
    • 既存治療で効果不十分な場合

      • 通常、成人には、エルトロンボパグとして初回投与量25mgを1日1回、食事の前後2時間を避けて空腹時に経口投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。また、1日最大投与量は100mgとする。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 アンチトロンビンIII欠損、抗リン脂質抗体症候群等の血栓塞栓症の素因のある患者
血栓塞栓症があらわれるおそれがある。
9.2 腎機能障害患者
血小板数の推移に加えて安全性についても慎重に観察すること。腎機能障害患者を対象に有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝機能障害が悪化するおそれがある。また、血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増加する可能性がある。[16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胎児の血小板への影響は不明である。動物試験(ラット)において母体毒性用量で胚致死、胎児体重の低値及び低頻度の頸肋(変異)の増加が報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中への移行が示唆されている。
9.7 小児等
<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
<再生不良性貧血>
9.7.2 免疫抑制療法で未治療の低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。既存治療で効果不十分の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。[17.1.6参照]
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤は、血液疾患の治療に十分な経験を持つ医師のもとで使用すること。
8.2 本剤の投与により肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び用量調節時は2週間毎、用量の変更がなければ1ヵ月毎に肝機能検査(AST、ALT、ビリルビン等)を実施すること。[11.1.1参照]
8.3 血小板数が正常範囲以下であっても血栓塞栓症が認められているため、血小板数にかかわらず血栓塞栓症の発現に注意すること。また、血小板数が正常範囲を超えると、血栓塞栓症のリスクが増加する可能性があるので、観察を十分に行い、血小板数が治療の目標とするレベルを超えた場合には、本剤の減量又は休薬を考慮する等注意すること。[11.1.2参照]
8.4 本剤の投与中止後2週間以内に血小板数が投与開始前の値まで低下し、出血を生じることがあるので、本剤の投与中止後4週間程度は頻回に血小板数を測定すること。[11.1.3参照]
8.5 本剤を含むトロンボポエチン受容体作動薬には、骨髄のレチクリン線維の形成及び線維化を進行させる可能性があるので、本剤の投与開始前には末梢血塗抹標本検査を行い、細胞の形態学的異常を確認すること。また、本剤の投与中は、毎月白血球分画を含む全血球計算を検査し、未熟細胞又は異型細胞が観察された場合には、末梢血塗抹標本検査を行い、形態学的異常(涙滴赤血球、有核赤血球、未熟白血球等)の発現を確認し、血球減少の有無も確認すること。これらの異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、骨髄生検(染色による骨髄線維化の評価等)の実施を考慮すること。[11.1.4参照]
8.6 トロンボポエチン受容体作動薬には、既存の骨髄異形成症候群等の血液悪性腫瘍を進行させる可能性がある。
8.7 げっ歯類を用いた毒性試験において、白内障がみられた。また、臨床試験において白内障が報告されているので、白内障に対する眼科的な検査を定期的に行うことが望ましい。
<再生不良性貧血>
8.8 重症再生不良性貧血患者を対象とした海外臨床試験において、本剤投与後に染色体異常が認められた例や骨髄異形成症候群及び急性骨髄性白血病への移行例が報告されている。再生不良性貧血患者への本剤の投与中は、定期的に白血球分画を含む全血球計算及び末梢血塗抹標本検査を行い、幼若細胞や形態学的異常の発現を確認し、血球減少の有無も確認すること。これらの異常が認められた場合には、骨髄検査(染色体異常の評価を含む)の実施を考慮し、本剤の投与継続の可否を判断すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 本剤は食事とともに服用すると血中濃度が低下することがあるので、食事の前後2時間を避けて空腹時に服用すること。[16.2.1参照]
