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ジャカビ錠5mg、他

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • ○骨髄線維症
  • ○真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)
  • ○造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)

用法・用量

  • <骨髄線維症>

    • 通常、成人には本剤を1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。用量は、ルキソリチニブとして1回5mg~25mgの範囲とし、患者の状態により適宜増減する。
  • <真性多血症>

    • 通常、成人にはルキソリチニブとして1回10mgを開始用量とし、1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜増減するが、1回25mg1日2回を超えないこと。
  • <造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>

    • 通常、成人及び12歳以上の小児にはルキソリチニブとして1回10mgを1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。患者の状態により適宜減量する。

禁忌 

【警告】

  • 1.1 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療又は造血幹細胞移植に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
  • 1.2 本剤の投与により、結核、敗血症等の重篤な感染症が発現し、死亡に至った症例が報告されていることから、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること。[8.2、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)
結核を活動化させるおそれがある。[1.2、8.2、11.1.2参照]
9.1.2 感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者
免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。[1.2、8.2、11.1.2参照]
9.1.3 B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性かつHBc抗体若しくはHBs抗体陽性の患者
B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれるおそれがある。[1.2、8.2、11.1.2参照]
9.1.4 移植片対宿主病に伴う肝病変(総ビリルビン値が正常値上限の3倍以上)を有する患者
より頻回に血球数を測定し、投与量を調節することが望ましい。[7.9参照]
9.2 腎機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。活性代謝物の血中濃度が上昇するとの報告がある。[16.6.1参照]
9.3 肝機能障害患者
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。未変化体の血中濃度が上昇するとの報告がある。[16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)において、胚・胎児毒性(着床後死亡の増加、胎児重量の減少)が認められたとの報告がある。[2.2、9.4参照]
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、本剤及び本剤の代謝物が乳汁中に移行し、母体血漿中濃度の13倍であったとの報告がある。
9.7 小児等
<骨髄線維症、真性多血症>
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
<造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>
12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。臨床試験において、高齢者(65歳超)では、65歳以下の患者と比較して、血小板減少症、心不全等の発現が増加することが報告されている。

8.重要な基本的注意

8.1 血小板減少症、貧血、好中球減少症があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと。[11.1.1参照]
8.2 免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルス又は原虫による感染症や日和見感染が発現又は悪化することがある。肝炎ウイルス、結核等が再活性化するおそれがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤の投与開始前に適切な処置の実施を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること。[1.2、9.1.1-9.1.3、11.1.2参照]
8.3 帯状疱疹があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に、患者に対して帯状疱疹の初期症状について説明し、異常が認められた場合には速やかに連絡し、適切な処置を受けるよう指導すること。[11.1.2参照]
8.4 出血があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査等を実施すること。[11.1.4参照]
8.5 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査等を実施すること。[11.1.6参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

