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ボセンタン錠62.5mg「JG」

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 肺動脈性肺高血圧症(WHO機能分類クラスII、III及びIV)

用法・用量

  • 通常、成人には、投与開始から4週間は、ボセンタンとして1回62.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。投与5週目から、ボセンタンとして1回125mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。
    なお、用量は患者の症状、忍容性などに応じ適宜増減するが、最大1日250mgまでとする。

禁忌 

【警告】

  • 本剤投与により肝機能障害が発現するため、肝機能検査を必ず投与前に行い、投与中においても、少なくとも1ヵ月に1回実施すること。なお、投与開始3ヵ月間は2週に1回の検査が望ましい。肝機能検査値の異常が認められた場合はその程度及び臨床症状に応じて、減量及び投与中止など適切な処置をとること。[7.1、7.2、8.1、9.3.1、9.3.2、11.1.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.4、9.5参照]
  • 2.2 中等度あるいは重度の肝障害のある患者[9.3.1参照]
  • 2.3 シクロスポリン又はタクロリムスを投与中の患者[10.1、16.7.1参照]
  • 2.4 グリベンクラミドを投与中の患者[10.1、16.7.2参照]
  • 2.5 本剤及び本剤の成分に過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血圧の患者
血圧を一層低下させるおそれがある。
9.1.2 ワルファリンを投与中の患者
本剤投与開始時、増量・減量時及び中止時には必ずINR値の確認を行い、ワルファリン投与量の調節を行うこと。適切なINR値になるまでは2週に1回の検査が望ましい。本剤との併用によりワルファリンの効果が減弱することがある。[8.2、10.2、16.7.3参照]
9.1.3 重度の左心室機能不全を合併症にもつ患者
体液貯留の徴候(例えば体重の増加)に対して経過観察を行うこと。徴候が認められた場合には、利尿剤の投与開始、又は投与中の利尿剤の増量などを考慮すること。本剤投与開始前に体液貯留が認められた患者には利尿剤の投与を検討すること。
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 中等度あるいは重度の肝障害のある患者
投与しないこと。肝機能障害を増悪させるおそれがある。[1.、2.2、7.1、7.2、8.1参照]
9.3.2 投与開始前のAST、ALT値のいずれか又は両方が基準値上限の3倍を超える患者
肝機能障害を増悪させるおそれがある。[1.、7.1、7.2、8.1、11.1.1参照]
9.4 生殖能を有する者
避妊薬単独での避妊をさけ、本剤投与開始前及び投与期間中は、毎月妊娠検査を実施すること。[2.1、9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で催奇形性が報告されている。[2.1、9.4参照]
9.6 授乳婦
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ヒトにおいて本剤が乳汁中に移行するとの報告がある。
9.7 小児等
9.7.1 低出生体重児、新生児又は乳児に対する有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.2 小児等へボセンタンを投与する場合には、ボセンタン水和物分散錠(小児用製剤)の電子添文を参照すること。
9.8 高齢者
一般に生理機能が低下していることが多い。

