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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • <適応菌種>

    • ニューモシスチス・イロベチー
  • <適応症>

    • ○ニューモシスチス肺炎
    • ○ニューモシスチス肺炎の発症抑制

用法・用量

  • <ニューモシスチス肺炎の治療>

    • 通常、成人には1回5mL(アトバコンとして750mg)を1日2回21日間、食後に経口投与する。
  • <ニューモシスチス肺炎の発症抑制>

    • 通常、成人には1回10mL(アトバコンとして1500mg)を1日1回、食後に経口投与する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害のある患者
臨床試験では除外されている。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝障害のある患者
臨床試験では除外されている。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットではヒトでの推定血漿中濃度の約3倍の曝露量において生殖発生毒性はみられなかったが、ウサギでは、ヒトでの推定血漿中濃度の約3/4の曝露量において母動物毒性(体重及び摂餌量の低値)に関連すると考えられる流産及び胎児体長・体重の軽度な低値がみられた。また、ラット及びウサギでは単回経口投与により胎盤を通過して胎児に分布することが報告されている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 重度の肝機能障害があらわれることがあるので、必要に応じ肝機能検査を行うこと。[11.1.2参照]
<ニューモシスチス肺炎の発症抑制>
8.2 ニューモシスチス肺炎のリスクのある患者はしばしば免疫不全状態にあり、生命を脅かすおそれのある様々な日和見感染症に罹患する可能性があるため、ニューモシスチス肺炎以外の原因も慎重に評価し、原因に応じて適宜他の追加の薬剤での治療を考慮すること。[5.6参照]

