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ピヴラッツ点滴静注液150mg

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効能・効果/用法・用量 

効能・効果

  • 脳動脈瘤によるくも膜下出血術後の脳血管攣縮、及びこれに伴う脳梗塞及び脳虚血症状の発症抑制

用法・用量

  • 通常成人には、クラゾセンタンとして300mg(12mL)を生理食塩液500mLに加え、容量型の持続注入ポンプを用いて、17mL/時の速度で静脈内に持続投与する(クラゾセンタンとして10mg/時)。くも膜下出血術後早期に本剤の投与を開始し、くも膜下出血発症15日目まで投与する。なお、肝機能、併用薬に応じて適宜減量する。

禁忌 

【禁忌】

次の患者には投与しないこと

  • 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 2.2 妊婦又は妊娠している可能性のある患者[9.5参照]
  • 2.3 重度の肝機能障害を有する患者(Child-Pugh分類クラスC)[9.3.1、16.6.2参照]
  • 2.4 頭蓋内出血が継続している患者[出血を助長する可能性がある。][5.2、8.6、9.1.4参照]

注意 

9.特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者
9.1.1 QT間隔延長のある患者、QT間隔延長のおそれ、又はその既往歴のある患者
本剤の投与開始前及び投与中に心電図を測定すること。QT間隔延長が起こるおそれ、又は悪化するおそれがある。[8.5、10.2、17.3.1参照]
9.1.2 脳浮腫又は頭蓋内圧上昇のある患者
本剤投与による有益性と危険性を考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。脳浮腫が発現又は悪化するおそれがある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.3 肺水腫又は胸水のある患者
本剤投与による有益性と危険性を考慮した上で、投与の可否を慎重に検討すること。肺水腫又は胸水が悪化する可能性がある。[8.2、11.1.1参照]
9.1.4 出血している患者(硝子体出血、消化管出血等)
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。出血を助長する可能性がある。[2.4、11.1.2参照]
9.3 肝機能障害患者
9.3.1 重度の肝機能障害を有する患者(Child-Pugh分類クラスC)
投与しないこと。血漿中濃度が上昇するおそれがある。[2.3、16.6.2参照]
9.3.2 肝機能障害を有する患者(重度の肝機能障害を有する患者(Child-Pugh分類クラスC)を除く)
肝機能検査を行い、臨床的に顕著に肝酵素(AST、ALT)が上昇した場合、総ビリルビン値が基準値上限の2倍を超える場合、又は黄疸などの肝障害の徴候を伴う場合は、本剤の投与を中止すること。血漿中濃度が上昇するおそれがある。[7.2、16.6.2参照]
9.4 生殖能を有する者
妊娠可能な患者では、妊娠していないことを確認した後、本剤の投与を開始するとともに、本剤の投与終了後一定期間は避妊するよう指導すること。[9.5参照]
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある患者に対しては投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)において、エンドセリン受容体拮抗作用に基づく胚毒性及び催奇形性が認められた。[2.2、9.4参照]
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。くも膜下出血術後患者を対象とした国内臨床試験において、肺水腫の発現割合が高かった。[11.1.1参照]

8.重要な基本的注意

8.1 本剤の投与は、緊急時に十分な対応をとれる医療機関において、頭蓋内出血の診断及び治療に精通している医師のもとで行うこと。
8.2 本剤投与により肺水腫、胸水、脳浮腫等の体液貯留が発現することがあるため、本剤投与中は体液量の調節に留意し、体液貯留の初期症状を十分に観察すること。特に、Triple H療法又はHyperdynamic療法が併用される場合は、体液貯留リスクが増強するおそれがあるため、慎重に体液量を管理すること。[9.1.2、9.1.3、11.1.1参照]
8.3 本剤は血管拡張作用を有するため、血圧低下が起こることがある。本剤投与に際しては、血圧が適切にコントロールされている状況下で投与を開始し、投与中は血圧を十分にモニタリングすること。
8.4 ヘモグロビン低下があらわれることがあるので、本剤の投与開始前、及び必要に応じて本剤の投与中にヘモグロビン値を測定すること。
8.5 QT間隔の延長があらわれるおそれがあるので、本剤の投与開始前及び投与中に心電図を測定することが望ましい。異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。[9.1.1、10.2、17.3.1参照]
8.6 本剤の投与に際しては、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、頭蓋内出血が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。[2.4、11.1.2参照]