8.重要な基本的注意

8.1 肝機能検査を必ず投与前に行い、投与中においても、少なくとも1ヵ月に1回実施すること。なお投与開始3ヵ月間は2週に1回の検査が望ましい。[1.、7.1、7.2、9.3.1、9.3.2、11.1.1参照]
8.2 本剤投与を中止する場合には、併用薬(ワルファリンなど)の使用状況などにより、必要に応じ漸減を考慮すること。[9.1.2、10.2、16.7.3、16.7.5参照]
8.3 ヘモグロビン減少、血小板減少等が起こる可能性があるので、投与開始時及び投与開始後4ヵ月間は毎月、その後は3ヵ月に1回の頻度で血液検査を行うこと。[11.1.2参照]
8.4 本剤の投与により肺水腫の徴候が見られた時は、肺静脈閉塞性疾患の可能性を考慮すること。
8.5 本剤の投与を少なくとも8週間(目標投与量に達してから最低4週間投与)行ったにも拘らず、臨床症状の悪化がみられた場合には、他の治療法を検討すること。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤投与中に、AST又はALT値が基準値上限の3倍を超えた場合、用量調節と肝機能検査を以下の基準を参考に行うこと。[1.、7.2、8.1、9.3.1、9.3.2、11.1.1参照]
AST/ALT値投与法と肝機能検査の実施時期
>3及び≦5×ULN減量又は投与を中止する。その後少なくとも2週間毎にAST、ALT値を測定し、それらが治療前値に回復した場合は、適宜投与を継続又は再開注)する。
>5及び≦8×ULN投与を中止する。その後少なくとも2週間毎にAST、ALT値を測定し、それらが治療前値に回復した場合は、投与の再開注)を考慮する。
>8×ULN投与を中止し再投与してはならない。
ULN:基準値上限注)再投与する場合は、開始用量から始めること。AST、ALT値は3日以内に確認し、2週間後に再度確認後、上記の投与法と肝機能検査の実施時期を参考にして投与する。
7.2 AST、ALT値の上昇が肝障害の臨床症状、例えば、嘔気、嘔吐、発熱、腹痛、黄疸、嗜眠又は疲労、インフルエンザ様症状(関節痛、筋痛、発熱)などを伴う場合、又はビリルビン値が基準値上限の2倍以上の場合は投与を中止すること。[1.、7.1、8.1、9.3.1、9.3.2、11.1.1参照]
7.3 体重40kg未満の患者では忍容性を考慮し、投与5週目以降もボセンタンとして1回62.5mgを1日2回朝夕食後に経口投与することを考慮するなど、増量は慎重に検討すること。
7.4 本剤とボセンタン水和物分散錠(小児用製剤)は生物学的に同等ではなく、ボセンタン水和物分散錠は本剤と比較してバイオアベイラビリティが低いため、互換使用を行わないこと(ボセンタン水和物分散錠64mgの本剤62.5mgに対するCmax比及びAUC比の平均値はそれぞれ0.82及び0.87)。[16.1.1参照]
7.5 本剤からボセンタン水和物分散錠(小児用製剤)への切り替えやボセンタン水和物分散錠から本剤への切り替えを行う場合、曝露量が変動することがあるため、切り替え後は患者の状態に留意し、十分な観察を行うこと。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 特発性又は遺伝性肺動脈性肺高血圧症及び結合組織病に伴う肺動脈性肺高血圧症以外の肺動脈性肺高血圧症における有効性・安全性は確立していない。
5.2 本剤の使用にあたっては、最新の治療ガイドラインを参考に投与の要否を検討すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人10例にボセンタンとして62.5mg又は125mgを食後単回経口投与した時、血漿中ボセンタン濃度は、すみやかに上昇し、投与後3-4時間でCmaxに達した。薬物動態パラメータは下表のとおりである。
健康成人10例にボセンタンを62.5mg又は125mg単回投与時の薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL)AUC0-∞(ng・h/mL)t1/2(h)
62.5mg
(n=10)
772(619,964)3721(3182,4351)4.3(3.7,5.0)
125mg
(n=10)
1922(1364,2710)7996(6695,9550)3.6(3.0,4.3)
数値は幾何平均値(95%信頼区間)
健康成人16例にボセンタン水和物錠(ボセンタンとして62.5mg)又はボセンタン水和物分散錠(小児用製剤)(ボセンタンとして64mg(32mg錠を2錠))を空腹時に単回経口投与した時の薬物動態パラメータは以下のとおりである。また、ボセンタン水和物分散錠の薬物動態パラメータのボセンタン水和物錠に対する幾何平均比は、Cmaxでは0.82(90%信頼区間:0.65~1.04)、AUC0-∞では0.87(90%信頼区間:0.78~0.97)であり、生物学的同等性の基準範囲(90%信頼区間:0.8~1.25)から外れていた(外国人データ)。[7.4参照]
健康成人にボセンタン水和物錠又はボセンタン水和物分散錠を単回投与した時の薬物動態パラメータ