<骨髄線維症、真性多血症>
7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2 十分な効果が認められず、血球数から増量可能と判断できる場合は、1回の投与量を5mgずつ2週間以上の間隔をあけて増量することができる。ただし、本剤の初回投与後、4週間は増量しないこと。
<骨髄線維症>
7.3 本剤の投与開始にあたっては、血小板数に基づき次表を参考に開始用量を決定すること。
血小板数注)開始用量
20万/mm31回20mg1日2回
10万/mm3以上20万/mm3以下1回15mg1日2回
注)血小板数5万/mm3以上10万/mm3未満の患者に対する開始用量の情報は限られているため、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、本剤の投与の可否を慎重に検討すること。血小板数5万/mm3以上10万/mm3未満の患者に投与可能と判断する場合、1回5mg1日2回から投与を開始するとともに、観察を十分に行い、有害事象の発現に十分注意すること。血小板数5万/mm3未満の患者に対する投与は避けること。
7.4 本剤の投与中に血小板数が減少した場合、下表を参考に減量又は休薬を考慮すること。なお、血小板数が休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
血小板数1回あたりの用量(1日2回)
25mg20mg15mg10mg5mg
10万/mm3以上12.5万/mm3未満20mg変更なし
7.5万/mm3以上10万/mm3未満10mg10mg10mg変更なし
5万/mm3以上7.5万/mm3未満5mg5mg5mg5mg変更なし
5万/mm3未満休薬
7.5 本剤の投与中に好中球数が500/mm3未満に減少した場合には休薬すること。なお、好中球数が休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
<真性多血症>
7.6 血小板数が5万/mm3以上10万/mm3未満の患者における開始用量の情報は得られていないため、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、本剤の投与の可否を慎重に検討すること。血小板数5万/mm3以上10万/mm3未満の患者に投与可能と判断する場合、低用量から投与を開始するとともに、観察を十分に行い、有害事象の発現に十分注意すること。血小板数5万/mm3未満の患者に対する投与は避けること。
7.7 本剤の投与中に血小板数又はヘモグロビンが減少した場合、下表を参考に減量又は休薬を考慮すること。減量幅は、1回の投与量として5mgとする。なお、血小板数及びヘモグロビンが休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
血小板数5万/mm3以上、10万/mm3未満減量
5万/mm3未満休薬
ヘモグロビン8g/dL以上、12g/dL未満減量
8g/dL未満休薬
7.8 本剤の投与中に好中球数が1,000/mm3未満に減少した場合には休薬すること。なお、好中球数が休薬前の数値以上に回復した場合には、1回5mg1日2回から投与を再開できる。ただし、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
<造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>
7.9 副作用により本剤を休薬、減量する場合は、以下の基準を考慮すること。以下の基準の1段階減量として、1回10mg1日2回で投与している場合は1回5mg1日2回に、1回5mg1日2回で投与している場合は1回5mg1日1回に減量する。1回5mg1日1回で投与している場合は、本剤を休薬すること。[9.1.4参照]
血小板数
1.5万/mm3以上2万/mm3未満1段階減量する。減量後7日以内に2万/mm3以上に回復した場合は、減量前の用量を再開してもよい。
減量後7日を過ぎても2万/mm3以上に回復しない場合は、1段階減量を維持する。
1.5万/mm3未満2万/mm3以上になるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
好中球数
500/mm3以上750/mm3未満1段階減量する。1,000/mm3超に回復した場合は、減量前の用量を再開する。
500/mm3未満500/mm3を超えるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。1,000/mm3超に回復した場合は、休薬前の用量注)を再開してもよい。
総ビリルビン上昇:移植片対宿主病に伴う肝病変を有さない場合
3×ULN超、5×ULN以下3×ULN以下になるまで、1段階減量する。
5×ULN超、10×ULN以下3×ULN以下になるまで最長14日間休薬する。14日以内に3×ULN以下に回復した場合は、休薬前の用量注)で投与を再開してもよい。14日を過ぎても3×ULN以下に回復しない場合は、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
10×ULN超3×ULN以下になるまで休薬し、休薬前の用量注)から1段階減量して投与を再開する。
総ビリルビン上昇:移植片対宿主病に伴う肝病変を有する場合
3×ULN超3×ULN以下になるまで、1段階減量を継続する。
注)休薬前に当該事象により既に1段階減量している場合は、減量前の用量とする。ULN:基準値上限
7.10 治療効果が認められた場合は、本剤の漸減を検討すること。本剤の漸減は、ステロイドの投与中止後に、2カ月ごとに1段階を目安とし、副作用により減量する場合の1段階減量と同じ減量幅とすること。なお、本剤の漸減中に症状が再発した場合は、本剤の漸増等の適切な対応を行うこと。

