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マラロン配合錠、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • マラリア

用法・用量

  • マラロン配合錠

    • 治療

      • 成人

        • 通常、1日1回アトバコン/プログアニル塩酸塩として1000mg/400mgを3日間、食後に経口投与する。
      • 小児

        • 通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の投与量を1日1回3日間、食後に経口投与する。
          • 5~8kg

            • 125mg/50mg
          • 9~10kg

            • 187.5mg/75mg
          • 11~20kg

            • 250mg/100mg
          • 21~30kg

            • 500mg/200mg
          • 31~40kg

            • 750mg/300mg
          • >40kg

            • 1000mg/400mg
    • 予防

      • 成人

        • 通常、1日1回アトバコン/プログアニル塩酸塩として250mg/100mgを、マラリア流行地域到着24~48時間前より開始し、流行地域滞在中及び流行地域を離れた後7日間、毎日食後に経口投与する。
      • 小児

        • 通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の投与量を1日1回、マラリア流行地域到着24~48時間前より開始し、流行地域滞在中及び流行地域を離れた後7日間、毎日食後に経口投与する。
          • 11~20kg

            • 62.5mg/25mg
          • 21~30kg

            • 125mg/50mg
          • 31~40kg

            • 187.5mg/75mg
          • >40kg

            • 250mg/100mg
  • マラロン小児用配合錠

    • 治療

      • 小児

        • 通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の投与量を1日1回3日間、食後に経口投与する。
          • 5~8kg

            • 125mg/50mg
          • 9~10kg

            • 187.5mg/75mg
          • 11~20kg

            • 250mg/100mg
          • 21~30kg

            • 500mg/200mg
          • 31~40kg

            • 750mg/300mg
          • >40kg

            • 1000mg/400mg
    • 予防

      • 小児

        • 通常、体重に応じアトバコン/プログアニル塩酸塩として下記の投与量を1日1回、マラリア流行地域到着24~48時間前より開始し、流行地域滞在中及び流行地域を離れた後7日間、毎日食後に経口投与する。
          • 11~20kg

            • 62.5mg/25mg
          • 21~30kg

            • 125mg/50mg
          • 31~40kg

            • 187.5mg/75mg
          • >40kg

            • 250mg/100mg

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • <効能共通>

    • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • <予防>

    • 2.2 重度の腎障害のある患者[9.2.2、16.6.3参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.2 腎機能障害患者
<治療>
9.2.1 重度の腎障害のある患者
他剤の投与を考慮するなど投与の可否を慎重に判断し、治療による有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇することで副作用が発現する危険性が高い。[16.6.3参照]
<予防>
9.2.2 重度の腎障害のある患者
投与しないこと。本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇することで副作用が発現する危険性が高い。[2.2、16.6.3参照]
<効能共通>
9.2.3 腎障害のある患者(重度の腎障害のある患者を除く)
本剤の配合成分であるプログアニルの排泄が遅延し、血中濃度が上昇する可能性がある。
9.4 生殖能を有する者
出産可能年齢の女性は、本剤投与中も神経管欠損の予防のために葉酸サプリメントを継続して良い。本剤の配合成分であるプログアニルは、マラリア原虫のジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を阻害することにより効果を発現する。葉酸サプリメントにより本剤の効果が減弱することを示すデータはない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
9.5.1 アトバコン
ラットに投与したところ、ヒトに本剤を投与したときの血漿中濃度の約6.5倍の曝露量において生殖発生毒性はみられなかったが、ウサギでは、ヒトでの血漿中濃度の約1.4倍の曝露量において母動物毒性(体重及び摂餌量の低値)に関連すると考えられる流産及び胎児体長・体重の軽度な低値がみられた。また、ラット及びウサギでは単回経口投与により胎盤を通過して胎児に分布することが報告されている。
9.5.2 プログアニル
ラット及びウサギの胚・胎児発生に関する試験では、最高用量のそれぞれ20及び40mg/kg/日(ヒト全身曝露量の約1/25及び1倍に相当)の投与によっても悪影響は認められなかった。ラットの出生前・後の発生及び母体機能に関する試験では、最高16mg/kg/日(ヒト全身曝露量の約1/50に相当)の投与により悪影響は認められなかった。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.6.1 アトバコン
動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
9.6.2 プログアニル
わずかにヒト乳汁中に移行することが報告されている。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児又は体重5kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、肝・腎機能等の生理機能が低下している。本剤の薬物動態試験において、高齢者の全身曝露量が増加した。[16.6.2参照]