14.適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意
本剤は保存剤を含まないため、希釈後速やかに使用すること。また、バイアル中の残液は廃棄すること。
14.2 薬剤投与時の注意
14.2.1 本剤を投与する場合は、0.2μmフィルターを通して投与すること。
14.2.2 本剤は、pHが7より低い場合や他の輸液剤と直接接触した場合に沈殿する可能性がある。本剤は、中心ラインの専用ルーメン、又は専用の注入ラインを用いて単独で投与すること。
14.2.3 24時間毎に薬剤を交換すること。残液は廃棄すること。

7.用法及び用量に関連する注意

7.1 本剤はくも膜下出血発症から48時間以内を目安に投与を開始すること。
7.2 中等度の肝機能障害を有する患者(Child-Pugh分類クラスB)に対する投与の可否は慎重に判断し、投与する場合には、通常の用量の半量(クラゾセンタンとして5mg/時)に減量すること。クラゾセンタンとして150mg(6mL)を生理食塩液500mLに加え、容量型の持続注入ポンプを用いて、17mL/時の速度で静脈内にくも膜下出血発症15日目まで投与する。[9.3.2、16.6.2参照]
7.3 治療上やむを得ない場合を除きリファンピシンとの併用を避け、併用する場合は、通常の用量の4分の1(クラゾセンタンとして2.5mg/時)に減量し、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。クラゾセンタンとして150mg(6mL)を生理食塩液500mLに加え、容量型の持続注入ポンプを用いて、8.5mL/時の速度で静脈内にくも膜下出血発症15日目まで投与する。[10.2、16.7.2参照]

5.効能又は効果に関連する注意

5.1 くも膜下出血の重症度、血腫量、脳梗塞の範囲等の患者の状態を考慮して、本剤投与の要否を判断すること。次の患者における有効性及び安全性は確立していない。[17.1.1、17.1.2参照]
・World Federation of Neurosurgical Surgeons分類Vの患者
・脳梗塞が広範囲に及ぶ患者
・Fisher分類3以外の患者
5.2 破裂脳動脈瘤に対し、外科的治療又は血管内治療等により適切に止血が達成された患者に投与すること。[2.4、17.1.1、17.1.2参照]