5.効能又は効果に関連する注意

<骨髄線維症>
5.1 患者のリスク分類、脾臓の大きさ等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
5.2 病理組織学的検査を行い、骨髄線維症と診断された患者に使用すること。
<真性多血症>
5.3 ヒドロキシカルバミドによる適切な治療を行っても十分な効果が認められない場合、又はヒドロキシカルバミドによる治療が不適当と判断される場合に本剤の投与を考慮すること。
5.4 臨床試験に組み入れられた患者の脾臓の大きさ等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
<造血幹細胞移植後の移植片対宿主病>
5.5 臨床試験に組み入れられた患者の移植片対宿主病の重症度等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康被験者にルキソリチニブ10、25、50及び100mgを空腹時に単回経口投与したとき、未変化体の血漿中濃度は投与後0.5時間(Tmax中央値)でCmaxに達し、その後、2.5~3.4時間の半減期で消失した。Cmax及びAUCは投与量にほぼ比例した。
注)本剤の承認された用法及び用量での1日最大用量は50mgである。
健康被験者にルキソリチニブ10、25、50及び100mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
投与量Cmax(nmol/L)Tmax注)(h)T1/2(h)AUCinf(h・nmol/L)CL/F(L/h)
10mg(n=8)621±107(613)0.5(0.25-1.5)3.18±1.31(2.98)2,290±914(2,160)15.9±4.89(15.1)
25mg(n=8)1,450±718(1,320)0.5(0.25-1.5)2.51±0.638(2.44)4,020±1,220(3,830)22.6±9.09(21.3)
50mg(n=8)2,380±495(2,330)0.5(0.25-1.5)2.86±0.542(2.81)8,650±2,230(8,430)19.8±4.20(19.4)
100mg(n=8)5,430±1,260(5,300)0.5(0.25-1.5)3.40±0.907(3.28)22,600±7,780(21,500)15.9±4.94(15.2)
平均値±標準偏差(幾何平均値)、注)中央値(最小値-最大値)
健康被験者にルキソリチニブ10、25、50及び100mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
16.1.2 反復投与
健康被験者にルキソリチニブ10及び25mgを7日間1日2回反復経口投与したときAUCの累積比はそれぞれ1.12及び1.03で大きな累積は認められなかった。
健康被験者にルキソリチニブ10及び25mgを1日2回反復経口投与したときの薬物動態パラメータ
投与量反復投与Cmax(nmol/L)Tmax注)(h)AUC0-12h(h・nmol/L)AUC0-12h比(7日目/初日)
10mg(n=8)1日目577±70.8(573)0.375(0.25-1.0)1,920±678(1,830)
7日目587±187(562)0.5(0.25-1.0)2,180±949(2,040)1.12±0.117(1.11)
25mg(n=8)1日目1,200±357(1,160)0.5(0.25-1.5)3,600±838(3,500)
7日目1,290±271(1,260)0.5(0.25-0.5)3,720±864(3,620)1.03±0.0568(1.03)
平均値±標準偏差(幾何平均値)、注)中央値(最小値-最大値)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康被験者(16例)に食後にルキソリチニブ20mgを単回経口投与したとき、空腹時に比べTmaxは0.5時間から1.75時間に延長し、Cmaxは42%低下した。AUCは6.4%低下したが比(食後/空腹)の90%信頼区間は0.80~1.25の範囲内であった。
16.3 分布
ルキソリチニブのヒト血漿中及び血清中での非結合型分率は、3.2~4.8%であった(in vitro)。
16.4 代謝
ルキソリチニブは主としてCYP3A4で代謝され、またCYP3A4に比べて寄与率は小さいがCYP2C9によっても代謝されると考えられる(in vitro)。
16.5 排泄
健康被験者(6例)に14C標識したルキソリチニブ25mgを単回経口投与したとき放射能の総回収率は96%で、尿及び糞中にそれぞれ74%及び22%が回収された。尿及び糞中に回収された放射能に占める未変化体の割合は1%未満であった。放射能の70%以上が投与後24時間以内に回収された(外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
健康被験者(クレアチニンクリアランス(CLcr)80mL/min超)、軽度腎機能障害患者(CLcr50~80mL/min)、中等度腎機能障害患者(CLcr30~49mL/min)、重度腎機能障害患者(CLcr30mL/min未満)及び透析を受けている末期腎機能障害患者にルキソリチニブ25mgを単回経口投与したとき、未変化体の血漿中濃度は同様であった(各群8例)。8種類の活性代謝物のAUC(合計)は、未変化体のAUCに対して、健康被験者で61%、軽度、中等度及び重度腎機能障害患者で79%、117%及び173%、投与前及び投与後に透析を行った患者で346%及び297%で、腎機能障害の重症度の上昇により増加する傾向を示した(外国人のデータ)。[9.2参照]
16.6.2 肝機能障害患者
健康被験者、軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類 A)、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類 B)及び重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類 C)にルキソリチニブ25mgを単回経口投与したとき、AUCは、健康被験者に比べて軽度、中等度及び重度障害患者でそれぞれ87%、28%及び65%高かったが、3つの患者群間で重症度とAUCの間に明確な関係は認められなかった(各群8例)。Cmaxは肝機能障害患者と健康被験者で差はなかった。半減期は、健康被験者(2.8時間)に比べて肝機能障害患者(各患者群で4.1~5.0時間)で延長した(外国人のデータ)。[9.3参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール(強力なCYP3A4阻害剤、国内未発売の経口剤)
健康被験者(16例)にケトコナゾール(200mg、1日2回4日間)反復投与時、ルキソリチニブ10mgを併用したときルキソリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ33%及び91%増加し、半減期は3.7時間から6.0時間に延長した(外国人のデータ)。[10.2参照]
