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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症

用法・用量

  • ロスーゼット配合錠LD

    • 通常、成人には1日1回1錠(エゼチミブ/ロスバスタチンとして10mg/2.5mg)を食後に経口投与する。
  • ロスーゼット配合錠HD

    • 通常、成人には1日1回1錠(エゼチミブ/ロスバスタチンとして10mg/5mg)を食後に経口投与する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 重篤な肝機能障害のある患者及び肝機能が低下していると考えられる以下のような患者

    • 急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸[9.3.1、9.3.3、16.6.2参照]
  • 2.3 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦[9.5、9.6参照]
  • 2.4 シクロスポリンを投与中の患者[10.1、16.7.2参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 糖尿病患者
エゼチミブでは空腹時血糖の上昇が報告されている。
9.1.2 横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある以下の患者
・甲状腺機能低下症の患者
・遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者
・薬剤性の筋障害の既往歴のある患者
・アルコール中毒患者
ロスバスタチンでは横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。
9.1.3 重症筋無力症又はその既往歴のある患者
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。[11.1.10参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎障害のある患者
ロスバスタチンの血中濃度が高くなるおそれがある。[7.4、7.5、16.6.1参照]
9.2.2 腎障害又はその既往歴のある患者
ロスバスタチンの横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわれることがある。[7.4、7.5、16.6.1参照]
9.2.3 腎機能検査値異常のある患者
本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。[10.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重篤な肝機能障害のある患者及び肝機能が低下していると考えられる以下のような患者
急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸
投与しないこと。これらの患者では、ロスバスタチンの血中濃度が上昇するおそれがある。また、ロスバスタチンは主に肝臓に分布して作用するので、肝障害を悪化させるおそれがある。[2.2、16.6.2参照]
9.3.2 中等度の肝機能障害のある患者
投与しないことが望ましい。エゼチミブの血漿中濃度が上昇するおそれがある。[16.6.2参照]
9.3.3 肝障害又はその既往歴のある患者
エゼチミブでは肝機能障害の程度に応じて血漿中薬物濃度の上昇が認められた。ロスバスタチンは主に肝臓に分布して作用するので、肝障害又はその既往歴のある患者では、肝障害を悪化させるおそれがある。特に、Child-Pughスコアが8~9の患者では、ロスバスタチンの血漿中濃度が他に比べて高かったとの報告がある。[2.2、16.6.2参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更に、ヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。[2.3参照]
9.6 授乳婦
投与しないこと。エゼチミブでは、ヒト母乳中への移行の有無は不明であるが、妊娠後から授乳期まで投与したラットで乳児への移行が認められている。ロスバスタチンでは、ラットで乳汁中への移行が報告されている。[2.3参照]
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤は、エゼチミブ10mgとロスバスタチンとして2.5mgあるいは5mgとの配合剤であり、エゼチミブとロスバスタチン双方の副作用が発現するおそれがあるため、適切に本剤の使用を検討すること。[11.参照]
8.2 あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い、更に運動療法や、高血圧・喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
