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ゾルトファイ配合注フレックスタッチ

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • インスリン療法が適応となる2型糖尿病

用法・用量

  • 通常、成人では、初期は1日1回10ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして10単位/0.36mg)を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減するが、1日50ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして50単位/1.8mg)を超えないこと。注射時刻は原則として毎日一定とする。なお、本剤の用量単位である1ドーズには、インスリン デグルデク1単位及びリラグルチド0.036mgが含まれる。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 低血糖症状を呈している患者[11.1.1参照]
  • 2.3 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、1型糖尿病患者[インスリンのみを含有する製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない]
  • 2.4 重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリンのみを含有する製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 腹部手術の既往又は腸閉塞の既往のある患者
腸閉塞を起こすおそれがある。[11.1.4参照]
9.1.2 膵炎の既往歴のある患者[8.5、8.6、11.1.3参照]
9.1.3 糖尿病胃不全麻痺、炎症性腸疾患等の胃腸障害のある患者
十分な使用経験がなく胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。
9.1.4 低血糖を起こすおそれがある以下の患者又は状態
・下痢、嘔吐等の胃腸障害
・脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
・栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
・激しい筋肉運動
・過度のアルコール摂取者
[7.2、8.3、11.1.1参照]
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害患者
低血糖を起こすおそれがある。[7.2、11.1.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害患者
低血糖を起こすおそれがある。[7.2、11.1.1参照]
9.5 妊婦
妊娠又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。
リラグルチドの生殖発生毒性試験で、ラットにおいてリラグルチドの最大推奨臨床用量である1.8mgの約18.3倍の曝露量に相当する1.0mg/kg/日で早期胚死亡の増加、ウサギにおいてリラグルチドの最大推奨臨床用量である1.8mgの約0.76倍の曝露量に相当する0.05mg/kg/日で母動物の摂餌量減少に起因するものと推測される胎児の軽度の骨格異常が認められている。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
ラットでは乳汁中への移行がインスリン デグルデク及びリラグルチドにて報告されている。ヒトでの乳汁移行に関するデータ及びヒトの哺乳中の児への影響に関するデータはない。
9.7 小児等
18歳未満の患者を対象とした臨床試験は本剤では実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、胃腸障害及び低血糖が発現しやすい。[7.2、11.1.1参照]

8.重要な基本的注意

8.1 投与する場合には、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3~4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。
8.2 本剤の投与開始時及びその後数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと。特に、高用量のインスリン製剤(Basalインスリン又は混合型/配合溶解インスリン)を投与している患者が本剤に切り替える場合は、血糖コントロールが一時的に悪化する可能性があることから、注意すること。
8.3 低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること。[9.1.4、11.1.1参照]
8.4 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。[11.1.1参照]
8.5 急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。[9.1.2、11.1.3参照]
8.6 胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること。[9.1.2、11.1.3参照]
8.7 肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。
8.8 本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること。[15.2.1参照]
8.9 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。[11.1.5参照]
8.10 急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性)があらわれることがあるので注意すること。
8.11 本剤の自己注射にあたっては、以下の点に留意すること。
・投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
・全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
・添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。
8.12 本剤の有効成分の一つであるリラグルチドとDPP-4阻害薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。リラグルチドとDPP-4阻害薬を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。
8.13 本剤と他の糖尿病用注射剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。
8.14 同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、以下の点を患者に指導すること。
・本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと。[14.1.2参照]
・注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。
8.15 皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがある。血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと。血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている。