16.薬物動態

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人
健康成人に本剤1mg/時注)を4時間、5mg/時注)を4時間、15mg/時注)を4時間の順に静脈内持続投与した時の、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった。クラゾセンタンの薬物動態は、検討した用量範囲で用量比例性を認めた。[13.1参照]
静脈内持続投与後の血漿中クラゾセンタン濃度推移(平均値±標準偏差)
静脈内持続投与後の薬物動態パラメータ
薬物動態パラメータ
(n=12)
AUC0-4(ng・h/mL)115(104,128)
AUC4-8(ng・h/mL)580(528,638)
AUC8-12(ng・h/mL)1507(1345,1689)
AUC0-∞(ng・h/mL)2366(2133,2623)
t1/2(h)2.4(2.2,2.6)
CL(L/h)35.5(32.0,39.4)
Vss(L)9.9(7.5,13.0)
幾何平均値(95%信頼区間)
16.1.2 くも膜下出血患者
脳動脈瘤破裂に伴うくも膜下出血のクリッピング術後患者に、本剤を5mg/時注)及び10mg/時で静脈内持続投与した時の、くも膜下出血発症後9日目±2日の血漿中クラゾセンタン濃度は下記のとおりであった。血漿中クラゾセンタン濃度は、用量依存的に増加した。
血漿中クラゾセンタン濃度
5mg/時
(n=30)
10mg/時
(n=33)
幾何平均値(ng/mL)148.2317.0
16.3 分布
クラゾセンタンのヒト血漿タンパク結合率は97.6%であり、主にアルブミンに結合した。
16.4 代謝
健康成人男性4例に14C-クラゾセンタンを0.2mg/kg/時注)で3時間静脈内持続投与した時、血漿中放射能の93.4%が未変化体であった。尿及び糞中に排泄された放射能の大部分が未変化体であり、投与放射能の5%を超える代謝物は認められなかった(外国人データ)。
ヒトにおける主な代謝経路はCYP2C9によるピリジン環のメチル基の水酸化であった(in vitro)。
16.5 排泄
健康成人男性4例に14C-クラゾセンタンを0.2mg/kg/時注)で3時間静脈内投与した時、投与終了後192時間までにほとんどが未変化体として排泄され、投与放射能の80.9%が糞中、15.0%が尿中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
健康成人8例及び重度腎障害患者8例にクラゾセンタンを1mg/時注)で6時間静脈内持続投与した時、健康成人に対する重度腎障害患者におけるクラゾセンタンのCss及びAUC0-∞の幾何平均値の比はそれぞれ1.08及び1.08倍であった(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
健康成人8例及び軽度肝障害患者8例(Child-Pugh分類クラスA:A群)、中等度肝障害患者8例(Child-Pugh分類クラスB:B群)にクラゾセンタンを1mg/時注)で、重度肝障害患者8例(Child-Pugh分類クラスC:C群)に0.5mg/時注)で6時間静脈内持続投与した時、投与量で補正した健康成人に対するA群、B群及びC群におけるクラゾセンタンのCssの幾何平均値の比はそれぞれ1.35、2.10及び3.20倍であり、AUC0-∞の幾何平均値の比はそれぞれ1.41、2.37及び3.79倍であった(外国人データ)。[2.3、7.2、9.3.1、9.3.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 in vitro試験
クラゾセンタンはOATP1B1、OATP1B3及びBCRPの基質である。
16.7.2 リファンピシン
健康成人男性13例にリファンピシン(OATP1B1及びOATP1B3の阻害薬)600mgを30分かけて静脈内持続投与し、その直後にクラゾセンタンを15mg/時注)で3時間静脈内持続投与した時、クラゾセンタン単独投与時に対する併用投与時のクラゾセンタンのCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比は3.13及び3.88であった(外国人データ)。[7.3、10.2参照]
注)本剤の承認用量は10mg/時である。

併用注意 

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
ファスジル塩酸塩水和物血圧低下が増強される可能性がある。また、出血傾向の増強をきたすおそれがある。
併用する場合には、血圧及び出血の徴候を観察するなど注意すること。
ともに血管拡張作用を有することから、血圧及び出血傾向に影響を及ぼす可能性がある。
血管拡張薬
ニカルジピン塩酸塩等
血圧低下が増強される可能性があるので、血圧を観察するなど注意すること。本剤及びこれらの薬剤は血管拡張作用を有することから、血圧に影響を及ぼす可能性がある。
オザグレルナトリウム出血傾向の増強をきたすおそれがある。
併用する場合には、出血の徴候を観察するなど注意すること。
本剤は血管拡張作用を有することから、出血を助長する可能性がある。
リファンピシン
[7.3、16.7.2参照]
OATP1B1/1B3の阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。OATP1B1/1B3の阻害作用により、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
OATP1B1/1B3を阻害する薬剤
シクロスポリンA、ロピナビル、リトナビル等
OATP1B1/1B3の阻害作用のない薬剤への代替を考慮すること。
やむを得ず併用する際には、減量を考慮し、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
これらの薬剤のOATP1B1/1B3の阻害作用により、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
アミオダロン、モキシフロキサシン、キニジン等
[8.5、9.1.1、17.3.1参照]
QT間隔延長、心室性不整脈(TdPを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。本剤及びこれらの薬剤は、いずれもQT間隔を延長させる可能性があるため、併用により作用が増強するおそれがある。

重大な副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.1 体液貯留
胸水(13.3%)、肺水腫(11.0%)、脳浮腫(0.5%)[8.2、9.1.2、9.1.3、9.8参照]
11.1.2 頭蓋内出血(0.5%)、硬膜外血腫(頻度不明)[8.6、9.1.4参照]

その他の副作用 

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

3%以上1~3%未満頻度不明
感染症肺炎
血液貧血出血(硝子体出血、網膜出血等)
代謝低ナトリウム血症
循環器低血圧心不全
呼吸器鼻閉肺うっ血
肝臓肝機能異常
全身障害顔面浮腫、浮腫
胃腸腹水
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