7.2 制酸剤、乳製品、多価陽イオン(鉄、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、セレン、亜鉛等)含有製剤等とともに服用すると本剤の血中濃度が低下するので、本剤服用の前4時間及び後2時間はこれらの摂取を避けること。[10.2、16.2.1、16.7.1参照]
<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
7.3 本剤の投与中は、血液検査及び肝機能検査を定期的に実施し、本剤の用量は下記7.3.1-7.3.7を参照の上、調節すること。本剤の投与開始時及び用量調節時には血小板数及び末梢血塗抹標本検査を含む全血球計算を、血小板数が安定する(血小板数50,000/μL以上が少なくとも4週間)までは毎週、安定した後は毎月検査することが望ましい。
7.3.1 本剤は治療上必要最小限の用量で使用すること。
7.3.2 本剤の効果は、通常1~2週間であらわれるので、効果の確認のためには少なくとも2週間は同一用量を維持すること。ただし、肝障害のある患者では、血小板数が定常状態に達するまでの期間が長くなるため、効果の確認のためには少なくとも3週間は同一用量を維持すること。
7.3.3 血小板数50,000/μLを目安とし、血小板数がそれを下回る場合には増量を考慮すること。
7.3.4 血小板数が50,000/μL~200,000/μLの場合には、出血のリスクを低下できる治療上必要最小限の用量となるよう、適宜減量も考慮すること。
7.3.5 血小板数が200,000/μL~400,000/μLの場合には本剤を減量すること。
7.3.6 血小板数が400,000/μLを超えた場合には本剤を休薬すること。この場合血小板数の測定は週に2回実施することが望ましい。休薬後、血小板数が150,000/μLまで減少した場合には休薬前の投与量よりも原則として一段階用量を減量した上で投与を再開すること。
7.3.7 本剤の投与量を調節する場合には、通常、12.5mg/日ずつとする。
7.4 本剤を1日50mg、4週間投与しても血小板数が増加せず、臨床的に問題となる出血傾向の改善が認められない場合には、本剤の投与中止を考慮すること。
<再生不良性貧血>
7.5 本剤の投与中は、血液検査及び肝機能検査を定期的に実施し、本剤の用量は下記7.6、7.6.1-7.6.4、7.7、7.7.1-7.7.4を参照の上、調節すること。本剤の投与量を調節する場合には、通常、25mg/日(抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の6歳以上12歳未満の小児は12.5mg/日)ずつとする。用量調節時には少なくとも2週間は同一用量を維持すること。
7.6 抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の患者に投与する場合
7.6.1 抗胸腺細胞免疫グロブリンの投与に際しては、併用薬剤の電子添文を熟読すること。
7.6.2 血小板数が200,000/μLを超えた場合には本剤の減量を考慮すること。
7.6.3 血小板数が400,000/μLを超えた場合には本剤を休薬すること。休薬後、血小板数が200,000/μL未満に減少した場合には、休薬前の投与量よりも原則として一段階用量を減量した上で本剤の投与を再開すること。
7.6.4 本剤を26週間投与しても血球数の改善が認められない場合には本剤の投与を中止すること。
7.7 既存治療で効果不十分な患者に投与する場合
7.7.1 血小板数50,000/μLを目安とし、血小板数がそれを下回る場合には増量を考慮すること。
7.7.2 血小板数が100,000/μL~200,000/μLの場合には減量を考慮すること。
7.7.3 血小板数が200,000/μLを超えた場合には少なくとも1週間は本剤を休薬すること。休薬後、血小板数が50,000/μL未満に減少した場合には休薬前の投与量よりも原則として一段階用量を減量した上で本剤の投与を再開すること。
7.7.4 本剤を16週間投与しても血球数の改善が認められない場合には本剤の投与を中止すること。
7.8 3血球系統の改善(目安として、輸血非依存下で血小板数50,000/μLを超える、輸血非依存下でヘモグロビン値10g/dLを超える、好中球数1,000/μLを超える)が8週間以上持続した場合には本剤の投与量を最大で半量まで減量すること。減量後の投与量で血球改善が更に8週間以上持続した場合には、本剤を休薬し、血球数を観察すること。休薬後に血小板数30,000/μL未満、ヘモグロビン値9g/dL未満、好中球数500/μL未満に低下した場合には休薬前の投与量で投与を再開してもよい。

5.効能又は効果に関連する注意

<慢性特発性血小板減少性紫斑病>
5.1 他の治療にて十分な効果が得られない場合、又は忍容性に問題があると考えられる場合に使用すること。
5.2 血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる場合に使用すること。
<再生不良性貧血>
