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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • インスリン療法が適応となる2型糖尿病

用法・用量

  • 通常、成人には、5~20ドーズ(インスリン グラルギン/リキシセナチドとして5~20単位/5~20μg)を1日1回朝食前に皮下注射する。ただし、1日1回5~10ドーズから開始し、患者の状態に応じて増減するが、1日20ドーズを超えないこと。
    なお、本剤の用量単位である1ドーズには、インスリン グラルギン1単位及びリキシセナチド1μgが含まれる。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分又は他のインスリン グラルギン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 低血糖症状を呈している患者[11.1.1参照]
  • 2.3 糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[インスリンのみを含有する製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない。]
  • 2.4 重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリンのみを含有する製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない。]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 重症胃不全麻痺等の重度の胃腸障害のある患者
使用経験がなく、胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。
9.1.2 膵炎の既往歴のある患者[8.7、8.8、11.1.2参照]
9.1.3 低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
・脳下垂体機能不全又は副腎機能不全
・下痢、嘔吐等の胃腸障害
・栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態
・激しい筋肉運動
・過度のアルコール摂取
[8.4、11.1.1参照]
9.1.4 自律神経障害のある患者
低血糖の自覚症状が明確でないことがある。
9.2 腎機能障害患者
9.2.1 重度の腎機能障害(クレアチニンクリアランス:30mL/min未満)又は末期腎不全の患者
低血糖を起こすおそれがある。
重度の腎機能障害患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。末期腎不全の患者は臨床試験では除外されている。[11.1.1参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害のある患者
低血糖を起こすおそれがある。
重度の肝機能障害患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[11.1.1参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対しては本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。リキシセナチドのヒトにおける潜在的なリスクは不明である。リキシセナチドにおける動物実験では、生殖発生毒性が報告されている。胚・胎児発生に関する試験において、ラットではヒトにリキシセナチドを1回20μg、1日1回投与時の血漿中曝露量(AUC)の少なくとも約4.6倍で胎児の成長遅延、骨格異常及び骨化遅延、ウサギでは約32倍で骨化遅延が認められた。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において、微量のリキシセナチドが乳汁中へ移行することが認められている。授乳を継続する場合、授乳期にはインスリンの需要量が変化しやすいため、用量に留意し、定期的に検査を行い投与量を調整すること。
9.7 小児等
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、胃腸障害及び低血糖が発現しやすい。[11.1.1、16.6.2参照]

8.重要な基本的注意

8.1 投与する場合には、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3~4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切替えを行うこと。
8.2 本剤の投与開始時及びその後数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと。特に、高用量の基礎インスリン製剤を投与している患者が本剤に切り替える場合は、血糖コントロールが一時的に悪化する可能性があることから、注意すること。[8.12参照]
8.3 本剤の自己注射にあたっては、以下の点に留意すること。
・投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
・本剤の使用にあたっては、必ず添付の取扱説明書を読むよう指導すること。
・すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
8.4 低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること。[9.1.3、11.1.1参照]
8.5 急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性)があらわれることがあるので注意すること。
8.6 低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。[11.1.1参照]
8.7 急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。[9.1.2、11.1.2参照]
8.8 胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること。[9.1.2、11.1.2参照]
8.9 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。[11.1.4参照]
8.10 本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること。[15.2.1参照]
8.11 本剤の有効成分の一つであるリキシセナチドとDPP-4阻害薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。本剤とDPP-4阻害薬との併用患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
8.12 GLP-1受容体作動薬又は基礎インスリンとして1日15単位以上による治療で効果不十分な場合に本剤へ切り替えた際の有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。[8.2、17.1参照]
8.13 本剤と他の糖尿病用注射剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。
8.14 同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、以下の点を患者に指導すること。
・本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと。[14.2.2参照]
・注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。
8.15 皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがある。血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと。血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている。