16.7.2 エリスロマイシン(CYP3A4阻害剤)
健康被験者(14例)にエリスロマイシン(500mg、1日2回4日間)反復投与時、ルキソリチニブ10mgを併用したとき、ルキソリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ8%及び27%増加したが、半減期に差はなかった(外国人のデータ)。[10.2参照]
16.7.3 リファンピシン(CYP3A4誘導剤)
健康被験者(12例)にリファンピシン(600mg、1日1回11日間)反復投与時、ルキソリチニブ50mgを併用投与したとき、ルキソリチニブ未変化体のCmax及びAUCはそれぞれ52%及び71%低下し、半減期は3.3時間から1.7時間に短縮した。8種類の活性代謝物のAUC(合計)に大きな変化はなく、未変化体に対する代謝物の相対的な曝露量は2倍以上に増加した(外国人のデータ)。[10.2参照]
16.7.4 ルキソリチニブの経口投与後、腸で薬物濃度が高くなった場合、P-糖蛋白(P-gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)を阻害する可能性が示唆された(in vitro)。
16.7.5 ミダゾラム(CYP3A4基質)
健康被験者(23例)にルキソリチニブ25mg(1日2回1日間)を反復投与時、ミダゾラム経口液剤4mgを併用したとき、ルキソリチニブはミダゾラムの薬物動態に大きな影響を及ぼさなかった(外国人のデータ)。
16.7.6 経口避妊薬
健康被験者(24例)にルキソリチニブ25mg(1日2回10日間)を反復投与時、経口避妊薬(エチニルエストラジオール30μg及びレボノルゲストレル150μgを含有)を併用したとき、ルキソリチニブはエチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人のデータ)。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
強力なCYP3A4阻害剤
イトラコナゾール
リトナビル
クラリスロマイシン等
[16.7.1参照]
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A4阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。やむを得ず強力なCYP3A4阻害剤と本剤を併用投与する場合には、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。これらの薬剤の強力なCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A4及びCYP2C9を阻害する薬剤
フルコナゾール等
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。これらの薬剤の2つの代謝酵素(CYP3A4及びCYP2C9)の阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A4阻害剤
エリスロマイシン
シプロフロキサシン
アタザナビル
ジルチアゼム
シメチジン等
[16.7.2参照]
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、CYP3A4阻害剤と本剤を併用投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。これらの薬剤のCYP3A4阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A4誘導剤
リファンピシン
フェニトイン
セイヨウオトギリソウ〔St.John's Wort(セント・ジョーンズ・ワート)〕含有食品等
[16.7.3参照]
本剤の血中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱する可能性があるので、CYP3A4誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。これらの薬剤のCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 骨髄抑制
血小板減少症(35.1%)、貧血(31.1%)、好中球減少症(9.2%)、汎血球減少症(0.9%)等があらわれることがある。[8.1参照]
11.1.2 感染症(17.2%)
細菌、真菌、ウイルス又は原虫による重篤な感染症(帯状疱疹(1.8%)、尿路感染(2.5%)、結核(0.1%)等)や日和見感染が発現又は悪化することがあり、死亡に至った症例が報告されている。本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。[1.2、8.2、8.3、9.1.1-9.1.3参照]
11.1.3 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合には、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を実施するとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.4 出血
脳出血等の頭蓋内出血(0.1%)(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)、胃腸出血(1.3%)、処置後出血(0.1%)、鼻出血(1.4%)、血尿(0.8%)等があらわれることがあり、死亡に至った症例が報告されている。[8.4参照]
11.1.5 間質性肺疾患(頻度不明)
11.1.6 肝機能障害
AST(3.5%)、ALT(5.2%)の上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った症例が報告されている。[8.5参照]
11.1.7 心不全(0.5%)

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満1%未満
感染症肺炎、敗血症サイトメガロウイルス感染、BKウイルス感染
血液及びリンパ系障害白血球数減少
代謝及び栄養障害体重増加、高コレステロール血症高トリグリセリド血症、体液貯留、低カルシウム血症、食欲減退
精神障害不眠症
神経系障害頭痛、浮動性めまい末梢性ニューロパチー、錯感覚
心臓障害動悸
血管障害高血圧
呼吸器系障害鼻咽頭炎、呼吸困難、咳嗽ラ音
胃腸障害下痢悪心、腹痛、嘔吐、便秘、腹部膨満、口内炎、鼓腸口内乾燥、口腔内潰瘍形成、消化不良、上腹部痛、リパーゼ上昇、アミラーゼ上昇
肝胆道系障害γ-GTP増加、ALP増加、血中ビリルビン増加
皮膚及び皮下組織障害挫傷発疹、寝汗
筋骨格系障害筋痙縮、四肢痛、筋肉痛、関節痛骨痛、背部痛、血中CPK上昇
腎及び尿路障害血中尿素増加、血中クレアチニン上昇
全身障害末梢性浮腫、無力症、発熱、疲労
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