nCmax(ng/mL)AUC0-∞(ng・h/mL)tmax(h)t1/2(h)
62.5mg
(錠)
16592(453,774)3494(2809,4345)4.0(2.0-5.0)8.3(6.5,10.4)
64mg
(分散錠)
16496(395,623)3118(2524,3852)4.0(3.0-5.0)9.3(7.4,11.5)
数値は幾何平均値(95%信頼区間)tmaxは中央値(最小値-最大値)
16.1.2 反復投与
健康成人12例にボセンタンとして125mgを1日2回7.5日間経口投与した時、血漿中ボセンタン濃度は、投与後3.0時間(中央値、最小値-最大値:1.0-4.0)でCmax 1212ng/mL(95%信頼区間:940-1564)に達した。また、AUC0-12は4640ng・h/mL(95%信頼区間:3641-5914)、血漿中濃度半減期は5.6時間(95%信頼区間:4.6-6.9)であった。反復投与においては、投与開始初期に酵素誘導が誘発され、ボセンタンのトラフ濃度は減少するが、投与開始5日目に定常状態に達した。
WHO機能分類クラスII又はIIIの肺動脈性肺高血圧症患者6例にボセンタン1回125mgを1日2回2週間以上反復経口投与した患者にボセンタン125mgを投与した時の血漿中ボセンタン濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである。
肺動脈性肺高血圧症患者にボセンタン125mg投与時の薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL)AUC0-12(ng・h/mL)tmax(h)t1/2(h)
125mg
(n=6)
1748(1287,2374)6996(6193,7904)4.0(2.0-4.0)5.0(3.4,7.2)
数値は幾何平均値(95%信頼区間)tmaxは中央値(最小値-最大値)
WHO機能分類クラスIII又はIVの肺動脈性肺高血圧症患者13例にボセンタンとして62.5mg 1日2回を4週間経口反復投与後、引き続き125mg 1日2回に増量して4週間経口反復投与後のボセンタンの薬物動態パラメータは下表のとおりである(外国人データ)。
肺動脈性肺高血圧症患者にボセンタンを62.5mg又は125mg 1日2回反復投与時の薬物動態パラメータ
Cmax(ng/mL)AUC0-12(ng・h/mL)tmax(h)
62.5mg
(n=12)
1187(814,1560)6232(4582,7881)3.0(1.0-4.0)
125mg
(n=11)
2286(1234,3337)8912(6296,11531)2.3(1.0-6.0)
数値は算術平均値(95%信頼区間)tmaxは中央値(最小値-最大値)
16.1.3 生物学的同等性試験
ボセンタン錠62.5mg「JG」とトラクリア錠62.5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ボセンタンとして62.5mg)健康成人男子に空腹時単回経口投与して血漿中ボセンタン濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
判定パラメータ参考パラメータ
AUC0-24(ng・hr/mL)Cmax(ng/mL)Tmax(hr)t1/2(hr)
ボセンタン錠62.5mg「JG」8563.00±2554.961775.63±649.264.3±0.94.4±0.9
トラクリア錠62.5mg9850.03±3141.362017.95±769.163.8±1.14.1±1.1
(Mean±S.D.,n=57)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人16例を対象にクロスオーバー法により、ボセンタンとして125mgを空腹時又は食後に単回経口投与した時、空腹時に比べ食後投与時のAUC0-∞、Cmaxはそれぞれ10%、22%上昇したが、臨床的影響はないと考えられた(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
ボセンタンの平衡透析法によるin vitroにおける血漿蛋白との結合率(n=28)は、0.211~21.94μg/mLの濃度範囲で約98%であった。
16.4 代謝
ボセンタンは主に肝臓で代謝され、その代謝物のほとんどが胆汁(糞)中に代謝物の形で排泄された。ヒト肝細胞を用いたin vitro試験において、CYP2C9及びCYP3A4によって代謝され、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4に対し弱い阻害活性を示し、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4を誘導した。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人4例に14C-ボセンタン経口用懸濁液500mgを単回経口投与した時、尿及び糞中の回収率は平均97%で、投与量の90%以上が糞中に排泄され、3%が尿中への排泄であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者での体内動態