8.3 投与中は血中脂質値を定期的に検査し、治療に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。
8.4 ロスバスタチン単剤投与から本剤への切り替え時に肝機能検査を行うこと。また、ロスバスタチンの増量後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に肝機能検査を行うこと。[11.1.6参照]
8.5 血小板減少があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行うこと。[11.1.7参照]
8.6 甲状腺機能低下症、閉塞性胆のう胆道疾患、慢性腎不全、膵炎等の疾患の合併、血清脂質に悪影響を与える薬剤の服用等の二次的要因により高脂血症を呈している場合は、原疾患の治療、薬剤の切り替え等を可能な限り実施した上で本剤での治療を考慮すること。
8.7 エゼチミブとフィブラート系薬剤の併用に関しては、使用経験が限られている。併用する場合は、胆石症などの副作用の発現に注意すること。フィブラート系薬剤では胆汁へのコレステロール排泄を増加させ、胆石形成がみられることがある。エゼチミブはイヌで胆のう胆汁中のコレステロール濃度の上昇が報告されている。[15.1.1、15.2参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 以下のエゼチミブとロスバスタチンカルシウムの用法及び用量を踏まえ、患者毎に本剤の適用を考慮すること。
エゼチミブ
通常、成人にはエゼチミブとして1回10mgを1日1回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
ロスバスタチンカルシウム
通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDLコレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDLコレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDLコレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。
7.2 原則として、エゼチミブ10mg及びロスバスタチンとして2.5mgを併用している場合、あるいはロスバスタチンとして2.5mgを使用し効果不十分な場合に、本剤LD(エゼチミブ/ロスバスタチンとして10mg/2.5mg)の適用を検討すること。
7.3 原則として、エゼチミブ10mg及びロスバスタチンとして5mgを併用している場合、あるいはロスバスタチンとして5mg又はエゼチミブ/ロスバスタチンとして10mg/2.5mgを使用し効果不十分な場合に、本剤HD(エゼチミブ/ロスバスタチンとして10mg/5mg)の適用を検討すること。
7.4 クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73m2未満の患者にロスバスタチンカルシウムを投与する場合には、ロスバスタチンとして2.5mgより投与を開始し、1日最大投与量はロスバスタチンとして5mgとする。[9.2.1、9.2.2、16.6.1参照]
7.5 特にロスバスタチンとして20mg投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがある。本剤にロスバスタチンを追加した場合等、ロスバスタチンとして20mg投与開始後12週までの間は原則、月に1回、それ以降は定期的(半年に1回等)に腎機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと。[9.2.1、9.2.2、16.6.1参照]

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 本剤を高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症の治療の第一選択薬として用いないこと。
5.2 適用の前に十分な検査を実施し、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。
5.3 ホモ接合体性家族性高コレステロール血症については、LDLアフェレーシス等の非薬物療法の補助として、あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 生物学的同等性試験
健康成人男性に、空腹時(117例)注)及び食後(120例)に本剤1錠(エゼチミブ/ロスバスタチンとして10mg/5mg)又は同用量のエゼチミブ(10mg1錠)及びロスバスタチン(5mg1錠)の単剤を併用でクロスオーバー法により経口投与した。空腹時注)及び食後に本剤を投与したときのエゼチミブ、エゼチミブ抱合体及びロスバスタチンの薬物動態パラメータは表1のとおりであり、本剤と同用量のエゼチミブ及びロスバスタチンの単剤併用で、生物学的同等性が認められた。
表1 本剤10mg/5mgを空腹時注)及び食後に単回経口投与した際の薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータエゼチミブエゼチミブ抱合体ロスバスタチン
空腹時投与
