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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 2型糖尿病

    • ただし、アログリプチン安息香酸塩及びメトホルミン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。

用法・用量

  • 通常、成人には1日1回1錠(アログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg)を食直前又は食後に経口投与する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 メトホルミンにより重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがあり、死亡に至った例も報告されている。乳酸アシドーシスを起こしやすい患者には投与しないこと。[2.1、2.3、8.1、9.2、9.3、11.1.1参照]
  • 1.2 腎機能障害又は肝機能障害のある患者、高齢者に投与する場合には、定期的に腎機能や肝機能を確認するなど慎重に投与すること。特に75歳以上の高齢者では、本剤投与の適否を慎重に判断すること。[8.1、9.2、9.3、9.8、11.1.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 次に示す患者[メトホルミンにより乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1、8.1、11.1.1参照]
    • ・乳酸アシドーシスの既往のある患者
    • ・重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者又は透析患者(腹膜透析を含む)[9.2.1参照]
    • ・重度の肝機能障害のある患者[9.3.1参照]
    • ・心血管系、肺機能に高度の障害(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等)のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態にある患者[嫌気的解糖の亢進により乳酸産生が増加する。]
    • ・脱水症の患者又は脱水状態が懸念される患者(下痢、嘔吐等の胃腸障害のある患者、経口摂取が困難な患者等)
    • ・過度のアルコール摂取者[肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。][10.1参照]
  • 2.2 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
  • 2.3 重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。また、メトホルミンにより乳酸アシドーシスを起こしやすい。][1.1、8.1、11.1.1参照]
  • 2.4 栄養不良状態、飢餓状態、衰弱状態、脳下垂体機能不全又は副腎機能不全の患者[低血糖を起こすおそれがある。][11.1.2参照]
  • 2.5 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]
  • 2.6 本剤の各成分又はビグアナイド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 低血糖を起こすおそれのある以下の患者または状態
・不規則な食事摂取、食事摂取量の不足
・激しい筋肉運動をしている患者
[8.2、11.1.2参照]
9.1.2 感染症
メトホルミンにより乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。[8.1、11.1.1参照]
9.1.3 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者
アログリプチンにより腸閉塞を起こすおそれがある。[11.1.7参照]
9.2 腎機能障害患者
腎臓における排泄が減少しメトホルミンの血中濃度が上昇するため、乳酸アシドーシス等の発現リスクが高くなる可能性がある。また、アログリプチンの血中濃度が上昇する。[1.1、1.2、9.8、11.1.1、16.6.1参照]
9.2.1 重度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)又は透析患者(腹膜透析を含む)
投与しないこと。[2.1参照]
9.2.2 中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)
本剤を使用せず、各単剤の併用を検討すること。[5.4、8.1参照]
9.2.3 軽度の腎機能障害のある患者(eGFR 60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)[8.1参照]
9.3 肝機能障害患者
肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性がある。[1.1、1.2、9.8、11.1.1参照]
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
投与しないこと。[2.1参照]
9.3.2 軽度~中等度の肝機能障害のある患者[8.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。メトホルミンでは、動物試験(ラット、ウサギ)で胎児への移行が認められており、一部の動物試験(ラット)で催奇形作用が報告されている。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。アログリプチンでは、動物試験(ラット)において、胎盤通過が報告されている。[2.5、11.1.1参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。メトホルミン及びアログリプチンでは、動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。[1.2、8.1、9.2、9.3、11.1.1、16.6.1-16.6.3参照]
・本剤の投与開始前、投与中は定期的に、特に慎重な経過観察が必要な場合にはより頻回に腎機能や肝機能を確認すること。メトホルミンはほとんど代謝されず、未変化体のまま尿中に排泄される。また、肝機能の低下により乳酸の代謝能が低下する。
・腎機能や脱水症状等患者の状態に十分注意して投与の中止を検討すること。特に75歳以上の高齢者では、メトホルミンによる乳酸アシドーシスが多く報告されており、予後も不良であることが多いため、本剤投与の適否をより慎重に判断すること。
・血清クレアチニン値が正常範囲内であっても、年齢によっては実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFR等も考慮して、慎重に患者の状態を観察すること。

