今日の臨床サポート 今日の臨床サポート
一部のコンテンツを閲覧になるにはご契約が必要となります。

効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
  • ○原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫
  • ○マントル細胞リンパ腫
  • ○造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)

用法・用量

  • <慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫>

    • 通常、成人にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • <マントル細胞リンパ腫>

    • 未治療の場合

      • ベンダムスチン塩酸塩及びリツキシマブ(遺伝子組換え)との併用において、通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
    • 再発又は難治性の場合

      • 通常、成人にはイブルチニブとして560mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
  • <造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)>

    • 通常、成人及び12歳以上の小児にはイブルチニブとして420mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

禁忌 

【警告】

  • 本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 中等度以上の肝機能障害のある患者[9.3.1、16.6.1参照]
  • 2.3 ケトコナゾール、イトラコナゾール、クラリスロマイシン、エンシトレルビル フマル酸を投与中の患者[10.1、16.7.1、16.7.7参照]
  • 2.4 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 感染症を合併している患者
骨髄抑制等により、感染症が増悪するおそれがある。[8.2、11.1.3参照]
9.1.2 重篤な骨髄機能低下のある患者
血球減少を増悪させ重篤化させるおそれがある。[8.3、11.1.5参照]
9.1.3 不整脈のある患者又はその既往歴のある患者
心房細動等の不整脈があらわれることがある。[8.4、11.1.6参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者
重度の腎機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度以上の肝機能障害患者
投与しないこと。血中濃度が著しく上昇する。[2.2、16.6.1参照]
9.3.2 軽度の肝機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇する。[16.6.1参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で胚致死作用(ラット及びウサギ)、及び催奇形性(ラット:心血管系の奇形、ウサギ:胸骨分節の癒合)が報告されている。[2.4、9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおける乳汁中への移行は不明である。
9.7 小児等
<慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫>
9.7.1 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
<造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)>
9.7.2 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
海外臨床試験において、65歳以上の患者で、Grade 3注)以上の有害事象、肺炎、尿路感染、心房細動、白血球増加症等の発現率が高かった。
注)CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)version 4.0に準じる。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤投与時に外科的処置に伴う大量出血が報告されていることから、本剤投与中に手術や侵襲的手技を実施する患者に対しては本剤の投与中断を考慮すること。
8.2 肺炎、敗血症等の重篤な感染症や日和見感染が発現又は悪化することがあり、B型肝炎ウイルス、結核、帯状疱疹等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認すること。本剤投与前に適切な処置を行い、本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。[9.1.1、11.1.3参照]
8.3 貧血、好中球減少症、血小板減少症等の重篤な骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に血液検査を行うこと。[9.1.2、11.1.5参照]
8.4 重篤な不整脈が発現又は悪化することがあるので、本剤投与に際しては定期的に心機能検査(十二誘導心電図検査等)を行うこと。[9.1.3、11.1.6参照]
8.5 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。[11.1.7参照]
8.6 肝不全、ALT、AST、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与に際しては定期的に肝機能検査を行うこと。[11.1.10参照]
8.7 間質性肺疾患があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の臨床症状を十分に観察すること。[11.1.11参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