国内及び海外において、特に高齢者を対象とした薬物動態評価試験は実施されていない。
16.6.2 肝機能障害患者における体内動態
肝機能障害患者(Child-Pugh分類でA)8例にボセンタンとして125mgを単回又は反復経口投与した時の薬物動態を健康成人と比較したが、体内動態に差はみられなかった。なお、忍容性は良好であった(外国人データ)。
16.6.3 腎機能障害患者における体内動態
重度腎機能障害患者(15<クレアチニンクリアランス≦30mL/min)8例にボセンタンとして125mgを単回投与した時の薬物動態を健康成人と比較した。両群ともに投与後約4時間でCmaxに達した。ボセンタンのCmaxは、健康成人に比し重度腎機能障害患者で約37%低かったが、AUC0-∞は、類似した数値を示した。なお、忍容性は良好であった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 シクロスポリン
健康成人にボセンタン500mg含有懸濁液を1日2回7.5日間反復投与し、さらにシクロスポリンを血漿中トラフ濃度が200~250ng/mLで安定するように1日2回7.0日間併用投与した時、ボセンタン単独投与時に比較して、シクロスポリン併用での単回投与後のボセンタンのトラフ濃度は約30倍、定常状態では約3~4倍に上昇した(各n=8)。また、シクロスポリンのAUC0-12はシクロスポリン単独投与時(n=9)と比較してボセンタン併用時(n=8)には平均49%減少した(外国人データ)。[2.3、10.1参照]
16.7.2 グリベンクラミド
健康成人12例にボセンタンとして125mgを1日2回9.5日間反復投与し、6~10日目の4.5日間についてグリベンクラミドとして2.5mgを1日2回で併用投与した時、グリベンクラミドのCmax及びAUC0-12は単独投与時に比較してそれぞれ22%及び40%有意に減少した。また、ボセンタンのCmax、AUC0-12は単独投与時に比べ、それぞれ24%及び29%減少した(外国人データ)。[2.4、10.1参照]
16.7.3 ワルファリン
健康成人12例にボセンタンとして500mg又はプラセボを1日2回10日間投与し、6日目の朝のみ、ワルファリン26mgを単回投与した時、ワルファリン単独投与時に比較して(ボセンタン併用時は)R-ワルファリンとS-ワルファリンのAUC0-∞はそれぞれ平均38%及び29%減少した。また、国内臨床試験において、ワルファリン併用例のうち1例にINR値の低下が認められ、ボセンタン中止時にINR値の上昇が認められた(外国人データ)。[8.2、9.1.2、10.2参照]
16.7.4 ケトコナゾール
健康成人10例にボセンタンとして62.5mgを1日2回及びケトコナゾール200mg 1日1回を5.5日間併用にて反復投与した時、ボセンタンのAUC0-12及びCmaxはボセンタン単独投与時に比較して、約2倍に増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 シンバスタチン
健康成人9例にボセンタンとして125mgを1日2回5.5日間とシンバスタチンとして40mgを1日1回6日間併用投与した時、シンバスタチン単独投与時に比較して、シンバスタチンとその代謝物β-ヒドロキシ酸シンバスタチンのAUC0-12をそれぞれ34%及び46%減少させた。シンバスタチンとの併用により、ボセンタンとその代謝物の薬物動態に対する影響は見られなかった(外国人データ)。[8.2、10.2参照]
16.7.6 リファンピシン
健康成人9例にボセンタンとして1回125mgを1日2回6.5日間及びリファンピシンとして1回600mgを1日1回6日間併用にて反復投与した。併用開始後6日目のボセンタンの平均AUCτは、単独投与時に比較して58%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.7 経口避妊薬
健康成人19例にボセンタンとして125mgを1日2回及び経口避妊薬(1mgノルエチステロン及び35μgエチニルエストラジオール含有)をボセンタン投与後7日目に併用にて単回投与した時、経口避妊薬単独投与時に比較して、ノルエチステロンとエチニルエストラジオールのAUC0-∞はそれぞれ14%及び31%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.8 シルデナフィルクエン酸塩
健康成人19例にボセンタンとして1回125mgを1日2回6日間及びシルデナフィルとして最初の3日間は1回20mgを1日3回、引き続き2日間は1回80mgを1日3回、最終日は1回80mgを計6日間併用投与した。併用開始後6日目のシルデナフィルのAUCτ及びCmaxはそれぞれ63%及び55%低下し、ボセンタンのAUCτ及びCmaxは、それぞれ50%及び42%増加した(外国人データ)。[10.2参照]