8.重要な基本的注意

8.1 メトホルミンによりまれに重篤な乳酸アシドーシスを起こすことがある。リスク因子としては、腎機能障害、肝機能障害、低酸素血症を伴いやすい状態、脱水(利尿作用を有する薬剤の併用を含む)、過度のアルコール摂取、感染症、高齢者等が知られている。特に、脱水、過度のアルコール摂取等により患者の状態が急変することもあるので、以下の点に注意すること。[1.1、1.2、2.3、11.1.1参照]
(1)本剤の投与開始前及びその後も投与中は定期的に、腎機能(eGFR等)及び肝機能を確認するとともに、患者の状態に十分注意して投与の適否を検討すること。なお、高齢者等、特に慎重な経過観察が必要な場合には、より頻回に確認すること。[2.1、5.4、9.2、9.3、9.8参照]
(2)脱水症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤(利尿剤、SGLT2阻害剤等)との併用時には、特に脱水に注意すること。[2.1、10.2参照]
(3)本剤の投与開始時及びその後も投与中は適切に、以下の内容を患者及びその家族に十分指導すること。
・過度のアルコール摂取を避けること。[2.1、10.1参照]
・発熱、下痢、嘔吐、食事摂取不良等の体調不良(シックデイ)の時は脱水状態が懸念されるため、一旦服用を中止し、医師に相談すること。[2.1、9.1.2参照]
・乳酸アシドーシスの症状(胃腸障害、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等)があらわれた場合には、直ちに受診すること。[11.1.1参照]
(4)ヨード造影剤を用いて検査を行う患者においては、メトホルミンの併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるので、検査前は本剤の投与を一時的に中止すること(ただし、緊急に検査を行う必要がある場合を除く)。ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。なお、投与再開時には、患者の状態に注意すること。[10.2参照]
8.2 低血糖を起こすおそれがあるので、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明し、注意を喚起すること。[9.1.1、11.1.2参照]
8.3 アログリプチンにより急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。[11.1.3参照]
8.4 本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2~3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。
8.5 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。[11.1.2参照]
8.6 本剤と他の糖尿病用薬の併用における安全性は検討されていない。[10.2参照]
8.7 アログリプチンとGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避けること。一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある。
14.2 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤を2型糖尿病治療の第一選択薬として用いないこと。
5.2 原則として、以下の場合に、本剤の使用を検討すること。
・既にアログリプチン安息香酸塩(アログリプチンとして1日25mg)及びメトホルミン塩酸塩(メトホルミン塩酸塩として1日500mg)を併用し状態が安定している場合
・アログリプチン安息香酸塩(アログリプチンとして1日25mg)単剤の治療により効果不十分な場合
・メトホルミン塩酸塩(メトホルミン塩酸塩として1日500mg)単剤の治療により効果不十分な場合
5.3 本剤投与中において、本剤の投与がアログリプチン安息香酸塩及びメトホルミン塩酸塩の各単剤の併用よりも適切であるか慎重に判断すること。
5.4 中等度の腎機能障害のある患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、アログリプチン安息香酸塩及びメトホルミン塩酸塩を腎機能の程度に応じて減量するなど慎重な投与が必要であるため、本剤を使用せず、各単剤の併用を検討すること。[8.1、9.2.2、11.1.1、16.6.1参照]
5.5 本剤の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行ったうえで効果が不十分な場合に限り考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人(32例)にアログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg配合錠とアログリプチン25mg及びメトホルミン塩酸塩として500mg(単剤併用)をクロスオーバー法により絶食下で単回経口投与した時のアログリプチン及びメトホルミンの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおりであり、生物学的同等性が認められた。
アログリプチン及びメトホルミンの血漿中濃度推移
アログリプチンの薬物動態学的パラメータ
Cmax(ng/mL)Tmax(h)AUC0-72(ng・h/mL)T1/2(h)
アログリプチン(配合錠)122.3(29.25)3.00(1.50,6.00)1,280.2(146.69)18.50(3.06)
アログリプチン(単剤併用)120.1(22.95)3.00(1.00,4.00)1,264.6(148.14)18.31(3.40)
平均値(標準偏差)、ただし、Tmaxは中央値(最小値,最大値)、n=32
メトホルミンの薬物動態学的パラメータ
Cmax(ng/mL)Tmax(h)AUC0-48(ng・h/mL)T1/2(h)
メトホルミン(配合錠)1,722.5(373.66)2.50(1.00,4.00)10,624.4(1,933.78)4.61(0.62)
メトホルミン(単剤併用)1,700.9(309.21)3.00(1.50,4.00)10,690.3(1,710.52)5.37(3.86)
平均値(標準偏差)、ただし、Tmaxは中央値(最小値,最大値)、n=32
16.2 吸収
