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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 腎性貧血

用法・用量

  • <保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者>

    • 通常,成人には,エナロデュスタットとして1回2mgを開始用量とし,1日1回食前又は就寝前に経口投与する。以後は,患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが,最高用量は1回8mgとする。
  • <血液透析患者>

    • 通常,成人には,エナロデュスタットとして1回4mgを開始用量とし,1日1回食前又は就寝前に経口投与する。以後は,患者の状態に応じて投与量を適宜増減するが,最高用量は1回8mgとする。

禁忌 

【警告】

  • 本剤投与中に,脳梗塞,心筋梗塞,肺塞栓等の重篤な血栓塞栓症があらわれ,死亡に至るおそれがある。本剤の投与開始前に,脳梗塞,心筋梗塞,肺塞栓等の合併症及び既往歴の有無等を含めた血栓塞栓症のリスクを評価した上で,本剤の投与の可否を慎重に判断すること。また,本剤投与中は,患者の状態を十分に観察し,血栓塞栓症が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。血栓塞栓症が疑われる症状があらわれた場合には,速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。[11.1.1参照]
【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある女性[9.5参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 脳梗塞,心筋梗塞,肺塞栓等の患者,又はそれらの既往歴を有する患者
本剤投与により血栓塞栓症を増悪あるいは誘発するおそれがある。
9.1.2 高血圧症を合併する患者
血圧上昇があらわれるおそれがある。
9.1.3 悪性腫瘍を合併する患者
本剤投与により血管新生が亢進する可能性があることから,悪性腫瘍が増悪するおそれがある。
9.1.4 増殖糖尿病網膜症,黄斑浮腫,滲出性加齢黄斑変性症,網膜静脈閉塞症等を合併する患者
本剤投与により血管新生が亢進する可能性があることから,網膜出血があらわれるおそれがある。
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な女性には,本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。ラットにおいて,本剤の最大臨床用量における推定曝露量の4.6倍で胚死亡の増加,13.9倍で着床数及び着床率の減少が認められている。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,投与しないこと。ラットでは本剤の最大臨床用量における推定曝露量の4.6倍で胚・胎児死亡の増加,出生児の発育遅延,ウサギでは3.8倍で流産,11.6倍で胚・胎児死亡の増加が認められている。[2.2,9.4参照]
9.6 授乳婦
本剤投与中及び本剤投与終了後4日間は授乳を避けさせること。母動物(ラット)への投与で,乳汁中への移行が認められている。また,ラットの母動物において本剤の最大臨床用量における推定曝露量の4.6倍の曝露量で投与したとき,出生児に眼瞼の開裂時期の遅延が認められている。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

8.重要な基本的注意

8.1 本剤投与開始後,ヘモグロビン濃度が目標範囲で安定するまでは,2週に1回程度ヘモグロビン濃度を確認すること。
8.2 本剤投与中はヘモグロビン濃度等を4週に1回程度確認し,必要以上の造血作用があらわれないように十分注意すること。赤血球造血刺激因子製剤の臨床試験において,ヘモグロビン濃度の目標値を高く設定した場合に,死亡,心血管系障害及び脳卒中の発現頻度が高くなったとの報告がある。
8.3 ヘモグロビン濃度が,4週以内に2.0g/dLを超える等,急激に上昇した場合は速やかに減量又は休薬する等,適切な処置を行うこと。
8.4 保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者において,赤血球造血刺激因子製剤から本剤への切替え後にヘモグロビン濃度が低下する傾向が認められていることから,切替え後のヘモグロビン濃度の低下に注意すること。
8.5 本剤投与により血圧が上昇するおそれがあるので,血圧の推移に十分注意しながら投与すること。
8.6 造血には鉄が必要であることから,鉄欠乏時には鉄剤の投与を行うこと。

14.適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により,硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し,更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 用量調節が必要な場合には,下表を参考に1段階ずつ投与量を増減すること。
段階12345
本剤投与量1mg2mg4mg6mg8mg
7.2 増量する場合の間隔は4週間以上とすること。
7.3 休薬した場合には,休薬前より少なくとも1段階低い用量で投与を再開すること。

5.効能又は効果に関連する注意

赤血球造血刺激因子製剤で未治療の場合の本剤投与開始の目安は,保存期慢性腎臓病患者及び腹膜透析患者ではヘモグロビン濃度で11g/dL未満,血液透析患者ではヘモグロビン濃度で10g/dL未満とする。