<効能共通>
7.1 Grade 3注)以上の副作用が発現した場合には、Grade 1以下に回復するまで本剤を休薬すること。再開する場合には、以下の目安を参考に減量又は中止すること。
注)CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)version 4.0に準じる。
用量調節の目安
発現回数回復後の再開時投与量
慢性リンパ性白血病
原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫
慢性移植片対宿主病
マントル細胞リンパ腫
1回1日1回420mg1日1回560mg
2回1日1回280mg1日1回420mg
3回1日1回140mg1日1回280mg
4回投与中止
7.2 以下のCYP3A阻害作用を有する薬剤を併用する場合には、本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、併用薬に応じて次のように投与すること。
CYP3A阻害剤との併用時の用量調節基準
効能又は効果併用薬投与方法
慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫ボリコナゾールイブルチニブとして140mgを1日1回経口投与すること。
[10.2、16.7.2参照]
ポサコナゾールイブルチニブとして140mgを1日1回経口投与すること。
[10.2、16.7.7参照]
造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)ボリコナゾールイブルチニブとして280mgを1日1回経口投与すること。
[10.2参照]
ポサコナゾールイブルチニブとして140mgを1日1回経口投与すること。
[10.2、16.7.7参照]
<慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)、再発又は難治性のマントル細胞リンパ腫>
7.3 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
<原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫>
7.4 リツキシマブ(遺伝子組換え)の投与が困難な場合を除き、リツキシマブ(遺伝子組換え)と併用投与すること。
7.5 リツキシマブ(遺伝子組換え)以外の抗悪性腫瘍剤との併用による有効性及び安全性は確立していない。
<未治療のマントル細胞リンパ腫>
7.6 本剤と併用する抗悪性腫瘍剤等について、「17.臨床成績」の項の内容、特に用法及び用量を十分に理解した上で投与すること。[17.1.9参照]
<造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)>
7.7 治療にあたっては経過を十分に観察し、漫然と投与を継続しないこと。