健康成人(12例)にアログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg配合錠を絶食下又は朝食開始30分後に単回経口投与した時、アログリプチンのCmax、AUC0-infは絶食下投与と比較して食後投与でそれぞれ12.5%増加、1.4%減少し、メトホルミンのCmax、AUC0-infは絶食下投与と比較して食後投与でそれぞれ14.1%減少、1.8%減少した。
16.3 分布
14C]アログリプチンを0.01~10μg/mLの濃度でヒト血漿に添加した時の蛋白結合率は、28.2~38.4%であった(in vitro)。
16.4 代謝
アログリプチンはCYP2D6によりN-脱メチル化体の活性代謝物M-Iに、また、N-アセチル化により非活性代謝物M-IIに代謝されるが、M-I及びM-IIのAUCはそれぞれ血漿中アログリプチンの1%未満及び6%未満であり、いずれも微量代謝物であった。
また、アログリプチンはCYP3A4/5に対して弱い阻害作用と弱い誘導作用を示したが、CYP1A2、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6を阻害せず、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19を誘導しなかった(in vitro)。
メトホルミンはヒト体内では代謝されず、また、チトクロームP450 1A2、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4に影響を与えなかった(in vitro)。
16.5 排泄
健康成人(12例)にアログリプチン/メトホルミン塩酸塩として25mg/500mg配合錠を絶食下又は朝食開始30分後に単回経口投与した時、投与72時間後までのアログリプチンの累積尿中排泄率は、それぞれ73.7%、74.5%であった。また、投与48時間後までのメトホルミンの累積尿中排泄率は、それぞれ50.6%、50.1%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能の程度が異なる成人にアログリプチンとして50mgを単回経口投与した時注1)のAUCは、年齢と性別を対応させた健康成人と比較して、中等度腎機能障害者(Ccr=30~50mL/min、6例)では2.1倍、高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min、6例)では3.2倍、末期腎不全罹患者(6例)では3.8倍増加した。また、アログリプチンは血液透析3時間後に投与量の7.2%が除去された(外国人データ)。[5.4、9.2、9.8、13.2.2参照]
注1)本剤はアログリプチンとして25mg/メトホルミン塩酸塩500mgの配合剤である。
16.6.2 肝機能障害患者
中等度肝機能障害者(Child-Pugh注2)スコアが7~9、8例)及び健康成人(8例)にアログリプチンとして25mgを単回経口投与した時、中等度肝機能障害者のCmax、AUCは、健康成人と比較してそれぞれ7.7%、10.1%減少した(外国人データ)。[9.8参照]
注2)ビリルビン、アルブミン、PT又はINR、肝性脳症、腹水症の状態からスコア化する分類
16.6.3 高齢者
健康な高齢者(65歳以上85歳以下、8例)及び非高齢者(20歳以上35歳以下、8例)にアログリプチンとして25mgを単回経口投与した時、高齢者のCmax、AUCは、非高齢者と比較してそれぞれ47.7%、30.3%増加した。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 アログリプチンとメトホルミン
健康成人(17例)にアログリプチンとして100mgを1日1回及びメトホルミン塩酸塩として1,000mgを1日2回6日間反復経口併用投与した時注1)(3×3クロスオーバー試験)、アログリプチンのCmax及びAUCに併用投与による影響はみられなかった。一方、メトホルミンのCmaxに影響はみられず、AUCは単独投与時に比較して18.9%増加した(外国人データ)。
注1)本剤はアログリプチンとして25mg/メトホルミン塩酸塩500mgの配合剤である。
16.7.2 アログリプチンとその他の薬剤
アログリプチンとピオグリタゾン(CYP2C8基質)、ゲムフィブロジル(CYP2C8、CYP2C9阻害剤)、フルコナゾール(CYP2C9阻害剤)、ケトコナゾール(CYP3A4阻害剤)、シクロスポリン(P-糖蛋白阻害剤)、カフェイン(CYP1A2基質)、ワルファリン(CYP1A2基質、CYP2C9基質、CYP3A4基質)、グリベンクラミド(CYP2C9基質)、トルブタミド(CYP2C9基質)、デキストロメトルファン(CYP2D6基質)、ミダゾラム(CYP3A4基質)、アトルバスタチン(CYP3A4基質)、エチニルエストラジオール(CYP3A4基質)、ノルエチンドロン(CYP3A4基質)、フェキソフェナジン(P-糖蛋白基質)、ジゴキシン(P-糖蛋白基質、腎排泄)又はシメチジン(腎排泄)、ボグリボース注3)との薬物間相互作用を検討したが、いずれも併用投与の影響はみられなかった(外国人データ)。
注3)ボグリボースのみ日本人データ
16.7.3 メトホルミンとその他の薬剤
(1)メトホルミンとシメチジン
健康成人(7例)にメトホルミン塩酸塩として250mgを1日1回及びシメチジンとして400mgを1日2回併用経口投与した時注1)、シメチジンの薬物動態には併用投与による影響がみられなかったが、メトホルミンのAUCが約50%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
注1)本剤はアログリプチンとして25mg/メトホルミン塩酸塩500mgの配合剤である
(2)メトホルミンとドルテグラビル
健康成人(30例)に対しメトホルミン塩酸塩とドルテグラビル50mg/日又は100mg/日を併用して反復経口投与した時注1)、メトホルミンのCmaxがそれぞれ66%及び111%上昇し、AUCがそれぞれ79%及び145%増加した。[10.2参照]
注1)本剤はアログリプチンとして25mg/メトホルミン塩酸塩500mgの配合剤である
(3)メトホルミンとバンデタニブ
健康成人(13例)に対しメトホルミン塩酸塩とバンデタニブを併用して単回経口投与した時注1)、メトホルミンのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ50%及び74%増加し、腎クリアランスが52%減少した。[10.2参照]
注1)本剤はアログリプチンとして25mg/メトホルミン塩酸塩500mgの配合剤である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