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人
(1)単回投与
健康成人男性に本剤1,5,15,50,100及び200mgを空腹時単回経口投与した時のエナロデュスタットの薬物動態パラメータは,表1のとおりである。
注)本剤の承認最高用量は,1日8mgである。
図1 健康成人男性に本剤を単回投与した時の血漿中濃度推移
平均値+標準偏差
表1 健康成人男性に本剤を空腹時単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
投与量例数Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUCinf(μg・hr/mL)t1/2(hr)
1mg60.16±0.030.5
[0.5-1.0]
0.82±0.268.4±1.9
5mg60.72±0.131.0
[0.5-1.5]
4.23±1.498.7±0.8
15mg62.27±0.561.3
[0.5-1.5]
11.61±1.728.2±0.8
50mg67.41±0.941.5
[1.0-3.0]
37.57±10.479.1±1.7
100mg611.34±1.462.5
[1.0-3.0]
59.79±13.988.4±0.7
200mg623.48±7.651.5
[0.5-4.0]
111.90±22.237.7±0.5
平均値±標準偏差,tmax:中央値[最小値-最大値]
(2)反復投与
健康成人男性に本剤25及び50mgを1日1回朝食前に反復経口投与した時のエナロデュスタットの薬物動態パラメータは,表2のとおりである。
注)本剤の承認最高用量は,1日8mgである。
表2 健康成人男性に本剤を朝食前に反復経口投与した時の薬物動態パラメータ
投与量測定日例数Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUCtau(μg・hr/mL)t1/2(hr)
25mg193.44±0.581.0
[0.5-1.0]
13.67±2.87
793.37±0.981.0
[0.5-1.0]
14.45±3.168.0±1.1
50mg194.77±1.641.0
[0.5-1.5]
23.01±4.35
786.97±2.291.0
[0.5-1.0]
34.25±9.707.9±0.8
平均値±標準偏差,tmax:中央値[最小値-最大値]
16.1.2 血液透析患者
(1)単回投与
血液透析施行中の慢性腎臓病患者に本剤15mgを空腹時単回経口投与した時のエナロデュスタットの薬物動態パラメータは,表3のとおりである。
注)本剤の承認最高用量は,1日8mgである。
表3 血液透析患者に本剤15mgを空腹時単回経口投与した時の薬物動態パラメータ
投与量例数Cmax(μg/mL)tmax(hr)AUCinf(μg・hr/mL)t1/2(hr)
15mg62.17±0.381.2
[1.0-2.0]
19.32±4.4211.3±2.6
平均値±標準偏差,tmax:中央値[最小値-最大値]
(2)反復投与
血液透析施行中の腎性貧血患者に[1]本剤1mgを8週間,[2]本剤1mgを2週間,その後本剤3mgを6週間,[3]本剤1mgを2週間,本剤3mgを2週間,その後本剤5mgを4週間,1日1回朝食前に反復経口投与した時のエナロデュスタットの血漿中トラフ濃度は,表4のとおりである。
表4 血液透析患者に本剤を朝食前に反復経口投与した時の血漿中トラフ濃度(ng/mL)
投与群例数投与2週後投与4週後投与6週後投与8週後
[1]814.22±11.3217.02±16.2214.45±9.9120.76±23.84
[2]913.17±8.0032.85±29.9533.98±20.2336.76±22.30
[3]812.33±4.74a)41.31±37.6549.15±29.6846.65±34.11
平均値±標準偏差,a)7例
(3)血液透析の影響
血液透析患者(6例)に本剤5mgを透析前(透析開始2時間前)又は透析後(透析終了2時間後)にそれぞれ空腹時単回経口投与した時,本剤の薬物動態に明らかな差はなく,本剤の薬物動態は血液透析の影響をほとんど受けなかった(外国人データ)。
16.1.3 保存期慢性腎臓病患者
保存期慢性腎臓病患者に本剤1mgを2週間投与した後,本剤3mgを2週間,その後本剤5mgを2週間,1日1回朝食前に反復経口投与した時のエナロデュスタットの血漿中トラフ濃度は,表5のとおりである。
表5 保存期慢性腎臓病患者に本剤を朝食前に反復経口投与した時の血漿中トラフ濃度(ng/mL)
投与量例数投与2週後
1mg1611.43±6.44
3mg1736.17±20.63
5mg1456.84±34.23
平均値±標準偏差
16.1.4 母集団薬物動態解析
母集団薬物動態解析の結果,保存期慢性腎臓病患者,腹膜透析患者及び血液透析患者の薬物動態に,臨床的に意義のある影響を及ぼす差は認められなかった。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性に本剤100mgを食後に単回経口投与した時のCmax及びAUCinfは,空腹時投与と比較してそれぞれ47%及び26%低下した。
注)本剤の承認最高用量は,1日8mgである。
16.3 分布
血液透析患者に本剤5mgを単回経口投与した時の血漿中蛋白結合率は,99%以上であり(外国人データ),主にアルブミンと結合した。In vitroにおけるヒトの血球移行率は,2.5~6.8%であった。