14.適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意
14.1.1 投与時
(1)本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。
本剤はA型専用注射針との適合性の確認をペンニードルで行っている。
(2)本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
(3)1本の本剤を複数の患者に使用しないこと。
14.1.2 投与部位
皮下注射は、腹部、大腿、上腕に行う。同じ部位に注射を行う場合は、その中で注射箇所を毎回変えること。前回の注射箇所より2~3cm離して注射すること。[8.14参照]
14.1.3 投与経路
静脈内及び筋肉内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。
14.1.4 その他
(1)本剤と他の薬剤を混合しないこと。本剤は他の薬剤との混合により、成分が分解するおそれがある。
(2)注射後注射針を廃棄すること。注射針は毎回新しいものを、必ず注射直前に取り付けること。
(3)カートリッジに薬液を補充してはならない。
(4)カートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
(5)液に濁りが生じたり、変色している場合は、使用しないこと。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤はインスリン デグルデクとリラグルチドを配合した製剤であるため、投与量は慎重に決定すること。なお、本剤は1~50ドーズの投与量を1ドーズ刻みで調節可能である。
7.2 本剤の開始時は、以下の点に注意すること[17.1参照]
(1)インスリン製剤(Basalインスリン又は混合型/配合溶解インスリン)以外の糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合
・血糖コントロールの状況、年齢、腎機能障害の有無等を含め、患者の状態に応じて、低用量(10ドーズ未満)からの投与も考慮するなど、慎重に投与を開始すること。[9.1.4、9.2、9.3、9.8参照]
・GLP-1受容体作動薬による治療で効果不十分な場合に本剤を投与するにあたっては、前治療のGLP-1受容体作動薬の投与を中止し、本剤と併用しないこと。週1回投与などの持続性GLP-1受容体作動薬による治療から本剤に切り替える場合は、その作用持続性を考慮し、次回に予定していた投与タイミングから本剤の投与を開始すること。
(2)インスリン製剤(Basalインスリン又は混合型/配合溶解インスリン)による治療で効果不十分な場合
・開始用量は、通常1日1回10ドーズであるが、前治療のインスリン投与量や患者の状態に応じて、1日1回16ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして16単位/0.58mg)までの範囲で増減できる。
・本剤の投与にあたっては、前治療のインスリン製剤(Basalインスリン又は混合型/配合溶解インスリン)の投与を中止し、本剤と併用しないこと。
7.3 本剤の1日用量として50ドーズを超える用量が必要な場合は、他の糖尿病用薬への切り替えを検討すること。
7.4 投与を忘れた場合には、本剤の作用持続時間等の特徴から気づいた時点で直ちに投与できるが、その次の投与は8時間以上あけてから行い、その後は通常の注射時刻に投与するよう指導すること。