7.用法及び用量に関連する注意

本剤は絶食下では吸収量が低下するため、食後に投与すること。[16.2.1参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<効能共通>
5.1 本剤は、副作用によりスルファメトキサゾール・トリメトプリム配合剤(ST合剤)の使用が困難な場合に使用すること。
5.2 本剤を食後に投与できない患者では、代替治療を検討すること。
5.3 投与開始時及び投与中に下痢が認められている場合には、本剤の吸収が低下し、効果が減弱する可能性がある。下痢が認められている患者では、代替治療を検討すること。
<ニューモシスチス肺炎の治療>
5.4 重症のニューモシスチス肺炎患者(肺胞気・動脈血酸素分圧較差[(A-a)DO2]が45mmHgを超える患者)での本剤の使用に関する成績は、十分に検討されていない。また、他の治療法で効果が得られなかった重症のニューモシスチス肺炎患者における本剤の有効性を示すデータは限られている。
5.5 本剤は他の真菌又は細菌、マイコバクテリア又はウイルス疾患の治療に有効ではない。
<ニューモシスチス肺炎の発症抑制>
5.6 ニューモシスチス肺炎のリスク(CD4細胞数が目安として200/mm3未満、ニューモシスチス肺炎の既往歴がある等)を有する患者を対象とすること。[8.2参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人に本剤の750及び1500mg(各群10例)を食後にそれぞれ単回経口投与した時の血漿中アトバコン濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。
図1 健康成人男性に本剤の750及び1500mgを食後にそれぞれ単回経口投与した時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差(各群10例))
1)投与後0~24時間
2)投与後0~336時間
表1 健康成人男性に本剤の750及び1500mgを食後にそれぞれ単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
投与量Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUC0-∞(μg・hr/mL)t1/2(hr)
750mg14.0±3.44.0(3,8)934.4±242.970.2±11.6
1500mg15.7±5.44.0(3,10)1109.6±646.759.7±14.1
平均値±標準偏差(各群10例)、tmax:中央値(範囲)
16.1.2 反復投与
HIV患者(9~19例)に本剤500注1)、750及び1000mg注1)を1日1回食後に反復経口投与した時のCavg,ss(平均値±標準偏差)は、それぞれ11.7±4.8、12.5±5.8及び13.5±5.1μg/mLであり、血漿中濃度は500~1000mgの範囲では投与量に比例した増加がみられなかった。また、HIV患者5例に本剤750mgを1日2回食後に反復経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは21.0±4.9μg/mL、Cmax,ssは24.0±5.7μg/mL、Cmin,ssは16.7±4.6μg/mLであった(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
(1)健康成人16例に本剤750mgを単回経口投与した時のCmax及びAUC0-∞は食後投与で約2.5~3.5倍に増加した(外国人データ)。[7.参照]
表2 絶食下及び食後の健康成人男性に本剤の750mgを単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUC0-∞(μg・hr/mL)t1/2(hr)
絶食下3.34±0.859.6±16.0324.3±115.075.2±22.5
食後11.61±3.004.9±1.7800.6±319.869.1±19.8
平均値±標準偏差(16例)
(2)HIV患者(19~21例)に本剤500mg注1)を反復経口投与した時のAUCssは食後投与で280±114μg・hr/mL、絶食下で162±78μg・hr/mLであり、Cmax,ssは食後投与で15.1±6.1μg/mL、絶食下で8.4±3.8μg/mLであった(外国人データ)。[7.参照]
16.2.2 バイオアベイラビリティ
HIV患者9例に本剤750mgを食後に単回経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは47±15%であった(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
HIV患者9例に約37mgを単回静脈内投与注1)した時のVzは0.62±0.19L/kgであった(外国人データ)。
16.3.2 血漿蛋白結合率
In vitroでのヒト血漿蛋白結合率は99.9%超であり、約1~90μg/mLの範囲で一定であった。
16.5 排泄
16.5.1 HIV患者9例に約37mgを単回静脈内投与注1)した時のCLは10.4±5.5mL/min、t1/2は62.5±35.3時間であった(外国人データ)。
16.5.2 健康成人4例に14C標識体750mgを単回経口投与した試験において、ほとんどの被験者で投与量の94%以上が糞中に21日間以内に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能低下者
本剤の薬物動態は検討していない。
16.6.2 肝機能低下者
本剤の薬物動態は検討していない。
16.6.3 小児
小児患者(年齢:3ヵ月~12歳)注1)11例にアトバコン錠を投与した。成人とほぼ同用量である40mg/kgを投与した時のCavg,ssは14.28~15.60μg/mL、t1/2は約57~61時間であった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 フェニトイン
健康成人12例に本剤1000mg注1)をフェニトイン600mgと単回併用投与した時のフェニトインの薬物動態にアトバコンは影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.2 リファンピシン
HIV患者13例に本剤750mgを12時間ごと、リファンピシン600mgを24時間ごとに併用経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは併用で約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 リファブチン
健康成人24例に本剤750mgを1日2回及びリファブチン300mgを食後に1日1回14日間併用経口投与した時の血漿中アトバコンのAUCssは併用で約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 スルファメトキサゾール・トリメトプリム
軽度~中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者19例に本剤1000mg注1)を1日1回、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(1600mg・320mg)を1日3回併用投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは単独群では10.7±5.9μg/mL、併用群では10.6±7.7μg/mLであった(外国人データ)。
16.7.5 ジドブジン
HIV患者14例にアトバコン錠750mgを12時間ごと注2)、ジドブジン200mgを8時間ごとに併用投与した時のアトバコンのCmax,ss、Cmin,ss及びCavg,ssはいずれも併用による影響はみられなかった。一方、ジドブジンのみかけの経口クリアランスは併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 テトラサイクリン及びメトクロプラミド
血漿中アトバコン濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した。また、血漿中アトバコンのCssは、メトクロプラミドの併用で約58%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.7 定常状態における血漿中アトバコン濃度と併用薬との関係
有効性を検討した臨床試験2試験において、ニューモシスチス肺炎患者にアトバコン錠750mgを1日3回注2)21日間経口投与した時の血漿中アトバコンのCssは、アセトアミノフェン、ベンゾジアゼピン系薬剤、アシクロビル、オピオイド系鎮痛薬、セファロスポリン系抗生物質、止しゃ薬及び緩下剤の併用でわずかに減少(7種の併用薬で平均3.8μg/mL以下)し、メトクロプラミド及びリファンピシンの併用で有意に減少(それぞれ平均8.1及び8.9μg/mL)した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.8 その他の薬剤(血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い薬剤)
アトバコンは、高い血漿蛋白結合率(99%超)を示すことから、血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い他の薬剤と併用する場合には慎重に行うこと。なお、アトバコンはキニーネ、フェニトイン、ワルファリン、スルファメトキサゾール、インドメタシン、ジアゼパムのin vitro血漿蛋白結合に影響を及ぼさないことから、蛋白結合の結合置換により著しい薬物相互作用が発現する可能性は低いと考えられる。
16.8 その他
16.8.1 血漿中濃度と臨床効果の関係
(1)軽度~中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者133例にアトバコン錠750mgを1日3回注2)21日間経口投与した時の血漿中アトバコンのCssは13.9±6.9μg/mLであった。また、血漿中アトバコン濃度と臨床効果との間に相関が確認された(外国人データ)。
(2)軽度~中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者69例に本剤1000mg注1)を1日1回、750mgを1日2回、1500mgを1日1回及び1000mg注1)を1日2回経口投与した時のCavg,ss(中央値)は、それぞれ9.6、22.5、18.1及び26.5μg/mLであった。食後のHIV患者5例に750mgを1日2回反復経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは21.0±4.9μg/mLであった(外国人データ)。
注1)本剤を治療に用いる場合の承認用量は、成人には1回5mL(アトバコンとして750mg)、1日2回21日間食後に経口投与である。本剤を発症抑制に用いる場合の承認用量は、成人には1回10mL(アトバコンとして1500mg)、1日1回食後に経口投与である。
注2)アトバコン錠は販売されていない。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
リファンピシン
[16.7.2参照]
リファブチン
[16.7.3参照]
リファンピシンとの併用により本剤の血漿中濃度が約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した。また、リファブチンとの併用により本剤の血漿中濃度が約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した。機序は不明である。
テトラサイクリン塩酸塩
メトクロプラミド
[16.7.6参照]
本剤の血漿中濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した。また、メトクロプラミドの併用で本剤の血漿中濃度は約58%低下した。機序は不明である。
ジドブジン
[16.7.5参照]
ジドブジンのみかけの経口クリアランスは併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した。機序は不明である。
アセトアミノフェン
ベンゾジアゼピン系薬剤
アシクロビル
オピオイド系鎮痛薬
セファロスポリン系抗生物質
止しゃ薬
緩下剤
[16.7.7参照]
臨床試験において本剤の血漿中濃度のわずかな減少(平均3.8μg/mL以下)が報告されているが、因果関係は不明である。機序は不明である。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
11.1.2 重度の肝機能障害(頻度不明)[8.1参照]
11.1.3 無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

頻度不明
血液貧血
過敏症血管性浮腫、気管支痙攣、咽喉絞扼感
精神神経系頭痛、不眠症
消化器悪心・嘔吐、下痢
その他肝酵素上昇、低ナトリウム血症、アミラーゼ上昇、発疹、発熱
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