例数117117117
Cmax
(ng/mL又はng Eq/mL††
4.73
(4.32,5.18)
69.3
(63.8,75.3)
6.58
(6.09,7.11)
AUC0-72hr
(ng・hr/mL又はng Eq・hr/mL††
76.4
(71.2,81.9)
428
(397,461)
54.8
(51.1,58.9)
Tmax§
(hr)
3.00
[0.50,12.0]
1.00
[0.50,4.50]
4.50
[0.50,5.00]
t1/2
(hr)
20.9
(54)
19.3
(52)
12.1
(38)
食後投与
例数120120120
Cmax
(ng/mL又はng Eq/mL††
4.93
(4.52,5.37)
70.1
(64.5,76.1)
2.39
(2.20,2.60)
AUC0-72hr
(ng・hr/mL又はng Eq・hr/mL††
86.8
(81.8,92.2)
481
(448,517)
28.3
(26.3,30.4)
Tmax§
(hr)
4.50
[0.50,12.0]
2.50
[0.50,6.00]
4.50
[2.00,12.0]
t1/2
(hr)
18.3
(67)
16.5
(48)
15.1
(36)
各値は幾何平均値(95%信頼区間)† エゼチミブ及びロスバスタチン†† エゼチミブ抱合体§ 中央値[最小値,最大値]∥ 幾何平均値(CV%)
16.1.2 投与時間の影響
(1)ロスバスタチン
健康成人21例にロスバスタチン10mg注)をクロスオーバー法で1日1回14日間、午前7時あるいは午後6時に経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度推移は両投与時間で同様であり、ロスバスタチンの体内動態は投与時間の影響を受けないと考えられた(外国人データ)。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性に本剤10mg/5mgを食後又は空腹時注)(投与前に10時間以上かつ投与後4時間まで絶食)に単回経口投与(14例)したとき、空腹時に比べて食後投与でのエゼチミブ(非抱合体)のCmaxは16%、AUC0-lastは15%低下し、ロスバスタチンのCmaxは62%、AUC0-lastは52%低下した。同じ条件でロスバスタチン単剤(市販製剤)5mgを単回経口投与(14例)したとき、Cmaxは67%(空腹時5.36ng/mL、食後1.79ng/mL)、AUC0-lastは56%(空腹時51.0ng・hr/mL、食後22.4ng・hr/mL)低下し、ロスバスタチンの曝露量に及ぼす食事の影響は本剤と類似していた。
表2 ロスバスタチン単剤5mgを空腹時注)及び食後に単回経口投与した際の薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータ空腹時投与食後投与
例数1414
Cmax(ng/mL)5.36(3.89,7.38)1.79(1.29,2.49)
AUC0-last(ng・hr/mL)51.0(38.2,68.0)22.4(16.9,29.7)
各値は幾何平均値(95%信頼区間)
16.2.2 生物学的利用率
(1)ロスバスタチン
白人健康成人男性10例におけるロスバスタチンの生物学的利用率は20.1%(90%信頼区間:17.2%~23.4%)であった。また、静脈内投与して得られたロスバスタチンの全身クリアランス及び腎クリアランスはそれぞれ48.9及び13.6L/hrであり、ロスバスタチンは主に肝臓による消失を受けると考えられた(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 エゼチミブ
ヒト血漿に添加したときの蛋白結合率は、3H-エゼチミブ99.5%~99.8%、3H-エゼチミブ抱合体87.8%~92.0%であった。肝機能障害や腎機能障害による血漿蛋白結合率への影響は認められていない。
16.3.2 ロスバスタチン
ヒト血漿中におけるロスバスタチンの蛋白結合率は88%であり、主結合蛋白はアルブミンであった(外国人データ)。
16.4 代謝
16.4.1 エゼチミブ
エゼチミブは、主に小腸における初回通過効果によって主要活性代謝物であるエゼチミブ抱合体(フェノール性水酸基におけるグルクロン酸抱合体)に代謝される。
健康成人男性(8例)に14C-エゼチミブカプセル20mg注)を単回経口投与したとき、血漿中の総放射能に占めるエゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体の割合(AUC比)はそれぞれ11%及び82%(合計93%)であった(外国人データ)。
16.4.2 ロスバスタチン
健康成人男性6例に14C-ロスバスタチン20mg注)を単回経口投与したところ、尿及び糞中に存在する放射能の主成分は未変化体であり、尿糞中の主な代謝物は、N-脱メチル体及び5S-ラクトン体であった。
ヒト血漿中にはN-脱メチル体及び5S-ラクトン体が検出されたが、HMG-CoA還元酵素阻害活性体濃度はロスバスタチン濃度と同様の推移を示し、血漿中におけるHMG-CoA還元酵素阻害活性に対する代謝物の寄与はわずかであると考えられた(外国人データ)。
16.5 排泄
16.5.1 エゼチミブ