5.効能又は効果に関連する注意

本剤は食事療法・運動療法に加え、糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合に使用を検討すること。[17.1参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人における単回投与後の薬物動態
外国人健康成人男性(24例)を対象に、本剤を17ドーズ単回投与したときの薬物動態パラメータを検討した結果、Cmax及びAUCinf(幾何平均)は、インスリン デグルデクで1.339nmol/L及び50.231nmol・h/L、リラグルチドで3.943nmol/L及び136.859nmol・h/L、であった(外国人データ)。
16.1.2 日本人被験者における母集団薬物動態解析
日本人2型糖尿病患者を対象とした第III相臨床試験から得られた血中濃度データ(インスリン デグルデク:546例、3098点の濃度データ、リラグルチド:547例、3140点の濃度データ)を用いて構築した母集団薬物動態モデルに基づき、薬物動態パラメータを推定した結果、本剤を平均投与量である28.1ドーズ投与したときの定常状態におけるCmax及びAUC0-24h(幾何平均値)は、インスリン デグルデクで3.670nmol/L及び75nmol・h/L、リラグルチドで12.010nmol/L及び258nmol・h/Lと推定された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害被験者における薬物動態
(1)インスリン デグルデク
腎機能障害の程度の異なる被験者〔クレアチニンクリアランス(CCr)に基づく分類〕にインスリン デグルデク0.4単位/kgを単回投与したときの薬物動態の比較結果は、以下のとおりであった(外国人データ)。
腎機能AUC0-120h
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
(軽度:CCr50以上~80mL/min以下)
1.12
[0.77;1.63]
1.14
[0.81;1.61]
中等度/正常
(中等度:CCr30以上~50mL/min未満)
1.12
[0.78;1.60]
1.06
[0.76;1.49]
重度/正常
(重度:CCr30mL/min未満)
1.20
[0.83;1.74]
1.23
[0.87;1.73]
末期注)/正常
(末期:血液透析を必要とする患者)
1.02
[0.74;1.40]
1.05
[0.75;1.46]
注)末期腎疾患を有する患者については、投与後68時間までの測定に基づき算出したAUC0-∞正常:N=6、軽度:N=6、中等度:N=6、重度:N=6、末期:N=6
(2)リラグルチド
腎機能障害の程度の異なる被験者〔クレアチニンクリアランス(CCr)に基づく分類〕にリラグルチド0.75mgを単回投与したときの薬物動態の比較検討結果は、以下のとおりであった(外国人データ)。
腎機能AUC0-inf
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
(軽度:CCr50超~80mL/min以下)
0.67
[0.54;0.85]
0.75
[0.57;0.98]
中等度/正常
(中等度:CCr30超~50mL/min以下)
0.86
[0.70;1.07]
0.96
[0.74;1.23]
重度/正常
(重度:CCr30mL/min以下)
0.73
[0.57;0.94]
0.77
[0.57;1.03]
末期/正常
(末期:血液透析を必要とする患者)
0.74
[0.56;0.97]
0.92
[0.67;1.27]
正常:N=6、軽度:N=6、中等度:N=7、重度:N=5、末期:N=6比の推定値及び90%信頼区間は、年齢及び体重で調整した。
16.6.2 肝機能障害被験者における薬物動態
(1)インスリン デグルデク
肝機能障害の程度の異なる被験者(Child-Pugh scoresに基づく分類)にインスリン デグルデク0.4単位/kgを単回投与したときの薬物動態の比較結果は、以下のとおりであった(外国人データ)。
肝機能AUC0-120h
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
〔軽度:Child-Pugh Grade A(5~6ポイント)〕
0.95
[0.77;1.16]
0.90
[0.67;1.20]
中等度/正常
〔中等度:Child-Pugh Grade B(7~9ポイント)〕
1.00
[0.82;1.22]
0.77
[0.58;1.03]
重度/正常
〔重度:Child-Pugh Grade C(10~15ポイント)〕
0.92
[0.74;1.14]
0.75
[0.55;1.02]
正常:N=6、軽度:N=6、中等度:N=6、重度:N=6
(2)リラグルチド
肝機能障害の程度の異なる被験者(Child-Pugh scoresに基づく分類)にリラグルチド0.75mgを単回投与したときの薬物動態の比較結果は、以下のとおりであった(外国人データ)。
肝機能AUC0-inf
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
〔軽度:Child-Pugh Grade A(5~6ポイント)〕
0.77
[0.53;1.11]
0.89
[0.65;1.21]
中等度/正常
〔中等度:Child-Pugh Grade B(7~9ポイント)〕
0.87
[0.60;1.25]
0.80
[0.59;1.09]
重度/正常
〔重度:Child-Pugh Grade C(10~15ポイント)〕
0.56
[0.39;0.81]
0.71
[0.52;0.97]
正常:N=6、軽度:N=6、中等度:N=6、重度:N=6比の推定値及び90%信頼区間は、年齢、性及び体重で調整した。
16.7 薬物相互作用
本剤及びインスリン デグルデクの薬物相互作用の検討は実施していない。
リラグルチドの経口剤との薬物動態学的薬物相互作用は、リラグルチド1.8mg又はプラセボ反復投与後の定常状態において、パラセタモール、アトルバスタチン、グリセオフルビン、リシノプリル及びジゴキシンの単回投与後の薬物動態を比較し検討した。また、経口避妊薬中のエチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルについても同様に検討した。両試験の結果を以下に示す(外国人データ)。
経口薬投与量NAUC0-∞
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
tmax差(h)
[90%信頼区間]
パラセタモール1.0g181.04
[0.97;1.10]
0.69
[0.56;0.85]
0.25
[0.00;1.54]
アトルバスタチン40mg420.95
[0.89;1.01]
0.62
[0.53;0.72]
1.25
[1.00;1.50]
グリセオフルビン500mg221.10
[1.01;1.19]
1.37
[1.24;1.51]
0.00
[-7.00;2.00]
リシノプリル20mg400.85
[0.75;0.97]
0.73
[0.63;0.85]
2.00
[2.00;3.00]
ジゴキシン1mg270.84
[0.72;0.98]注)
0.69
[0.60;0.79]
1.125
[0.50;1.25]
エチニルエストラジオール0.03mg211.06
[0.99;1.13]
0.88
[0.79;0.97]
1.50
[1.00;2.50]
レボノルゲストレル0.15mg141.18
[1.04;1.34]
0.87
[0.75;1.00]
1.50
[0.50;2.00]
注)AUC0-72h比:リラグルチド/プラセボ、差:リラグルチド-プラセボ