5.3 診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。[17.1.4-17.1.6参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
日本人健康成人男性を対象に、本剤25、50あるいは75mgを空腹時単回及び反復経口投与した時、本剤は速やかに吸収され、投与後3~4時間(中央値)で最高血漿中濃度(Cmax)に達した。単回及び反復投与時の曝露量(Cmax及びAUC)は、投与量の増加に対し、ほぼ線形的に増加した。また、本剤は反復投与開始後約7日で定常状態に達すると考えられた。表-1に薬物動態パラメータを示した。
表-1 健康成人に単回及び10日間反復経口投与した時の薬物動態パラメータ
投与量(mg)例数Cmax(μg/mL)AUCa)(μg・hr/mL)tmax(hr)t1/2(hr)CL/F(L/hr)
単回投与
25103.56±1.1355.4±23.23.0(2.0-5.0)29.6±5.00.534±0.256
50106.44±2.14106.6±32.43.0(1.5-5.0)31.0±5.90.525±0.218
75108.39±2.84134.9±37.43.0(2.0-6.0)32.4±7.60.604±0.201
反復投与
25104.83±1.1758.9±18.43.0(1.5-5.0)39.7±3.20.478±0.196
50910.6±2.38133.8±33.64.0(2.0-5.0)51.3±12.20.396±0.102
751012.78±2.84164.2±35.54.0(2.0-5.0)47.8±11.50.476±0.102
算術平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)a)単回投与:AUC0-∞、反復投与:AUC0-τ
日本人特発性血小板減少性紫斑病患者に本剤12.5、25あるいは50mgを投与した時の定常状態における薬物動態パラメータを表-2に、血漿中エルトロンボパグ濃度推移を図-1に示した。
表-2 日本人特発性血小板減少性紫斑病患者の定常状態における薬物動態パラメータ
投与量(mg)例数Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUC0-τ(μg・hr/mL)t1/2b)(hr)
12.582.99±1.253.19(2.00-4.17)41.64±24.36a)19.5±7.16a)
2556.78±2.624.00(2.00-4.00)92.53±41.1227.0±7.66
50411.88±3.932.97(1.92-4.17)171.6±75.2418.2±4.94
算術平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)a)n=7 b)24時間までのポイントから算出のため、参考値
図-1 日本人特発性血小板減少性紫斑病患者の定常状態における血漿中エルトロンボパグ濃度推移(平均値±標準偏差)
なお、日本人及び外国人の成績を用いた母集団薬物動態解析の結果、エルトロンボパグのAUC0-τは、非東アジア系特発性血小板減少性紫斑病患者(主に白人)と比較して、東アジア系特発性血小板減少性紫斑病患者で約87%高値を示した。また、日本人特発性血小板減少性紫斑病患者のAUC0-τは、非東アジア系特発性血小板減少性紫斑病患者のAUC0-τ(母集団薬物動態解析推定値)に比べ、約85%高値を示した。
母集団薬物動態解析の結果、女性特発性血小板減少性紫斑病患者におけるAUC0-τは、男性に比べて約50%高かった。また、年齢は本剤の薬物動態に影響を及ぼさなかった。
抗胸腺細胞免疫グロブリンに治療抵抗性若しくは再発又は抗胸腺細胞免疫グロブリン治療が受けられない中等症以上の日本人再生不良性貧血患者に本剤25mgを投与した時の定常状態における薬物動態パラメータを表-3に示した。
表-3 日本人再生不良性貧血患者の定常状態における薬物動態パラメータ
投与量(mg)例数Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUC0-τa)(μg・hr/mL)
2556.41±4.202.00(1.90-7.58)99.20±119.0
算術平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)a)n=3
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人に本剤50mgを、乳製品を含む高カロリー、高脂肪の食事(カルシウム427mg含有)とともに単回経口投与した時、空腹時に比べてAUC0-∞は59%、Cmaxは65%低下した。また、本剤75mgを高脂肪又は低脂肪のカルシウム含有量の低い(50mg未満)食事とともに投与した時、いずれもエルトロンボパグのAUC0-∞及びCmaxに影響を与えなかった(外国人データ)。
(参考)