(1)尿・糞中排泄
健康成人男性(8例)に14C-エゼチミブカプセル20mg注)を単回経口投与したとき、投与後240時間までの放射能排泄率は糞中に78%、尿中に11%であった(外国人データ)。
健康成人男性(各6例)にエゼチミブ10、20注)、40mg注)を単回経口投与したとき、投与後72時間までのエゼチミブ(非抱合体)としての尿中排泄率は0.05%未満であり、尿中総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)排泄率は8.7%~11%であった。
(2)胆汁中排泄(腸肝循環)
エゼチミブ抱合体は胆汁中に排泄されたのち、腸内細菌叢による脱抱合をうけ、一部はエゼチミブ(非抱合体)として再吸収される(腸肝循環)。
胆管カニューレを施した雌雄ラットに14C-エゼチミブを単回経口投与したとき、投与後48時間までに排泄された放射能は、胆汁中に40%~63%、尿中には3%以下であり、未吸収のまま糞中に排泄された放射能は21%~32%であった。採取された胆汁を別ラットの十二指腸内へ投与したとき、投与放射能の54%~81%が再吸収ののち再び胆汁中に排泄された。
16.5.2 ロスバスタチン
健康成人男性6例に14C-ロスバスタチン20mg注)を単回経口投与したところ、放射能は主に糞中に排泄され(約90%)、尿中放射能排泄率は約10%であった。また、尿及び糞中への未変化体排泄率は、それぞれ投与量の4.9%及び76.8%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
(1)エゼチミブ
エゼチミブ10mgを重度の慢性腎機能障害患者(8例、クレアチニンクリアランス10~29mL/min)に単回経口投与したとき、健康成人(9例、クレアチニンクリアランス>80mL/min)と比較して血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のAUCにそれぞれ約1.6倍及び1.5倍の上昇が認められた(外国人データ)。
(2)ロスバスタチン
重症度の異なる腎機能障害患者にロスバスタチン20mg注)を投与したとき、軽度から中等度の腎機能障害患者では、ロスバスタチンの血漿中濃度に対する影響はほとんど認められなかったが、重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)では、健康成人に比べて血漿中濃度が約3倍に上昇した(外国人データ)。[7.4、7.5、9.2.1、9.2.2参照]
16.6.2 肝機能障害患者
(1)エゼチミブ
エゼチミブ10mgを軽度、中等度又は重度の慢性肝機能障害患者(各4例)若しくは健康成人(8例)に単回経口投与したとき、軽度、中等度及び重度の肝機能障害者の血漿中エゼチミブ(非抱合体)のCmaxは、健康成人と比べて、それぞれ1.1倍、3.4倍及び4.2倍、AUCはそれぞれ1.4倍、5.8倍及び4.9倍高く、エゼチミブ抱合体のCmaxは、それぞれ1.4倍、1.8倍及び1.9倍、AUCはそれぞれ1.7倍、3.1倍及び4.0倍高かった。肝機能障害の程度に応じたエゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体の血漿中薬物濃度の上昇が認められた(外国人データ)。[9.3.2、9.3.3参照]
(2)ロスバスタチン
Child-Pugh A(スコア:5~6)あるいはChild-Pugh B(スコア:7~9)の肝機能障害患者各6例にロスバスタチン10mg注)を1日1回14日間反復経口投与し、血漿中ロスバスタチン濃度を測定した。肝機能障害患者のCmax及びAUC0-24hrは健康成人のそれぞれ1.5~2.1倍及び1.05~1.2倍であり、特に、Child-Pughスコアが8~9の患者2例における血漿中濃度は、他に比べて高かった(外国人データ)。[2.2、9.3.1、9.3.3参照]
16.6.3 性差及び加齢の影響
(1)エゼチミブ
エゼチミブ10mgを高齢者(12例、年齢65~75歳)に1日1回10日間経口投与したとき、非高齢対照群(11例、年齢20~24歳)と比較して血漿中エゼチミブ抱合体濃度のAUCに約2.4倍の上昇が認められたが、血漿中エゼチミブ(非抱合体)濃度のAUCに明らかな変化は認められなかった。
(2)ロスバスタチン
男性非高齢者、男性高齢者、女性非高齢者及び女性高齢者(各8例、年齢:非高齢者18~33歳、高齢者65~73歳)にロスバスタチン40mg注)を単回経口投与したところ、男性のCmax及びAUC0-tはそれぞれ女性の82%及び91%であった。また、非高齢者のCmax及びAUC0-tはそれぞれ高齢者の112%及び106%であり、臨床上問題となる性差や加齢の影響はないと考えられた(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 エゼチミブ
(1)チトクロムP450酵素系への影響
健康成人(12例)を対象として、エゼチミブ20mg注)と各種チトクロムP450酵素系の基質となる代表的な指標薬を併用したとき、CYP1A2、CYP2C8/9、CYP2D6及びCYP3A4活性、並びにN-アセチルトランスフェラーゼ活性への影響は認められなかった(外国人データ)。