14.適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意
14.1.1 本剤はJIS T 3226-2に準拠したA型専用注射針を用いて使用すること。
14.1.2 本剤とA型専用注射針との装着時に液漏れ等の不具合が認められた場合には、新しい注射針に取り替える等の処置方法を患者に十分指導すること。
14.1.3 本剤と他の製剤を混合しないこと。
14.1.4 本剤は無色澄明な液である。液に濁りがある場合、又は変色や粒子を認める場合には使用しないこと。
14.1.5 本剤のカートリッジにひびが入っている場合は使用しないこと。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 1本を複数の患者に使用しないこと。
14.2.2 皮下注射は、腹部、大腿部又は上腕部に行う。同一部位内で投与する場合は前回の注射箇所より2~3cm離して注射すること。[8.14参照]
14.2.3 静脈内及び筋肉内に投与しないこと。皮下注射したとき、まれに注射針が血管内に入り、注射後直ちに低血糖があらわれることがあるので注意すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤の投与は朝食前1時間以内に行い、食後の投与は行わないこと。
7.2 本剤はインスリン グラルギンとリキシセナチドを配合した製剤であるため、患者の状態に応じて用量を増減するなど、投与量は慎重に決定すること。なお、本剤は1ドーズ刻みで調節可能である。
7.3 インスリン製剤以外の糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合、5ドーズを目安として投与を開始すること。
7.3.1 GLP-1受容体作動薬による治療で効果不十分な場合、前治療で使用していたGLP-1受容体作動薬の投与を中止し、本剤と併用しないこと。週1回投与などの持続性GLP-1受容体作動薬から本剤に変更する場合、その作用持続性を考慮し、次回に予定していた投与タイミングから本剤の投与を開始すること。
7.4 基礎インスリン製剤による治療で効果不十分な場合、前治療で使用していた基礎インスリン製剤の種類に応じ、以下を参考に本剤の投与を開始すること。なお、いずれの場合も本剤の初期用量として10ドーズを超えないこと。[17.1.3参照]
7.4.1 インスリン グラルギン100単位/mL製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は前治療のインスリン グラルギン100単位/mL製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始する。
7.4.2 インスリン グラルギン300単位/mL製剤又は1日2回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は前治療の基礎インスリン製剤の1日投与量よりも低用量を目安として投与を開始する。
7.4.3 インスリン グラルギン以外の1日1回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は前治療の基礎インスリン製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始する。
7.4.4 本剤の投与にあたっては、前治療で使用していた基礎インスリン製剤の投与を中止し、本剤と併用しないこと。
7.5 本剤の1日用量として20ドーズを超える用量が必要な場合は、他の糖尿病用薬への切替えを検討すること。