8.重要な基本的注意

<効能共通>
8.1 本剤の使用に際しては、マラリアに関して十分な知識と経験を持つ医師又はその指導の下で行うこと。
8.2 本剤の投与後にマラリアが再燃した場合、又は予防的化学療法が失敗した場合には、マラリアの赤血球期に有効な別の薬剤の投与を考慮すること。
8.3 重度の肝機能障害、肝炎、胆汁うっ滞があらわれることがあるので、必要に応じ肝機能検査を行うこと。[11.1.2参照]
<予防>
8.4 マラリア流行地域への渡航者が本剤を予防に使用する際には、予防の基本はマラリア媒介蚊による刺咬を防ぐことであるため、他の予防手段(防虫スプレー、蚊帳の使用など)も必要であることを説明し、注意を促すこと。[5.5参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 投与量に応じて錠数が最も少なくなる製剤を選択すること。
7.2 本剤の配合成分であるアトバコンは絶食下では吸収量が低下するため、食後又は乳飲料とともに1日1回毎日定められた時刻に投与させること。[16.2.1参照]
7.3 下痢又は嘔吐を来している患者ではアトバコンの吸収が低下する可能性がある。本剤の投与後1時間以内に嘔吐した場合には、再投与させること。[5.4参照]

5.効能又は効果に関連する注意

<治療>
5.1 本剤はヒプノゾイト(マラリア原虫の休眠体)には効果がない。
5.2 意識障害や臓器不全を伴う重症マラリア患者においては、本剤の効果が十分に得られない可能性があるため、他の治療を考慮すること。
5.3 三日熱マラリアに対しアトバコン及びプログアニルを単独投与したとき、再発がしばしば報告されている。三日熱マラリア又は卵形マラリアに曝露された旅行者及びこれらの原虫によるマラリア発症者の治療に用いる場合には、再発に注意し、マラリア原虫の休眠体に対する活性を示す薬剤による治療を考慮すること。
5.4 下痢又は嘔吐が認められている急性マラリアの患者では、代替治療を検討すべきであるが、本剤を用いる場合には、血液中のマラリア原虫数を慎重にモニターすること。[7.3参照]
<予防>
5.5 渡航先のマラリア汚染状況も踏まえて、本剤の必要性を慎重に検討すること。[8.4参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)健康成人10例を対象に本剤4錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として1000mg・400mg)を食後に単回経口投与した時の血漿中アトバコン、プログアニル及びcycloguanil濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。
図1 健康成人に本剤4錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として1000mg・400mg)を食後に単回経口投与した時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、10例)
アトバコン
プログアニル及びcycloguanil
表1 健康成人に本剤4錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として1000mg・400mg)を食後に単回経口投与した時の血漿中の薬物動態パラメータ
測定対象薬物動態パラメータ
アトバコンCmax(μg/mL)7.3±2.9
tmax(hr)注)3(2,4)
AUC0-∞(μg・hr/mL)466.7±200.6
t1/2(hr)69.5±19.6
プログアニルCmax(ng/mL)364.5±93.1
tmax(hr)注)3(2,6)
AUC0-∞(ng・hr/mL)4837.2±1573.8
t1/2(hr)18.0±3.4
CycloguanilCmax(ng/mL)86.0±52.1
tmax(hr)注)6(4,8)
AUC0-∞(ng・hr/mL)1396.8±603.7
t1/2(hr)18.6±4.8
平均値±標準偏差(10例)、注)中央値(範囲)
(2)健康成人5例にアトバコン錠25~450mgをそれぞれ絶食下に単回経口投与した時の血漿中アトバコンのCmax及びAUCは投与量増加に比例して増加したが、750mgでは投与量増加の割合を下回って増加した(外国人データ)。
(3)健康成人9例にプログアニル塩酸塩200mgを単回経口投与した時の血漿中プログアニルのtmaxは2~4時間であり、吸収は速やかであった(外国人データ)。
(4)健康成人3例にプログアニル塩酸塩50~500mgを単回経口投与した時の曝露量は投与量の範囲で比例性を示した(外国人データ)。
(5)アトバコン及びプログアニルを併用投与した際のアトバコン、プログアニル及びcycloguanilの薬物動態は単独投与と比べて明らかな変化はみられていない。
16.1.2 生物学的同等性
健康成人43例に、マラロン配合錠2錠及びマラロン小児用配合錠8錠をそれぞれ食後に単回経口投与した結果を表2に示す(外国人データ)。
表2 健康成人にマラロン配合錠及びマラロン小児用配合錠を食後に単回経口投与した時のPKパラメータ
測定対象薬物動態パラメータマラロン配合錠
(41例)
マラロン小児用配合錠
(41例)
幾何平均比