(2)フェノフィブラートとの相互作用
成人(8例、LDLコレステロール値≧130mg/dL)を対象として、フェノフィブラート200mg(1日1回)とエゼチミブ10mg(1日1回)を併用したとき、血漿中エゼチミブ抱合体濃度のCmax及びAUCはそれぞれ約1.7倍及び1.5倍上昇したが、臨床上意味のあるものではなかった。フェノフィブラートの薬物動態に及ぼすエゼチミブの影響は認められなかった(外国人データ)。
(3)シクロスポリン製剤との相互作用
クレアチニンクリアランスが50mL/minを超え、かつ、一定用量(75~150mg1日2回)のシクロスポリン製剤を服用中の腎移植患者(8例)にエゼチミブ10mgを単回投与したとき、総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)のAUCは健康成人と比較して約3.4倍高値を示した。別の試験で、重度の腎機能障害のため腎移植を行い、シクロスポリン製剤を含む複数の薬剤による治療を受けていた患者(1例、クレアチニンクリアランス:13.2mL/min)にエゼチミブ10mgを単回投与したとき、総エゼチミブ(非抱合体+抱合体)のAUCは健康成人と比較して約12倍高値を示した。健康成人(12例)を対象として、エゼチミブ20mg注)(1日1回8日間)の連投7日目にシクロスポリン製剤100mgを単回経口投与したとき、血液中シクロスポリン濃度のCmax及びAUCはシクロスポリン単独投与と比較してそれぞれ10%及び15%上昇した(外国人データ)。
(4)コレスチラミンによる影響
成人(8例、LDLコレステロール値≧130mg/dL)を対象として、コレスチラミン4g(1日2回)とエゼチミブ10mg(1日1回)を併用したとき、血漿中エゼチミブ(非抱合体)及びエゼチミブ抱合体濃度のAUCはそれぞれ約1/5及び1/2に低下した(外国人データ)。[10.2参照]
(5)その他の薬物動態学的相互作用
薬物相互作用に関する臨床試験で、エゼチミブ10mgとワルファリン、ジゴキシン、経口避妊薬(エチニルエストラジオール、レボノルゲストレル)を併用した結果、これらの薬物動態への影響は認められなかった。シメチジンとエゼチミブ10mgを併用した結果、エゼチミブのバイオアベイラビリティに対する影響は認められなかった。制酸剤(水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムを含有)とエゼチミブ10mgを併用したとき、血漿中エゼチミブ抱合体濃度のCmaxは約30%低下したが、AUCへの影響は認められなかった(外国人データ)。
16.7.2 ロスバスタチン
(1)制酸剤
制酸剤をロスバスタチンと同時併用投与した場合、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-tはそれぞれ50%及び46%まで低下したが、ロスバスタチン投与後2時間に制酸剤を投与した場合には、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-tはそれぞれ非併用時の84%及び78%であった(外国人データ)。[10.2参照]
(2)シクロスポリン
シクロスポリンを投与されている心臓移植患者にロスバスタチンを併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hrは、健康成人に単独で反復投与したときに比べてそれぞれ10.6倍及び7.1倍上昇した(外国人データ)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、シクロスポリンはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。[2.4、10.1参照]
(3)ゲムフィブロジル
ゲムフィブロジル(本邦未承認)とロスバスタチンを併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-tはそれぞれ2.21倍及び1.88倍に増加した(外国人データ)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、ゲムフィブロジルはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。
(4)その他の薬剤
ロスバスタチンの体内動態に及ぼすP450阻害剤の影響を検討するために、フルコナゾール(CYP2C9及びCYP2C19の阻害剤)、ケトコナゾール、イトラコナゾール及びエリスロマイシン(以上CYP3A4及びP糖蛋白の阻害剤)との併用試験を実施したが、明らかな相互作用は認められなかった(外国人データ)。
ワルファリン(CYP2C9及びCYP3A4の基質)あるいはジゴキシンの体内動態に及ぼす影響を検討したが、薬物動態学的相互作用は認められなかった(外国人データ)。
CYP3A4誘導作用の有無を検討するために、経口避妊薬との併用試験を実施したが、エチニルエストラジオールの血漿中濃度に減少はみられず、ロスバスタチンはCYP3A4に対する誘導作用を示さないと考えられた(外国人データ)。
(5)in vitro試験