健康成人にエルトロンボパグの経口懸濁液用粉末(以下、PfOS)製剤25mg(国内未承認)を高カルシウム食(カルシウム約448mg)摂取2時間前に単回投与した時のエルトロンボパグのAUC0-∞及びCmaxは、空腹時投与と比べてそれぞれ20%及び14%低下した。一方、高カルシウム食摂取2時間後にPfOS製剤25mgを単回投与した時、エルトロンボパグのAUC0-∞及びCmaxは、空腹時投与と比べてそれぞれ47%及び48%低下した(外国人データ)。[7.1、7.2、10.2参照]
16.3 分布
本剤はin vitro試験の結果、2~100μg/mLの濃度範囲で99.9%以上がヒト血漿蛋白質と結合し、主な結合蛋白質はアルブミンであった。
本剤はBCRPの基質であったが、P-糖蛋白質(Pgp)及びOATP1B1の基質ではないことが確認された。また、本剤はin vitro試験でOATP1B1及びBCRPを阻害(IC50値:いずれも約2.7μM)した。
16.4 代謝
本剤はin vitro試験の結果、最大100μMの濃度でCYP1A2、CYP2A6、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5及びCYP4A9/11の活性を阻害しなかったが、CYP2C8(パクリタキセル)及びCYP2C9(ジクロフェナク)の活性を阻害し、IC50値はそれぞれ24.8μM(11μg/mL)及び20.2μM(8.9μg/mL)であった。
健康成人男性に本剤75mgを反復経口投与した時、本剤はCYP1A2、CYP2C19、CYP2C9及びCYP3A4の活性を阻害及び誘導しなかった(外国人データ)。
本剤はin vitro試験の結果、UGT1A1、UGT1A3、UGT1A4、UGT1A6、UGT1A9、UGT2B7及びUGT2B15の活性を阻害(IC50値:3.0~33μM)した。
健康成人男性に本剤の14C-標識体75mgを経口投与した時、酸化体、グルクロン酸抱合体、グルタチオン抱合体又はシステイン抱合体に代謝された(外国人データ)。また、in vitro試験の結果、本剤の酸化的代謝にはCYP1A2及びCYP2C8が、グルクロン酸抱合にはUGT1A1及びUGT1A3が関与していると考えられた。
16.5 排泄
本剤の主な排泄経路は糞中であり、本剤の14C-標識体75mgを単回経口投与後168時間までに、平均で投与量の30.7%が尿中に、投与量の58.9%が糞中に排泄された。尿中に未変化体(エルトロンボパグ)は認められず、糞中には投与量の約20%が未変化体として排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害患者に本剤50mgを単回経口投与した時のエルトロンボパグのAUC0-∞の幾何平均値は健康成人と比べて軽度の腎機能障害患者(CLcr:50~80mL/min)で32%、中等度の腎機能障害患者(CLcr:30~49mL/min)で36%、重度の腎機能障害患者(CLcr:30mL/min未満)で60%低かった。しかしながら、健康成人及び軽度~重度の腎機能障害患者のAUC0-∞の範囲(最小値~最大値)は、順に32.65~99.32、22.54~83.51、21.10~109.95、3.44~117.54μg・hr/mLとばらつきが大きかった(外国人データ)。[9.2参照]
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害患者に本剤50mgを単回経口投与した時のエルトロンボパグのAUC0-∞の幾何平均値は健康成人と比べて軽度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア:5~6)で41%、中等度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア:7~9)で93%、重度の肝機能障害患者(Child-Pughスコア:10以上)で80%高かった。しかしながら、健康成人及び軽度~重度の肝機能障害患者のAUC0-∞の範囲(最小値~最大値)は、順に34.46~174.99、35.86~127.74、57.64~263.22、32.26~263.51μg・hr/mLとばらつきが大きかった(外国人データ)。[9.3参照]
16.6.3 小児等
免疫抑制療法で未治療の日本人小児再生不良性貧血患者に、抗胸腺細胞免疫グロブリン及びシクロスポリンとの併用において6歳以上12歳未満の患者に本剤37.5mgを、12歳以上18歳未満の患者に本剤75mgを投与した時のエルトロンボパグの定常状態における薬物動態パラメータを表-4に示した。
表-4 日本人小児再生不良性貧血患者の定常状態における薬物動態パラメータ
年齢投与量(mg)例数Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUC0-τ(μg・hr/mL)
6歳以上12歳未満a)37.5317.7±8.363.93(1.87-3.95)352±194