(90%信頼区間)注)
アトバコンCmax(μg/mL)3.404.231.25
(1.14,1.36)
AUC0-t(μg・hr/mL)265.3353.11.33
(1.25,1.42)
プログアニルCmax(ng/mL)177.2167.20.94
(0.89,1.00)
AUC0-t(ng・hr/mL)181119231.06
(1.00,1.12)
最小二乗幾何平均値注)マラロン配合錠に対するマラロン小児用配合錠の幾何平均比
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
(1)健康成人16例にアトバコン内用懸濁液750mgを単回経口投与した時のCmax及びAUC0-∞は摂食で約2.5~3.5倍に増加した(表3)。また、血漿中アトバコンのt1/2は約69~75時間であった(外国人データ)。[7.2参照]
表3 健康成人男性にアトバコン内用懸濁液750mgを絶食下及び食後に単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUC0-∞(μg・hr/mL)t1/2(hr)
絶食下3.34±0.859.6±16.0324.3±115.075.2±22.5
食後11.61±3.004.9±1.7800.6±319.869.1±19.8
平均値±標準偏差(16例)
(2)プログアニルの吸収に食事の影響はないと考えられた(外国人データ)。
16.2.2 バイオアベイラビリティ
HIV患者9例にアトバコン錠750mgを食後に単回経口投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは23±11%であった(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
HIV患者9例にアトバコンの約37mgを単回静脈内投与した時の分布容積は0.62±0.19L/kgであった(外国人データ)。
16.3.2 血漿蛋白結合率
(1)In vitroで、アトバコンのヒト血漿蛋白結合率は99%超であり、約1~90μg/mLの範囲で一定であった。
(2)プログアニルのヒト血漿蛋白結合率は75%である。
(3)ヒト血漿において、アトバコン及びプログアニルはそれぞれの結合に影響を及ぼさなかった。
16.3.3 血球移行
健康成人9例にプログアニル塩酸塩200mgを単回経口投与した時、プログアニルは血球と結合し、血液中濃度は血漿中濃度の約5倍となった(外国人データ)。
16.4 代謝
16.4.1 代謝酵素
In vitroで、プログアニルは肝臓でcycloguanilに代謝され、代謝には主にCYP2C19が関与する。
16.4.2 遺伝子多型
(1)健康成人でのCYP2C19のpoor metabolizer(4例)に本剤1錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として250mg・100mg)を1日1回13日間経口投与した時の血漿中cycloguanil濃度はextensive metabolizer(9例)よりも低く、プログアニル濃度はわずかに高かった(外国人データ)。
(2)In vitroにおいて、プログアニル代謝の遺伝子多型はプログアニルとアトバコンの併用投与による抗マラリア効果に影響を及ぼさないことが確認されている。
16.5 排泄
16.5.1 HIV患者9例にアトバコンの約37mgを単回静脈内投与した時のCLは10.4±5.5mL/min、t1/2は62.5±35.3時間であった(外国人データ)。
16.5.2 健康成人4例に[14C]標識体750mgを単回経口投与した試験において、ほとんどの被験者で投与21日間以内に投与量の94%以上が糞中に未変化体として排泄されており、尿中にはほとんど排泄されなかった(0.6%未満)(外国人データ)。
16.5.3 健康成人6例にプログアニル塩酸塩200mgを1日1回7日間経口投与した時、最終投与後24時間までにプログアニルは投与量の24.4±7.5%、cycloguanilは11.2±4.2%が尿中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 小児
(1)急性熱帯熱マラリアの小児患者(5~12歳)9例を対象にアトバコン(約17mg/kg)及びプログアニル塩酸塩(約7mg/kg)注)を食後に1日1回3日間併用投与した時の血漿中には、アトバコン、プログアニル及びcycloguanilが検出された(表4)(外国人データ)。
表4 急性熱帯熱マラリアの小児患者(5~12歳)にアトバコン(約17mg/kg)及びプログアニル塩酸塩(約7mg/kg)を食後に1日1回3日間併用投与した時の薬物動態パラメータ
測定対象薬物動態パラメータ
アトバコンCmax(μg/mL)2.81±1.44
tmax(hr)11.4±7.6
AUC0-∞(μg・hr/mL)161.8±126.9
t1/2(hr)31.8±8.9
プログアニルCmax(ng/mL)244±92
tmax(hr)8.0±3.0
AUC0-∞(ng・hr/mL)4646±1226
t1/2(hr)14.9±3.3
CycloguanilCmax(ng/mL)35.6±23.3
tmax(hr)7.5±2.8
AUC0-∞(ng・hr/mL)787±397