ヒト遊離肝細胞を用いるin vitro試験においてN-脱メチル体が生成したが、その代謝速度は非常に緩徐であった。また、N-脱メチル化に関与する主なP450分子種はCYP2C9及びCYP2C19であった。ロスバスタチン(50μM)によるP450(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4)活性の阻害率は10%以下であった。
注)本剤の承認された用法及び用量は1日1回1錠(エゼチミブ/ロスバスタチンとして10mg/2.5mg又は10mg/5mg)を食後に経口投与である。

併用禁忌 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
シクロスポリン:
(サンディミュン、ネオーラル)
[2.4、16.7.2参照]
シクロスポリンを投与されている心臓移植患者にロスバスタチンを併用したとき、シクロスポリンの血中濃度に影響はなかったが、ロスバスタチンのAUC0-24hrが健康成人に単独で反復投与したときに比べて約7倍上昇したとの報告がある。シクロスポリンがOATP1B1及びBCRP等の機能を阻害する可能性がある。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
フィブラート系薬剤:
ベザフィブラート等
[9.2.3参照]
フェノフィブラートとロスバスタチンの併用においては、いずれの薬剤の血中濃度にも影響はみられていない。しかし一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。フィブラート系薬剤、ロスバスタチン共に横紋筋融解症の報告がある。
危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
ニコチン酸一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。危険因子:腎機能障害のある患者
アゾール系抗真菌薬:
イトラコナゾール等
一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。危険因子:腎機能障害のある患者
マクロライド系抗生物質:
エリスロマイシン等
一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。危険因子:腎機能障害のある患者
クマリン系抗凝固剤:
ワルファリン等
エゼチミブとの併用によりプロトロンビン時間国際標準比(INR)の上昇がみられた。また、ロスバスタチンとの併用により抗凝血作用が増強することがあるとの報告がある。本剤を併用する場合は、本剤の投与開始時及び用量変更時にも頻回にINR値等を確認し、必要に応じてワルファリンの用量を調節する等、注意深く投与すること。機序:不明
制酸剤:
水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウム
[16.7.2参照]
ロスバスタチンとの併用によりロスバスタチンの血中濃度が約50%に低下することが報告されている。ロスバスタチン投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、ロスバスタチンの血中濃度は非併用時の約80%であったとの報告がある。機序:不明
ロピナビル・リトナビル
アタザナビル/リトナビル
ダルナビル/リトナビル
グレカプレビル・ピブレンタスビル
ロスバスタチンとロピナビル・リトナビルを併用したときロスバスタチンのAUCが約2倍、Cmaxが約5倍、アタザナビル及びリトナビル両剤とロスバスタチンを併用したときロスバスタチンのAUCが約3倍、Cmaxが7倍、ダルナビル及びリトナビル両剤とロスバスタチンを併用したときロスバスタチンのAUCが約1.5倍、Cmaxが約2.4倍上昇したとの報告がある。またロスバスタチンとグレカプレビル・ピブレンタスビル注)を併用したとき、ロスバスタチンのAUCが約2.2倍、Cmaxが約5.6倍上昇したとの報告がある。左記薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
ダクラタスビル
アスナプレビル
ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル
ロスバスタチンとダクラタスビル、アスナプレビル、又はダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル注)を併用したとき、ロスバスタチンの血中濃度が上昇したとの報告がある。ダクラタスビル、ベクラブビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。また、アスナプレビルがOATP1B1、1B3の機能を阻害する可能性がある。
グラゾプレビル/エルバスビルロスバスタチンとグラゾプレビル注)及びエルバスビルを併用したとき、ロスバスタチンのAUCが約2.3倍、Cmaxが約5.5倍上昇した。左記薬剤がBCRPの機能を阻害する可能性がある。
ソホスブビル・ベルパタスビルロスバスタチンとベルパタスビルを併用したとき、ロスバスタチンのAUCが約2.7倍、Cmaxが約2.6倍上昇したとの報告がある。ベルパタスビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