12歳以上18歳未満b)75242.3(40.6,44.0)3.06(2.12,4.00)713(705,721)
a)算術平均値±標準偏差、tmaxは中央値(範囲)b)算術平均値(個別値)、tmaxは中央値(個別値)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 制酸剤
健康成人に、本剤75mgと多価陽イオン(水酸化アルミニウム及び炭酸マグネシウム)を含む制酸剤を単回併用投与した時、エルトロンボパグのAUC0-∞及びCmaxはともに約70%低下した(外国人データ)。[7.2、10.2参照]
16.7.2 ロスバスタチン
健康成人に本剤75mg投与の定常状態時に、OATP1B1及びBCRPの基質であるロスバスタチン10mgを単回併用投与した時、単独投与時に比べてロスバスタチンのAUC0-∞は55%、Cmaxは103%増加した(n=39)。層別解析の結果、アジア人では、AUC0-∞は32%、Cmaxは61%増加した(n=21)。なお、ロスバスタチンは、本剤の薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ロピナビル/リトナビル配合剤
健康成人にロピナビル400mg/リトナビル100mg配合剤1日2回反復投与時に、本剤100mgを単回併用投与した時、単独投与時に比べてエルトロンボパグのAUC0-∞は17%低下した(n=40)(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 シクロスポリン
健康成人に本剤50mg単回投与時に、シクロスポリン200mgを単回併用投与した時、単独投与時に比べてエルトロンボパグのAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ18%及び25%低下した(n=37及びn=39)。また、シクロスポリン600mgを単回併用投与した時、単独投与時に比べてエルトロンボパグのAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ24%及び39%低下した(n=33及びn=37)(外国人データ)。
既存治療で効果不十分な再生不良性貧血患者に本剤50mgを1日1回反復投与した時のエルトロンボパグのトラフ値(平均値)は、シクロスポリン非併用患者(n=12)と比べてシクロスポリン25~250mgを1日2回反復併用投与した患者で73%高値を示した(n=8)(日本人データ)。[10.2参照]

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ロスバスタチン
[16.7.2参照]
ロスバスタチンの血中濃度が上昇したとの報告がある。
ロスバスタチンの減量を考慮し、患者の状態を慎重に観察すること。
本剤がOATP1B1及びBCRPを阻害する可能性がある。
制酸剤
乳製品
多価陽イオン(鉄、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、セレン、亜鉛等)含有製剤等
[7.2、16.2.1、16.7.1参照]
同時に服用すると本剤の吸収が著しく妨げられることがあるので、本剤投与の前4時間及び後2時間はこれらの摂取を避けること。本剤はこれら多価陽イオンと錯体を形成する。
ロピナビル・リトナビル配合剤
[16.7.3参照]
本剤のAUCが減少したとの報告があるので、ロピナビル・リトナビル配合剤と併用する場合には、注意すること。機序は不明であるが、ロピナビル・リトナビル配合剤が本剤の代謝酵素を誘導する可能性がある。
シクロスポリン
[16.7.4参照]
本剤のAUC及びCmaxが減少したとの報告がある。また、本剤の血中濃度が高値を示したとの報告がある。シクロスポリンと併用する場合には、注意すること。機序は不明である。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 肝機能障害
AST(3.3%)、ALT(16.7%)、ALP(5.6%)、ビリルビン(25.6%)の増加等があらわれることがある。[8.2参照]
11.1.2 血栓塞栓症
肺塞栓症(頻度不明)、深部静脈血栓症(頻度不明)、一過性脳虚血発作(1.1%)、心筋梗塞(頻度不明)、虚血性脳卒中(頻度不明)等があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.3 出血(頻度不明)[8.4参照]
11.1.4 骨髄線維化(頻度不明)[8.5参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%未満頻度不明
消化器悪心、腹痛、嘔吐下痢、口内乾燥
皮膚発疹、皮膚変色脱毛症
筋骨格筋肉痛、四肢痛背部痛、筋骨格系胸痛、筋骨格痛
感染症咽頭炎、尿路感染
その他頭痛、疲労、浮動性めまい、血小板数増加、低カリウム血症、白内障
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