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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○特発性肺線維症
  • ○全身性強皮症に伴う間質性肺疾患
  • ○進行性線維化を伴う間質性肺疾患

用法・用量

  • 通常、成人にはニンテダニブとして1回150mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与する。なお、患者の状態によりニンテダニブとして1回100mgの1日2回投与へ減量する。

禁忌 

【警告】

  • 本剤の使用は、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで行うこと。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
  • 2.2 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 血栓塞栓症の既往歴及びその素因のある患者
血栓塞栓事象の発現を助長する可能性がある。
9.1.2 出血性素因のある患者、抗凝固剤治療を行っている患者
出血リスクを助長する可能性がある。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度及び高度の肝機能障害(Child Pugh B、C)のある患者
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。使用する場合は、肝機能検査をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。肝機能障害が悪化するおそれがある。また、中等度の肝機能障害(Child Pugh B)のある患者では血中濃度が上昇する。高度の肝機能障害(Child Pugh C)のある患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[7.2、8.1、16.6.1参照]
9.3.2 軽度の肝機能障害(Child Pugh A)のある患者
肝機能検査をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。肝機能障害が悪化するおそれがある。[7.2、8.1、16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、本剤の投与中及び投与終了の少なくとも3カ月後までは適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物(ラット、ウサギ)を用いた生殖発生毒性試験で催奇形性作用及び胚・胎児致死作用が認められている。[2.1、9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下している。