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
糖尿病用薬
ビグアナイド薬
スルホニルウレア薬
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害薬
チアゾリジン薬
DPP-4阻害薬
SGLT2阻害薬
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。血糖降下作用が増強される。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する。
三環系抗うつ剤
ノルトリプチリン塩酸塩
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある。
サリチル酸誘導体
アスピリン
エテンザミド
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有する。また、末梢で弱いインスリン様作用を有する。
抗腫瘍剤
シクロホスファミド水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある。
β-遮断剤
プロプラノロール塩酸塩
アテノロール
ピンドロール
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制する。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
クマリン系薬剤
ワルファリンカリウム
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。機序不明
クロラムフェニコール血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。機序不明
ベザフィブラート血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する。
サルファ剤血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられている。腎機能低下、空腹状態の遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる。
シベンゾリンコハク酸塩
ジソピラミド
ピルメノール塩酸塩水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること[11.1.1参照]。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。インスリン分泌作用を認めたとの報告がある。
チアジド系利尿剤
トリクロルメチアジド
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。カリウム喪失が関与すると考えられている。カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある。
副腎皮質ステロイド
プレドニゾロン
トリアムシノロン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
ACTH
テトラコサクチド酢酸塩
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加する。糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
アドレナリン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する。
グルカゴン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
甲状腺ホルモン
レボチロキシンナトリウム水和物
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
成長ホルモン
ソマトロピン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する。
卵胞ホルモン
エチニルエストラジオール
結合型エストロゲン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
経口避妊薬血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
ニコチン酸血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす。
濃グリセリン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する。
イソニアジド血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する。
ダナゾール血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。インスリン抵抗性を増強するおそれがある。
フェニトイン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。インスリン分泌抑制作用を有する。
蛋白同化ステロイド
メテノロン
血糖降下作用の増強による低血糖症状[11.1.1参照]、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
ソマトスタチンアナログ製剤
オクトレオチド酢酸塩
ランレオチド酢酸塩
血糖降下作用の増強による低血糖症状[11.1.1参照]、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 低血糖(頻度不明)
脱力感、倦怠感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等があらわれることがある。無処置の状態で続くと低血糖昏睡等を起こし、重篤な転帰(中枢神経系の不可逆的障害、死亡等)をとるおそれがある。
また、長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β-遮断剤投与あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖性昏睡に陥ることがある。
症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取する等、適切な処置を行うこと。α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時にはブドウ糖を投与すること。経口摂取が不可能な場合はブドウ糖を静脈内に、グルカゴンを筋肉内に投与する等適切な処置を行うこと。
本剤の作用は持続的であるため、回復が遅延するおそれがある。低血糖は臨床的に回復した場合にも再発することがあるので継続的に観察すること。[2.2、8.3、8.4、9.1.4、9.2.1、9.3.1、9.8、10.2、17.1参照]
11.1.2 アナフィラキシーショック(頻度不明)
呼吸困難、血圧低下、頻脈、発汗、全身の発疹、血管神経性浮腫等が認められた場合には投与を中止すること。
11.1.3 膵炎(頻度不明)
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。また、急性膵炎と診断された場合は、本剤の投与を中止し、再投与は行わないこと。なおリラグルチドでは、海外にて、非常にまれであるが壊死性膵炎の報告がある。
11.1.4 腸閉塞(頻度不明)
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止すること。[9.1.1参照]
11.1.5 胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸(いずれも頻度不明)[8.9参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上0.8~5%未満頻度不明
血液及びリンパ系障害貧血
免疫系障害過敏症
内分泌障害甲状腺腫瘤
代謝及び栄養障害食欲減退脱水、高脂血症、抗インスリン抗体産生に伴う血糖コントロール不良
神経系障害頭痛、浮動性めまい、感覚鈍麻、味覚異常
眼障害糖尿病性網膜症
心臓障害心拍数増加注)、心室性期外収縮
血管障害高血圧
呼吸器、胸郭及び縦隔障害咳嗽
胃腸障害便秘悪心、下痢、腹部不快感、嘔吐、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、胃炎、消化不良腹痛、鼓腸、おくび
肝胆道系障害肝機能異常(AST、ALTの上昇 等)、胆石症
皮膚及び皮下組織障害じん麻疹、そう痒症、発疹、リポジストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚 等)、皮膚アミロイドーシス
全身障害及び投与部位の状態注射部位反応倦怠感、胸痛、浮腫、疲労
臨床検査体重増加、膵酵素(リパーゼ、アミラーゼ)増加、遊離脂肪酸減少、血中プロインスリン減少、インスリンCペプチド減少体重減少、血中ケトン体増加

注)心拍数の増加が持続的にみられた場合には患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

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