5.効能又は効果に関連する注意

本剤は食事療法・運動療法に加え、糖尿病用薬による治療で効果不十分な場合に使用を検討すること。[17.1参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)日本人2型糖尿病患者20例に本剤2用量(5単位/5μg及び10単位/10μg)注1)を単回皮下投与したときのリキシセナチドの薬物動態パラメータは次表のとおりであった。
投与量NCmax(pg/mL)tmaxa(hr)t1/2z(hr)AUCb(pg・hr/mL)CL/Fb(L/hr)
5単位/5μg2051.6±22.12.50(1.00,5.00)2.50±0.843286±10119.9±7.99
10単位/10μg20110±54.92.00(1.00,5.00)2.73±0.747630±22518.2±7.76
平均値±標準偏差、CL/F:見かけの全身クリアランスa:中央値(最小値,最大値)、b:N=17
単回皮下投与後の血漿中リキシセナチド濃度推移(平均値+標準偏差)
(2)外国人1型糖尿病患者21例にインスリン グラルギン0.4単位/kg・リキシセナチド0.264μg/kgの配合比で注1)単回皮下投与したときのインスリン グラルギンの薬物動態パラメータは次表のとおりであった。
投与量NCmax(μU/mL)tmaxa(h)AUC0-24hb(μU・h/mL)
0.4単位/kg・0.264μg/kg2013.8±6.9910.00(0.25,16.00)221±87.3
平均値±標準偏差a:中央値(最小値,最大値)、b:N=19
注1)本剤の承認用量は、開始用量5~10ドーズ(5~10単位/5~10μg)、最大用量20ドーズ(20単位/20μg)である。
16.2 吸収
16.2.1 投与部位による比較
(1)インスリン グラルギン
健康成人男子12例に、125I-インスリン グラルギン0.2単位/kgを上腕部、大腿部及び腹部に単回皮下投与したとき、血清中インスリン濃度、血清中外因性インスリン濃度並びに血糖値の推移に差はみられなかった。また、血清中インスリン濃度及び外因性インスリン濃度のAUC及びCmax、血糖値のAUC及び最大降下度に投与部位間で有意な差は認められなかった。これらのことから本剤の薬理作用に投与部位による差はないと考えられた(外国人データ)。
(2)リキシセナチド
過体重及び肥満被験者43例の異なる部位(腹部、上腕部、大腿部)にリキシセナチド10μgを単回皮下投与したとき、腹部投与に対する相対的バイオアベイラビリティ(AUClast比[90%信頼区間])は、上腕部で1.06[0.93,1.21]及び大腿部で1.00[0.88,1.14]であった(外国人データ)。
16.3 分布
リキシセナチドのヒト血漿たん白質への結合は、約500~50,000pg/mLの濃度において、55%であった(in vitro)。
16.4 代謝
リキシセナチドは、CYP分子種(CYP1A、CYP2B6、CYP2C9、CYP3A)に対する誘導作用を示さなかった。また、CYP分子種(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A)に対する阻害作用を示さなかった(in vitro)。
リキシセナチドのヒト血漿中における代謝は非常に緩徐(半減期約35時間)であった(in vitro)。
16.5 排泄
ペプチドであるリキシセナチドは、標準的なたん白分解過程によって小さなペプチド及びアミノ酸に分解され、ペプチド(平均分子量50kDa未満)は腎ろ過後の尿細管再吸収と代謝により消失すると考えられる。
リキシセナチドは、ヒトトランスポーター(hOCT2、hOATP1B1)に対する阻害作用を示さなかった(in vitro)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
リキシセナチド5μg注2)を腎機能正常被験者(クレアチニンクリアランス(CLCR):>80mL/min)、軽度腎機能障害患者(CLCR:50mL/min以上80mL/min以下)、中等度腎機能障害患者(CLCR:30mL/min以上50mL/min未満)及び重度腎機能障害患者(CLCR:30mL/min未満)各8例に単回皮下投与したとき、リキシセナチドのCmaxは腎機能正常被験者と比較して、軽度、中等度及び重度腎機能障害患者でそれぞれ約1.0、1.0及び1.3倍であり、AUCは1.1、1.2及び1.5倍であった。また、腎機能正常被験者、軽度、中等度及び重度腎機能障害患者のt1/2zはそれぞれ2.62、2.41、2.62及び2.87時間であった(外国人データ)。