8.重要な基本的注意

8.1 AST、ALT、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。[7.2、11.1.2参照]
8.2 血小板減少があらわれ、出血に至った重篤な症例も報告されているため、本剤投与中は定期的に血液検査を行うなど、観察を十分に行うこと。[11.1.4参照]
8.3 ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、投与期間中は尿蛋白を定期的に検査すること。[11.1.7参照]
8.4 創傷治癒を遅らせる可能性があるので、手術時は投与を中断することが望ましい。手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。
14.1.2 本剤は吸湿性があるので、服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること。また、アルミピロー包装注)のまま調剤を行うことが望ましい。
注)1アルミピロー包装中に28カプセル(14カプセル入りPTPシート×2)を含む。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 服薬を忘れた場合は、次の服薬スケジュール(朝又は夕方)から推奨用量で再開すること。
14.2.2 カプセルは噛まずにコップ一杯の水とともに服薬すること。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 下痢、悪心、嘔吐等の副作用が認められた場合は、対症療法などの適切な処置を行ったうえ、本剤の治療が可能な状態に回復するまでの間、減量又は治療の中断を検討すること。治療の中断後再開する場合は1回100mg、1日2回から再開することを検討すること。患者の状態に応じて1回150mg、1日2回へ増量することができる。再投与又は増量する場合は慎重に投与し、投与後は患者の状態を十分に観察すること。
7.2 AST又はALTが基準値上限の3倍を超えた場合は、本剤の減量又は治療の中断を行い、十分な経過観察を行うこと。治療を中断し投与を再開する場合には、AST又はALTが投与前の状態に回復した後、1回100mg、1日2回から投与することとし、患者の状態に応じて1回150mg、1日2回へ増量することができる。再投与又は増量する場合には慎重に投与し、投与後は患者の状態を十分に観察すること。[8.1、11.1.2参照]
<全身性強皮症に伴う間質性肺疾患>
7.3 シクロホスファミド、アザチオプリンとの併用時の有効性及び安全性は検討されていない。[17.1.3参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<全身性強皮症に伴う間質性肺疾患>
5.1 皮膚病変等の全身性強皮症に伴う間質性肺疾患以外の臓器病変に対する本剤の有効性は示されていない。
<進行性線維化を伴う間質性肺疾患>
5.2 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、肺機能、呼吸器症状及び胸部画像所見の総合的な評価により進行性線維化が認められる間質性肺疾患患者に本剤を投与すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
日本人の特発性肺線維症患者に本剤150mg及び100mgを食後に1日2回経口投与(初回及び最終投与時は1日1回投与)した試験で得られたニンテダニブの血漿中濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。ニンテダニブの血漿中濃度は投与7日目までに定常状態に達した。
図1 日本人の特発性肺線維症患者に本剤150mg及び100mgを食後に経口投与した試験での血漿中濃度(算術平均+標準偏差)
表1 日本人の特発性肺線維症患者に本剤150mg及び100mgを食後に経口投与した試験での薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]
初回投与後150mg 11例100mg 4例
AUC0-12[ng・h/mL]152(60.6)59.0(67.2)
Cmax[ng/mL]34.9(62.8)13.2(66.9)
tmax[h]3.90(1.00-6.00)4.48(1.97-12.0)
最終投与時150mg 9例100mg 4例
AUCτ,ss[ng・h/mL]218(58.3)115(32.4)
Cmax,ss[ng/mL]39.7(68.1)20.0(64.5)
tmax,ss[h]3.87(1.00-3.97)3.42(2.00-4.07)
幾何平均(幾何変動係数%)、tmax(,ss)は中央値(最小値-最大値)
健康成人にニンテダニブ6mgを静脈内単回投与時注)の全身クリアランスは1390mL/min、定常状態での分布容積は1050Lであった(外国人データ)。
全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の患者に本剤150mgを1日2回経口投与した試験で得られたニンテダニブの定常状態時の用量補正後のトラフ血漿中濃度を表2に示す。
表2 全身性強皮症に伴う間質性肺疾患の患者に本剤150mgを1日2回経口投与した試験での用量補正後のトラフ血漿中濃度
用量補正後トラフ血漿中濃度[ng/mL/mg]
全体集団(258例)0.0555(65.4)
日本人集団(30例)0.0763(63.0)
幾何平均(幾何変動係数%)、用量補正後トラフ血漿中濃度は150mg及び100mg1日2回投与のデータを含む
進行性線維化を伴う間質性肺疾患の患者に本剤150mgを1日2回経口投与した試験で得られたニンテダニブの定常状態時の用量補正後のトラフ血漿中濃度を表3に示す。
表3 進行性線維化を伴う間質性肺疾患の患者に本剤150mgを1日2回経口投与した試験での用量補正後のトラフ血漿中濃度
用量補正後トラフ血漿中濃度[ng/mL/mg]
全体集団(311例)0.0767(71.9)
日本人集団(49例)0.107(60.5)
幾何平均(幾何変動係数%)、用量補正後トラフ血漿中濃度は150mg及び100mg1日2回投与のデータを含む
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人にニンテダニブ100mgを食後に単回経口投与及び6mgを静脈内単回投与注)した結果から、絶対バイオアベイラビリティは4.69%であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人にニンテダニブ150mgを空腹時及び食後に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは、表4のとおりであった(外国人データ)。