5.効能又は効果に関連する注意

<慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)>
5.1 未治療の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の場合、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。[17.1.3、17.1.4参照]
<マントル細胞リンパ腫>
5.2 強力な化学療法の適応となる未治療のマントル細胞リンパ腫における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.3 Ann Arbor分類I期の未治療のマントル細胞リンパ腫における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
<造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)>
5.4 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.10、17.1.11参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者
再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者にイブルチニブ140mg注1)~560mgを単回又は反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は用量によらず、投与後1~2時間(中央値)に最高濃度に達し、4~9時間(平均値)の消失半減期で消失した。血漿中イブルチニブのCmax及びAUCは個体間変動が大きいが、用量の増加に伴って増加した。反復経口投与による累積率は1.6未満であった。
再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者にイブルチニブを単回又は反復経口投与したときの薬物動態パラメータ[平均値(標準偏差)]
測定日用量(mg)nCmax(ng/mL)tmaxa)(h)AUClast(ng・h/mL)t1/2(h)
1日目140342.53±23.742.02(1.98,3.95)203.64±128.603.90±1.67
280368.47±14.091.82(1.00,1.97)339.21±72.425.64±1.50
420987.33±62.151.97(1.00,3.98)381.73±265.266.99b)±3.34
560694.57±65.431.48(0.98,3.92)419.09±238.747.35、5.33c)
8日目420877.50±58.112.00(0.95,3.97)383.17±189.614.60b)±1.86
5606105.47±68.602.00(0.97,4.00)638.96±476.166.39、4.23c)
算術平均値±標準偏差、a):中央値(範囲)、b):n=6、c):個別値(n=2)
再発又は難治性成熟B細胞性腫瘍患者にイブルチニブ420mg又は560mgを単回(Day 1)又は反復(Day 8)経口投与したときの血漿中イブルチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)
16.1.2 造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病患者
12歳以上のステロイド依存性又は抵抗性の日本人慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブ140注1)~420mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は下表のとおりであった。
慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブを反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
測定日用量(mg)nCmax(ng/mL)tmaxa)(h)AUClast(ng・h/mL)t1/2a)(h)
中程度以上のCYP3A阻害剤併用なしWeek1
1日目
4207386±1662.08(1.78,4.50)1843±11464.86(4.42,5.15)b)
Week2
1日目
4207275±1714.08(1.85,5.28)2102±9383.83,10.2c)
ボリコナゾール併用Week1
1日目
2804399±1263.83(1.78,5.75)4003±15864.88c)
Week2
1日目
2804432±3743.87(1.75,5.43)2970±2201N/A
フルコナゾール併用Week1
1日目
4208628±5263.91(1.97,4.25)5134±4173N/A
Week2
1日目
4208678±7013.95(1.82,5.17)6235±58754.33,4.56c)
算術平均値±標準偏差、N/A:報告対象となるデータなしa):中央値(範囲)、b):n=3、c):個別値
12歳以上の日本人及び外国人慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブ140注1)~420mgを1日1回反復経口投与したとき、血漿中イブルチニブ濃度は下表のとおりであった。
慢性移植片対宿主病患者にイブルチニブを反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
測定日用量(mg)nCmax(ng/mL)tmaxa)(h)AUClast(ng・h/mL)t1/2a)(h)
中程度以上のCYP3A阻害剤併用なしWeek2
1日目
42023235±2612.00(0.880,6.05)1313±1017b)4.10(1.34,10.1)c)
Week2
1日目
140d)11581.003885.51
ボリコナゾール併用Week2
1日目
28012436±2922.00(0.930,5.00)2934±18054.04(2.47,9.04)e)
Week2
1日目
1403322±2582.22(1.00,4.00)1610,1010f)ND
ポサコナゾール併用Week2
1日目
420g)298.4,2413.92,1.751060h)ND
Week2
1日目
28013289±2962.00(1.88,6.00)1979±1205i)4.70(4.02,5.70)j)
Week2
1日目
14010140±1242.83(1.87,5.38)915±6174.97(4.95,5.88)k)
フルコナゾール併用Week2
1日目
4206629±4802.05(1.12,4.08)3662±23924.92(4.46,5.39)k)
Week2
1日目
2804242±93.92.99(1.92,5.08)1638±8195.49h)
算術平均値±標準偏差、ND:算出されずa):中央値(範囲)、b):n=20、c):n=10、d):イブルチニブの減量を要する併用薬の併用はなかったが140mgに減量された、e):n=7、f):n=2、g):イブルチニブを減量されなかった、h):n=1、i):n=12、j):n=5、k):n=4