注2)リキシセナチド単剤の開始用量は1日1回10μg、最大量は1日1回20μgである。
16.6.2 高齢者
リキシセナチド20μgを高齢健康被験者(65~79歳、CLCR:50.5~91.8mL/min)及び若年健康被験者(24~44歳、CLCR:82.4~163.9mL/min)各18例に単回皮下投与したとき、Cmaxは同様であったものの、高齢健康被験者群ではAUCが約1.3倍増加し、t1/2zは約1.6倍延長した(外国人データ)。[9.8参照]
16.7 薬物相互作用
健康被験者15例にリキシセナチド10μg投与の1時間後又は4時間後にアセトアミノフェン1,000mgを単回投与したとき、リキシセナチド非投与時と比較して、アセトアミノフェンのtmax(中央値)はそれぞれ4.50時間及び2.00時間に延長し、Cmaxはそれぞれ71%及び69%に低下したが、AUCに対する影響は認められなかった。リキシセナチド投与の1時間前にアセトアミノフェンを投与したとき、アセトアミノフェンの薬物動態に変化はみられなかった(外国人データ)。
また、リキシセナチド10μgと経口避妊薬、リキシセナチド20μgとワルファリン、ラミプリル、アトルバスタチン又はジゴキシンを併用した相互作用試験の結果を下表に示す。リキシセナチド投与後に下表の経口薬を投与したとき、各経口薬のCmaxは低下しtmaxは遅延した。一方、リキシセナチド投与の1時間前に経口避妊薬を投与したとき、経口避妊薬の薬物動態に変化は見られなかった。なお、リキシセナチドとワルファリンを併用した相互作用試験において、INRの延長は認められなかった(外国人データ)。[10.2参照]
リキシセナチド10μgと経口避妊薬、リキシセナチド20μgとワルファリン、ラミプリル、アトルバスタチン又はジゴキシンを併用した相互作用試験の結果
経口薬投与時期(分)NCmax比[90%信頼区間]AUC比[90%信頼区間]tmax差(範囲)
アセトアミノフェン(1,000mg)-60150.97[0.78,1.19]0.97[0.93,1.02]0(-1.50,1.75)
+60150.71[0.57,0.87]0.95[0.90,0.99]2.00(-2.00,4.50)
アセトアミノフェン(1,000mg)a+240150.69[0.56,0.85]0.96[0.91,1.01]1.75(0,3.25)
経口避妊薬
エチニルエストラジオール(0.03mg)-60250.93[0.84,1.02]1.01[0.90,1.14]0(-1.50,1.03)
+60250.48[0.43,0.53]0.96[0.85,1.09]2.00(-0.07,10.00)
レボノルゲストレル(0.15mg)-60251.01[0.89,1.16]1.01[0.85,1.20]0(-1.03,1.03)
+60250.54[0.48,0.62]1.00[0.84,1.19]3.00(-0.50,7.03)
ワルファリン(25mg)+30
S-ワルファリン160.81[0.68,0.96]1.01[0.85,1.21]7.00(-0.02,11.00)
ラミプリル(5mg)+30
ラミプリル260.37[0.29,0.46]1.21[1.06,1.39]2.27(0.10,5.75)
ラミプリラート261.02[0.92,1.14]1.11[1.06,1.16]2.99(-1.34,5.00)
アトルバスタチン(40mg)+60360.69[0.55,0.86]1.08[0.99,1.18]3.25(-0.97,9.00)
約12時間後361.66[1.36,2.03]1.27[1.18,1.36]-0.36(-2.98,2.52)
ジゴキシン(0.25mg)+30240.74[0.64,0.86]0.94[0.87,1.01]1.24(-4.98,3.52)
投与時期:リキシセナチド投与前後の経口薬の投与時期、AUC:AUClast又はAUCτ、比:リキシセナチド併用投与時/リキシセナチド非投与時、差:リキシセナチド併用投与時(中央値)-リキシセナチド非投与時(中央値)a:アセトアミノフェン単回投与(プラセボ投与の1時間前)との比較