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル)、タクロリムス(プログラフ)
[2.3、16.7.1参照]
(1)本剤の血中濃度が急激に上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。
(2)シクロスポリン、タクロリムスの血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがある。
(1)シクロスポリンのCYP3A4活性阻害作用及び輸送タンパク質阻害による肝細胞への取込み阻害により、本剤の血中濃度を上昇させる。
タクロリムスは主にCYP3A4で代謝され、シクロスポリンと同等以上に本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、シクロスポリン、タクロリムスの血中濃度を低下させる。
グリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)
[2.4、16.7.2参照]
肝酵素値上昇の発現率が2倍に増加した。胆汁酸塩の排泄を競合的に阻害し、肝細胞内に胆汁酸塩の蓄積をもたらす。
一部の胆汁酸塩の肝毒性作用により、二次的にトランスアミナーゼの上昇をもたらす可能性がある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ワルファリン
[8.2、9.1.2、16.7.3参照]
ワルファリンの血中濃度が低下することがある。そのため、ワルファリンを併用する際には、凝血能の変動に十分注意しながら、必要に応じ用量を調整すること。本剤のCYP2C9及びCYP3A4誘導作用により、ワルファリンの血中濃度を低下させる。
ケトコナゾール注)、フルコナゾール
[16.7.4参照]
本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。ケトコナゾールのCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる。
フルコナゾールのCYP2C9及びCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
HMG-CoA還元酵素阻害薬(シンバスタチン等)
[8.2、16.7.5参照]
シンバスタチンの血中濃度が低下し、シンバスタチンの効果が減弱する。
また、CYP3A4又はCYP2C9により代謝されるスタチン製剤及びその活性水酸化物の血中濃度を低下させ、効果を減弱させる可能性がある。
そのため、これらの薬剤を併用する場合には、血清コレステロール濃度を測定し、必要に応じ用量を調整すること。
本剤のCYP3A4又はCYP2C9誘導作用により、シンバスタチン及びこれらの酵素により代謝されるスタチン製剤の血中濃度を低下させる。
リファンピシン
[16.7.6参照]
本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。リファンピシンのCYP2C9及びCYP3A4誘導作用により、本剤の血中濃度を低下させる。
Ca拮抗薬(アムロジピン、ニフェジピン、ジルチアゼム等)(1)血圧低下を助長するおそれがある。
(2)Ca拮抗薬の血中濃度が低下する可能性がある。
(1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、Ca拮抗薬の血中濃度を低下させる可能性がある。
経口避妊薬
[16.7.7参照]
経口避妊薬の血中濃度が低下し、避妊効果が得られないおそれがある。本剤のCYP3A4誘導作用により、経口避妊薬の血中濃度を低下させる。
グレープフルーツジュース本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがあるので、本剤投与時はグレープフルーツジュースを摂取しないようにすること。グレープフルーツジュースに含まれる成分のCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
セイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)含有食品本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないようにすること。セイヨウオトギリソウに含まれる成分のCYP3A4誘導作用により、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
プロスタグランジン系薬物(ベラプロストナトリウム、エポプロステノールナトリウム)血圧低下を助長するおそれがある。両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
PDE5阻害薬(シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、タダラフィル)
[16.7.8参照]
(1)血圧低下を助長するおそれがある。
(2)PDE5阻害薬の血中濃度が低下する可能性がある。
(3)シルデナフィルの血中濃度が低下し、本剤の血中濃度が上昇する。
(1)両剤の薬理学的な相加作用等が考えられる。
(2)本剤のCYP3A4誘導作用により、この酵素で代謝されるPDE5阻害薬の血中濃度を低下させる可能性がある。
(3)本剤のCYP3A4誘導作用により、シルデナフィルの血中濃度を低下させる。また、機序は不明であるが、シルデナフィルは本剤の血中濃度を上昇させる。
HIV感染症治療薬(リトナビル等)本剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現しやすくなるおそれがある。これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 重篤な肝機能障害(1.3%)
AST、ALT等の上昇を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがある。[1.、7.1、7.2、8.1、9.3.2参照]
11.1.2 汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血(頻度不明)
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血(ヘモグロビン減少)があらわれることがある。[8.3参照]
11.1.3 心不全、うっ血性心不全(頻度不明)
心不全が増悪することがあるので、投与中は観察を十分に行い、体液貯留、急激な体重増加、心不全症状・徴候(息切れ、動悸、心胸比増大、胸水等)が増悪あるいは発現した場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

10%以上10%未満頻度不明
神経系障害頭痛体位性めまい浮動性めまい
心臓障害動悸
血管障害ほてり、潮紅、血圧低下
呼吸器、胸郭及び縦隔障害呼吸困難
胃腸障害悪心、嘔吐、下痢
肝胆道系障害肝機能異常
皮膚及び皮下組織障害皮膚炎、そう痒症、発疹
筋骨格系及び結合組織障害筋痛背部痛
全身障害及び投与局所様態倦怠感下肢浮腫、疲労発熱、浮腫
臨床検査AST上昇、ALT上昇、γ-GT(GTP)上昇、白血球数減少、ヘモグロビン減少ALP上昇、赤血球数減少、好酸球数増加、ヘマトクリット減少血小板数減少、ビリルビン上昇
代謝及び栄養障害体液貯留
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