注1)CYP3A阻害作用を有するボリコナゾール又はポサコナゾール併用時並びに副作用発現時は減量することとされた。
16.2 吸収
16.2.1 絶対的バイオアベイラビリティ及び食事の影響
健康成人にイブルチニブ560mgを絶食時注2)及び食前30分に経口投与し、経口投与の2時間後に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティはそれぞれ、2.9%(90%CI:2.1~3.9%)及び7.6%(90%CI:6.4~9.0%)であった。健康成人にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUClastは、食前30分、食後30分又は食後2時間に投与したときと比較して絶食時注2)にはそれぞれ約30~40%及び約60%に低下した。再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者にイブルチニブ420mgを経口投与したときのCmax及びAUC0-24hは、食事の30分以上前又は2時間以上後に経口投与(modified fasting投与)したときと比較して絶食時注2)にはそれぞれ約40%及び約60~70%に低下した。(外国人データ)
16.3 分布
イブルチニブのヒト血漿蛋白結合率は97.3%であり、検討された濃度域(in vitro、50~1000ng/mL)で概ね一定であった。健康成人に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの定常状態における分布容積は683L、再発又は難治性慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫患者にイブルチニブ420mgを単回経口投与したときのみかけの分布容積(Vdz/F)は10837Lであった。(外国人データ)
16.4 代謝
イブルチニブは主にCYP3A4/5により代謝される(in vitro)。主な代謝物であるジヒドロジオール体は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対してイブルチニブの約1/15の阻害活性を示す。ジヒドロジオール体の定常状態における曝露量は、イブルチニブと同程度であった。
16.5 排泄
健康成人に14C-イブルチニブ1480kBqを含むイブルチニブ140mg注1)を単回経口投与したとき、放射能の約90%が168時間以内に回収され、糞中では80%、尿中では10%以下であった。イブルチニブの回収率は、糞中で1%、尿中には認められなかった。健康成人に13C-イブルチニブ(100μg)を静脈内投与したときの全身クリアランス(CL)は、絶食時及び食前30分においてそれぞれ62及び76L/hであった。健康成人にイブルチニブ560mgを経口投与したときのみかけの全身クリアランス(CL/F)は、絶食時及び食前30分においてそれぞれ1572及び875L/hであった。(外国人データ)
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害
軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)患者6例、中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)患者10例及び重度の肝機能障害(Child-Pugh分類C)患者8例にイブルチニブ140mg注1)を単回経口投与したときのAUClastの幾何平均値は正常肝機能被験者と比較して2.7、8.2及び9.8倍高かった。また、非結合分画も肝機能障害の程度に応じてわずかに増加し、非結合型イブルチニブのAUClastはそれぞれ4.1、9.8及び13倍増加すると推定される。(外国人データ)[2.2、9.3.1、9.3.2参照]
16.6.2 12歳以上の小児
<造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)>
12歳以上の慢性移植片対宿主病患者を対象とした国内外の臨床成績における血漿中イブルチニブ濃度(162例、1,281測定時点)に基づき母集団薬物動態解析を実施した。イブルチニブ420mgを1日1回経口投与したとき、薬物動態パラメータの推定値は、小児と成人で同程度であった。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康成人(18例)にCYP3Aの阻害作用を有するケトコナゾール(経口剤:国内未発売)400mg(4~9日目に投与)とイブルチニブ120mg及び40mg注1)(それぞれ1日目及び7日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約29及び24倍増加した。(外国人データ)[2.3、10.1参照]
16.7.2 ボリコナゾール
B細胞性腫瘍患者(26例)にCYP3Aの阻害作用を有するボリコナゾール200mg 1日2回とイブルチニブ140mg 1日1回注1)を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約6.7及び5.7倍増加した。(外国人データ)[7.2、10.2参照]
16.7.3 エリスロマイシン
B細胞性腫瘍患者(25例)にCYP3Aの阻害作用を有するエリスロマイシン500mg 1日3回とイブルチニブ140mg 1日1回注1)を併用投与したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.4及び3.0倍増加した。(外国人データ)[10.2参照]
16.7.4 リファンピシン
健康成人(18例)にCYP3Aの誘導作用を有するリファンピシン600mg(4~13日目に投与)とイブルチニブ560mg(1日目及び11日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約1/13及び1/10以下に減少した。(外国人データ)[10.2参照]
16.7.5 グレープフルーツジュース
健康成人(8例)にCYP3Aの阻害作用を有するグレープフルーツジュースとイブルチニブ140mg注1)を併用投与(非絶食時)したとき、イブルチニブのCmax及びAUCはそれぞれ約3.6及び2.1倍増加した。(外国人データ)[10.2参照]
16.7.6 オメプラゾール
健康成人(20例)にプロトンポンプ阻害剤であるオメプラゾール40mg(3~7日目に投与)とイブルチニブ560mg(1日目及び7日目に投与)を併用投与(絶食時)したとき、イブルチニブのCmaxは約38%に減少したが、AUCに顕著な変化は認められなかった。(外国人データ)
16.7.7 生理学的薬物動態モデルによるシミュレーション
イブルチニブ140mg注1)とCYP3A阻害作用を有するイトラコナゾール、クラリスロマイシン、ポサコナゾール及びジルチアゼムを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約15、11、8.3及び4.4倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A阻害作用を有するフルボキサミン及びアジスロマイシンを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1.7及び1.5倍増加することが推定された。イブルチニブ560mgとCYP3A誘導作用を有するカルバマゼピン及びエファビレンツを併用投与(非絶食時)した場合、イブルチニブのAUCはそれぞれ、約1/6及び1/3に減少することが推定された。[2.3、7.2、10.1、10.2参照]