ダロルタミドロスバスタチンとダロルタミドを併用したとき、ロスバスタチンのAUCが5.2倍、Cmaxが5.0倍上昇したとの報告がある。ダロルタミドがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
レゴラフェニブロスバスタチンとレゴラフェニブを併用したとき、ロスバスタチンのAUCが3.8倍、Cmaxが4.6倍上昇したとの報告がある。レゴラフェニブがBCRPの機能を阻害する可能性がある。
カプマチニブ塩酸塩水和物ロスバスタチンとカプマチニブ塩酸塩水和物を併用したとき、ロスバスタチンのAUCが約2.1倍、Cmaxが約3.0倍上昇したとの報告がある。カプマチニブ塩酸塩がBCRPの機能を阻害することにより、ロスバスタチンの血中濃度が増加する可能性がある。
バダデュスタットロスバスタチンとバダデュスタットを併用したとき、ロスバスタチンのAUCが約2.5倍、Cmaxが約2.7倍上昇したとの報告がある。バダデュスタットがBCRPの機能を阻害することにより、ロスバスタチンの血中濃度が増加する可能性がある。
フェブキソスタットロスバスタチンとフェブキソスタットを併用したとき、ロスバスタチンのAUCが約1.9倍、Cmaxが約2.1倍上昇したとの報告がある。フェブキソスタットがBCRPの機能を阻害することにより、ロスバスタチンの血中濃度が増加する可能性がある。
エルトロンボパグロスバスタチンとエルトロンボパグを併用したとき、ロスバスタチンのAUCが約1.6倍上昇したとの報告がある。エルトロンボパグがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
陰イオン交換樹脂:
コレスチミド
コレスチラミン等
[16.7.1参照]
エゼチミブとの併用によりエゼチミブの血中濃度の低下がみられた。本剤は陰イオン交換樹脂の投与前2時間あるいは投与後4時間以上の間隔をあけて投与すること。機序:エゼチミブが陰イオン交換樹脂と結合し、吸収が遅延あるいは減少する可能性がある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.1参照]
11.1.1 過敏症(頻度不明)
アナフィラキシー、血管浮腫、発疹を含む過敏症状があらわれたとの報告がある。
11.1.2 多形紅斑(頻度不明)
11.1.3 横紋筋融解症(頻度不明)
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止すること。
11.1.4 ミオパチー(頻度不明)
広範な筋肉痛、高度な脱力感や著明なCKの上昇があらわれた場合には投与を中止すること。
11.1.5 免疫介在性壊死性ミオパチー(頻度不明)
ロスバスタチン投与中に近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。
11.1.6 肝炎、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)
肝炎、AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。[8.4参照]
11.1.7 血小板減少(頻度不明)[8.5参照]
11.1.8 間質性肺炎(頻度不明)
長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.9 末梢神経障害(頻度不明)
四肢の感覚鈍麻、しびれ感等の感覚障害、疼痛、あるいは筋力低下等の末梢神経障害があらわれることがある。
11.1.10 重症筋無力症(頻度不明)
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が発症又は悪化することがある。[9.1.3参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[8.1参照]

1%以上1%未満頻度不明
感染症及び寄生虫症結膜炎、口腔ヘルペス、帯状疱疹
精神障害悪夢、睡眠障害、不眠症、抑うつ
神経系障害感覚鈍麻しびれ、健忘、坐骨神経痛、錯感覚、頭痛、浮動性めまい
心臓障害期外収縮、動悸
胃腸障害便秘悪心、腹痛、口内炎、口内乾燥、嘔吐、胃炎、胃食道逆流性疾患、膵炎、下痢、鼓腸放屁、消化不良、腹部膨満
肝胆道系障害胆石症、胆嚢炎
皮膚及び皮下組織障害発疹、紅斑アレルギー性皮膚炎、そう痒症、湿疹、蕁麻疹
筋骨格系及び結合組織障害背部痛、四肢不快感関節痛、筋肉痛、筋力低下、筋痙縮、四肢痛
腎及び尿路障害腎機能障害、蛋白尿注)
一般・全身障害及び投与部位の状態胸痛、疼痛、疲労、浮腫(顔面・四肢)、無力症
臨床検査ALT増加、肝機能検査異常γ-GTP増加、HbA1c増加、血中CK増加、血中尿酸増加AST増加、BUN増加、アミラーゼ増加、血圧上昇、血小板数減少、血中TSH増加、血中クレアチニン増加、血中コルチゾール増加、血中テストステロン減少、血中ビリルビン増加、血中ブドウ糖増加、血中リン増加、白血球数減少
その他食欲減退、咳嗽、ほてり、女性化乳房

注)原因不明の蛋白尿が持続する場合にはロスバスタチンを減量するなど適切な処置を行うこと。

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