表4 健康成人にニンテダニブ150mgを空腹時及び食後に単回経口投与時の薬物動態パラメータ
パラメータ名[単位]空腹時 14例食後 15例
AUC0-∞[ng・h/mL]98.4(33.0)a)119(53.9)
Cmax[ng/mL]11.1(60.3)13.2(61.6)
tmax[h]2.00(1.48-3.98)3.98(1.50-6.05)
幾何平均(幾何変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)a)11例
16.3 分布
14C-ニンテダニブのヒト血漿蛋白結合率は97.8%であり、ヒト血液/血漿の濃度比は0.869であった(in vitroデータ)。
16.4 代謝
ヒト肝ミクロソームを用いてニンテダニブの代謝を評価した結果、主要な代謝反応はエステラーゼによる加水分解であった。加水分解産物であるBIBF 1202はさらにUGT1A1、1A7、1A8及び1A10によりBIBF 1202グルクロン酸抱合体に代謝された(in vitroデータ)。
16.5 排泄
健康成人にニンテダニブ6mgを静脈内単回投与時注)の未変化体の尿中排泄率は、100mg経口投与後及び6mg静脈内投与後でそれぞれ投与量の0.05%及び1.4%であった(外国人データ)。
健康成人に14C-ニンテダニブ100mg溶液を単回経口投与したとき、投与放射能の0.649%が尿中に、93.4%が糞中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝障害患者
肝障害患者に本剤100mgを単回経口投与した場合、健康成人に比べて軽度肝障害(Child Pugh A)を有する群ではCmaxが2.2倍(90%信頼区間:1.3~3.7)、AUCが2.2倍(90%信頼区間:1.2~3.8)上昇し、また中等度肝障害(Child Pugh B)を有する群ではCmaxが7.6倍(90%信頼区間:4.4~13.2)、AUCが8.7倍(90%信頼区間:5.7~13.1)上昇した(外国人データ)。
16.6.2 高齢者
特発性肺線維症患者での母集団薬物動態解析の結果、年齢が66歳(解析対象集団の中央値)の場合に比べてAUCτは79歳では13%高くなり、52歳では14%低くなると予測された(日本人及び外国人の併合データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾールとの併用
健康成人(31例)にケトコナゾール(P-糖蛋白阻害剤)400mgを1日1回3日間反復投与し、ケトコナゾール投与開始後3日目にニンテダニブ50mgを単回併用投与注)した場合、ニンテダニブのAUC0-∞は60.5%、Cmaxは79.6%上昇した(外国人データ)。
16.7.2 リファンピシンとの併用
健康成人(26例)にリファンピシン(P-糖蛋白誘導剤)600mgを1日1回7日間反復投与し、リファンピシン投与開始後8日目にニンテダニブ150mgを単回投与した場合、ニンテダニブのAUC0-∞は50.1%、Cmaxは59.8%まで低下した(外国人データ)。
16.7.3 ピルフェニドンとの併用
日本人の特発性肺線維症患者20例にピルフェニドンの併用/非併用下で本剤150mgを1日2回、28日間投与し、本剤及びピルフェニドンの薬物動態への影響を、それぞれ並行群間及び個体内比較で検討した。本剤をピルフェニドンと併用した場合、非併用時に比べて本剤の曝露が低くなる傾向がみられた(並行群間比較)。一方でピルフェニドンの曝露に本剤による明らかな影響は認められなかった(個体内比較)。
注)本剤の承認された用法・用量は1回150mg、1日2回経口投与及び1回100mg、1日2回経口投与である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
P-糖蛋白阻害剤
エリスロマイシン
シクロスポリン等
[16.7.1参照]
P-糖蛋白阻害剤との併用時は観察を十分に行い、異常が認められた場合は投与の中断、減量又は中止等の適切な処置を行うこと。P-糖蛋白の阻害により本剤の曝露が上昇する可能性がある。
ケトコナゾールとの併用によりニンテダニブのAUCが約1.6倍、Cmaxが約1.8倍に上昇した。
P-糖蛋白誘導剤
リファンピシン
カルバマゼピン
フェニトイン
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等
[16.7.2参照]
P-糖蛋白誘導剤との併用により、本剤の作用が減弱する可能性がある。P-糖蛋白誘導作用のない又は少ない薬剤の選択を検討すること。P-糖蛋白の誘導により本剤の曝露が低下する可能性がある。
リファンピシンとの併用によりニンテダニブのAUCが約50%、Cmaxが約60%まで減少した。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重度の下痢(3.0%)
下痢症状がみられる場合は速やかに補液やロペラミド等の止瀉剤投与を行い、本剤による治療の中断を検討すること。これらの対症療法にもかかわらず持続するような重度の下痢の場合は、本剤による治療を中止し、再投与は行わないこと。[7.1参照]
11.1.2 肝機能障害(2.1%)[7.2、8.1参照]
11.1.3 血栓塞栓症(静脈血栓塞栓(頻度不明)、動脈血栓塞栓(0.2%)
11.1.4 血小板減少(0.2%)
血小板減少があらわれ、出血に至った重篤な症例も報告されている。[8.2参照]
11.1.5 消化管穿孔(0.1%)
異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行うこと。
11.1.6 間質性肺炎(頻度不明)
胸部画像検査や呼吸機能検査で急激な悪化等の薬剤性の間質性肺炎の徴候がみられる場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.7 ネフローゼ症候群(頻度不明)[8.3参照]
11.1.8 動脈解離(頻度不明)
大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上5%以上10%未満1%以上5%未満1%未満
代謝及び栄養障害食欲減退、体重減少
血管障害高血圧
胃腸障害下痢(56.1%)、悪心(21.6%)、嘔吐(11.0%)、腹痛(10.9%)便秘虚血性大腸炎
肝胆道系障害肝酵素上昇(AST、ALT、ALP、γ-GTP上昇等)(12.2%)高ビリルビン血症
皮膚及び皮下組織障害発疹、そう痒症、脱毛症
神経障害頭痛
その他出血
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