注1)本剤の承認された用法・用量は、「420mg又は560mgを1日1回経口投与する」である。
注2)一晩絶食後にイブルチニブを経口投与し、その後4時間絶食。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)
イトラコナゾール
イトリゾール
クラリスロマイシン
クラリス、クラリシッド
エンシトレルビル フマル酸
ゾコーバ
[2.3、16.7.1、16.7.7参照]
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
CYP3A阻害作用を有する薬剤本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A阻害作用を有する薬剤
リトナビル含有製剤
コビシスタット含有製剤
アタザナビル
ダルナビル
ホスアンプレナビル
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A阻害作用を有する薬剤
ボリコナゾール
[7.2、16.7.2参照]
ポサコナゾール
[7.2、16.7.7参照]
フルコナゾール
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A阻害作用を有する薬剤
エリスロマイシン
[16.7.3参照]
シプロフロキサシン
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A阻害作用を有する薬剤
ジルチアゼム
[16.7.7参照]
ベラパミル
アミオダロン
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A阻害作用を有する薬剤
アプレピタント
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する際には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
グレープフルーツ含有食品
[16.7.5参照]
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。食品中にCYP3A阻害作用を有する成分が含まれている。
CYP3A誘導作用を有する薬剤
カルバマゼピン
リファンピシン
フェニトイン
[16.7.4、16.7.7参照]
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。これらの薬剤のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
セイヨウオトギリソウ(St.John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、摂取しないよう注意すること。食品中にCYP3A誘導作用を有する成分が含まれている。
抗凝固剤
抗血小板剤
出血のおそれがある。出血のリスクを増強させるおそれがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 出血
脳出血(0.1%)、消化管出血(0.2%)等の重篤な出血があらわれることがあり、死亡に至った例が報告されている。
11.1.2 白血球症(頻度不明)
頭蓋内出血、嗜眠、不安定歩行、頭痛等を伴う白血球症があらわれることがある。
11.1.3 感染症
肺炎(14.5%)、敗血症(2.9%)等の重篤な感染症があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルス、結核、帯状疱疹等の再活性化(0.1%)があらわれることがある。[8.2、9.1.1参照]
11.1.4 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。
11.1.5 骨髄抑制
貧血(12.3%)、好中球減少症(22.1%)、血小板減少症(17.1%)等の重篤な骨髄抑制があらわれることがある。[8.3、9.1.2参照]
11.1.6 不整脈
心房細動(5.4%)、心房粗動(0.7%)、心室性不整脈(0.3%)等の重篤な不整脈があらわれることがある。[8.4、9.1.3参照]
11.1.7 腫瘍崩壊症候群(0.4%)
異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。なお、重篤な腫瘍崩壊症候群が遅発性にあらわれることがある。[8.5参照]
11.1.8 過敏症(0.9%)
アナフィラキシー等の重篤な過敏症があらわれることがある。
11.1.9 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
11.1.10 肝不全、肝機能障害(頻度不明)
肝不全、ALT、AST、ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。[8.6参照]
11.1.11 間質性肺疾患(1.6%)
異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。[8.7参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上10%未満5%以上5%未満頻度不明
感染症及び寄生虫症皮膚感染、上気道感染尿路感染、気管支炎、副鼻腔炎、インフルエンザ
良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む)基底細胞癌、扁平上皮癌、前立腺癌悪性黒色腫、リンパ腫、骨髄異形成症候群、皮膚癌
血液及びリンパ系障害リンパ球増加症、発熱性好中球減少症、白血球増加症
代謝及び栄養障害食欲減退低カリウム血症、高尿酸血症、低ナトリウム血症、脱水
精神障害不眠症
神経系障害頭痛浮動性めまい、末梢性ニューロパチー
眼障害注)眼乾燥、霧視、視力低下、結膜炎、流涙増加
血管障害高血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害咳嗽、鼻出血呼吸困難
胃腸障害下痢(27.3%)、悪心口内炎、嘔吐、便秘消化不良、腹痛、胃食道逆流性疾患
皮膚及び皮下組織障害発疹、挫傷そう痒症、点状出血、紅斑、爪破損、蕁麻疹、血管浮腫、脂肪織炎急性熱性好中球性皮膚症(Sweet症候群)
筋骨格系及び結合組織障害筋骨格痛、関節痛、筋痙縮関節障害
一般・全身障害及び投与部位の状態疲労発熱、末梢性浮腫無力症、硬膜下血腫
臨床検査血中クレアチニン増加
傷害、中毒及び処置合併症転倒

注)眼の異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行うなどの適切な処置を行うこと。

戻る

さらなるご利用にはご登録が必要です。

こちらよりご契約または優待日間無料トライアルお申込みをお願いします。

(※トライアルご登録は1名様につき、一度となります)


ご契約の場合はご招待された方だけのご優待特典があります。

以下の優待コードを入力いただくと、

契約期間が通常12ヵ月のところ、14ヵ月ご利用いただけます。

優待コード: (利用期限:まで)

ご契約はこちらから