16.4 代謝
肝ミクロソーム及びCYPアイソザイムを用いたin vitro試験の結果,エナロデュスタットはわずかに代謝され,その酸化的代謝には,主にCYP2C8及び2C9が寄与し,CYP3A4も関与した。
血液透析患者に14C-エナロデュスタットを単回経口投与したマスバランス試験では,ヒト血漿中の主成分は未変化体であった。血漿中で認められた主代謝物はベンジル位の水酸化体であり,その割合は血漿中放射能の2.94%とわずかであった(外国人データ)。
16.5 排泄
血液透析患者に14C-エナロデュスタットを単回経口投与したマスバランス試験で,糞中及び尿中にそれぞれ投与放射能の77.1%及び10.9%が排泄された。糞中には主に未変化体(投与量に対する割合:37.17%)及び代謝物(ベンジル位の水酸化体,投与量に対する割合:18.15%)が認められた。尿中には主に未変化体(投与量に対する割合:7.03%)及び代謝物(ベンジル位の水酸化体,投与量に対する割合:2.35%)が認められた(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 セベラマー炭酸塩
健康成人男性に本剤25mgとセベラマー炭酸塩2,400mgを併用した時のエナロデュスタットの薬物動態に及ぼすセベラマー炭酸塩の影響を表6に示す(外国人データ)。[10.2参照]
表6 本剤の薬物動態に対するセベラマー炭酸塩の影響
投与条件例数幾何平均値の比[90%信頼区間]
(セベラマー炭酸塩併用投与時/本剤単独投与時)
CmaxAUCinf
同時投与
(本剤25mg,セベラマー炭酸塩2,400mg)
120.47[0.38,0.58]0.55[0.49,0.61]
セベラマー炭酸塩2,400mg投与3時間後に本剤25mg投与120.89[0.72,1.10]0.94[0.84,1.06]
セベラマー炭酸塩2,400mg投与1時間前に本剤25mg投与120.92[0.74,1.14]0.80[0.71,0.89]
注)本剤の承認最高用量は,1日8mgである。
16.7.2 ラパチニブ(BCRP阻害薬)
血液透析患者に本剤5mgとラパチニブ250mgを併用した時のエナロデュスタットの薬物動態に及ぼすラパチニブの影響を表7に示す(外国人データ)。
表7 本剤の薬物動態に対するラパチニブの影響
併用薬併用薬投与量本剤投与量例数幾何平均値の比[90%信頼区間]
(ラパチニブ併用投与時/本剤単独投与時)
CmaxAUCinf
ラパチニブ250mg5mg101.29[1.11,1.49]1.32[1.22,1.43]
16.7.3 CYP基質
健康成人男女に本剤25mg又は50mgとCYP基質を併用した時のCYP基質の薬物動態に及ぼすエナロデュスタットの影響を表8に示す(外国人データ)。
表8 CYP基質の薬物動態に対する本剤の影響
併用薬併用薬投与量本剤投与量例数幾何平均値の比[90%信頼区間]
(CYP基質併用投与時/本剤単独投与時)
CmaxAUCinf
カフェイン(CYP1A2基質)200mg25mg90.99[0.88,1.11]1.61[1.48,1.75]
50mg81.06[0.93,1.20]1.63[1.49,1.78]
トルブタミド(CYP2C9基質)500mg25mg91.07[0.96,1.20]1.07[1.01,1.14]
50mg80.98[0.87,1.10]1.03[0.96,1.09]
オメプラゾール(CYP2C19基質)20mg25mg91.78[1.14,2.80]0.92[0.75,1.14]
50mg81.03[0.64,1.66]0.71[0.52,0.98]
デキストロメトルファン(CYP2D6基質)30mg25mg81.23[0.98,1.55]1.21[1.01,1.44]
50mg81.89[1.50,2.37]1.72[1.44,2.06]
ミダゾラム(CYP3A4基質)3mg25mg91.43[1.30,1.57]1.42[1.24,1.63]
50mg81.42[1.28,1.57]1.63[1.39,1.90]
注)本剤の承認最高用量は,1日8mgである。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
リン吸着薬
セベラマー塩酸塩
ビキサロマー
炭酸ランタン
多価陽イオン(カルシウム,鉄,マグネシウム,アルミニウム等)を含有する経口製剤
[16.7.1参照]
本剤と併用した場合,本剤の作用が減弱するおそれがあるため,併用する場合は,投与後3時間又は投与前1時間以上間隔をあけて本剤を投与すること。本剤をセベラマー炭酸塩と同時投与したところ,本剤のAUCinfが低下した。
本剤とこれらの薬剤がイオン結合し,本剤の吸収を抑制すると考えられている。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 血栓塞栓症(0.7%)
深部静脈血栓症(0.2%),肺塞栓症(0.1%),脳幹梗塞(0.1%)等の血栓塞栓症があらわれることがある。[1.参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

1%以上1%未満
眼障害網膜出血
血管障害高血圧
皮膚及び皮下組織障害湿疹
臨床検査血圧上昇,フィブリンDダイマー増加
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