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
糖尿病用薬
ビグアナイド系薬剤
スルホニルウレア系薬剤
速効型インスリン分泌促進剤
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリン系薬剤
DPP-4阻害薬
インスリン製剤
SGLT2阻害剤 等
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
また、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強される。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する。
三環系抗うつ剤
ノルトリプチリン塩酸塩 等
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある。
サリチル酸誘導体
アスピリン
エテンザミド
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有する。また、末梢で弱いインスリン様作用を有する。
抗腫瘍剤
シクロホスファミド水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある。
クロラムフェニコール血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
機序不明
サルファ剤血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられている。腎機能低下、空腹状態の遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる。
シベンゾリンコハク酸塩
ジソピラミド
ピルメノール塩酸塩水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
インスリン分泌作用を認めたとの報告がある。
フィブラート系薬剤血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する。
レセルピン血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
チアジド系利尿剤
トリクロルメチアジド
ループ利尿剤
フロセミド
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
カリウム喪失が関与すると考えられている。カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある。
副腎皮質ステロイド
プレドニゾロン
トリアムシノロン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
ACTH
テトラコサクチド酢酸塩
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加する。糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
アドレナリン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する。
グルカゴン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
甲状腺ホルモン
レボチロキシンナトリウム水和物
乾燥甲状腺
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
成長ホルモン
ソマトロピン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する。
卵胞ホルモン
エチニルエストラジオール
結合型エストロゲン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
経口避妊薬血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
ニコチン酸血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす。
濃グリセリン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する。
イソニアジド血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する。
ダナゾール血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン抵抗性を増強するおそれがある。
フェニトイン血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン分泌抑制作用を有する。
ブセレリン酢酸塩血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
耐糖能を悪化させることがある。
フェノチアジン誘導体血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明であるが、動物実験(ラット)において、インスリン分泌が低下したとの報告がある。
たん白同化ステロイド
メスタノロン
血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
ソマトスタチンアナログ製剤
オクトレオチド酢酸塩 等
血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。
ペンタミジンイセチオン酸塩血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
膵臓のβ細胞に作用し、初期に低血糖、それに引き続いて高血糖を起こすことがある。
β-遮断剤
プロプラノロール塩酸塩
アテノロール
ピンドロール
セリプロロール塩酸塩 等
血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制する。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。また、インスリン感受性は薬剤により増強あるいは減弱することが報告されている。
炭酸リチウム血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
インスリン分泌が減少したとの報告、逆に低血糖が発現したとの報告がある。
クロニジン血糖降下作用の増強による低血糖症状、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
血糖値が低下したとの報告、逆に血糖値を上昇させたとの報告がある。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
吸収遅延により効果が減弱される薬剤
抗生物質
経口避妊薬 等
リキシセナチドの胃内容排出遅延作用が、併用する経口剤の吸収に影響を与えるおそれがある。
血中濃度が一定の閾値に達することにより有効性を示す経口剤を併用する場合は、本剤投与の1時間以上前、又は11時間以上後にそれらの薬剤を服用すること。[16.7参照]
リキシセナチドの胃内容排出遅延作用による。
クマリン系化合物
ワルファリンカリウム
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。[11.1.1参照]
機序不明
クマリン系化合物
ワルファリンカリウム
プロトロンビン時間国際標準比(INR)の延長がリキシセナチドの類薬(エキセナチド)で報告されている。
本剤と併用する場合には、併用開始時あるいは終了時にINR値を測定するなど、観察を十分に行うこと。[16.7参照]
リキシセナチドの胃内容排出遅延作用による。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 低血糖
脱力感、倦怠感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常、不安、興奮、神経過敏、集中力低下、精神障害、痙攣、意識障害(意識混濁、昏睡)等があらわれることがある。無処置の状態が続くと低血糖昏睡等を起こし、重篤な転帰(中枢神経系の不可逆的障害、死亡等)をとるおそれがある。
長期にわたる糖尿病、糖尿病性神経障害、β-遮断剤投与あるいは強化インスリン療法が行われている場合では、低血糖の初期の自覚症状(冷汗、振戦等)が通常と異なる場合や、自覚症状があらわれないまま、低血糖あるいは低血糖性昏睡に陥ることがある。
症状が認められた場合には糖質を含む食品を摂取する等、適切な処置を行うこと。α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時にはブドウ糖を投与すること。経口摂取が不可能な場合は、ブドウ糖の静脈内投与やグルカゴンの筋肉内投与等、適切な処置を行うこと。
低血糖は臨床的に回復した場合にも、再発することがあるので継続的に観察すること。
臨床試験で報告された重篤な低血糖の発現割合は、0.1%(1/676例)であった。[2.2、8.4、8.6、9.1.3、9.2.1、9.3.1、9.8、10.2参照]
11.1.2 急性膵炎(頻度不明)
GLP-1受容体作動薬の使用は、急性膵炎のリスクの増加に関連している。急性膵炎に特徴的な症状(嘔吐を伴う持続的な腹痛等)が認められた場合には、本剤の投与を中止すること。また急性膵炎と診断された場合には、本剤の再投与は行わないこと。[8.7、8.8、9.1.2参照]
11.1.3 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)
全身性皮膚反応、血管神経性浮腫、気管支痙攣、低血圧等の異常が認められた場合には投与を中止すること。
11.1.4 胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸(いずれも頻度不明)[8.9参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

5%以上1~5%未満1%未満頻度不明
消化器悪心腹部不快感、下痢、嘔吐、消化不良、便秘、胃腸炎、食欲不振腹部膨満、腹痛
肝胆道胆石症
皮膚多汗症蕁麻疹
精神神経系めまい、振戦傾眠頭痛
注射部位注射部位反応(内出血、紅斑、浮腫、そう痒等)リポジストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚等)、皮膚アミロイドーシス
感染上咽頭炎、上気道感染
その他疲労倦怠感、空腹感
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