t1/2(hr)14.6±2.6
平均値±標準偏差(9例)
(2)熱帯熱マラリアの高流行地域に在住する小児にアトバコンとプログアニル塩酸塩を含有する錠剤を6又は12週経口投与した時の血漿中にも、アトバコン、プログアニル及びcycloguanilが検出された(表5)(外国人データ)。
表5 熱帯熱マラリアの高流行地域に在住する小児にアトバコンとプログアニル塩酸塩を含有する錠剤を6又は12週間経口投与した時の血漿中濃度
投与期間体重アトバコン(μg/mL)プログアニル(ng/mL)Cycloguanil(ng/mL)
6週10~20kg2.8±1.412.8±8.89.2±3.9
21~30kg3.3±2.016.1±8.57.9±2.3
31~40kg4.9±1.924.1±12.89.8±6.5
41kg以上3.6±1.822.0±9.09.6±2.8
12週10~20kg2.2±1.113.3±7.66.7±1.8
21~30kg3.2±1.716.2±7.28.3±4.4
31~40kg3.0±1.637.2±37.111.0±5.7
41kg以上2.2±1.321.3±12.39.0±2.4
平均値±標準偏差(6~36例)
(3)急性熱帯熱マラリアの治療又は熱帯熱マラリアの予防における成人及び小児の血漿中アトバコン及びプログアニルの母集団薬物動態解析の結果から、体重がアトバコン及びプログアニルの経口クリアランス(CL/F)に大きく影響を及ぼした。アトバコンのCL/Fに対しては体重、人種、性別及びテトラサイクリンとの併用、アトバコンの分布容積(V/F)に対しては体重、プログアニルのCL/Fに対しては体重及び人種、プログアニルのV/Fに対しては体重及び年齢(15歳超及び15歳以下)が、それぞれ共変量として選択された(外国人データ)。
表6 成人及び小児の用法及び用量に従いアトバコン・プログアニル塩酸塩を投与した時の予測PKパラメータ
アトバコン注1)プログアニル注2)
投与量(mg)Cmax(μg/mL)AUC注3)(μg・hr/mL)投与量(mg)Cmax(ng/mL)AUC注3)(ng・hr/mL)
治療注4)
小児
(5~40kg)
125~7502.47~4.2952.2~86.750~300169.6~328.72611~4706
成人
(40~80kg)
10002.78~5.2660.5~112.8400212.0~313.83642~5826
予防注5)
小児
(20~40kg)
62.5~187.50.81~1.3917.1~29.825~7542.8~82.4659~1180
成人
(40~80kg)
2501.06~1.8523.1~39.810054.7~84.8940~1574
注1)東洋人及びマレー人の男性患者(テトラサイクリン非併用時)における予測値注2)東洋人の患者における予測値(小児では15歳以下、成人では15歳超)注3)治療:初回投与48~72時間後のAUC、予防:定常状態時のAUC注4)アトバコン・プログアニル塩酸塩を1日1回3日間投与した時の3日目の予測PKパラメータ注5)アトバコン・プログアニル塩酸塩を1日1回21日間投与した時の21日目の予測PKパラメータ
16.6.2 高齢者
健康高齢者(65~79歳)13例及び健康若年者(30~45歳)13例を対象に本剤2錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として500mg・200mg)注)をそれぞれ食後に単回経口投与した際に高齢者での血漿中アトバコンのAUC0-∞は若年者と比べて約29%高く、t1/2は約1.8倍となった。高齢者での血漿中プログアニルのAUC0-∞は若年者と比べ約23%、Cmaxは若年者と比べ約31%増加し、血漿中cycloguanilのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ約83及び136%増加した(外国人データ)。[9.8参照]
16.6.3 腎機能低下者
重度の腎機能低下者(CLcr:<30mL/分)13例及び健康成人13例を対象に本剤2錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として500mg・200mg)注)をそれぞれ食後に単回経口投与した際に、腎機能低下者では健康成人と比べてアトバコンの曝露量は有意に低下した。また、重度の腎機能低下者での血漿中プログアニル及びcycloguanilのAUC0-∞は有意に増加し、t1/2も延長した(外国人データ)。[2.2、9.2.1、9.2.2参照]
16.6.4 肝機能低下者
軽度(Child Pugh分類:5~6)~中等度(Child Pugh分類:7~9)の肝機能低下者13例及び健康成人13例を対象に本剤2錠(アトバコン・プログアニル塩酸塩として500mg・200mg)注)をそれぞれ食後に単回経口投与した時の血漿中アトバコンの曝露量に明らかな変化は認められなかった。また、肝機能低下者での血漿中プログアニルのAUC0-∞は健康成人に比べて約85%増加したが、Cmax及びt1/2に明らかな変化は認められなかった。なお、重度の肝機能低下者のデータは得られていない(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 フェニトイン