アルコール(過度の摂取)
[2.1、8.1、11.1.1参照]
乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避けること。肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ヨード造影剤
[8.1、11.1.1参照]
乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に中止する等適切な処置を行うこと。併用により腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下する。
腎毒性の強い抗生物質
ゲンタマイシン 等
[11.1.1参照]
乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に中止する等適切な処置を行うこと。併用により腎機能が低下し、メトホルミンの排泄が低下する。
利尿作用を有する薬剤
利尿剤
SGLT2阻害剤 等
[8.1、11.1.1参照]
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがあるため、脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。
糖尿病用薬
スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリジン系薬剤
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害剤
インスリン製剤
[8.6、11.1.2参照]
低血糖を発現するおそれがある。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。これらの薬剤の減量を検討すること。併用により血糖降下作用が増強するおそれがある。
チアゾリジン系薬剤
ピオグリタゾン塩酸塩
浮腫を発現するおそれがあるので観察を十分に行い、浮腫が認められた場合には、患者の状態に応じてチアゾリジン系薬剤を減量あるいは中止し、ループ利尿剤(フロセミド等)を投与するなど適切な処置を行うこと。併用により循環血漿量が増加するおそれがある。
糖尿病用薬の血糖降下作用を増強する薬剤
β-遮断薬
サリチル酸製剤
モノアミン酸化酵素阻害薬
フィブラート系の高脂血症治療薬
ワルファリン
蛋白同化ホルモン剤 等
血糖が低下するおそれがある。併用により血糖降下作用が増強するおそれがある。
糖尿病用薬の血糖降下作用を減弱する薬剤
アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン
卵胞ホルモン
利尿剤
ピラジナミド
イソニアジド
ニコチン酸
フェノチアジン系薬剤 等
血糖が上昇するおそれがある。併用により血糖降下作用が減弱するおそれがある。
シメチジン
ドルテグラビル
ビクテグラビル
バンデタニブ
[16.7.3参照]
メトホルミンの作用が増強するおそれがある。腎臓での有機カチオン輸送系阻害作用によりメトホルミンの排泄が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 乳酸アシドーシス(頻度不明)
血中乳酸値の上昇、乳酸/ピルビン酸比の上昇、血液pHの低下等を示す。予後不良のことが多い。一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、必要な検査を行うこと。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行うこと。[1.1、1.2、2.1、2.3、5.4、8.1、9.1.2、9.2、9.3、9.5、9.8、10.1、10.2、11.2、13.1、13.2.1参照]
11.1.2 低血糖(頻度不明)
低血糖があらわれることがある。DPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状(初期症状:脱力感、高度の空腹感、発汗等)が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取させるなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤の併用時はブドウ糖を投与すること。[2.4、8.2、8.5、9.1.1、10.2、17.1参照]
11.1.3 急性膵炎(頻度不明)
持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[8.3参照]
11.1.4 肝機能障害、黄疸(頻度不明)
AST、ALT、AL-P等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.5 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(頻度不明)
11.1.6 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
11.1.7 腸閉塞(頻度不明)
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[9.1.3参照]
11.1.8 間質性肺炎(頻度不明)
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9 類天疱瘡(頻度不明)
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

0.1~5%未満頻度不明
過敏症発疹、そう痒、じん麻疹
消化器注1)胃腸障害、便秘下痢、食欲不振、腹痛、悪心、嘔吐、腹部膨満感、鼓腸、消化不良、胃炎、胃腸炎、放屁増加
血液貧血、白血球減少、血小板減少、白血球増加、好酸球増加
肝臓肝機能異常
腎臓BUN上昇、クレアチニン上昇
精神神経系四肢のしびれ
代謝異常CK上昇、ケトーシス、乳酸上昇、血中カリウム上昇、血中尿酸増加
その他倦怠感注1)頭痛、頭重、眠気、筋肉痛注1)、めまい・ふらつき、味覚異常、鼻咽頭炎、浮腫、発汗、脱力感、関節痛、動悸、空腹感、ビタミンB12減少注2)

注1)乳酸アシドーシスの初期症状であることもあるので注意すること。[11.1.1参照]
注2)長期使用によりビタミンB12の吸収不良があらわれることがある。

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