健康成人12例にアトバコン懸濁液1000mgをフェニトイン600mgと単回併用投与した時のフェニトインの薬物動態にアトバコンは影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7.2 リファンピシン
HIV患者13例にアトバコン懸濁液750mgを12時間ごと、リファンピシン600mgを24時間ごとに併用経口投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは併用で約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 リファブチン
健康成人24例にアトバコン懸濁液750mgを1日2回及びリファブチン300mgを食後に1日1回14日間併用経口投与した時の血漿中アトバコンのAUCssは併用で約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 スルファメトキサゾール・トリメトプリム
軽度~中等度のニューモシスチス肺炎を発症したAIDS患者19例にアトバコン懸濁液1000mgを1日1回、スルファメトキサゾール・トリメトプリム(1600mg・320mg)を1日3回併用投与した時の血漿中アトバコンのCavg,ssは単独群では10.7±5.9μg/mL、併用群では10.6±7.7μg/mLであった(外国人データ)。
16.7.5 ジドブジン
HIV患者14例にアトバコン錠750mgを12時間ごと、ジドブジン200mgを8時間ごとに併用投与した時のアトバコンのCmax,ss、Cmin,ss及びCavg,ssはいずれも併用による影響はみられなかった。一方、ジドブジンのみかけの経口クリアランスは併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.6 テトラサイクリン及びメトクロプラミド
血漿中アトバコン濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した。また、血漿中アトバコンのCssは、メトクロプラミドの併用で約58%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.7 その他の薬剤(血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い薬剤)
アトバコンは、高い血漿蛋白結合率(99%超)を示すことから、血漿蛋白結合率が高く治療域の狭い他の薬剤と併用する場合には慎重に行うこと。なお、アトバコンはキニーネ、フェニトイン、ワルファリン、スルファメトキサゾール、インドメタシン、ジアゼパムのin vitro血漿蛋白結合に影響を及ぼさないことから、蛋白結合の結合置換により著しい薬物相互作用が発現する可能性は低いと考えられる。
注)本剤を治療に用いる場合の承認用量は、成人には1日1回アトバコン・プログアニル塩酸塩として1000mg・400mgである。本剤を予防に用いる場合の承認用量は、成人には1日1回アトバコン・プログアニル塩酸塩として250mg・100mgである。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
クマリン系抗凝固剤
ワルファリンカリウム等
プログアニルはこれらの薬剤の抗凝固作用を増強する可能性がある。これらの薬剤を継続している患者においてマラリアの予防及び治療に対し本剤を開始又は中止する場合には、注意すること。機序は不明である。
リファンピシン
[16.7.2参照]
リファブチン
[16.7.3参照]
リファンピシンとの併用によりアトバコンの血漿中濃度が約53%低下し、t1/2は約33時間短縮した。また、リファブチンとの併用によりアトバコンの血漿中濃度が約34%低下し、t1/2は約14時間短縮した。併用する場合には、血液中のマラリア原虫数を慎重にモニターすること。機序は不明である。
テトラサイクリン塩酸塩
メトクロプラミド
[16.7.6参照]
アトバコンの血漿中濃度はテトラサイクリンの併用で約40%低下した。また、メトクロプラミドの併用でアトバコンの血漿中濃度は約58%低下した。併用する場合には、血液中のマラリア原虫数を慎重にモニターすること。機序は不明である。
ジドブジン
[16.7.5参照]
ジドブジンのみかけの経口クリアランスはアトバコンとの併用により約25%低下し、AUCは約33%増加した。機序は不明である。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
11.1.2 重度の肝機能障害、肝炎、胆汁うっ滞(いずれも頻度不明)[8.3参照]
11.1.3 アナフィラキシー(頻度不明)
11.1.4 汎血球減少症、無顆粒球症、白血球減少(いずれも頻度不明)

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

頻度不明
血液貧血
過敏症血管性浮腫、血管炎
精神神経系幻覚、頭痛、不眠症、浮動性めまい
消化器腹痛、悪心、嘔吐、下痢、口内炎、胃障害、口腔内潰瘍形成
皮膚発疹、脱毛、蕁麻疹
その他低ナトリウム血症、食欲不振、アミラーゼ上昇、肝酵素上昇、発熱、咳嗽
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